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2.地元企業がPFI事業の落札 (優先交渉 権の獲得) に向けて取り組むべきこと

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(1)地元企業に必要な要件

地元企業はPFI事業への参画を検討する際、

前提となる以下の要件を満たしているかをチ ェックする必要がある。

イ.競争力のあるコンソーシアムを組むため の独自性や専門性などの強み

地元企業主体で競争力のあるコンソーシア ムを組むには、設計、建設、維持管理、運営 を担う各企業が、独自性や高い専門性など同 業他社にない強みを有していることが必要で ある。たとえば、建設業者ならば空調関係や 給排水、電気関係などでは地域で一番である とか、福祉施設の建設では、大手企業にも引 けをとらないなどである。また、運営業者な らばスポーツ施設やケアハウスの運営ではノ ウハウが蓄積されているとか、維持管理業者 ならば機械警備の分野には強い等である。な お、コスト削減能力は、VFMに直接反映する ため全業種に共通した強みと考えられる。

ロ.資金調達等のための信用力

PFI事業は一般的に事業期間が10〜30年と長 期にわたることから行政は、コンソーシアム に対し、事業期間中万が一運転資金不足に陥 った場合を想定して、金融機関からの融資枠

の設定を求めることがある。

また、PFI事業における建設期間中のファイ ナンスはSPCから工事請負契約を受注した建 設会社がコーポレート・ファイナンスで賄う ことが多いため、一定以上の資金調達力が必 要となる。

したがって、経営事項審査点数など一般的 な公共事業の入札参加資格を満たしているこ とにはもちろんのこと、財務面等で信用力が ない企業や過去の業務における納期・品質な どのパフォーマンスや技術力等で信用力がな い企業は、PFI事業への参画が困難になる。

(2)落札(優先交渉権の獲得)までのプロセ スにおける留意点

PFI事業に実際に参画しようとする場合、図 表8の行政側のプロセスに従うことになるが、

ここでは地元企業が各プロセスにおいて取り 組むべき内容を整理する。なお、PFI事業では 各段階でPFI導入可能性調査の結果や実施方針 などが公表されるが行政のホームページを利 用するほか、行政の担当部署での書面の閲覧・

入手が可能である。

なお、各プロセスにおいて地元企業は、事 業性の評価を行う必要がある。最初の段階で の事業性評価は、行政による公表資料の制約 から限定的なものになろうが、PFI事業が効率 性を重視することや事業期間が長期におよぶ ことに加えて、これまでのPFI事業の中には民 間事業者が過度のリスク負担をしている事業 もあると言われることから事業性の評価は重 要である。

イ.PFI導入可能性調査、実施方針の策定およ び公表段階で取り組むこと

PFI導入可能性調査とは、ある公共事業に PFIを導入した場合のメリット、デメリット、

課題等を整理し、導入すべきか否かを行政側 で調査することである。

一般的に大手企業は、PFI導入可能性調査の 段階で応募に向けて水面下で動き出しており、

どの企業と組み、どのように事業を組み立て るかなどのストーリーを描いている。よって 地元企業は、なるべく大手企業の動きに遅れ をとらぬよう定期的に行政のホームページや 担当部署で情報収集を行う必要がある。いち

特定事業の評価・選定、公表 

協定等の締結等 

事業の終了  事業の実施、監視等  PFI導入可能性調査の実施 

実施方針の策定および公表 

民間事業者の募集、 

評価・選定、公表 

P F I  

 

図表8 行政側のPFI事業のプロセス 

(備考)信金中金総合研究所作成 

早く事業の存在をつかみ、少なくとも実施方 針が公表された段階では、自社の強みが活か せる事業であるか等を検討し、事業性を評価 のうえ参画の適否を決断したい。参画を決め た後、コンソーシアムの組成を検討すること になるが、大手企業をはじめとする競合他社 とパートナーとなる地元企業の奪い合いが起 こる可能性があるため、候補となる地元企業 への迅速な打診が必要である。

なお実施方針には、事業の目的、範囲、期 間のほか、民間事業者の選定基準や募集・選定 のスケジュール、応募資格要件、施設・運営仕 様、リスク分担のあり方などが含まれている。

ロ.特定事業の評価・選定、公表段階で取り 組むこと

実施方針の公表後、民間からの意見の受付、

回答プロセスを経て、PFI導入によりVFMが見 込めると評価された場合に当該事業が特定事 業として選定・公表される。

この段階ではVFMの算定結果が出されるこ とから、地元企業は企画提案書を作成する際 の参考として目を通しておく必要がある。

ハ.民間事業者の募集、評価、選定段階で取 り組むこと

特定事業の選定の後、募集要項が作成・公 表され、実際にPFI事業を実施する事業者の募 集、企画提案書の受付、審査が行われる。

審査には一次審査と二次審査があり、民間 事業者は落札(優先交渉権の獲得)までに段 階に応じて二つの企画提案書を作成する。一

次審査では①必要とされる資格および事業遂 行能力を有していること、②事業にかかる提 案内容が一定の要求を満たしていることが審 査される。一次審査段階での企画提案書には 設計、建設から維持管理、運営までの各業務 に対する当該コンソーシアムの考え方など提 案の概要となるものを盛り込む。また、二次 提案書には、通常、①一次提案書の内容をよ り具体的にしたものに加え、②提案価格を盛 り込み、技術面と価格面の審査を受ける。審 査においては学識経験者、地元関係者、行政 職員等から構成される審査委員会が組織され るのが一般的で、審査基準に則って各企画提 案書を審査のうえ落札企業(優先交渉権者)が 決定される。通常一次審査で3〜5社程度に絞 られ、二次審査で最終落札企業(優先交渉権 者)が決まる。

事業の規模にもよるが募集から一次提案書 提出まで通常約2、3カ月程度しかないため、地 元企業にはいち早い募集要項の入手が必要で ある。

(3)企画提案書の内容と作成時の留意点 イ.企画提案書の内容

コンソーシアムの組成後、募集要項に従っ て直ちに企画提案書の作成を行うが、企画提 案書の内容によって落札(優先交渉権の獲得)

できるかが決まるため、この作業がPFI事業落 札(優先交渉権の獲得)に向けて重要となる。

企画提案書には一般に、①各施設に対する 具体的な仕様項目(規模・構造、安全性、機 能性、利便性、環境性、魅力度、地域景観へ

の配慮、環境保全策など)、②各施設でのサー ビス内容(営業日数、営業時間、独自プログ ラム、料金、メニューなど)、③保守点検計画、

修繕計画に加え、④事業計画(事業スキーム、

提案価格、資金調達計画、計数計画、リスク 管理方針など)などを盛り込む。

それぞれについて、行政が要求するサービ ス水準等を示した要求水準書および評価の視 点や評価点の配分を示した事業者選定基準書 の内容を参考に、行政の指定する様式に従い 作りあげていく。

ロ.作成時の留意点は独自性の発揮を心掛け ること

落札(優先交渉権の獲得)できる企画提案 書とするためには、発注者の意図に沿い事業 全体のコスト削減策などをアピールすること は前提として、それに加えてはっきりと他社 と差別化できる点を盛り込み、審査委員から 高い評価が得られるよう努力する必要がある だろう。

そこで地元企業は、企画提案書の作成にあ たり設計、建設、運営、維持管理それぞれの 側面で地元ならでは、自社ならではの提案内 容を盛り込むなど独自性の発揮を心掛けたい。

設計・建設面では、短工期・低コストで行 うことや機能面での付加価値をつけることは もちろんのこと、地域の景観への配慮も積極 的にアピールすべきである。運営面は、最も 独自性ある提案内容が盛り込める部分であろ う。たとえば、給食事業の運営において地元 の食材を用い、地元ならではの調理方法で、地

域住民の味覚にあった食事を提供する地産地 消によるサービス提供を盛り込むことも考え られる。その他、維持管理面では地元に拠点 があることによるサービスの迅速性・機動力 をアピールするなどがある。事業計画では、赤 字を避けるため採算面を固く見積もることは もちろん、地域での営業実績を基にした説得 力のある市場予測、商圏分析による計数計画 を策定したい。

(4)地元企業主体で企画提案書を作成するま での課題

地元企業が上記の留意点を踏まえ、高い評 価を得られる企画提案書を作成するためには、

以下のような点が課題となる。

イ.多方面の高度な知識・ノウハウの習得 企画提案書を、募集から一次審査までの約 2、3カ月という短期間でまとめあげるために は、スキームや事業方式、プロセスなどPFI事 業にかかる多方面の高度な知識の習得が必要 である。また、設計から運営までのリスクを 管理する方法やコスト削減方法、サービス向 上方法、企業間の役割分担の仕方等における 独自性をいかにコンパクトに提案書に落とし 込んでいくかという、見せ方を含めた企画提 案書作成のノウハウも求められる。

たとえば大手ゼネコン等では海外でPFI事業 を経験した人材を活用したり、日本でPFI事業 が行われ始めた時期に積極的に取り組んだこ ともあり、現在ではある程度の知識・ノウハ ウが蓄積されている。一方、地元企業はそも

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