(c)
o.ム1 1.32
K(d)
o.ム1 2.69K
13
17 21 25
NMR Frequency (MHz)
図5-1 混晶COl-xMnxC12・2H20のプロトンNMRスペクトル. 実線はランダム
2 -1. 1個のスピンの反転
まず注目するプロトン核の周辺の1個のスピンが反転した時のNMRスペクト ルを計算する. 計算手順は次のようにする. まず, 長距離秩序中(Co-型AF )で ただ1つのスピンが反転した時の周波数を求め , 完全な長距離秩序の場合の周波
。
数ν臼との差Aνを求める. 計算はそのプロトンの周囲半径23A以内の約500個の
スピン全てについて行う. これはこの混品の双極子磁場の収束距離が非常に短い ことを考慮すれば充分な大きさである.
次に, t1νの値により, -5MHzから+5MHzま で 0.05MHz刻みにCo-型AFの中心 周波数差dνで200のグループに分類する. 従って, あるサイトにいる1つのスピ
ンが反転した場合, その時の企νの値により, どのグループに入るかが決まる.
約500個の全てのスピンに対し同じ計算をして分類していくと, 周波数νø+dνm であるグループm(m = 1, 2, • • • , 200)に属するスピンの数Nmが決まる.
最後に, 中心周波数をνø+dνm , 相対強度をNm とする 200個のガウス型ライ ンを重ね合わせ , 1個のdisorderスピンによるNMRスペクトルを求める.
2-2. 2個以上のスピンの反転
1個のスピンの反転による計算結果を用いて, 2個のスピンがランダムなサイ トで反転した時のNMRスペクトルを以下の手順で求める.
2個の反転したスピンがそれぞれグループmとnに属する時, このようなこと が起きる確率はNm'Nn (m学n)に比例し, その時の周波数の差dνm'は近似的 にdνm'= dνm+dνn となる. 2個の反転したスピンが同じグループmに属する 場合(m=n), その起きる確率はNm(Nm-l) /2であり, dνm' = 2 dνmで ある. 2個のスピンの反転の全ての場合を考慮すると相対強度1 m' (m' = 1, 2, '
. . , 200)を持った周波数差dνm' の新しい200のグループを得ることが出来る.
1個のスピンの反転の場合と同様, 新しい200のグループについてのガウス型ライ ンを重ね合わせることにより, 2個のdisorderスピンによるNMRスペクトルが 求められる.
2個のスピンの反転の場合と同様の手順を繰り返すことにより, 4個,8個, • •
-100-• , 2 r個のスピンの反転 によるNMRスペクトルを得ることが出来る.
以上の結果をもとに, 任意の個数のスピンの反転の場合は, その個数に近い前 後の数2 rと2 r + I個のスピンの反転の場合の周波数差を線形に平均化して近似す る. 典型的な結果を図5-2に示す. スペクトルは低周波側に広がった非対称な形を しているのが特徴である. 全てのスピンをランダムに反転させたのなら対称な形 が予想されるが, 低周波側に広がった非対称な形となるのはCo-型AFはプロトン 近傍のスピンが反転した場合双極子磁場の値を小さくするようなスピン構造であ るためである.
3. 実験結果との比較と議論
上記の手順で得られた計算結果を観測値と比較してみる. ただし, disorderス ピンの濃度と中心周波数の位置はパラメーターとする. 比較の結果を図5-1(a)""
( c) に示す. 観測値との一致は極めて良く, メインラインの低周波への広が りを 再現している. 図示した以外にも, x<O.46のRSG相の濃度領域における他の 観測値との一致は極めて良い. 従って, 少なくとも, x < O. 46のRSG相の濃度 領域ではCo-型AFの長距離秩序では空間的にランダムに秩序に従わないスピンが 存在すると結論できる. このdisorderスピンの数は, 例えば, x = O. 27で1. 9札
x = O. 46で8. 0%とMn濃度に依存して増加している. このようにMn濃度の増加と共 にdisorderスピンが増加することはIto等との結果とも一致している <1ø )
また, 高温部のAF相における観測値との比較を図5-1(d)に示す. 低周波数側 に多少のズレは見られるが全体的に観測値との一致は良い. x = 0.41の場合, 秩 序に従わないスピンの濃度は1. 32 Kで約6.4出であったものが, 2. 69Kでは4. 5%に減 少している disorderスピンの数は温度の上昇に伴い徐々に減少していくと結論 される.
第1章の3-2で述べたように, この混品ではネール点、TN以下から磁化率のZF CとFC に聞に差が生じることや, <18) A F相における磁化の大きなヒステリシ スの存在が報告されている 47 ) この ことはAF相の長距離秩序が完全なもので
はないことを示唆しており, 今回NMRにより明らかにしたAF相におけるdis
orderスピンの存在がOeFotis等, Oeguchi等の主張する" S G的" もしくは,