• 検索結果がありません。

(り

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 48-55)

4 (a)

1/2xG

3

2

(トm×)』

p向 F (x, T) Int"!r 二1 - X Q ・ f (x, T). ,,t、 phu ーI/勺l

以下, 濃度の重み付ランダムモデルと同じ手順でプロトン核の最隣接8個のスピ ンについてそれぞれか軸に平行, 反平行となった全ての場合の双極子磁場を計算 し, N M R周波数を求める. この時, 磁気モーメントの大きさ<μ>の温度変化 はパラメーターとしている. 得られた2 8個のNMR周波数にそれぞれのスピン状

態について, (6-1), (6-2), (6-6), (6-7)式で与えられる強度のNMRラインを重ね 合わせる. 重ね合わせるガウス形ラインの幅の大きさはT=TRSGでx= 0.3 2では 1. 25MHz , x=0.41では1. 50MH zとした. ただし, 幅は図6-3に示すメインラインの 場合と同じ温度変化をすると仮定した.

3. 実験結果との比較

パラメータ- a, bを変化させ, 得られた計算スペクトルと観測結果とを比較 する. x=0.3 2の場合はa= 1. 39, b = O. 1 7で, x = O. 41の場合はa= 1. 17, b

= 0.0 9で観測結果とよい一致が得られた. 計算スペクトルを図6-1に実線で示す.

前述したように, T R S Gに近い高温での信号は極めて弱く測定誤差を伴うが, 低温 で非対称であったスペクトルが高温では対称なスペクトルになり, かつシャープ になっていく観測値の様子をよく再現している.

計算モデルによるサテライトラインの半値幅の温度変化を図6-3に示す. 観測値

との一致はx=0.32, 0.41どちらの場合も極めてよく, 全体としての傾向は充分再 現されている. これらの計算結果はスピングラス領域のスピン構造が温度と共に 変化し, やがてはTR S Gで長距離秩序となるというF, A F結合の確率が温度依存 するこのモデルの正しさを示している.

観測結果との一致が得られたパラメータ- a, bの値を用いた場合のchain内F 結合の確率PF (x, T) Intraを図6-5に示す. 実線はx= O. 32 , 破線はx=0.41 の場合である. P F (x, T) が 1 の場合は完全にF (Co-型), 0の場合は完全に

A F (Mn-型) , そしてO.5の場合は完全にランダムを意味する. 0 Kにおける P F (x, T) は両濃度ともにO.5よりかなり大きい. この結果はo Kでもスピン

グラス領域のスピンは全くバラバラにならず最後まで濃度の重みをうけた形で凍

-112-(Ferro) 1

/ /

のいパザCH

/ / / / /

",...圃h、 ヒァ_c::..→

×

、同国...

LL a..

(Random) 0.5 0 0.5

Trr

RSG

図6-5 chain内結合が強磁性結合になる確率pF (X, T). 実線はX= O. 32,

破線はX= 0.41, トー→はそれぞれの濃度で1- X Qとなる1.5:tO.1Kの温 度範囲. ただし, Q = 1. 8. P F (x, T) = 1は完全強磁性, 0は完全 反強磁性結合, O. 5は全くランダムを意味する.

-113-結することを示唆している. またbの値がx = O. 41の場合の方がx=O.32の場合よ り小さいということは, 図6-5からも明らかのように, x = O. 41の方がよりゆっく りCo-型長距離秩序に近づいていくことを意味している. Mn濃度の高いx = O. 41の 方がよりフラストレーションが大きく長距離秩序を作りにくいと考えるのは自然 なことで, この結果は極めて合理的である.

これら実験結果との比較から, R S G相におけるSG領域のスピン状態は実験 式exp [- b ・ T/ (TRSG-T) ]で表されるような, chain内, 間スピンのF,

AFの結合の確率が温度変化をするモデルで再現できることが結論される.

今回のモデルの場合, 磁気モーメントの大きさ<μ>はパラメーターとした.

観測結果と一致するように求めた<μ>の温度変化は図6-2のサテライトラインの ピーク周波数の温度変化と殆ど一致している. 一般に多数のNMRラインが重な った場合にはピーク周波数の温度変化は必ずしも<μ>と一致するものではない が, この結果より図6-2のサテライトラインのピーク周波数の温度変化の原因は ぐμ>の温度変化と見なしてよい. 磁気モーメントの熱平均値の温度変化と見なせ

るメインラインのピーク周波数の温度変化に較べると, この<μ>の温度変化は かなり大きい. つまり, 通常の熱的揺らぎの他に磁気モーメントの大きさが小さ くなる何等かの原因が存在することになる. この原因の1つとして, frustration によって熱的揺らぎが大きくなることが考えられる. つまり, 低温である程度ラ ンダムな方向で凍結していたスピンが高温で だんだん長距離秩序的に揃ってくる と, frustrationによるスピンの向きの矛盾が大きくなり, そのために揺らぎが大 きくなってくμ>を小さくするとも考えられる.

4. スピン凍結の描像

4 -1. 凍結スピンの共存形態

一般には, 全体のスピンの中でSGスピンの占める割合を求めることは困難で ある. しかし, この混品のプロトンNMRの場合, 長距離秩序領域はメインライ ン, S G領域はサテライトラインと分離して観測できる. そこで, これらの積分

強度から長距離秩序とSGに関与するスピンの割合を概算することが出来る.

-114-1. 5 KにおけるSGスピンの割合の濃度変化を図6-6に示す. ただし, メインライ ンはガウス型ラインの重なりで近似している. サテライトラインはランダムなS G領域のスピン構造を反映して非常にブロードかつ非対称あるため, ガウス型で 近似するには無理がある. 従って, 第4章で述べた濃度の重み付ランダムモデル による数多くのガウス型ラインの重ね併せとして得られたスペクトルを観測値に ベストフィ ットさせたものを用いている. 全体のスピンの中でSGスピンの占め る割合は濃度 に依存している. S Gスピンの占める割合は高く, 最大で40::t10%

とな る. その濃度領域は図6-6に点線で示すようにCo-型AFとMn-型AFが混在す るO. 47ミx三O. 73である.

メインラインとサテライトラインの相対強度は著しく温度に依存する. 温度に よるサテライトラインの急激な変化は, 温度により急激にSG領域が変化するこ とを反映している. 長距離秩序領域とSG領域の濃度や 温度による容易な 変化は,

それぞれの領域に属するスピンが極めて容易に転換しあうことを意味する. この ことは長距離秩序領域とSG領域が, 大きな別個のクラスターとして分かれてい るのではなく, 全体として複雑に入り組んだ状態で共存していることを示唆して いる. そして, 温度や濃度によって容易にその境界が移動するためにお互いのス ピンの転換が起こると思われる. この描像は異方性が競合する混品CsMnl -x COx C13

・2H20のスピンの 変化の様子とも類似しており, 55) 短距離相互作用型の混品系ラ ンダム磁性体における共通の現象と思われる.

4-2. リエントラントスピングラス転移

ここではRSG転移が協力現象であるか否かについて考える. サテライトライ ンが消滅する温度TR S Gが通常の転移点, つまりRSG転移が協力現象としての転 移であれば, NM Rではスピンー格子緩和時間Tlやスピンースピン緩和時間T2 はTR S Gで発散傾向を見せるはずである. 図6-7にx= 0.41の場合の メインライン とサテライトラインのTlの温度変化を示す. サテライトラインのTlは単にサテ ライトラインが観測されなくな る温度までメインラインとほぼ同じ温度変化をし ている. T R S GでTlに特別の 変化は 見られない. この ことは, サテライトライン の消滅が緩和時間 の発散を伴うような協力現象ではないことを示唆している. こ の混晶のTR S Gでは単にSG領域が小さくなりサテライトラインがNMRの観測に

トー

-

;

;・

••

-

一→

、. トー

_...・

0.5

-

_...‘

。 (ポ)ωC一立のののの一Oc-aのちさコoε〈

40←

トー

20←

Mn-Concentration

図6-6 リエントラントスピングラス相におけるスピングラススピンの占める割

合. 1. 45士0.05Kにおけるメインラインとサテライトラインの積分強度

の比, Isat/(Imain+Isat)で求めた. 点線に挟まれた濃度領域は第 3章で明らかにしたCo-型, Mn-型AFの共存領域である.

-116-かからなくなったとみなすほうが合理的であろう. このサテライトラインとして

現れるほどには多くない, 僅かに残ったスピンが高温のAF相においては, 第5 章で述べたランダムdisorderスピンによるメインラインの非対称性として現れて いるのではないかと思われる.

今回の我々のモデルは8個のスピンのF, A Fの結合の確率を震終的にTR S Gで 長距離秩序相(今の場合Co-型AF )となるように温度変化させたものである. し かし, 厳密にいえば完全なCo-型ではなく少量のスピンはTR S Gでもまだランダム な状態にあると思われる. た だそれら僅かなスピンはある特定のサイト周辺に集 まって存在しているのではなく, CO-型AFの中にバラバラに散らばっているため

に, サテライトラインではなくメインラインの幅の中に非対称性として観測され るものと思われる. このことが第1章3-2で述べたこの混晶についてのDeFotis Deguchi等の磁化率の実験結果に見られるネール点TN以下からのヒステリシスの 存在や, d7) T N以下から始まるZFCとFCの差48)として現れていると思われ る. また, TN以下でもスピンがfrustrationの強い状態、にあることは, 1 sig型リ エントラントスピングラスとしてよく知られているFexMnl-xTi03のμSRの研究 からも報告されている 4ø ) 今回はRSG相でのスピン状態に注目してきたが,

今後はAF相中のスピン状態の研究が必要であると思われる. また, プロトンの NMRだけでなく, Mn按やCo核自身についての研究も必要であると思われる.

5. 結論

プロトンNMRのサテライトラインの温度変化の観測から, R S G相における S G領域のスピンのF, A Fの結合の確率が exp [- b T / (T R S G -T) ]と いう実験式で表されるような温度変化をすることが明らかになった. このexpとい う関数形自身は単なる実験式であるが, 温度の上昇に伴いSG領域が単に減少す るだけではなく, そのスピン構造自身が長距離秩序に近づいていく過程を明らか にした. また, 0 KでのSG領域のスピン構造も全くバラバラではなく, やはり 長距離秩序の影響を受けた形で凍結していることが予想される. より低温でのN MR測定も今後の課題である.

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 48-55)

関連したドキュメント