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3.1 2001 年度

ドキュメント内 入試の軌跡 (ページ 161-167)

1

数学II:微分法(関数の単調増加) (1) f(x) = 2

3ax3+ (a+b)x2+ (b+ 1)xがつねに増加するためには,f(x)が3 次関数または1次関数であり,最高次の係数が正であることが必要条件で ある.f(x)が3次関数であるとき,f0(x) = 0の判別式Dについて,D50 である.

(2) a= 0のとき,f(x) =bx2+ (b+ 1)xとなる.f(x)がx >−1でつねに増 加するためには,f(x)が2次関数であるとき,b >0,f0(1)=0であり,

f(x)が1次関数であるとき,1次の係数が正である.

(3) a=0は,f(x)がx >−1でつねに増加するための必要条件である.a >0 のとき,f0(x) = 0の判別式をDとすると,次のような場合分けをして求 めるとよい.

i) a= 0の場合,(2)で求めた.

ii) a >0,D50の場合,(1)で求めた.

iii) a >0,D >0の場合,これを求める必要がある.

よって,i)〜iii)をまとめた領域を図示すればよい.

2

数学III:微分法(3次関数の対称性)

(1) 2点(x, y),(X, Y)の中点が(p, q)であることから導かれる.

(2) 3次関数のグラフは変曲点に関して対称であることを知っていれば簡単で

ある.また,テイラー展開(Taylor expansion)に関する知識があれば証明 の方向性がつかめ,論理的な展開が容易である.九大を目指す受験生で あれば,これらの知識を後ろ盾に持っておきたい.テイラー展開といって も,部分積分法により簡単に証明することができるので,158ページに掲 載した.なお,テイラー展開を用いない別解を文系の解答に示した.

(3) 直線`:mx+ny = 0の法線ベクトルおよび方向ベクトルをそれぞれ~n~d とする.座標平面上の任意の点P(~p)を,実数s,tを用いて,~p =s~n+t~d とすると,Pと`に関して対称な点Q(~q)は~q =−s~n+t~dである.`に関 する対称移動を表す行列をAとするとA~p=~qであるから

A(s~n+t~d) =−s~n+t~d すなわち sA~n+tA~d=s(−~n) +t~d よって,A~n =−~n, A~d=~d からAを求めることができる.

(4) 一般に,3次関数のグラフは,線対称ではないことを以下に示した.

Gがある直線lに関して対称であるとき,Gの変曲点Pがl上にないと仮 定すると,Pとlに関して対称な変曲点P0Gにあり,Gに2個の変曲 点が存在することなる.このことはGが3次関数のグラフであることに 反する.したがって,Pはl上にある.

Pを通り,lに垂直な直線をmとする.GはPに関して対称であるから,

Glmの位置関係について次のようになる.

i) GがP以外にlと共有点Aをもつと仮定する と,PからAまでのGの曲線部分をC1とす ると,C1lに関して対称な曲線部分C10 が あり,C1およびC10 によるループ(loop) がで き,これはGが3次関数であることに反する.

l m

P A

C1

C10 G

ii) GがP以外にmと共有点Bをもつと仮定す ると,PからBまでのGの曲線部分をC2と すると,C2とPに関して対称な曲線部分C20 があり,さらにC20lに関して対称なC200 が ある.C2およびC200によるループができ,こ れはGが3次関数であることに反する.

l m

P B

B0 C2

C20 C200

G

したがって,i),ii)により,Glmとの共有点はPに限る.

G上にPと異なる点Q1をとり,Q1とPに関し て対称な点をQ2とし,2点Q1,Q2lに関し て対称な点をそれぞれQ01,Q02とする.このと き,これらの4点を結ぶ曲線部分は,Pにおい て自己交差(Self-Intersection)し,Gが3次関数 であることに反する.

よって,題意は成立する.

l m

P

Q1

Q2 Q01 Q02

補足 3次関数f(x) = ax3+bx2+cx+dx=pでテイラー展開を行うと f(x) =f(p) +f0(p)(x−p) + 1

2f00(p)(x−p)2+a(x−p)3 であり,f00(p) = 0,すなわちp= b

3a とすると,曲線y =f(x)は y=f(p) +f0(p)(x−p) +a(x−p)3

となり,変曲点(p, f(p))に関して対称である.よって,(4)の結果から,3次 関数のグラフは,どんな直線に関しても線対称ではない.

テイラー展開

f(t)を必要な回数だけ微分可能(C級)な関数とし,k=1とする.

x

a

(x−t)k−1

(k1)! f(k)(t)dt=

x

a

{(x−t)k k!

}0

f(k)(t)dt

=

[ (x−t)k k! f(k)(t)

]x

a

+

x

a

(x−t)k

k! f(k+1)(t)dt

= (x−a)k

k! f(k)(a) +

x

a

(x−t)k

k! f(k+1)(t)dt よって

x

a

(x−t)k1

(k1)! f(k)(t)dt−

x

a

(x−t)k

k! f(k+1)(t)dt= (x−a)k

k! f(k)(a) 上式をk= 1,2,3, . . . n1について辺々を加えると

x

a

f0(t)dt−

x

a

(x−t)n1

(n1)! f(n)(t)dt =

n1

k=1

(x−a)k

k! f(k)(a) ゆえに

f(x) =

n1

k=0

(x−a)k

k! f(k)(a) +

x

a

(x−t)n1

(n1)! f(n)(t)dt (3.1) 積分区間におけるf(n)(t)が最大値,最小値をもつとき,それらをそれぞれMmと すると,

x

a

(x−t)n1

(n1)! f(n)(t)dt

x

a

(x−t)n1

(n1)! M dt= M

n!(x−a)n,

x

a

(x−t)n1

(n1)! m dt= m

n!(x−a)n の間の値をとるので,この区間内のあるc

x a

(x−t)n1

(n1)! f(n)(t)dt = f(n)(c)

n! (x−a)n (3.2)

を満たす.(3.2)を(3.1)に代入すると f(x) =

n1

k=0

(x−a)k

k! f(k)(a) + f(n)(c)

n! (x−a)n (3.3)

(3.3)をf(x)x=aにおけるテイラー展開(Taylor expansion)という.

とくにa= 0とすると f(x) =

n1

k=0

xk

k!f(k)(0) + f(n)(c) n! xn

となり,これをマクローリン展開(Maclaurin’s expansion)という.

3

数学III:積分法(円柱と正四角柱の共通部分の体積)

(1) 平面z =t (−r5 t5 r),円柱y2 +z2 5r2,正四角柱|x|+|y|5 2 r で囲 まれた領域では,zの値でyの範囲が決定し,yの値でxの範囲が決定す る.したがって,これらで囲まれた領域は

z=t, −√

r2−t2 5y5

r2−t2, (2

r − |y| )

5x5 2 r − |y| x1 =

(2 r − |y|

)

x2 = 2

r − |y|とおき,この領域の面積をS(t)とすると S(t) =

r2t2

r2t2

(x2−x1)dy =

r2t2

r2t2

2 (2

r − |y| )

dy

(2) (1)の結果を利用して V(r) =

r

r

S(t)dt (3) (2)の結果から,0< r5

2におけるV(r)の最大値を求める.

4

旧課程:複素数平面(複素数平面上の軌跡)

(1) 典型的で平易な問題であるが,こうした問題の次に必ず関連性がある発展 問題が控えているのが九大入試(数学)の特徴である.

(2) d(z−p)(z−q) =d(z−q)(z−p)より

(d−d)zz+ (d p−dq)z+ (dq−dp)z+ (dpq−d pq) = 0 これにiを掛けると

i(d−d)zz+i(d p−dq)z+i(dq−dp)z+i(dpq−d pq) = 0 i) d6=dのとき(dは虚数)

a=i(d−d), b=i(dq−dp), c=i(dpq−d pq) とおくと,acは実数であり,azz+bz+bz+c= 0 となる.

このとき,(1)の結果が利用でき,本題のポイントである.

ii) d=dのとき(dは実数)

d=d6= 0より (z−p)(z−q) = (z−q)(z−p) したがって z−p

z−q =

(z−p z−q

)

ゆえに,z−p

z−q は実数である.

5

数学III:極限(はさみうちの原理),数学C:確率分布(期待値の加法定理) (1) 簡単な場合分けにより処理できる.

(2) P(X1 = 2) =P(X1 =2)−P(X1 =3)である.

(3) E(X1)の計算を∑

を駆使して行う.

(4) (3)の結果およびはさみうちの原理を利用する.

(5) 確率変数の和の期待値について,E(X1 +Xn) =E(X1) +E(Xn)が成り 立つ.この部分だけが確率分布からの出題である.

6

数学B:コンピュータ(自然数を2で割り続けるアルゴリズム)

(1) フローチャートを作成しなくとも,順次,値を代入すればよい.

(2) iが奇数と偶数のときで場合分けをすればよい.

(3) (2)の結果を利用すればよい.

(4) 与えられた自然数mを2で割り続けるアルゴリズムである.

7

数学III:微分法(曲線の媒介変数表示)・積分法(弧長) (1) P(t, f(t))における接線の傾きf0(t)がtanθである.

(2) PにおけるGの下側の向きの単位法ベクトルは ~n= (sinθ,−cosθ) このとき,(1)の結果から,tanθ =f0(t) (π2 < θ < π2)であるから

cosθ= 1

1 + tan2θ, sinθ = tanθ

1 + tan2θ となり,これらを−→

OQ =−→

OP +~n に代入すればよい.

(3) L1L2をそれぞれ求めるのではなく,L2−L1で結果を導く必要がある.

なお,弧長は現行の教育課程の範囲外ではあるが,数学IIIの巻末に発展 的な学習内容として掲載されている.2010年度にサイクロイドの弧長を 求める問題が出題されている.

8

数学III:積分法(区分求積法とその収束性) (1) 0< x <1のとき

0<

x 0

etdt <

x 0

e dt ゆえに 0< ex1< ex これから

0<

x 0

(et1)dt <

x 0

et dt ゆえに 0< ex1−x < ex2 2 さらに

0<

x 0

(et1−t)dt <

x 0

et2

2 dt ゆえに 0< ex1−x−x2

2 < ex3 6 したがって,0< x <1のとき,0< f(x)< ex3

6 < x3

後半は,上の結果およびはさみうちの原理を用いればよい.

なお,0< x < 1のとき

x

0

dx <

x

0

etdt <

x

0

e dt であるから,次式が成り立つ.

0< x < 1のとき x3

6 < f(x)< ex3 6 (2) 次式および(1)の結果から,結論が見えてくる.

1

0

g(x)dx=

1

0

exdx=e−1, Kn= 1 n

n1

k=0

enk = 1

n × e−1 en1 1

9

数学C:行列(係数行列と整数問題)

(1) 係数行列の知識を問う基本問題.

(2) 簡単な整数問題.

(3) (2)の結果から結論が明らか.

(4) dの最小の値6を導くために,dが2の倍数かつ3の倍数であることを示 せばよい.

ドキュメント内 入試の軌跡 (ページ 161-167)