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2 .欧州で拡大続くバイオディーゼル の生産と消費

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(1)菜種油からのバイオディーゼル生産 イ.休耕地対策として菜種を栽培

 さて、はじめにも述べたとおり、これまで のところ、バイオディーゼルは生産も消費も その大部分が欧州で行われてきたが、その背 景は以下のようなものであった。

 EUでは60年に始められた共通農業政策に 基づく手厚い農業保護が続いた結果、次第に

(注)7.09年10月からは、基本的にガソリン車と同レベルの排出ガス規制(「ポスト新長期規制」)が順次実施されていく。

8.粘度(ねばりの度合)をその液体の同一条件下(温度、圧力)における密度で除した値

図表1 各種植物より製造したバイオディーゼルの燃料性状   

燃料性状 菜種油 ヒマワリ油 ココナツ油 大豆油 ジャトロファ油 パーム油

密度(g/mℓ) 0.875 0.870 0.857 0.870 0.875 0.842

動粘度(cSt) 4.53 4.79 2.78 4.12 4.4 5.15

曇り点(℃) -2.0 +3.0 -3.0 +1.0 +9.0 +18.0

流動点(℃) -15.0 -11.0 -3.0 -2.0 +2.0 +12.0

引火点(℃) 184 188 108 186 184 179

(備考)松村[2004]より作成   

農作物全般に生産過剰が目立ってきた。そこ で、92年に改革が行われ、生産過剰対策と して休耕地政策が導入された。これは、日本 の減反政策と同様なもので、たとえば、ドイ ツでは全耕地の10%、120万haに休耕義務が 割り当てられ、食用作物の栽培が禁じられた のである。ただし、ドイツでは非食用作物の 栽培は認められたため、オーストリアに続い て、90年代後半から、非食用作物としての 菜 種 栽 培 が 始 ま り、 小 規 模 な が ら バ イ オ ディーゼルの生産が始まった。

ロ .03年の「バイオ燃料指令」により生産 急増

  し か し、 バ イ オ デ ィ ー ゼ ル の 生 産 量 は、

02年でもようやく100万トンに達したに過ぎ なかった。それが大きく増加し始めたのは、

03年5月にEUの「バイオ燃料指令」が発効 したことを契機としている(注)9。加盟各国は 国家目標を設定することが義務付けられ、輸 送用燃料に占めるバイオ燃料の比率を、05 年までに2%、10年までに5.75%とするとい う標準目標値が掲げられたのである。

 これに呼応する形で、同年、EUの共通農業 政策が改革され、休耕地におけるエネルギー 作物を含む非食用作物の生産が可能となった だけでなく、休耕地以外でのエネルギー作物 生産に対する奨励策として、45ユーロ/haの奨

励金が支給されることになった(注)10。さらに、

03年10月の「エネルギー課税指令」採択によ り、バイオディーゼルに対する優遇税制(注)11 も認められるようになった。

 こうした一連の奨励政策の導入により、エ ネルギー作物の総作付面積は、05年に280万 ha(う ち90万haは 休 耕 地 )、07年 に は400万 ha(うち100万haは休耕地)にまで拡大する こととなった。

 生産された菜種油の6割はバイオディーゼ ル生産に直接使われており(05年)、その結 果、バイオディーゼルの生産量は、欧州全体 で04年193万トン、05年318万トン、06年489 万トン、07年571万トンと、2000年代半ばか ら急激に増大してきたのである(図表2)。

 バイオディーゼルの主要な生産国は、289 万トン(07年)を誇るドイツであり、EU総 生産量の半分を占めている。ついで、フラン ス(87万トン)、イタリア(36万トン)の生 産量が多い(注)12

(注)9 .以下、田中[2007]ほか参照

10 .奨励金の支給対象は、当初は、EU全体で150万haを上限としたが、07年にはEU拡大に応じて200万haに引き上げられた。

石丸[2008]参照

11 .バイオディーゼルに対する課税が、ドイツ、スペイン、イタリア等では100%、フランスでは79%、イギリスでは44%、

免除されることになった。

12.NEDO 海外レポート[2008]参照

(備考)原油換算。松村[2008]、NEDO[2008]より作成

図表2 EUのバイオ燃料生産の推移

(万トン)

(年)

ディーゼル エタノール

0 100 200 300 400 500 600

92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07

(2)パーム油からのバイオディーゼル生産  一方、東南アジアでは、アブラヤシから採 れるパーム油を用いたバイオディーゼルの生 産が急増している。

 パーム油自体の生産量は、1960年頃と比 べ今日では20倍も増え、この数年だけでも 800万トン近くも増大している。 05年には大 豆油を抜き、油糧作物のなかで第一位となっ

(注)13。06/07年度における世界の植物油生

産量を見ると、パーム油37.4百万トン(29.3%)、 大豆油36.7百万トン(28.8%)、次いで菜種油 18.4百万トン(14.4%)、ひまわり油11.3百万ト ン(8.8%)となる(注)14。パーム油の世界生産 量の87%はマレーシアとインドネシアで占め られている。マレーシアは国土の13%が農園 であり、15.1百万トンの生産量を、インドネ シアは14.2百万トンの生産量を誇っている。

 従来から、パーム油は、食用としてさまざ まな用途に用いられてきたが、近年の欧州に おけるバイオディーゼル消費の急激な増大を 見て、この両国でも、バイオディーゼル生産 が始まった。両国とも、かつては石油輸出国 だったが、国内需要が伸びる一方、生産量が 伸び悩んで純輸入国に変わりつつあり、石油 の輸入代替が必要になってきたからである。

インドネシアでは、パーム油生産量の4割を バイオ燃料に向ける計画であり、国内消費に つ い てB5を 義 務 付 け、 将 来 的 に は、B20ま で引き上げる意向である。その際、EUや韓

国、日本への輸出も視野に入れている。

(3)EUでは「持続可能性基準」の導入へ   現 在、EUは、20年 ま で の 中 期 目 標 と し て、温室効果ガスを90年比最低20%削減す るとの目標を掲げているが、そのためには、

運輸部門における削減は重要な役割を負って いる。なぜなら、約51億トンに及ぶEU27か 国のCO2総排出量の中で、運輸部門はその3 割弱を占めており、そのうち自動車輸送が7 割に達しているからである。

 そこで、欧州理事会は、07年3月、20年まで に輸送用燃料の最低10%をバイオ由来燃料と することに合意し、08年12月、「再生可能エネ ルギー促進指令」として欧州議会で採択した。

 ただし、近年の世界的な食料価格の高騰に 伴って途上国において食糧危機が発生したこ と、また、パーム油の急激な生産拡大は熱帯 雨林破壊等の問題を引き起こす恐れがあるこ とから、批判が強まってきた。さらに、そも そもバイオ燃料の生産は本当に温室効果ガス の削減に寄与しているのかという懐疑論も台 頭してきた。

 そこで、同指令では、バイオ燃料生産に関 する「持続可能性基準」が適用されることと なった。すなわち、バイオ燃料の生産基準と し て、 温 室 効 果 ガ ス 削 減 率 が35% 以 上

(2017年以降は同50%以上)に達しているこ とを義務付けることとしたのである(注)15

(注)13 .アブラヤシは、西アフリカ原産で樹高20メートルもの大木に成長する。パーム油生産が急増してきた理由としては、ア ブラヤシの単位面積当たり収量が大豆等に比べ10倍にも達する点が大きい。

14.神戸税関[2009]参照。原典はOil World誌

15.経済産業省・バイオ燃料持続可能性研究会[2009]参照

 これは、まず、EU内におけるバイオ燃料 生産が、LCA(注)16ベースで見ると、生産過程 で多くのCO2を排出しているとの批判に応え ようとするものである。

 さらに、地球環境への影響を考慮し、原則 として生物多様性や炭素貯蓄の高い土地では 原料生産をしないことも定めた。これは、イ ンドネシアやマレーシアにおいて原生熱帯雨 林や泥炭地を乱開発し、新たにパーム油から バイオディーゼルを生産して輸入しようとす る動きをけん制するものである。

3 .わが国における廃食油からのバイ

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