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ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 39-44)

ー102-frustrated A Fの原因になっていると思われる.

ここで重要なことは, この空間的にランダムな秩序に従わないスピンはそのス ピンの置かれているローカルな環境, 例えばMnスピンがたまたま沢山密集してい るような場合, により引き起こされたものとは本質的に違う点である. もし, 観 測されたdisorderスピンがローカルな交換相互作用で生じたものであれば, dis­

orderスピンの数は温度に依存しないはずである. しかし, 図5-1(c), (d)に見られ るように高温でのdisorderスピンの数は低温の場合より少なくなっている. また,

ローカルな交換相互作用の問題であれば, 例えばx =0. 16のような低濃度領域の

AF相でもいくらかのdisorderスピンが存在するはずであるが, 図3-1に示すよう にメインラインに非対称性は見られない.

これらの事実は, この混品におけるランダムdisorderスピンが交換相互作用の 競合によるフラストレーションによるものであることを示唆して おり, スピング ラス系の本質的な現象であると思われる.

4. 結論

長距離秩序を反映するメインラインの低周波側への広がりは, 長距離秩序中の 僅かなdisorderスピンが原因であることが, スピンをランダムに反転させるモデ ルと観測値との比較で明らかとなった. このdisorderスピンはMn濃度の増加に 伴い増加する. また, このdisorderスピンはRSG相のみならずAF相中にも存 在し, 温度の上昇と共に減少することも明らかとなった.

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要旨

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本章ではスピングラス領域を反映しているサテライトラインのスペクトルの温 度変化を解析し, スピングラス領域 のスピン構造が温度の上昇に伴い徐々に長距 離秩序に近づいていくことを示す. また, このスピングラス領域 のスピン構造の 温度変化 と前章のメインラインにおけるランダムスピンの存在から, リエントラ ントスピングラス転移に関するスピン凍結のイメージについて考察を行う.

1 . サテライトラインの温度変化

混品COI-xMnxC12・2H20のリエントラントスピングラス(R S G )相におけるス ピングラス(S G )領援はゼロ磁場スペクトルのサテライトラインに反映されて いる. 第4章では温度が1.5(:t0.1)Kの場合のサテライトラインの濃度変化を観 測し, 最隣接スピン閣のchain内は強磁性的( F )結合の確率を1 - X Q, 反強磁

性的(A F )結合の確率をX Q (ただし, Q=1.8:t0.2)等濃度に依存させたモデ

ル(濃度の重み付ランダムモデル )により, スピン構造の濃度変化を説明できた.

このスピン凍結状態は温度に依存してスピンの凍結状態そのものが変化 してい くのか?それとも, 1. 5 Kでの凍結状態がそのままサテライトラインの生成消滅温 度TR S GからOKまで単にその空間的領域を広げながら続いているのか?これらの 問題はSG領域を反映しているサテライトラインのスペクトルの温度変化を観測 すれば明らかにすることができる.

x '"'-' 0.7付近がサテライトラインの強度は一番強くて観測し易いがメインライン との重なりが多くなり, サテライトラインの形自身も考慮するような場合には不

都合である. またRSG相の中の長距離秩序がCoC12・2H20のスピン構造( Co-型),

MnC12・2H20のスピン構造( Mn-型)共に存在する領域 (O. 47志x芯O. 73)も望まし くない. 従って, 今回は比較的メインラインとの重なりが小さく, 長距離秩序は Co-型のみである濃度領域(0.20< x < 0. 46)におけるサテライトラインの温度変化

-104-を議論する.

温度変化はx = 0.32とO. 41について行った. 図6-1にメインラインとの重なりが より小さいx = 0.32での サテライトラインのスペクトルの温度変化を示す. スペ クトルの形の温度変化がよくわかるように図6-1にはサテライトラインの温度変化 をnormalizeして示してある. 図6ーlから明らかなように, 低温でのスペクトルは 幅も広く, しかも低周波側に広がった非対称な形をしている. 温度の上昇に伴い スペクトルの幅は段々狭くなり, 形も対称になっていく. x = 0.32の場合はスピ ングラス領域が少なく低温部でもサテライトラインの強 度は弱い. 従って, T R 5G

に近い高温でのNMR信号は極めて弱く測定誤差を伴う. しかし, 低温で非対称 であったスペクトルが高温で対称に, かつ幅が狭くなっていることは誤差の範囲 を越えて明らかである. 図6-1(e)には温度変化をより明瞭にするために, 1.5Kの NMRスペクトルの濃度変化から明らかになった濃度の重み付ランダムモデルの 場合のスペクトルを破線で示している.

また, サテライトラインのピーク周波数は1MHz近く低周波側にシフトしている.

これはメインラインのピーク周波数が温度がTR 5 Gまで上昇しでも約0.15MHzしか シフトしないのに較べ対照的な結果である. ピーク周波数のシフトおよび幅の減 少というサテライトラインの温度変化の特徴的結果を図6-2, 6-3に示す. 比較の ためにx = 0.32の場合のメインラインのピーク周波数および幅の温度変化も示し ている.

メインラインのピーク周波数の温度変化は磁気モーメントの熱平均値の温度変 化を表している. 比較のため3次元Heisenbergである純MnC12・2H20のプロトンN MRから得られた磁気モーメントの温度変化を図6-2に実線で示す 43 ) この混晶 のIsing性を考えるとメインラインの温度変化は合理的な結果である. しかし, サ テライトラインの温度変化はメインラインの温度変化から期待される磁気モーメ ントの熱平均値の温度変化よりもかなり大きい. もしサテライトラインのピーク 周波数の温度変化が SG 領域のスピンの磁気モーメン卜の大きさの温度変化を反

映しているものであれば, これは反強磁性長距離秩序のスピンとSGスピンでは 熱的揺らぎが異なることを意味する.

また図6-3に示すように, サテライトラインの(半値) 幅はこの温度領域では約 1. OMHz減少している. これはメインラインの半値幅の温度変化0.15MHzに較べて極 めて大きい. 一般に幅の温度変化の原因として考えられるのは磁気モーメントの

18 20 22 24

( a )

1.27 K

1.66 K

b

1.80 K ( c )

1.95 K ( d )

2.20 K ( e )

18 20 22

NMR Frequency

24 26

(MHZ)

26 (MHZ)

図6-1 サテライトラインの温度変化. x = O. 32, ゼロ磁場. 実線はスピン構造 の温度変化を考慮した計算値. 破線は3章で述べた濃度の重み付ランダ

ムモデルによる計算値. 詳細は本文参照.

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図6-2 ピーク周波数の温度変化.

x = 0.32. 0はメインライン, ・はサテライ ヘライン, 実線は純MnCb '2H20のフ。ロトンNMRから得られた温度変化

刊である.

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