10‑5
10‑6
10 7
0 5 10 15
LA/
Fig.6 LAIとF/Foの関係
86
を表す。 LAIは,葉面積指数を表す。
Fig.6に示された波長別の曲線は多重反射の影響を受けているために,厳 密には上に凸であるが,吸光係数の棄面積指数依存性は非常に小さいことが 分る。
Fig.6の各曲線を原点を通る直線で近似したときの寄与率r2は,紫外域で は波長によらず0.99996となった。
この直線関係でほぼ近似される結果を受け, (5)式を(6)式のように書き換 える。
F(A)/F。 (A)‑exp (‑KA‑。CO・C(A)・LAH
(6)式のC(A)は, Fig.6の各曲線を直線で近似 したときの,A‑400の‑Kに対する波長別の係数 を表す。直線近似後の波長別のKの値を, Table 1 に示す。
Table l 波長別の吸光係数Kと回帰式の 寄与率r2
(6)
(nm)
人 K R2
290 1008399 099996 300 1005099 099996 310 1002285 099996 320 0997321 330 0992459 340 (〕989185 350 0986947 360 0984715 370 0982527 380 0980334 390 0.978686 400 0976513
0 g9996 0 99996 0 99⊆)96 0 99996 0 99996 0 99996 0 99996 0 99996 0 99996
波長に対するC(A)の関係は, Fig.7の記号口の
ように表される。この関係を4次の多項式で回帰して求めた波長スとC(A) の関係は, (7)式のように表される。
C(A)ニー7.414384 + 0.1006116人‑ 0.4440885・10 3人2 + 0.8619015・10 6人3 ‑ 0.6225779・10 9 A 4
また直線近似した(8)式を以下に示す。
C(A)‑ Ilo.000313(11300)
(7)
(8)
(7)式および(8)式から波長別の修正係数C(A)を求め, (6)式に代入する
森林植生をめぐる紫外線環境について 87 ことにより,任意葉面積指数に対応する群落内放射スペクトルを簡単に計算 することができる。
Fig.6のようにLAIとF(A)/Fo(A)が比較的単純な関係で記述された 背景には,紫外域で放射吸収率が高いために多重反射の影響が小さかったこ
とが理由として考えられる。
さらに透過・反射率の波長依存性の少ないことがFig.6中の各曲線の分散 を小さくしている。 LAI
の小さな領域においては 1
紫外域のある波長の吸光
係数の値で全体を代表さ 一、 0.99 せる(8)式の場合も考え ocS,
られる。この扱いが可能 ならば波長積分もより容 易に行うことができるが, 植物影響に関する検討に おいては作用スペクトル を考慮に入れる必要がある。
300 350
Wave length (nm)
Fig.7 波長別の補正係数C(A)
3.高山・亜高山における紫外線環境の推定
我が国では,森林は主に高山・亜高山帯にまで分布している。一般に高山 では紫外線の強度は大きいとされているが,実際に高山・亜高山帯でUV‑B 測定の実測データを示した例や,標高の小さい場所と比較した例は極めて少 ない。ここでは,陸上生態系の主要な構成をなしている森林生態系に, UV‑B が与える影響を調べるための一環として標高の異なる2点で.UV‑B測定を行 い,それらの値の比較を行÷た。
3.1紫外線の観測方法
主に岐阜県丹生川村の乗鞍岳の支峰摩利支天岳山頂にある文部省国立天文
台乗鞍コロナ観測所(以下乗鞍岳:標高2876m)や八ヶ岳などを高地での測定地とし.茨城県稲敷郡農林水産省森林総合研究所(以下森林総研:標高
24m)を低地での測定地として設定した。乗鞍岳と森林総研における放射量の比較をするため・森林総研でのデータは,乗鞍岳での測定日と同じ日,あ るいは同時期のデータを用いている。
全天UV‑Bの測定にはB領域紫外線計(280‑315mmの放射量の波長積算 値を出力)杏,全天日射量の測定には全天日射計を使用し,データロガーに
1分あるいは5分毎の瞬間値を収録した。森林総研と山岳地ではそれぞれ同
型式の放射計を用いた。3・2 実測で明らかになった高山・亜高山の紫外線環境
Fig・8に・晴天時の太陽天頂角(SZA)と全天UV‑Bの瞬間値(Uv̲B)/
全天日射の瞬間値(S)の相関を示したo SZAが増加するのに伴い,太陽放 射が通過する大気の距離が増加し,短波長であるUV‑Bが散乱・吸収されや すくなるため, UV‑B/Sが減少している。森林総研よりも乗鞍岳で大きい 値を示していることも・大気の厚さに関係していると考えられる。
2月〜3月でも同様に山岳地で森林総研よりも大きい値を示した(Fig.9)0 使用した森林総研でのデータは1998年3月1日〜3月10日である。 Fig.10 に曇天時のSZAとUV‑B/Sの関係を示す。雲によるUV‑B, Sの散乱・吸 収の影響が大きいため・森林総研と乗鞍岳の間で差は見られなかった。しか し,曇天時でもSZAの増加に伴いUV‑B/Sは減少傾向にあった。また.晴 天時のUV‑B/Sの値と比較して曇天時のUV‑B/Sの値は1.2‑1.6倍であっ
た。
仰棚州側㈱峨働
SJCTN)
D rd ZO 3tI tD 50 60 70 80 gO SZA
Fig.8 乗鞍岳と森林総研におけ る晴天時の太陽天頂角(SZA)と
全天日射量に対する全天紫外線量
の相関(8‑10月)
O LO 20 30 1D 50 60 10 印 98
与ZA
Fig.9 山岳地(乗鞍岳,八ヶ岳,
高峰高原)と森林総研における晴
天時の太陽天頂角(SZA)と全天 日射量に対する全天紫外線量の相 関(2‑3月)森林植生をめぐる紫外線環境について 89
O l B ヱ0 3〇 一10 50 60 70 80 90 s2A
Fig.10 乗鞍岳と森林総研におけ る曇天時の太陽天頂角(SZA)と 全天日射量に対する全天紫外線量 の相関(8‑10月)
洲洲棚芸棚仰
yIrC)Z!1/7g‑>さけ)
0 10 10 コ8 10 50 60 川 10 9D
SZA
Fig.11山岳地(乗鞍岳八ヶ岳,
高峰高原)と森林総研における曇
天時の太陽天頂角(SZA)と全天 日射量に対する全天紫外線量の相関(2‑3月)
Fig.11に曇天時の直連UV‑B量/直達日射量, Fig.12に曇天時の散乱UV‑
B皇/散乱日射量を示す。使用したデータは,森林総研が1997年6月〜11凡 山岳地のデータは,乗鞍岳の9月,八ヶ岳.高峰高原である。 Ⅹ軸はSZA である。どちらの図でも森林総研よりも山岳地で大きい値を示しており,山 岳地では森林総研と比較して直達,散乱とも日射量よりもUV‑B量の増加が 大きいことが示されている。また,
Ⅴ‑B量/散乱日射量の値の1/lo程 度になっており,直達日射と散乱日 射に舎まれるUV‑Bの割合が異なっ ていることが示されている。これが 暗天日と比較して曇天日のUV‑B量
が日射量に対して相対的に大きい原
因と考えられる。3.3 太陽天頂角と紫外線放射量 晴天時に同じ太陽天頂角(SZA)
直達UV‑B量/直通日射量の値は散乱U
叫Lft]17血ヽTJ]・^コ.Aq
一 '■ 1U
榊 g i
20 10 4○ 如 lO IQ Bl lO SZA
Fi9.12 山岳地(乗鞍岳,八ヶ岳,
高峰高原)と森林総研における晴天
時の太陽天頂角(SZA)と散乱日射量に対する散乱紫外線量の相関
が森林総研と乗抜岳に与えられた場令,つまり,森林総研と乗鞍岳に同程度の大気外日射量が与えられたとき, 全天日射量(S),全天B領域紫外放射量(UV‑B)ともに乗鞍岳で大きい値
を得た(Fig.13. 14)0
90ⅧⅧ…仰㈹
(lLA'\邑S
0 10 20 30 ‑10 50 80 70 80
SZ∧(' )
Fig.13 全天日射量(S)と太陽 天頂角(SZA)の関係(晴天時)
10 20 30 40 50 60 70 80 SZA(. )
Fig.14 UV‑BとSZAの関係とそ
の回帰曲線(晴天時)
Fig.15に晴天時のSに対するUV‑Bの割合(UV‑B/S)をSZAごとに示 す。 SZAが同じとき,乗鞍岳の方が森林総研よりも大きい値を示しており, Sに対するUV‑Bの割合は乗鞍岳の方が大きいことが示されている。森林総 研と乗鞍岳で同じSZAを得た場合.乗鞍岳でUV‑Bが大きい値を示すのは.
単純にSの絶対量が森林総研よりも大きいためだけではなくSに対する相対 量も大きいためであると考えられる。
Fig.16に曇天時のUV‑B/SとSZAの関係を示す。曇天時には, SZAや 標高による影響のほか,雲によるUV‑B, Sの散乱・吸収の影響が大きいた め,森林総研と乗鞍岳の間でUV‑B/Sについて差は見られなかった。しか し,晴天時と同様に,曇天時でもSZAの増加に伴いUV‑B/Sは減少傾向に あり, SZAがUV‑B/Sに与える影響は大きかった。また,曇天時と晴天時 でSZAが同じとき,曇天時のUV‑B/Sは晴天時におけるUV‑B/Sの値の
0.0030
0.0025
0 0020
∽ ヽ、
甲0.0015 ち
0.001 0
0.0005
0.0000
0 10 20 30 40 50 60 70 00 szA(● )
Fig.15 UV‑B/SとSZAの関係
とその回帰直線(晴天時)
0 0030
0.0025
00020
t′)ヽヽ
?ooo15
>
:=〉
00010
0,0005
0.0000
0 10 20 30 40 50 60 70 80 szA(')
Fig.16 UV‑B/SとSZAの関係 (曇天時)
森林植生をめぐる紫外線環境について 91 1.2‑1.6倍を示し,晴天時におけるSよりも曇天時におけるSの方がUV‑B を相対的に多く含んでいた。
3.4 夏の気候値としての紫外線放射量
・晴天日の目積算値
森林総研と乗鞍岳における大気外の全天日射量の日積算値(SO)を計算
によってそれぞれ求め,両地点において測定されたS日積算値/SOxlOOを 計算した。その値が,森林総研については47.5%以上,乗鞍岳については 57.0%以上を示した日を晴天日とした。Fig.17に8月から10月のそれぞれの月について晴天日のみのS日積算値 の月平均鳳 UV‑B日積算値の月平均値, UV‑B日積算値/S日積算値の月
平均値の森林総研に対する乗鞍岳の比を示す。どの項目についても値は1以 上を示し,森林総研よりも乗鞍岳で相対的に大きい値を示した。
・測定全期間中の日積算値
8月から10月のそれぞれの月についてS日積算値の月平均値とUV‑B日積 算値の月平均像 UV‑B日積算値/S日積算値の月平均値の森林総研に対す る乗鞍岳の割合をFig.18に示す。 S日積算値の月平均値は森林総研と乗鞍 岳で同程度(1前後)であるのに対し. UV‑B日積算値の月平均値とUV‑B
日積算値/S日積算値の月平均値は乗乾岳の方が大きい(1以上)ことが示
8 EE! .4 '【 l刀 ▲与 .6 .4 2 .
.h 1 I I I ▲n o o o o
lB怨♯雌\噛年琳
8 6 4 2 0 8 6 4 2 0 1‥t 1 1 I 0 a o o o
缶等楢ヽ叫嘩儲
8 9 10 8 9 10
月 月
Fig.17 1997,1998年の晴天目につ Fig.18 1997, 1998年の全測定日に いてのS日射積算値, UV‑B日積算 ついてのS日射積算胤 UV‑B日積 値, UV‑B日積算値/S日射積算値 算値. UV‑B日積算値/S日射積算 の月平均値の森林総研に対する乗鞍 値の月平均値の森林総研に対する乗
岳の割合 鞍岳の割合
されている。
8凡 9月, 10月とも, UV‑B日積算値/S日積算値の月平均値について は5%あるいは1%の危険率で森林総研よりも乗鞍岳の方が有意に大きく, S日積算値に対するUV‑B日積算値の割合の月平均値は8月から10月の問に ついては森林総研よりも乗鞍岳で大きい値を示すことが明らかになった。つ まり,乗鞍岳では,曇天日や雨天日など暗天日以外の日も含む月平均値で見 た場合, S日積算値とUV‑B日積算値には有意な差がなくても, S日積算値 に対するUV‑B日積算値の割合には差があった/o
晴天時では,山岳地では太陽放射の通過する距離が短いため,全天日射量, 全天UV‑B量とも森林総研での値よりも大きかった。特にUV‑Bは大気に散 乱・吸収される量が少ないため, UV‑B/Sの値が森林総研での値よりも大 きかった。曇天時は雲による太陽放射の散乱・吸収の影響が大きいため, UV‑B/Sの値は森林総研と乗鞍岳の間で差は見られなかった。しかし,そ の値は晴天のときの値よりも大きかった。また,散乱日射と直通日射では, それぞれに含まれるUV‑B量が異なり,散乱日射に含まれるUV‑B量が相対 的に多いため,曇天日にUV‑B/Sが増加したと孝えられる。
八ヶ岳と森林総研では,波長の長い850nmにおいても八ヶ岳の方が森林 総研での値よりも大きい値を示したが,波長の短いUV‑B域では波長が短く なるのに伴い増加傾向が見られた。
以上のように標高が大きくなるとUVIBが大きくなる,という一般論を定 量的に確認することができた。瞬間値で見た場合,標高の小さいところと比 較して標高の大きいところでは太陽天頂角が同じ場含, Sに対するUV‑Bの 割合は晴天時には大きいことが示され,その値は,曇天時と比較して小さい 値を示した。日積算値においても晴天日のみの場合, S日積算値の月平均値 UV‑B日積算値の月平均値 UV‑B日積算値/S日積算値の月平均値はいず れも乗鞍岳で有意に大きかった。曇天日や雨天日など,すべての日を含む場 合は, S日積算値の月平均値, UV‑B日積算値の月平均値には2地点で差は 見られなかったが. UV‑B日積算値/S日積算値の月平均値は,晴天日のみ の月平均値のみではなく,曇天日や雨天日など,すべての日を含む月平均値 においても乗鞍岳で有意に大きかった。