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3.地元企業の取り組み事例

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【事例1】㈱ナルックス

ここでは、ゼネコンを代表企業とするコン ソーシアムの構成企業として「四日市市立小 中学校施設整備PFI事業」に応募した地元企業 の㈱ナルックスを取り上げる(図表9)。同社 は、四日市市を中心に事業展開するコンクリ ート製品製造・建設施工業者である。

なお本事業は、老朽化した小中学校4校に対 し、解体・撤去から設計・企画、改築、維持管理 までを一貫して行う事業である。運営業務が全 く含まれていないため、建設重視型の事業とい える。事業の概要は図表10、図表11のとおり。

応募から優先交渉権獲得までの経緯 同社は、資本関係があり、過去に 取引実績もあったことを背景に、大 成建設㈱からの打診を受けて本事業 にコンソーシアムの構成企業として 応募した(図表12)。

コンソーシアムの代表企業を務め た大成建設㈱は、会社の方針として PFIに限らず地方の仕事の場合、地 元のことをよく解っており、かつ小 回りの利く(機動力のある)地元企 業と組んで取り組むこととしている。

四日市市から地域経済への配慮が要 請されていたこともあるが、今回の PFI事業でも、資本関係があって信 用力に関して理解しており、過去の 実績で技術力にも信頼がおける㈱ナ ルックスに声をかけた。㈱ナルック スは、大手企業とコンソーシアムを 組むことでPFIにかかるノウハウを 吸収できるほか、構成企業として名 前が公表されることにより地元貢献 をアピールできることを目的に参加 した。

なお、一次審査において7グループ から3グループに絞られた後、二次審 査を経て当コンソーシアムは当該事 業の優先交渉権を獲得した。提案価 格は、約65億3千万円であった。

これまで小中学校の建設事業は、1 校ごとの入札であったため、金額の 規模が小さく地元企業の受注が中心

  所在地(本社)  四日市市天カ須賀5-4-13    創業  1930年 

  資本金  997,296千円    従業員  170名    代表取締役社長  生川 浩平 

  事業内容  コンクリート製品製造・建設施工業 

図表9 ㈱ナルックスの企業概要 

(備考)㈱ナルックスホームページより信金中金総合研究所作成 

  事業名  四日市市立小中学校施設整備PFI事業 

  発注者  四日市市 

 

事業の内容・範囲  老朽化した小中学校4校の解体・撤去から 

   設計・企画、改築、維持管理までを行う 

  事業期間  20年(建設期間を除く) 

  実施方針公表年月  2003年2月    応募事業者数  7グループ 

図表10 四日市市立小中学校施設整備PFI事業の概要 

(備考)四日市市資料より信金中金総合研究所作成 

2003年 2 月 4 日 

2003年 6 月26日 

2003年 9 月 5 日〜17日 

2004年 1 月30日  2003年12月15、16日  2003年10月15日  2003年 7 月22日 

57日間 

62日間 

119日間 

図表11 四日市市立小中学校施設整備事業のプロセス 

(備考)四日市市資料より信金中金総合研究所作成  優先交渉権者決定・公表  提案書(二次提案)の受付 

実施方針等の公表 

募集要項の公表  特定事業の選定 

提案書(一次提案)の受付 

一次審査結果通知 

であった。しかし今回は、PFIを導入すること で4校分を同時に入札にかけたことに加え、受 注企業の制限をなくしたため、大手企業の参 画が進んだ。大手企業と組んだ㈱ナルックス も従来から取り組んでいた小中学校の施設整 備に設計から維持管理までという一貫したか たちで関与することができた。ちなみに㈱ナ ルックスは当該事業において学校の建設を担 当している。

諸課題への対応方法

㈱ナルックスは、大成建設㈱から参画の打 診があった段階で若手を含む3名からなる研究 チームを社内に作り、書籍購読やセミナー参 加、大成建設㈱への相談などにより知識の蓄 積に努めた。

また、外部専門家を雇う費用の負担は、全 国でPFI事業の経験がある大成建設㈱内の人材 を活用することにより解消された。同時に提 案書作成に関するノウハウの不足についても

大成建設㈱に蓄積されているノウハウによっ てカバーされた。

さらに、大成建設㈱内のアレンジャー機能 を担う組織が、PFIの応募にかかる手続きやリ スクの分担、ファイナンス面等においてリー ダーシップをとり、コンソーシアム内の利害 調整を行った。

この例のように、地元企業主体でPFI事業を 落札(優先交渉権の獲得)する際の課題は、実 績のある大手企業と組むことでその多くが克 服できる場合がある。ただし、大成建設㈱が 地元企業を活用するメリットを重視していた ことに加え、㈱ナルックスが堅実経営と技術 力により大成建設㈱との良好な関係を維持し 続けてきたことが背景にあることを忘れては ならない。

では、地元企業は大手企業が代表となるコ ンソーシアムに構成企業として入った経験を 活かして、次回以降、自らが代表となって地 元企業のみのコンソーシアムを組み、PFI事業 図表12 四日市市立小中学校施設整備事業のスキーム 

(備考)四日市市資料より信金中金総合研究所作成 

四日市市 

SPC 

(大成建設グループ) 

金融機関 

コンソーシアム  事業契約  事業契約  出資 

直接契約 

融資 

設計会社  建設会社 

(大成建設)  建設会社  建設会社 

(ナルックス)  建設会社  建設会社  維持管理会社  各業務に関する契約 

を落札(優先交渉権の獲得)することができ るのであろうか。これを事例2でみていく。

【事例2】㈱岡山スポーツ会館、蜂谷工業㈱

二つ目の事例として地元企業のみで形成さ れたコンソーシアムにおいて代表企業、構成 企業を務め「岡山市東部余熱利用健康増進施 設整備・運営PFI事業」に応募した企業2社を 取り上げる。㈱岡山スポーツ会館は1972年の 設立以来、岡山県内で7つの直営クラ

ブを経営し、1カ所の業務委託、1カ 所の指導者派遣、13カ所での教室開 催を実施している。中国、四国、九 州地区ではトップクラスの事業展開 をしている企業である(図表13)。一 方、蜂谷工業㈱は、岡山県を中心に 中国、四国地区で事業展開する岡山 県でも有数の総合建設業者である

(図表14)。なお、本事業の目的は、

ごみ処理施設から発生する余熱を有 効利用する温水プールと事業場所か ら湧出する温泉を活用した健康増進 施設を整備・運営することで、市民 に休息およびコミュニケーションの 場を提供し、地域の活性化と公共福 祉の増進を図ることである。事業の 概要は、図表15、図表16のとおり。

応募から優先交渉権獲得までの経緯

㈱岡山スポーツ会館は大手ゼネコ ンの誘いに応じたことをきっかけに PFI事業に取り組み始めた。コンソ

ーシアム構成企業として岡山市のPFI第1号案 件であった「当新田環境センター余熱利用施 設整備・運営PFI事業」に応募し、このときは 二次提案まで進んだ。

本事業では、そのとき蓄積された知識・ノ ウハウを活かし、代表企業として応募した。建 設部門におけるコンソーシアム構成企業につ いては、県内の有力企業で以前から知り合い であった蜂谷工業㈱を選んだ(図表17)。

  所在地(本社)  岡山県岡山市絵図町1-50    設立  1972年 

  資本金  2,500万円 

  従業員  49名(パートタイマー含めると220名) 

  代表者  江尻 博子 

  事業内容  スポーツクラブ経営 

図表13 ㈱岡山スポーツ会館の企業概要 

(備考)㈱岡山スポーツ会館ホームページより信金中金総合研究所作成 

  所在地(本社)  岡山県岡山市鹿田町1-3-16    創業  1917年 

  資本金  3億円 

  従業員  203名    代表取締役社長  蜂谷 泰祐    事業内容  総合建設業 

図表14 蜂谷工業㈱の企業概要 

(備考)蜂谷工業㈱ホームページより信金中金総合研究所作成 

  事業名  岡山市東部余熱利用健康増進施設整備・運営PFI事業 

  発注者  岡山市 

  事業の内容・範囲  ごみ処理施設から発生する余熱を有効利用する 

   温水プールと事業場所から湧出する温泉を活用 

   した温泉施設とを中心とした健康増進施設の整 

   備(設計・建設)および運営(維持管理を含む) 

  事業期間  15年(建設期間を除く) 

  実施方針公表年月  2002年6月    応募事業者数  2グループ 

図表15 岡山市東部余熱利用健康増進施設整備・運営PFI事業の概要 

(備考)岡山市資料より信金中金総合研究所作成 

一方蜂谷工業㈱は、岡山市の財政の厳しさ から近い将来PFI事業が出てくるだろうと考 え、書籍等でPFIに関する知識の蓄積に努める ことに加えて、社内でプロジェクト

チームをつくり(その後正式に組織 化)、積極的に事例研究に取り組ん だ。また、公共事業の縮小が続く中、

建設業者としてPFI事業に取り組ま ないと仕事がなくなってしまうので はという危機感もあった。

その上で東京に本社を置くゼネコ ンからの誘いに応じてコンソーシア ムの構成企業として岡山県発注の

「岡山リサーチパーク・インキュベー ションセンターPFI事業」に応募し た。このときは落札に至らなかった が、企画提案書作成にかかる相応の 知識・ノウハウの蓄積が図られた。

また、この時行政が示した提案書に 対する評価点等から改善点を見つけ

出し、本事業における企画提案書づくりの参 考とした。

なお、当コンソーシアムは、大手ゼネコン

2002年 6 月21日 

2002年 9 月10日 

2002年12月 9 日、10日 

2003年 5 月22日  2003年 4 月10日  2003年 2 月 4 日  2002年 9 月10日 

91日間 

65日間 

156日間 

図表16 岡山市東部余熱利用健康増進施設整備・運営PFI        事業のプロセス 

(備考)岡山市資料より信金中金総合研究所作成  優先交渉権者決定・公表  提案書(二次提案)の受付 

実施方針等の公表 

募集要項の公表  特定事業の選定 

提案書(一次提案)の受付 

一次審査結果通知 

図表17 岡山市東部余熱利用健康増進施設整備・運営PFI事業のスキーム 

(備考)岡山市資料より信金中金総合研究所作成 

岡山市 

SPC 

(PFIヘルスプラザ岡山) 

金融機関 

コンソーシアム  事業契約  事業契約 

出資 

直接契約 

融資 

設計会社  建設会社 

(蜂谷工業) 

運営会社 

(岡山スポーツ会館) 

維持管理会社  各業務に関する契約 

サービス提供  利用料金  利用者 

ドキュメント内 ’M‰à„”Łñ PDFŠp (ページ 37-43)