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5.トラッキングシステム

ドキュメント内 自然エネルギー最前線 in U.S. (ページ 46-56)

REC

にはさまざまな属性情報が含まれている(表

6)。証書の発行年月日や種別のほか、自

然エネルギーの種類、発電設備の所在地、発電年月日などの情報である。RECは電力の消費者 が自然エネルギーを利用していることを証明する手段として使うことができる。米国では政府 のほかに、送電事業者や

NGO(非政府組織)などが REC

の利用を促進している。

表 6:米国の自然エネルギー証書に記載する属性情報

発行年月日 証書種別 トラッキングシステムID

自然エネルギーの種類 自然エネルギー発電設備の所在地

設備容量 プロジェクト名 プロジェクト開始年月日

発電年月日 証書ID 接続先の電力会社 証書あるいはRPSの適格性 自然エネルギーによるCO2排出係数

注:証書を発行する市場によって属性情報の項目は異なる。

出典:US EPA「Renewable Energy Certificates」

米国の電力市場において

REC

を認証する方法は

2

種類ある。1つは証書トラッキングシステ ム、もう

1

つは契約トラッキング手法である。

証書トラッキングシステムは自然エネルギーで発電した電力の情報を

1000kWh

ごとに電子 的なデータベースに登録する仕組みだ。発電事業者が自然エネルギーの電力を送配電網に供給 したことを証明するために、コンピュータシステムで

REC

を発行する。自動的に証書を発行 して、電力市場の参加者がインターネットを通じて証書の情報にアクセスできる。自然エネル ギーの電力を取引する望ましい手法として、米国の多くの州で普及している(地図

11)。

地図 11:自然エネルギー証書のトラッキングシステム(20155月時点)

注:アラスカ州とハワイ州には公式のトラッキングシステムは存在しない。

出典:ETNNA「Renewable Energy Certificate Tracking Systems in North America」

一方の契約トラッキング手法は以前から広く使われてきたもので、自然エネルギーの所有権 を発電事業者から電力の消費者まで追跡することが可能だ。発電事業者が第三者機関の監査に 基づいて、消費者に対して契約書などで自然エネルギーの所有権を移転する。通常はメーター で計測した発電データが証明に使われる。自然エネルギーの電力が持つ環境価値を第三者機関 が認証する仕組みである。

電力の利用者にとっては、自然エネルギーの電力を低いコストで調達することが重要になっ ている。利用者自身で自然エネルギーの発電プロジェクトを実施するケースも少なくない。あ るいは発電事業者と

PPA(Power Purchase Agreement、電力購入契約)を結んで自然エネル

ギーの電力を購入することも有効な方法だ。

米国では自然エネルギーの電力を

2

通りの方法で調達できる。1つは州が設定した

RPS

に よって、電力の供給者は一定以上の自然エネルギーの電力を提供する義務がある。このため電 力の利用者は州内の

RPS

の達成状況に伴って、自動的に自然エネルギーの比率を高めることが できる。もう1つの方法は電力の利用者が自主的に自然エネルギーの電力を調達する。自主的 な方法で電力を購入すれば、RPSに関係なく自然エネルギーの電力を増やすことが可能にな る。

電力の供給者が購入する

REC

の価格は

RPS

の目標設定や関連する罰則の影響を受けやす く、州による差が大きい。2017年

8

月の時点で、風力発電が活発で

RPS

を達成しやすいテキ サスの

REC

の価格はゼロに近い水準だ。対照的に

RPS

の達成に

REC

を必要とする北東部の

4

州(コネチカット、ニューハンプシャー、マサチューセッツ、ロードアイランド)では

2

セン ト/kWh前後の価格になっている。

一方で電力の利用者が自主的に購入する

REC

は需要と供給の関係で価格形成が進んでい く。風力発電の電力を安価に調達できるテキサスやオクラホマでは、利用者向けの

REC

の価 格は極めて安い。このほかの州を含む全米の平均でも、電力の利用者を対象にした

REC

の価 格は

0.2

セント/kWh以下の水準で推移している。

3

章:自然エネルギーを推進する企業と地域

1.電気事業者

発電事業者や小売事業者は風力・太陽光による新たなビジネスモデルを導入し始めた。自然エネルギーを主 体にした料金プランや、地域を対象にした太陽光プログラムも増えてきた。

米国の風力・太陽光発電事業者で圧倒的なナンバーワンは、大手電力会社の

NextEra Energy

である(図

26)。火力や原子力を含めて約 4500

kW

の発電設備を所有している中で、風力 は

1236

kW、太陽光は 216

kW

に達して、両方を合わせると

30%を超えた。米国全体の

風力・太陽光発電の設備容量の約

10%を占める規模だ。

図 26:米国の風力・太陽光発電事業者の設備容量(2017年)

注:発電設備の所有権比率に応じて計算 出典:発電事業者のアニュアルレポート(2017年)

それに続く

2

番手の

Berkshire Hathaway Energy

はグループ全体で約

3000

kW

の発電設備 を所有するうち、風力は

652

kW、太陽光は 153

kW

で、両方を合わせた比率が

30%に近

づいてきた。

このほかに発電設備の規模では

Southern Company

Duke Energy

2

社が大きい。それぞ れ

4700

kW

5200

kW

の発電設備を所有しているが、現在のところ風力・太陽光の比率 は

Southern

8%、Duke

6%にとどまっている。とはいえ両社は風力・太陽光の発電設備

を急速に増やしている。特に

Southern

は最近の

2

年間で買収によって太陽光を

3

倍に拡大し て、米国でも有数の太陽光発電事業者になった。

米国内では欧州の電力会社も風力・太陽光の拡大に貢献している。スペインの

Iberdrola

2017

年末の時点で風力・太陽光を合わせて

600

kW

以上の発電設備を米国で運営している。

ポルトガルの

EDP Renovaveis

500

kW

以上、ドイツの

E.ON

とフランスの

EDF EN

が約

300

kW

に達した。イタリアの

Enel

も約

200

kW

の風力・太陽光発電設備を運営する。

欧州の電力会社は米国内に火力や原子力の発電設備をほとんど所有していないため、コスト 競争力の高い風力と太陽光に投資しやすい利点がある。同様のことは日本の電力会社にもあて はまる。しかし現在のところ東京電力グループが関連会社のユーラスエナジーを通じて

50

kW(出資比率で換算すると 20

kW)の風力・太陽光発電設備を展開している程度だ。海外

の発電事業者による参入機会は今後も米国内で期待できる。

一方で電力を販売する小売事業者も、自然エネルギーを活用した革新的なビジネスモデルを 展開し始めた。自然エネルギー主体の電力プランを提供するほか、地域を対象にした太陽光プ ログラム、消費者の電力使用量を最適化するサービスなどを拡大中だ。

米国では自然エネルギーの電力を販売する方法は主に

3

通りある。1つ目は電力市場が自由 化されている州で可能だ。電力の利用者は小売事業者から、自然エネルギー主体の「グリーン 電力プラン(Green Pricing)」を購入できる。この方法による電力の販売量は

2016

年に

160

kWh

に達し、利用者数は

200

万にのぼった。特に人気が高いのは、テキサスの風力発電を 組み合わせたプランだ。

2

つ目の方法として、電力市場が自由化されていない州でもグリーン電力プランがある。契 約している電力会社に追加料金を支払って自然エネルギー主体の電力を購入できる。現在では 数多くの電力会社が家庭向けと法人向けにグリーン電力プランを提供している。電力会社は自 社の発電所を含めて自然エネルギーの電力を調達して、顧客には購入した電力に相当する証書

(REC)を付与するのが一般的である。

電力会社によるグリーン電力プランの販売量は

2016

年で

80

kWh、利用者数は 80

万に拡 大した。このプランの追加料金は家庭向け・法人向けともに全米の平均で

2

セント/kWh程度 だ。代表的な例はカリフォルニアの大手電力会社

SCE

が提供する「Green Rates」である。

サービス地域内にある家庭や企業であれば、太陽光発電の電力を

50%あるいは 100%の割合で

購入できる。追加料金は約

2

セント/kWhから約

5

セント/kWhの範囲で、いつでもペナル ティなしで解約できる。

3

つ目の方法は電力会社と結ぶ「自然エネルギー電力契約(Renewable Contract)」であ る。電力会社が新しい発電所から自然エネルギーの電力を調達して販売するケースが多い。利 用者は電力会社と個別に相対契約を結ぶか、「Green Tariff(グリーン料金)」と呼ぶ特別料 金を支払うか、2通りの契約方法がある。

この契約方法は最近になって始まったもので、電力の使用量が多い大手の企業が主な対象に なる。グリーン電力プランと比べると、いくつかの点で違いがある。まず契約によって、どの ような自然エネルギーの発電設備から電力の供給を受けるか特定できる。利用者・電力会社・

発電事業者の

3

者間で長期契約を結ぶのが通常のパターンだ。契約を通じて利用可能な電力の 規模(容量)も保証される。

2017

6

月の時点では、全米で少なくとも

12

件の発電プロジェクトに対して相対契約が結 ばれた。代表的な事例には、MidAmerican Energy(Berkshire Hathaway Energyの子会社)が

Google

と締結した

40

kW

の風力発電プロジェクトや、Dominion Virginia Powerが

Amazon Web Services

と締結した

8

kW

の太陽光発電プロジェクトがある。

もう

1

つの契約方法である

Green Tariff

は、複数の利用者が同じ条件で自然エネルギーの電 力を調達できるスキームである。これまでに

10

社以上の電力会社が

12

州で提供している。た だし契約内容(購入電力量など)によって大口の利用者に限るものが多い。2017年

6

月の時点 では

100

kW

近い電力が

Green Tariff

で供給された。その中で最大の契約量になっているの は、NV Energyがネバダで提供している「Green Energy Rider」である。太陽光発電による

45

kW

の電力を供給する。

さまざまな方法を通じて自然エネルギーの電力を購入する利用者の数は、2010年の約

180

万 から

2016

年には

280

万を超えた。利用者のニーズが高まったことで、販売量は

6

年間で

70%

も伸びている(図

27)。

ドキュメント内 自然エネルギー最前線 in U.S. (ページ 46-56)

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