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       図3.3.7 第7時グループで実験に取り組む様子

 活動6においては,実験結果と考察をまとめさせ発表させた。実験方法が「蒸 発する」であったグループは,食塩が蒸発皿の周りについていた,食塩がポン ポン飛んできた,泡が出ると同時に白い粉がでてきた等があった。予想が的中 したことで満足気であった。「濾過する」方法をとったグループでは,何も出て こなかった,ほんの少しだけ白い粉っぽいものがあった等があった。その考察 として,児童たちは,溶けたものは濾紙を通過してしまうと考えることができ ており,必ずしも実験が失敗に終わっても分かったことがあることにつなげて 指導した。「冷やす」方法をとったグループは,冷やしても何も出てこなかった 等があった。これらのグループについては,後の授業で分かるようになるとい

うことを伝え,溶解度が変化する現象を用いた方法で結晶を作る時の授業で取

り上げた。

 活動7では,グループでの実験で溶けたものを取り出すことができなかった 児童に対して,水を蒸発させることで溶けたものを取り出せることを確認させ

るために,演示実験としてドライヤーで食塩水を蒸発させ,観察させた。この 実験では,食塩水をガラス板の上に数滴垂らし,ドライヤーで食塩水を加熱し て水を蒸発させる方法をとった。児童全員が見れるように拡大投影機で観察を 行わせ,児童たちは蒸発させる方法で食塩が取り出すことを検証することがで きた。その結果を再度ワークシートにまとめさせた。

(エ)結果の分析

 この時間のねらいの水に溶けたものは,水を蒸発させることで取り出せるこ とを実感的に理解することについては,8グループが蒸発の方法を計画し,計 画通り実験を進めることができ,実感的に水を蒸発させることができたのでは ないかと考えられる。また,別の方法を用いたグループについても,計画通り 実験を行うことはできていたが,溶けたものを取り出すことはできなかった。

だが,拡大投影機を用いて食塩水を蒸発させる演示実験により,全児童が食塩 水から食塩を取り出せるという事実を確認することができた。これは,前時ま での学習で,水の中に溶けたものが存在することを決定的に裏付ける証拠とな りうるため,ポストアンケートにおいてどの程度児童たちが理解できたかを検

証したい。

 また,もう一方のねらいである,溶けたものを取り出す方法を考え,班で実 験計画を立て、見通しを持って検証実験にのぞむ過程を通して,科学的な思考 や科学する力を身につけることに関しては,全グループにおいて,グループに おいて方法を話し合い,実験計画を協力して考え,計画通りに実験を行うこと ができていた。グループで方法や実験の手順を計画する場面では,グループ内 において,実験に対するイメージが違う。また,イメージを持てない児童も多 くいる。そこで,深くイメージを持っている児童の意見を聞き自分でイメージ することにより,個人の考えが深まっていった。また,今回のように,児童た

ち自身で実験の大半を計画し進行していく中で,児童たちは非常に意欲的に取 り組み,少しでも科学の方法を理解することができたのではないかと考える。

4 ポストテストの結果

 ここでは,単元終了後において,粒子の保存性の概念の知識・理解の程度を 測ったポストテストについての結果を示す。

 まずポストテストの設問を図3.4ユに示す。設問は粒子の保存性の概念につ いて知識・理解の程度を測ることのできる内容にした。

設問1水にとけたものは一体どこにいったのでしょうか?

設問2設問1の答えをなぜそのように言えるのか理由を書きましょう。

設問3食塩をとかした水溶液の重さは,溶かす前と比べてどうなるでしょ   うか?次の4つから一つを選びなさい。

 ア.水の重さと同じ

 イ.イ.食塩と水を合わせた重さより軽くなる  ウ.食塩と水を合わせた重さと同じになる

 エ.食塩と水を合わせた重さより重くなる      N=79       図3.4.1ポストテストの設問の内容

 設問1について,「水の中」と解答した児童は75名であった。別の解答とし て,「目に見えないくらい小さくなった」,「散らばっている」等,場所について の解答ではなかったものの,水の中を前提とした解答であった。この結果から,

ほとんどの児童が溶けたものは水の中にあるという認識を持つことができてい ることが分かる。

 設問2について,記述形式の設問であり,児童たちの言葉で様々な解答が見 られた。主な解答として,「取り出すことができたから」,「重さがそのまま増え たから」,「目に見えないくらい小さくなっただけ」「見えなくなっただけ」とい った記述が目立った。表3.4.1にこれらの記述を3っに分類した表を示す。

       表3.4.1設問2の解答の分類

解答の分類 分析

取り出すこと 「溶けたものを水の中から取り出すことができるから,水の中 ができたから に溶けたものがある」という論理だった根拠であり,溶けたも のが水の中にあるということを理解できていると考えられる。

重さがそのま 「水溶液の重さは,溶かしたものの重さと水の重さのそのま ま増えるから ま足した重さであるから,水の中に溶けたものがある」という 論理だった根拠であり,これも溶けたものが水の中にあるとい

うことを理解することができていると考えられる。

小さい, これらは,捉え方は間違っていないものの,水の中にあるとい 目に見えない う論理だった根拠にはなっていない。目に見えないからといっ

て,水の中にあるとは言い難いためである。

 このような分類で解答を見ていくと,「取り出すことができたから」を理由 とした児童は,全体の約20%,「重さがそのまま増えるから」を理由とした児 童も全体の約20%,「小さい,目に見えない」を理由とした児童は全体の約50%,

その他が役約10%であった。この結果から,論理だった根拠を用いて溶けたも のが水の中にあるということを説明しているのは,全体の約40%で,粒子の保 存性の概念が十分の理解できていると考えることができる。また,「小さい,目 に見えない」と解答した児童は全体の50%であり,根拠としてはやや論理的で はないが,粒子概念についてはある程度の理解ができていると考えられる。

 設問3については,正答である,ウ「食塩と水を合わせた重さになる」を選 択した児童は,全体の約85%,イ「食塩と水を合わせた重さより軽くなる」を 選択した児童とア「水の重さと同じ」を選択した児童は,いずれも約7%ずつ であった。ウを選択した児童については,水の中に溶けたものが存在すること に加えて,質量保存の概念を理解しており,粒子の保存性の概念について理解 できていると考えられる。イを選択した児童については,水の中に溶けたもの が存在していることは理解しているのかもしれないが,質量保存の概念や,水 の中に溶けたものが存在すること自体の理解が十分でないと考えられる。アを 選択した児童は,未だ溶けたものが消えてしまうのかもしれない。

5 ポストテストの分析

 単元開始前と単元終了後の粒子の保存性の概念の知識・理解の程度を,プレ アンケートとポストテストをもとに評価した。

(ア)プレアンケートの評価基準

 プレアンケートの結果をもとに,粒子の保存性の概念の知識・理解の程度を 測るため評価基準を設定した。プレアンケートでの評価基準について表3.4.2

に示す。

         表3.4.2プレアンケートの評価規準

評価

「ものを溶かしたらそのも フ自体は残っている」への

「ものを水に溶かすともの フ重さの分だけ重さが増え 驕vへの回答

概念理解がある。 (おそらく)残っている。 (おそらく)増える

概念理解があいま

@いである。

どちらかの回答が,(おそらく)残っている,(おそらく)

揩ヲる,を選択している。

誤概念を持つ可能

@ 性が高い (おそらく)残っていない。 (おそらく)増えない。

 表3.4.2の基準をもとにして,プレアンケートでの粒子の保存性の概念の知 識・理解の程度を定めた。「概念理解がある」、「概念理解があいまいである」,

「誤概念を有している可能性が高い」の3段階の評価を行った。ここで,評価 が「概念理解がある」の設定理由は,どちらか一方しか正答していない場合と

比べて,両方正答を選択している場合は,粒子の保存性の概念の知識・理解度 がほぼ定着済みであると考えることができるからである。また,「誤概念を持つ 可能性が高い」の設定理由は,どちらも正答でないため,生活経験の中で誤概 念を持ち続けている可能性が高いと判断できるからである。なお,3章1節の 図3.1.9「粒子の保存性の概念の知識・理解を測る設問への回答のクロス分析」

においてその分布が分かる。

(イ)ポストテストの評価規準

 ポストテストの結果をもとに,粒子の保存性の概念の知識・理解の程度を測 るため評価基準を設定した。まずポストテストの評価基準について表3.4.3に

示す。

      表3.4.3ポストテスト評価規準

二二難.羅騨二二二二繍 騒翻雛二二謡織 二二灘

1点 水の中等を示す文章が書かれている 0点 水の中等を示す文書が書かれていない。

欝高津麟高訓

@   2点

灘亭亭纏灘難灘鎌三婆轡剛鍵纂1 十島溶けたものを取り出せたから,重さがそのまま増えるから等の論理だった根拠を示した文章記述をしている。

1点 小さい,目に見えない,分散しているから等の根拠がや 竝ェ拠に欠ける文章記述をしている。

0点 無回答,実験をしたから,水の中にあるから等の根拠に

№ッる文章記述をしている。

難騨鞭援驚難離    1点 羅纏鑛糠際懇欝;;::1磯i灘驚蕪難右方藩     ウ「食塩と水を合わせた重さになる」

0点 ウ以外(ア,イ,エ)

灘類蕪慈鰹:購 ∵ゴ一算犠酎齢詳略三㌦目._

A

4点

B

3点

C 2点

D

1点以下

 表3.4.3の評価基準は,第3章4節で示した表3.4.1と関連する。設問2に ついては,評価点2点とする理由は,「溶けたものを取り出せたから」や「重 さがそのまま増えるから」という回答は,論理的であり水の中に溶けたものが あるということを,根拠を持って説明することができている文章と言えるから である。また,評価点1点とする理由は,「小さい,目に見えない」という回 答は,「溶けたものは小さく見えない程の大きさで,水の中にある」といった,

ドキュメント内 「児童の気づき」を大切にした授業づくり (ページ 47-53)

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