15 10
5
(人)0
35
■概念理解がある9 概念理解があいまいである懸誤概念を持つ可能性が高い 図3.4.2プレアンケートでの粒子の保存性の理解度
図3.4.2から、粒子の保存性について「概念理解がある」児童は81人中16 人であった。これらの児童は、学習塾や自分たちの生活の中で、現象と向き合 った経験が多いではないかと考えられ、粒子概念に近い考えを持っていると考 えることができる。「概念理解があいまいである」児童は、プレアンケートの知 識・理解を問う設問において、いずれかの設問に対して間違った考えを持って おり,粒子の保存性の理解があいまいである。また、約半数の35人の児童は、
「誤概念を持つ可能性が高い」であり、現象に対して向き合ったことがなく、
誤概念を有している可能性が非常に高いと考えられる。
次に、図3.4.3にポストアンケートの結果からの粒子の保存性の概念の理解 度を示した。
単元後の粒子の保存性の理解度
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■A とてもよく理解している■B
(人)
wa C やや理解している 囲D
理解している
あまり理解していない N=78
図3.4.3ポストテストでの粒子の保存性の理解度
図3.4.3から、粒子の保存性の概念について「A.とてもよく理解している」
児童は22人であり、水の中に溶かしたものが存在していることを、根拠を挙
げて説明することができていた。これらの児童は、粒子の保存性について概念 が獲得することができたと考えることができる。
「B.理解している」児童は、全体の約半数の38名であった。これらの児童 は、溶けたものが水の中に存在することについて、論理的な根拠を用いて説明 することはできなかったものの、溶けたものが小さくなって目に見えないこと、
水の中に存在すること、溶けたものの重さは保存されることについての理解は できている。これらの児童については、論理的に物事考え、説明する力をつけ ることも大切であるように考える。
「C.やや理解している」児童は、13人であった。これらの児童は、溶けたも のが水の中に存在していること及びその現象を論理的に説明すること、溶けた ものの重さは保存されることについて、いずれか一つについて間違った考えを 持つ児童である。これらの児童については、なぜ考えが深まらず、間違った考 えを持ってしまったのかについて、指導の方法を考え直す必要がある。
「D.理解していない」児童については、考えられることとして、単元中に何 度か学校を欠席してしまい学習に遅れが生じてしまったことや、本実践におけ
る指導の方法に適していなかったこと、児童自身理科が苦手で現象を把握する ことが苦手である等が原因として考えられる。いずれにしても、児童に寄り添 った指導を行っていくために、指導方法の改善を考えなければならない。
(オ)単元後の粒子の保存性の理解度とのクロス分析
ここでは、単元後の粒子の保存性の理解度の結果をもとに、単元前に行った プレアンケートの知識・理解面、興味・関心面、児童の理科学習に対する自信 との相関をみていく。
プレアンケートの知識・理解面として、単元前の粒子保存性の理解度とのク ロス分析において相関をみた。その結果を図3.4.4に示す。
単元前後の粒子の保存性の理解の移り変わり
(人)
642086420
1←−←−←−成羽轍ある
N=78
■Aとてもよく 理解している mBよく理解し
ている
目C理解が十分 でない
■D理解できて いない 概念理解・…あ弊有・て・1る・能面、
図3。4.4単元前後の粒子の保存性の理解の移り変わり
図3.4.4より、単元前の理解度がaであり、粒子の保存性について理解して
いた児童についてみていく。単元前に「概念理解があった」児童は16回忌あ った。そのうち、単元後の理解度がA「とてもよく理解できている」の児童は 9人と、約半数を占め全体においても約10%と高い割合を示した。また、単元 後の理解度がB「よく理解できている」である児童も6人であり、やはり単元 前に概念理解がある児童は、単元後にしっかりと粒子の保存性の概念を獲得し ていると言える。
単元前に「概念理解があいまいであった」児童については、全体が30人で あった。そのうち、単元後の理解度がA「とてもよく理解できている」の児童 は6人であり、B「よく理解できている」の児童は15人であった。理解度がA、
Bの児童は21名であり、単元において学習したことにより、粒子の保存性の 理解が十分に身に付いたと考えることができる。また、単元後の理解度がC「理 解が十分でない」の児童は、7名であり、これらの児童は誤概念の概念変容や、
概念の獲得を十分にでき得なかったと考えられる。これらの児童について考え られるのは、ある程度粒子の保存性について理解してはいたが、あと一歩のと ころで概念獲得に至らず、概念獲得までもう一歩の状態にあるというふうに考 えることができる。
単元前に「誤概念がもつ可能性が高い」児童については、全体が32人であ った。そのうち、単元後の理解度がA「とてもよく理解している」及びB「よ く理解している」の児童は23人であり、これらの児童は単元開始前に持って いた誤概念や粒子の保存性への考えの不十分な部分を概念変容、または概念を 獲得することができたと見てとれる。また、単元後の理解度がC「理解が不十 分である」児童は6名であり、これらの児童ついては、誤概念の変容や概念の 獲得まであと一歩であり、あまり単元の学習が効果的でなかったと考えること
ができる。
加えて、単元前の理解度が「概念理解があいまい」「誤概念をもつ可能性の高 い」児童について、単元後の理解度がD「理解できていない」であった児童が 5人いる。これらの児童について考えられるのは、単元の学習が効果的でなか ったのではなく、誤概念を強く持ち続けいる可能性がある。これらの結果より、
一層誤概念の変容について全児童に効果的な指導を工夫しなければならないと
考える。
6 授業実践の考察
ここでは,第2時,第5時,第6時,第7時の結果の分析をもとに指導内容 と指導方法について考察を行う。なお,第2時において概念変容モデルの①「児 童たちの誤概念や誤概念に直面させ,明白に意識させる」ことを,第5時,第 6時,第7時において概念変容モデルの②「誤概念に対して,科学的概念はよ
り一般性を有していることに気付かせる」ことを粒子の保存性の概念を段階的 に獲得できるように,指導方法を用いたことについて考察する。
第2時においては,大きな容器を用いて溶ける現象を観察したことで,児童 たちに興味・関心を持ってもらうことができた。また,溶ける様子をスケッチ
し,言葉で表現させた活動においては,溶けたものが「消えていく」という言
葉を使った児童が約半数程度見られた。このように観察した後,スケッチする ことや言葉で表現させる活動は明白に意識を持たせることにつながるため,こ のような活動は有用であると考える。また,指導方法については,視覚的に大 きな容器を用いたことで,約半数の児童について自分の誤概念である「溶けた ものは消える」考えを明確に意識させることができたと考えられる。ただし,
溶ける現象をスケッチすることや言葉で表現することに関して,その表現の仕 方等を指導することで,より明白に意識させる手だてを考えていく必要がある。
第5時においては,色のついたコーヒーシュガーを水に溶かし,溶液全体に 均等に広がる様子を観察した。その観察では,水の中ではどのようにコーヒー シュガーが存在しているのかをスケッチさせ,溶けたものの存在が,水の中に あることに目を向けられるようにした。この活動は,発話記録を見ても分かる ように,十分な粒子概念が獲得されていない児童たちにとっては,非常にイメ ージを持ちづらいものであった。そこで,イメージを持って描くことができて いる児童の考えを発表させることや,筆者が味噌汁のモデルを提示することに より,児童たちは少しずつイメージを持つことができたように思う。ただ,こ の活動は,理解度の高い児童にとっては,発展的な内容として扱うのは望まし いが,理解度の低い児童には,段階的に工夫した指導が必要である。これにつ いては,第IV章の改善プランの提案において検討する。また指導方法について
「溶けたものが消える」という誤概念に対して,水溶液の中について意識させ,
その状態をイメージして説明させる活動を設定することで,粒子の保存性の概 念が一般性を有することに気付かせようと試みた。水の中の状態について意平 付けはできたが,誤概念を有する児童にとっては,イメS・・一・ジを持つこと自体が 難しい内容ではなかったかと考えられる。
第6時においては,溶けたものの重さと水の重さの和は,溶ける前のものの 重さと水の重さの和と等しいことを,橋渡し方略により段階的に検証していっ た。一回目の「食塩10gを水100gに入れると?」に発問に対して,110gに はならないと予想した児童について分析した結果,水の中に粒子が存在してい ることを理解している児童については,橋渡し方略は有効であると考えられる ことが分かった。これは,橋渡し方略の過程で,「溶けないもので水の中に沈む ものは,重さが保存されること」から「溶けないもので水の中に浮くものも,
重さは保存されること」について,段階をおって検証していった結果,溶けた ものは水の中に存在しないと考える児童は,この過程の前後においても考えは 変容しなかった。これに対し,水の中に溶けたものが存在するのではないかと 考える児童は,この過程の前後において考えが変容し,溶けたものも水の中で 重さが保存されるのではないかと考えることができたため,橋渡し方略を用い ることにより,概念の変容をもたらすことができたと考える。この時間は,橋 渡し方略を用いたこともあり,一斉授業の形をとったため,児童同士の対話が 少なかったように思う。児童同士で考えが深めていけるような場を設定するこ とにより,一層考えが深まる可能性がある。このことについても,第IV章の改 善プランの提案において検討する。また,指導方法については,溶けたものが