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3.4 2004 年度

ドキュメント内 入試の軌跡 (ページ 180-186)

スペクトル分解

固有値と固有ベクトルの考え方が本質にあるので,このことについて簡単にまとめ ておく.

行列A = (

a b c d

)

に対して

A~p=λ~p · · ·1

を満たすベクトル~p(~p6=~0),スカラーλが存在するとき,~pAの固有ベクトル,λAの固有値という.

1 より(A−λE)~p=~0となり,~p6=~0であるから A−λE =

(

a−λ b c d−λ

)

は逆行列をもたないので

(a−λ)(d−λ)−bc= 0

すなわち λ2 (a+d)λ+ (adbc) = 0 · · ·2

が成り立つ.2 をAの固有方程式という.2 の解をαβとし,λ =αに対する固 有ベクトルを~uλ=βに対する固有ベクトルを~vとすると

A~u=α~u · · ·3 A~v =β~v · · ·4 このとき,次が成り立つ.

α6=β = u //~ \ ~v · · ·()

証明 ~u//~vと仮定すると,零でないスカラーkを用いて~v =k~uと表すことがきるの で,これを4 に代入すると

A(k~u) =β(k~u) k 6= 0より A~u=β~u · · ·5

3,5 から,(α−β)~u=~0を得る.これは,α6=β,~u6=~0に反するので,()

が成り立つ. 証終

行列Aが異なる2つの固有値αβをもつとき,固有値αに対する固有ベクト ルを~u (~u6=~0),固有値βに対する固有ベクトルを~v (~v 6=~0)とする.

このとき,2つの1次変換を表す行列F,Gを F ~u=~u, F ~v =~0, G~u=~0, G~v =~v で定義すると,次が成り立つ.

F2 =F, G2 =G, F G=GF =O, F +G=E, A =αF +βG

証明 P = (

~ u ~v

) とおくと,~u //\~vであるから,行列P は正則である.

F P = (

~u ~0

),F2P =F(F P) = F (

~u ~0 )

= (

~ u ~0

)

よって,F2P =F P であり,P は正則であるから F2 =F F GP =F(GP) = F

( ~0 ~v )

=

(~0 ~0 )

よって,F GP =Oであり,P は正則であるから F G=O 同様にして G2 =GGF =O

(F +G)P =F P +GP = (

~ u ~0

) +

(~0 ~v )

= (

~u ~v )

よって,(F +G)P =P であり,P は正則であるから F +G=E AP =

(

α~u β~v )

=α (

~ u ~0

) +β

( ~0 ~v )

=αF P +βGP

= (αF +βG)P

上式から,P は正則であるから,A=αF +βG 証終 A =αF +βGAのスペクトル分解といい,この式の両辺をn乗すると

An =αnF +βnG

なお,FGは,αF +βG=AF +G=Eにより F = A−βE

α−βG= A−αE β−α

となり,A=αF +βG (α, βはAの固有値)をみたすFGは一意的に定まる.

3

数学III:微分法(関数の増減),積分法(面積)

(1) 05t <2πにおいて,x(t) = 0y(t) = 0を解くと,t= π 4,

4 である.

(2) π4 ごとに動点Pの座標をとると,x軸およ びy軸に関する対称な点の座標がわかる.

右の図のように,t=t1 (05t1 < π)に対 する点をP1とし,x軸およびy軸に関し てP1と対称な点をそれぞれQ,Rとする.

このとき,Q,Rはそれぞれt= 2 −t1t=t1+πに対応する点である.

π 5 t1 < 2πにおいても,変域に注意し てに求めることができる.

O y

x

1

12 2

1

1

1 1

t=0

t=π4

t=π2 t=4

t=π

t=4

t=2 t=4

P1

Q R

(3) yxの関数として表し,増減を調べグラフの概形を描く.

(4) (2)で示したでグラフの対称性に注意して,第1象限にある曲線とx軸で 囲まれた部分の面積を求め,それを4倍するとよい.

4

数学B:空間のベクトル(四面体の体積) (1) −→

OAおよび−→

OCに垂直なベクトルを求める計算法に外積(ベクトル積)があ る.なお,外積は高校数学の範囲外であるが,空間ベクトルで登場する図 形の面積および体積の計算にも利用することができる.外積について次の ページに掲載した.

(2) 外積を知っていれば,(1)を利用して本題を解かせる問題構成も理解できる.

(3) 05b5a51,05c51,05d51であるから,aとbの間の関係式に 注意しながら,計算する必要がある.

V = bc+ (a−b)d 6

において,b =0,a−b=であることに注意して場合分けを行う.

i) b >0,a−b >0のとき V 5 1 + (a−b)·1

6 = a

6 5 1 6 ゆえに V 5 1

6 (等号はa= 1, 0< b <1, c= 1, d= 1のとき) ii) b= 0のとき V = ad

6 5 1 6 ゆえに V 5 1

6 (等号はa= 1, 05c51, d= 1のとき) iii) a−b= 0のとき V = bc

6 5 1 6 ゆえに V 5 1

6 (等号はb =c= 1, 05d51のとき)

外積 ( ベクトル積 )

2つのベクトル~a= (a1, a2, a3),~b= (b1, b2, b3)が平行でないとき,ベクトル (

a2 a3 b2 b3

,

a3 a1 b3 b1

,

a1 a2 b1 b2

)

は,~aおよび~bに直交する.このベクトルを,~a~bの外積(ベクトル積)と言い,~a×~b

で表し(内積をスカラー積とも言う),その成分は

~a×~b = (a2b3 a3b2, a3b1 a1b3, a1b2 a2b1) であるから,~b×~a=−~a×~bが成り立つ.また,その大きさについて

|~a×~b|2 = (a2b3−a3b2)2+ (a3b1−a1b3)2+ (a1b2−a2b1)2

= (a12

+a22

+a32

)(b12

+b22

+b32

)(a1b1+a2b2+a3b3)2

=|~a|2|~b|2(~a·~b)2

であるから,~a×~bの大きさは,~a~bの張る平行四辺形の面積に等しい.

~a×~b~cのなす角をθ (05θ 5π)とすると (~a×~b)·~c=|~a×~b||~c|cosθ

絶対値をとると

|(~a×~b)·~c|=|~a×~b||~c||cosθ|

~a

~b

~c

~a×~b

h θ

|~a×~b|

~a~b~cの張る平行六面体について,~a~bの張る平面を底面とすると,|~c||cosθ|は,

その高さhであるから,この平行六面体の体積V1V1 = |(~a×~b)·~c|

−→OA =~a−→

OB =~b−→

OC =~cとすると 四面体OABCの体積VV = 1

6|(~a×~b)·~c|

また,対称性により,|(~a×~b)·~c|=|(~b×~c)·~a|=|(~c×~a)·~b|が成り立つ.

補足 本題(2)で,~a= (a, b, 0),~b= (c, 0, d),~c= (1,1,1)とすると

~a×~c= (b,−a, a−b),(~a×~c)·~b=bc+ (a−b)d よって,四面体の体積VV = 1

6|bc+ (a−b)d|

5

数学A:確率(余事象の確率),数学C:確率分布(2項分布)

(1) まず個別の事例について考え,全体的な場合の数を求めればよい.

(2) 色の変化が1回も起きない場合,および色の変化が1回だけ起きる場合の 確率を考える.求める確率は,これらの余事象の確率である.

(3) 色の変化する場所を選ぶ組合せとして考えるとよい.

(4) (3)の結果に次式を適用するだけである.

n k=0

nCk =2n1

ドキュメント内 入試の軌跡 (ページ 180-186)