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5 .バイオディーゼルの普及拡大に向 けた課題

ドキュメント内 ™…O瘻ム (ページ 60-63)

目的に、当プロジェクトはスタートしたので ある。

 菜種は、稲刈りを終えた直後の9月末に直 播きする。刈取りは6月中旬になるが、稲の 田植えは、その後で間に合う。刈取りは、ヤ ンマー㈱の協力で大豆用のコンバインを借用 した。草丈は1mにもなるが、3時間もあれば 2haの刈取りはできる。

 採取した菜種は、滋賀県の搾油業者に精製 を依頼した。ラベル貼りなどを障がい者施設 に依頼するなど、地域の様々な人たちとの交 流も進めている(注)29

 2年目の09年4月19日には、同市の治道小 学校の校庭を借りて「菜の花フェスタ」を開 催した(図表9)。環境教育として児童の参 加を図るため、金・土に開催し、自治会連合 会の参加も得た。

 今後は、廃食油の回収事業も考えており、

同市では恒例の金魚すくい大会の参加費とし て、廃食油の持込みを提案するとともに、廃 食油からせっけんやラー油を作ることなども 考えているとのことである。

 ただし、これまでのところ、農業関係者の 積極的な協力は得られていない。この事業に は、7,000円/10aの転作奨励金が支払われる ものの、冬場は土木作業などの方が実収入が 多いので、農家はなかなか積極的にならない という。景観保全という目的だけでなく、収 益事業として成り立たせることができない

と、プロジェクトの継続は難しいだろうとの ことである。

5 .バイオディーゼルの普及拡大に向

量輸入されており、自給率は実に0.03%にす ぎない。菜種の主要生産国には、中国、イン ド、カナダ、オーストラリア、EU諸国など があるが、輸出余力があるのはカナダとオー ストラリアにほぼ限られている。わが国は、

輸入のほぼすべてを、カナダの2,209千トン

(95.5%) と オ ー ス ト ラ リ ア の103千 ト ン

(4.5%)に頼っている。

 しかし、日本のそれぞれの地域に適した在 来品種であれば、菜種はどこでも栽培可能で ある。土壌もあまり選ばない。低温時に花芽 を形成するので、東北地方を含め、通常秋撒 きである(9〜10月に撒き5〜6月に収穫する)。  わが国の不耕作地及び不作付地は現在約 40万haに及ぶ。わが国における菜種の平均単 位 収 量は2トン〜2.5トン/ha程 度なので(注)31 仮にそのすべてで菜種を栽培すれば、最大 1,000千トンの菜種が採取でき、菜種油は400 千トン製造できる。比重は0.9なので、これ を全量バイオディーゼルにすると45万㎘程 度になる。

ロ.菜種栽培は通常では採算に乗らない  このように、理屈の上では、菜種輸入量を 4割方減少させることも可能ではあるが、現 状では大幅な拡大は期待できないだろう。

 その最大の理由は、単位面積当たりの収入 があまりに少なく、農家の生産意欲が湧かな いことである。コメの平均収量は530kg/10a

(5.3トン/ha)程度と菜種の2倍を優に超える。

 収量が少なくても菜種の販売単価が高けれ ば構わないわけだが、この点でも、コメに比 べて大きく見劣りする。国産菜種油を1,150 円/ℓで販売しているウェブショップの試算

によれば(注)32、原料菜種の価格は約88〜118

円/kgとなる。これを基に計算すると、菜種 油の単位面積当たり販売単価は約17,600〜

23,600円/10aとなるが、コメの同単価は、コ シ ヒ カ リ1俵(60kg) を17,000円 と す れ ば、

136,000円/10aとなる。これでは、コメの代 わ り に 菜 種 を 栽 培 し て も、 農 家 と し て は、

ざっと6分の1から8分の1程度の収入しか得 られないことになる。

 休耕田対策として、「水田等有効活用促進 交付金」が支給されており、大豆や、麦、飼 料作物については35,000円/10a、米粉、飼料 用 米 に つ い て は55,000円/10aが 交 付 さ れ る が、菜種は対象から外されており、補助金支 給によるインセンティブもない。

ハ .非遺伝子組換えの「ダブルロー品種」の 栽培で売り出す

 しかし、菜種栽培の付加価値を高めること により、生産を増やす方法が全くないという わけでもない。あまり知られていないが、現 在輸入のほとんどを占めるカナダ産の菜種

「カノーラ」は遺伝子組換え作物である。そ こで、国産菜種油を非遺伝子組換えであるこ とを前面に押し出して生産・販売すれば、差 別化を図ることができる。

(注)31 .最近でこそ約250kg/10aに達しているが、天候次第で作況は10%程度増減するので、一般には225kg/10a前後と見るのが 妥当なようである。ただし、ドイツにおける平均単収は344 kg/10a(07年)に及んでいる。

32.スローウェブショップ「膳(Zen)」。スロービジネススクール[2007]参照

 ただし、わが国在来の菜種には、大量に摂 取すると心臓疾患の原因となるとされるエル シン酸が含まれている(注)33。また、搾油後の 油粕に含まれるグルコシノレートは、分解す ると家畜に甲状腺障害を起こす危険があると されるので、油粕を鳥や豚の飼料として使用 するには問題があるとされている。これに対 し、カナダ産のカノーラは、「ダブルロー品 種」と呼ばれ、これらの含有率がふたつとも 低い。

 したがって、国産菜種油を高付加価値商品 として販売するためには、カノーラと同様の

「ダブルロー品種」であることが望ましい。

わが国で品種改良された非遺伝子組換えのダ ブルロー品種(油粕を飼料に使用しないので あれば、無エルシン酸品種でもよい)(注)34 新たに栽培し、「安心・安全な菜種油」とし て売り出せば、各地の特産物として付加価値 を高めることも可能となろう。

ニ.油粕を有機栽培向け肥料として販売  さらに、搾油後の油粕を、有機栽培農家等 に肥料として販売できれば採算を改善できる という研究もある。

 これによれば、一般に、有機栽培農家は、

国産、無農薬、非遺伝子組換えに強いこだわ りを持っているので、国産の非遺伝子組換え 菜種の油粕であれば、肥料用として50円/kg 程度で販売できるという(注)35。そこで、この

価格で油粕を販売できれば、菜種栽培に関し てコンバイン等を導入していても物財費の約 半分を賄うことができるので、搾油分の菜種 の物財費は104円/ℓとなる。これに、菜種 油をエステル化してバイオディーゼルに変換 する資材費と電力費を加算しても、農家が自 らバイオディーゼルを直接生産するコストは 128円/ℓ程度に収まる。これであれば、軽 油に代えたバイオディーゼルの自家利用も可 能になるという。

ホ .高級菜種油として販売した後に廃食油を 回収

 ただし、本格的にバイオディーゼルの生 産・販売を行うのであれば、まずは高級菜種 油として食用に供した上で、これまで述べて きたように、その廃食油を回収しリサイクル するということが望ましいという点は、確認 しておくことが必要だろう。

  わ が 国 で 菜 種 か ら 搾 油 し て 直 接 バ イ オ ディーゼルを小規模生産する場合は、CO2 出量は、原油から軽油を精製するよりも多く なるとされており(注)36、地球温暖化防止とい う目的からすれば、本末転倒ということにな りかねないからである。

(2)「特定加工業者」の事前登録は不可欠  バイオディーゼルの生産・販売を普及させ ていくうえで避けて通れないもう一つの問題

(注)33 .以下、石田ほか[2007]参照

34 .わが国で品種改良されたダブルロー菜種としては、「キラリボシ」(02年登録)と「T830」(タヤサオスパン、07年登録)

がある。ダブルローではないが、無エルシン酸品種としては、「キザキノナタネ」と「アサカノナタネ」が開発されている。

35.以下、野中[2009]による。ちなみに、輸入菜種を原料とする肥料用油粕は40円/kg強であるという。

36.ルーラル電子図書館[2009]参照

が、09年2月から義務付けられた「特定加工 業者」の認定である。

 バイオディーゼルの製造は基本的には簡単 なため、時折り、粗悪な廃食油燃料が出回る ことがあり、各地でエンジントラブル等が引 き起こされてきた。副産物であるグリセリン の不法投棄が摘発されたこともある。そこ で、経済産業省は、京都市における暫定規格 等 を 参 考 に し な が ら、08年2月、JIS規 格

「自動車燃料混合用脂肪酸メチルエステル

(FAME)」 を 制 定 し、 さ ら に09年2月、「揮 発油等の品質の確保に関する法律(品質確保 法 )」 の 改 正 施 行 に よ り、 軽 油 の 強 制 規 格

(法的に遵守する必要がある規格)として、

軽油へのFAMEの混合上限を5質量%以下と 定めるとともに、「特定加工業者」の事前登 録と品質確認を義務付けた(注)37

 「特定加工業者」とは、軽油についていえ ば、「軽油に脂肪酸メチルエステルを混和し て軽油(バイオディーゼル混合軽油)を生産 する事業者」を言い、同事業者に対し、「販 売又は使用する際に軽油規格に適合すること を確認する」義務を課したものである(注)38 特定加工業者は、基準に適合した混合設備の 使用が義務づけられる「特定加工品質確認計 画」の認定を受けた場合であっても、3か月 以内に1回の頻度で品質確認を行わなければ ならない。同法は、B5の自家消費であって も対象となる。

 従来からの簡易型設備では、この認定を受

けることは困難であり、ほとんどの小規模事 業者や市民活動としてバイオディーゼル生産 を行ってきたNPO等では、現状では特定加 工業者の認定を得られていないという。

  た だ し、 同 改 正 で は、B100に つ い て は、

国土交通省が定める「高濃度バイオディーゼ ル燃料等の使用による車両不具合等防止のた めのガイドライン」の遵守を求めるにとど まっており、事実上、自家使用を中心に当事 者間で合意の上でB100を使用することは、

依然として認められている。

 このため、バイオディーゼルは、もともと ほとんどの場合、軽油取引税が免除される B100として消費されてきたので影響は少な いとの見方もあるが、不適切な燃料使用によ る不具合により、他者に危害を与える事例が 見られることが問題なのであるから、B100 においても、適切な品質確認が求められてい るといえよう。

 一方、EU等ではB20が認められている国 も少なくない。京都市で続けられている実証 実験に基づき、B20の安全性や排ガス性状に 関する品質基準も早急に確立すべきだろう。

おわりに

 第1章で述べたように、わが国では、依然

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