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図3.3.4 他者の考えを参考に描いた溶液中のコーヒーシュガーの図
(エ)結果の分析
活動5において,A児とB児の考えを聞くまでは,やはり目に見えないもの をイメージするということで,かなり児童には困難なものであったように思う。
しかし,発話記録でも見て取れるように,グループにおいて相互教授すること により,考えが深まっていくことや,A児B児の考えを参考にしたり,教師の 少しの支援により児童たちは目に見えない世界について考えを少しでも持つこ
とができたように思う。
この授業でのねらいは,ものを溶かすと溶液全体に均等に広がることを理解 することであった。色のついたコーヒーシュガーを検証実験に使用したことや,
追加実験において水溶液を静置しておいても溶質そのもの拡散し続ける現象を
目にして児童は実感を持てたのではないかと考える。また,その実感を活動5 において,水の中でどのようにコーヒーシュガーが存在しているかをスケッチ することで,粒子概念やその下位概念である粒子の保存性について考えを深め ることができたのでないかと考える。少し児童には内容が理解しにくいと考え られる粒子概念について触れることで,より一層水溶液中での溶質の存在につ いて,考えを深めることができたように思う。
(3)第6時「溶けたものの重さは」の授業実践 (ア)この時間のねらいと方法
本時においては,溶けたものが重さを保存することと,その考えから発展し て,溶けたものは水溶液中に保存されていることをつかませたい。前時におい て,溶かしたものは水の中にあるや目に見えない粒であるのではないかという 意見が出て,粒子の保存の概念について少しずつ考えが構成されてきていたよ うに思う。そこで,ここでは,橋渡し方略を用いて概念獲得を目指した。まず,
水に溶けない金属性の重りを用いて,水の中に入れても重さは保存されること を確認する。(第4学年理科「ものと重さ」と関連)次に,水に溶けない片栗 粉が液中で重さを保存することを確かめさせる。それから,水に溶けたものの 重さがどうあるかを予想させ,検証する実験を行って,質量保存の法則の考え 方を粒子概念と結びつけて考えさせるようにする。
具体的に,①溶けたものを合わせた水溶液の重さはどうなるか予想させる。
②人間はプールの水の中で体重はどうなる?③分銅を用いて液中で重さが保存 されること④溶けなくて水の中で浮く片栗粉を入れても重さが保存されること
⑤水に溶ける食塩が,水溶液中で重さが保存されるかどうか,のように具体的 な現象を確かめることによって質量保存と粒子の保存性の概念の定着を図りた い。下に,本授業の概念獲得の概要を表した,図3.3.5を示す。ここで,アン カー一一 iとアターゲットは「物質の質量は保存される」という構造的な一貫性を有
している。
アンカ「 ブリッジ ターゲット
水の中に,沈む分 水の中に,溶けずに 水に食塩を溶かし 銅を入れても重 浮く片角粉を入れ ても,食塩の重さ
さは保存される。 ても重さは保存さ は保存される。
(全体の重さ= れる。 (全体の重さ=水
水の重さ+分銅 (全体の重さ=・水 の重さ+食塩の重
の重さ) \/ の重さ+片栗粉の さ)
重さ)
\〆
水の中で沈んで
:登る勃は,重さが 水の中で浮いてい 水の中に溶けてい
変わらない。 る物も,重さは変わ る物も,重さは変
らない。 わらない。
図3.3.5橋渡し方略でデザインした本志の構成
(イ)活動内容と教師の視点
表3.3.6第6時「溶けたものの重さは」の指導計画 活動内容
1前記までの復習として,溶けるとはど んなことか,溶けたものはどこにいった のかを確認する。
・水の中,目に見えないだけ
2.食塩10gを水100gに溶かすと,水溶 液の重さは何gになるかを予想し理由も
考える。
3.予想と理由を発表する。
4. 10gの分銅を100gの水に入れる
と,全体の重さは何gになるかを予想し,
検証する。
5.片栗粉10gを水100gに入れると,全 体の重さは何gになるか予想し検証す
る。
6.再度,食塩10gを水100gに溶かすと,
水溶液の重さは何gになるかを予想し考 えの変わった児童は,理由を発表する。
7.検証実験を行う。
教師の視点(足場つくり)
○児童の考えに対して,本当にそう なのだろうか?根拠をつくりだせ るよう簡単に答えを言わない。
○黒板に図を示し,状況をイメージ しゃすいようにする。
○考えがでない児童に対して,人の 意見を参考にするように促す。
○教師が二三実験し,状況を分かり やすくするために,拡大投影機を用
いる。
○片栗粉は水の中で浮くことに気
付かせる。
○考えが変わった児童に対して,な ぜ考えが変わったのかを発表させ
る。
(ウ)授業結果
活動1では,前時までの復習として粒子の保存性についての知識を確認した。
筆者が「溶けたものはどこにいったのだろうか?」と尋ねると,一人の児童が
「水の中にある」と答え,他の児童も続いて同じ意見を言った。また,付け加 えとして,別の児童が「目に見えない程小さい」と答えた。ここでは,あえて 正しい等とは言わず,「本当に水の中なのかな?どうしてそれが言えるのかな?」
と,児童に疑問を残すようにした。
活動2では,溶けたものの重さについて調べていくことを伝え,発問として,
「100gの水の中に,10gの食塩を入れると,水溶液の重さは何gになるかな?」
と投げかけた。ワークシートに自分の考えとして,①100gになる,②110gよ り軽くなる,③110gになる,④110gより重くなる,の4項目の内どれかを選
択させ,その理由を記述させた。その時のワークシートの形式を図3.3.6に示
す。
sc
綴鋒;画き葡せに食壌鐙暮をスれ、か潅混ぜ溶かします。tt t t tttt tt. .t .t t v
1鐘螺瞳趣ま纏奮になljま:すか?予想して。下の()に○繍を >ieましょhre
( 》玉蜘9にな蒼 菱◎》蕪題よ攣軽くなる
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詔ウ∈
図3.3.6「溶けたものの重さは?」の初発問に対するワークシートの一部 次に,4項目の内のどれを選んだのかについて,各項目の人数を表3.3.7に
100g ノなる
110gより yくなる
1109 ノなる
110gより dくなる
1回目:食塩10gを水100g
ノ入れると?(人)全体76名 16 28 23 6
示す。
表3.3.7 1回目「食塩10gを水100gに入れると?」の児童の予想の数 表3.3.7より,重さが保存されると考えたのは23人であった。単元開始前に
行ったプレアンケート(第皿章,図3.8参照)の「ものを水に溶かすとものの 重さの分だけ重さが増える」に対する回答は,17人であったことから約6人が,
前時までの学習で,粒子が保存されるから,重さもそのまま保存されるのでは ないかといった考えを持ったのではないかと考えることができる。
活動3では,児童が自分の考えの理由を発表した。「100gになる」と答えた 児童は,「溶けると重さは無くなるのではないか」,「溶けて消えてしまったから 重さはなくなる」等の理由であった。これらの児童は,溶けることを消えてし まうことと捉えており,食塩自体がないものとみていると考えることができる。
「110gより軽くなる」と答えた児童は,「水と絡みあって,食塩は10gより 少し軽くなる」,「浮いていると思うので軽くなる」等の理由であった。これら の児童は,溶けると水の中に食塩が存在することは理解できているが,水の中 で浮いていると重さが軽くなるという考えを持っていると捉えられる。
「110gになる」と答えた児童は,「溶けると目に見えないくらい小さくなる だけで,水の中にあるので重さはそのまま増える」「水の中にあるから,入れた
ら入れた分だけ増える」等の理由であった。これらの児童は,溶けると水の中 に食塩が存在することや,質量保存についてすでに知識を持っていると考える ことができる。
「110g以上になる」と答えた児童は,理由を持てておらず,ただ「なんと なく」と答えるだけにとどまり,明確な理由がなかった。
活動4では,アンカーとして位置付けた,「水の中に分銅を入れても重さは
保存される」ことを確認し,水の中で沈んでいるものは重さが変わらないこと を掴めるようにした。状況をイメージしゃすくするために,まず教師がプール の水の中で体重を測定すると,「重くなる」,「そのまま」,「軽くなる」のいずれ であるかを聞き,「そのまま」が半分程度,「軽くなる」が残りの半分程度であ
った。
そこで,それらを検証するために,10gの分銅を100gの水の中に入れる検 証実験を行った。10gの分銅を教師の体重に見立てて,110gになれば「その まま」と答えた児童の考えが正しいとし,110gより軽くなれば「軽くなる」
と答えた児童が正しいとした。検証実験を行い,結果は「そのまま」であった こと伝えると児童たちは,水の中でも体重が同じであることに少し不思議そう にしていた。この活動4は第4学年理科「ものと重さ」の復習として取り入れ た。ビーカーに入った水の中において,分銅がビーカーの底に沈んでいる場合 について,質量がどうなるかを確認した場面である。おそらく,軽くなると考 えた児童は,自分がプールやお風呂で体が軽くなる経験からそのように考えた のだと思われる。この実験により児童は水中において,底に沈んでいる物体は 重さが変わらないことをつかむことができる。
活動5では,ブリッジにあたる「水の中に,水に溶けない片栗粉を入れても 重さは保存される」ことを確認し,水の中で浮かんでいても重さは変わらない
ことを掴めるようにした。ここでは,「片栗粉10gを水100gに入れると,全 体の重さは何gになるでしょう」と発問し,ここでも,①100gより軽くなる,
②110gより軽くなる,③110gになる,④110gより重くなる,の中から自分 100g
ノなる
110gより yくなる
110g ノなる
110gより dくなる
片栗粉10gを水100gに入
黷驍ニ?(人) 全体76・名 3 27 31 12 の予想を選択させた。その結果を表3.3,8に示す。
表3.3.8「片栗粉10gを水100gに入れると?」の児童の予想の数 表3.3.8から,「100gになる」や「110gより軽くなる」と答えた児童は,
合わせて30人であった。これは,活動4において水の中に入れた物は重さが 変わらないことを確認したのであるが,片栗粉は水の中にあるが,浮かんでい るので重さが軽くなると考えた結果であると考えられる。「110gになる」と答 えた児童は31人であり,「一回目の食塩10gを水100gに入れると?」の回答 数より8人増えたことになる。これは,おそらく活動4においての水の中に入 れた物は重さが変わらないことに気づいた効果を示しているように考える。
また,「110gより重くなる」とした児童は12人であった。その理由について は,生活での経験から片栗粉の性質として,水と反応して粘性の持つものに変 わると考えて,その粘性が重さを増やすと考えた原因であると推測する。活動 5の検証実験についても,結果が分かると児童たちは,不思議そうにしており,
自分の予想が結果と違ったことに対して,驚いている様子がうかがえた。