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22‑‑ ヽ ●
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図4. 6‑4付加体を1個持つ49merを用いた、シロイヌナズナ6‑4光回復酵 素によるin uitro修復。 49merプローブを光回復処理した後抽出し、制限酵 素MseI‑で処理し、 10%ポリアクリルアミド電気泳動した。 1レーン、な にも処理しない場合; 2レーン、可視光照射条件で、酵素処理した場合;3レー ン、酵素だけを処理した場合;4レーン、光照射だけをした場合;5レーン、
アフリカツメガェル6‑4光回復酵素を用いたコントロール。
6‑4付加体が修復され, 6‑4付加体を形成していた塩基が通常の塩基の状 態に戻ると,制限酵素MseI処理によりオリゴヌクレオチドは切断され る。 Gst‑融合タンパク質のみを処理しても,光のみをプローブに照射し てもバンドは切断されない(図4,レーン3, 4)。つまり6‑4付加体は 修復されていない。しかし, Gst‑融合タンパク質と光を同時にプローブ に処理しMseI消化すると2本のバンドが現れてくる(図4.レーン2)0 Gst一融合タンパク質は光に依存して6‑4付加体を修復していた。以上の結 果より,この融合タンパク質は6‑4光回復酵素であると結論した。
iii)吸収曲線
既に知られている全ての光回復酵素はchromophoreとしてFADを持っ ている2)。そこで,今回得られたシロイヌナズナ6‑4光回復酵素の,可視 部での吸光スペクトルを測定した。約360nmと約450mmにピークがあり, 約475nmにショルダーがあった(図5A)。これは大腸菌CPD光回復酵
シロイヌナズナの6‑4光回復酵素遺伝子 29
300 400
波長(nm)
図5.シロイヌナズナ6‑4光回復酵素の吸収曲線。 A、酵素の吸収;B、酵素 を100℃で5分間処理し、遠心後の上宿の吸収;C、市販のFADの■吸収。
素のアポタンパク質に.酸化型のFADが結合しているときの典型的なス ペクトルに類似していた6)。さらにシロイヌナズナ6‑4光回復酵素を5分 間煮沸し,遠心沈殿の上宿の吸光スペクトルを調べた。このスペクトルは 酸化型のFADのスペクトルに莞酎以し,約375nmと約450nmにピークが あった(図5B, C).以上の結果より,シロイヌナズナ6て4光回復酵素に は他の光回復酵素と同様にFADが非共有結合で結合していると推論した。
3)考察
cpDに関する光回復は比較的以前からよく研究されており,その詳し い作用機構や立体構造までわかっている4)o紫外線によるもう‑一つの主な DNA損傷である6‑4付加体に対する光回復活性に関しては,魚類,両生 類,は虫類,植物で観察されている5 7)0 6‑4光回復活性を示す遺伝子は ショウジョウバェとアフリカツメガエルから単離されている5・6)o 最近こ
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の6‑4光回復酵素遺伝子と高い相同性を持っ遺伝子がと卜やマウスから単 離され,この遺伝子産物はサーカデアンリズムの光受容体であることが明
らかになった11)0
我々は高等植物のシロイヌナズナから6‑4光回復酵素遺伝子を単離した。
大腸菌でこの遺伝子を発現させ,その遺伝子産物を調べた。つぎの二つの 結果より,この遺伝子産物が6‑4光回復酵素であると結論した。まず,倭 復欠損株の大腸菌NKJ3002 (UUTAL, recA一, phr )を光依存的に紫外線 に対して抵抗性にした(図2)。次に, GSTとの融合タンパク質は6‑4付加 体を含むDNAに特異的に結合し(図3),光依存的に6‑4付加体の修復 を行った(図4).我々はさらにシロイヌナズナの6‑4光回復欠損株(uur 3)が,この遺伝子にナンセンス突然変異が生じたためであることを明ら かにした12)。以上の結果より我々のクローニングした遺伝子は,シロイ ヌナズナのuur3遺伝子であると結論した。
シロイヌナズナの6‑4光回復酵素は他の光回復酵素,青色光受容体と同 様にフラボプロテインであった(図5)。これらのタンパク質は還元型の FADをchromophoreとして利用している。大腸菌CPD光回復酵素では FDAH が活性型で,ここからCPDに電子が供給され,シクロブタンリ
ングの開環が行われる1)。シロイヌナズナ青色光受容体では, FADの酸 化還元状態の振幅がそれぞれの植物細胞の波長に対する応答を決めている。
ショウジョウバェ6‑4光回復酵素では,励起したFADからoxetane型に 移行した6‑4付加体に電子が供給され,塩基は通常の状態に戻る。シロイ
ヌナズナ6‑4光回復酵素もおそらく同様のメカニズムによって働いている と考えられる。
シロイヌナズナ6‑4光回復酵素遺伝子(UVR3)は分子量約62kDaの ポリペプチドをコードし,その予想アミノ酸配列はショウジョウバェ,ア フリカツメガェル6‑4光回復酵素とそれぞれ45%, 47%と高い相同性を示 した。さらにシロイヌナズナ青色光受容体CRYl(HY4)及びCRY2(P HHl)と30%の相同性を示した。そしてシロイヌナズナclassⅡ CPD光 回復酵素(UVR2)とは17%の相同性を示した(図1)0 UVR2遺伝子 によってコードされるシロイヌナズナclassⅡ CPD光回復酵素は. CPD 光回復には必要であるが6‑4光回復には必要とされない10)。反対に, UV
シロイヌナズナの6‑4光回復酵素遺伝子 31
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図6.光回復酵素、青色光受容体、サーカディアンリズム受容体ファミリー の進化系統樹
R3遺伝子は6‑4光回復には必要とされるが, CPD光回復には必要とされ ない12).この二つの光回復酵素遺伝子は,ある共通の一つの遺伝子を起 源にするのは間違いないが,進化の途中で特殊化し,それぞれが重複しな い基質を修復するようになった。実際,シロイヌナズナには光回復酵素に 相同性を持っ4つの遺伝子が存在する。それらは上で述べた光回復酵素 (UVR2, UVR3)であり,青色光受容体(CRYl/HY4, CRY2/P HHl)である.光回復酵素,青色光受容体のアミノ酸配列を比較するこ
とにより系統樹を作成すると, class Iとclass Ⅱの二つの光回復酵素の グループに分けることができる。そしてclass I光回復酵素はCPD光回 復酵素.青色光受容体, 6‑4光回復酵素,サーカデアンリズム光受容体の 四つに分かれる(図6)。さらにclass I CPD光回復酵素はsecond chromophoreの種類によって, MTHF, 8‑HDFの二つのタイプに分けら れる。光回復酵素・青色光受容体ファミリーをコードする遺伝子は,一つ の原始CPD光回復酵素遺伝子を起源とし,進化の早い段階で少なくとも 8回の遺伝子の重複によって生じたと考えられる。
謝 辞
本研究は,文部省科学研究費の援助を受けた。京都大学放射線研究センター・
藤堂剛博士, California大学Davis校・ AnneB. Britt博士との共同研究 に厚謝致します。
参考文献
1) Sancar,A. (1994) Biochemistry 33:2‑9.
2) Todo,T.et al (1993) Nature361 :3711374.
3) Sancar,A. (1996) Science 272:48‑49.
4) Park,H.W.et al (1995) Science268:1866‑1872.
5) Todo,T.et al (1996) Science272:109‑112.
6) Todo,T.et al (1997) Nucleic Aclds Res. 25 764‑768.
7) Chen,J.‑J.et al (1994) Plant Cel16:1311‑1317.
8) Yasui,A. et al (1994) EMBO J. 13:6143‑6151.
9) Ah読ad,M. and A.氏.Cashmore (1993) Nature366:162‑166.
10) Landry, LG.et al (1997) Proc.Natl.Acad.S°i.USA 94:328‑332.
ll) van der Horst, G.T.et al (1999) Nature398:627‑630.
12) Nakajima, S.et al (1998) Nucleic Acids Res. 26:638‑644.
イネの紫外線耐性機構‑UVB誘導 DNA損傷とその修復能力からの解析
日出間 純・熊 谷 忠※'
B. M. Sutherland※2
研究の背景
紫外線はタンパク質や核酸を破壊し,細胞に変異や癌化を引き起こすといっ た極めて脅威的な生物効果を有している。今日,成層圏オゾン層の減少に伴 いこの有害な紫外線(UVB:280‑320nm)の量が増加しており,農作物への 影響(生育阻害,減収)が懸念されている。これまでに我々の研究グループ を含め,世界各地で,紫外線量の増加が植物(農作物)の生育に及ぼす影響 の解析,さらには植物の紫外線耐性機構に関する研究が行われている(1'。熊 谷らは,アジアの栽培イネ198品種を材料に, UVBの増加がイネの生育に及 ぼす影響について解析を行い, ①UVBの増加は全てのイネの生育を阻害す る, ②UVB感受性には品種間差異が存在する, ③日本型栽培イネ品種の中 で,ササニシキは抵抗性を示すが,それと近縁関係にある農林1号は感受性 を示す,ことなどを見出してきた̀2・3'oそして現在我々は,これら紫外線抵 抗性イネ品種ササニシキと感受性品種農林1号を材料に,植物(イネ)の UvB耐性に関わる遺伝子資源の探索を目指し,特に紫外線によるタンパク
質合成阻害の機作や,生物の全機能の発現や突然変異に影響を与えるUVB
誘導DNA損傷(シクロブタン型ピリミジン二量体)とその修復能力に着目 して解析を行っている。本稿では,後者のUVB誘導DNA損傷とその修復 能力からみたイネの紫外線耐性機構に関する最近の我々の研究について述ベる。
※1東北大・通生研
※2 Brookhaven NatlOnal Lab.
UVB誘導ピリミジン二豊体とその修復能力
細胞内のDNAは,放射線,紫外線,食物や変異原などの外的な要因や,
代謝の過程で生じる活性酸素などの内的な要因によって,絶えず損傷を受け
ている。これら種々の要因によって生じるDNA損傷は多種存在するが,こ れら損傷の多くは, DNAの複製や転写を阻害し,その結果細胞死や突然変 異を引き起こす。太陽光中に含まれる紫外線によって生じるDNA損傷の中 でも代表的なものとしては,隣り合ったピリミジン同士の問で共有結合を形成した.シクpブタン型ピリミジン二量体(cyclobutyl pyrimidine dimer[CPD])や, (6‑4)光産物があげられる。特にCPDは,紫外線によっ て生成したどリミジン二量体の大半を占めることが種々の生物で確認されて いる̀4'。一方,生物は,これらのDNA損傷を修復する数種の機能を備えて いる̀5'o最も主要な修復機能としては,光修復酵素(photolyase)による
"光修復機能(Photorepair) ''である。光修復酵素によるCPDの修復過程 を図1に示した。数種の生物において, CPD, (6‑4)光産物の各々の二量体
BluelUVA lIght tMMkeCOnd hsh)
l
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Phototp80
wB mtd'at‑on
lrductbnofCPD ForrTldlon ofphotoly‑80 Photofpl● olalI {PD cornplex ●X18伽o compbx叫
▲ CycbtlutyJ pyrlnldln● dlrn●r tCPD) ◎ Actly● phddpt●
◎ phdoIIMCPD cmTIPlex
図1 シクロブタン型ピリミジン二量体の光修復酵素による光修復反応
を特異的に認識する酵素が存在することがわかっている。 CPD光修復酵素 は, CPDを特異的に認識して結合した後(酵素‑CPD複合体の形成),青色 光・近紫外光の光エネルギーを吸収.利用して,二量体を修復する。また光
に依存しないで,損傷を起こしていない完全なDNA鎖を利用し, denovo
合成により損傷を起こした塩基と置換することで修復する"除去修復機能ま
イネの紫外線耐性機構‑UVB誘導DNA損傷とその修復能力からの解析 35 たは暗修復機能(Excision repair,またはDark repair) "も有しているが,
その修復速度は光修復速度と比較してかなり遅い。しかし.夜間など,日中 蓄積したDNA損傷の修復には,有効に働く(6)0
感受性品種"農林1号〝は, CPDを修復する光修復能力が 低下している
我々はまず,上述した紫外線抵抗性の異なるイネ品種,ササニシキと農林 1号を材料に,紫外線UVBによるDNA損傷(CPD)の生成の感受性とそ の修復能力について比較 50
解析を行った。尚, DNA 上に生成したCPDの量 は. CPDを特異的に認
識するUV endonuclease
を用いた,アルカリパル スフィールド電気泳動法 によって測定された(7)。
図2には,両品種の第2
薫から第6葉の葉令の異
なる糞を材料に, UVB によるCPD生成の頻度(UVB dose response)香
測定した結果を示した。
その結果, (DCPD生成 の頻度は,妻令によって 大きく異なり.幼植物 / (第2‑4葉)の時期は,
CPD生成の感受性が高
い, ②同じ強さのUVBが照射された2品種問に
おいて,生成されたCPD 量はほぼ同程度で差異が0 ▲U 0 0 0 IU 0 0
3214321 (q≡l凸dU)凸dUPOUnPu!・^⊃
0 2.5 5 7.5 10
uv dose (kJJm2)
図2 抵抗性品種ササニシキ.感受性品種農林1号の第2葉〜第6葉における, UVBによる CPD生成の頻度
見られない,つまりUVBによるCPDの生成のされ易さ(感受性)には2 品種問で差異がないということがわかった(A)。
っぎにCPDの光修復能力を比較解析した結果を図3に示した。実験方法
(qMl凸dU)^UuOnbaJL QdU
0 2.5 5 7.5 10 12.5
日umination time (min) 図3 ササニシキ,農林1号の光修復能力の比較
各々の植物体にCPDが30CPD/Mb生成するようにUMBを照射した 後,直ちに青色光の下に移し,経時的にCPD量を測定した結果。
は,イネ第3葉に7.5kJ/m2のUVBを照射し. DNA上におよそ30 CPD/MbのCPDを生成させた。その後,直ちに青色光の下に植物体を移
し,径時的にサンプリングを行い, DNA中のCPD量を測定した。その結 果,感受性の農林1号においては,生成したCPDの光修復速度が抵抗性品 種ササニシキと比較して,明らかに遅いことを見出し,光修復能力の低下が 紫外線感受性の主な要因である可能性を示唆していることが考えられた(9)0