①新株は、株主稔会の決議で、会社が法的な立場において株主とし て処遇する者(株主名簿に登録されていて会社に対抗できる者)
に、任意に付与すれば足りる。
(D新株引受権は、株主の固有権に属するものではない。つまり、株 主総会の決議によって発生する具体的な権利に他ならない。
(卦株主権が移転したからと言って、新株引受権がこれに随伴して移 転すると解すべきではない。
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第十章 株主平等の原則(会109Ⅰ)
1 総説
株主平等の原則とは、株主は会社からその有する株式の内容及び 数に応じて平等な取り扱いを受けることができるという原則である
(会109Ⅰ)。この根拠は、民法上の分割債権関係(民427)や組 合員の損益分配の割合(民674Ⅰ)や組合員の損失分担の割合(民 675)等の「経済上の平等」に求められる。
株主平等の原則は、会社法が民法よりも一層「資本の論理」を徹 底し、「人」よりも「金銭」に平等の基準を変更したことを意味し
ている。このことは従来から言われていた論理であり、会社法は、
株式会社が社員(出資者)の個性よりも金銭または資本等を重視す る組織体(物的会社)であることを再確認し、具体的な規定を制定 したのである。従って、人権を中核に置いた近代法の論理から見る と、株式会社以外の団体が平等の基準を「人」に置くのに対して、
当該株主平等の原則は株主という「人」に対する相対的平等である 点に特色を有する。
2 株主平等の内容
この原則は、その有する株式の内容及び数に応じて、平等(同 一)であるということである。但し、これには次の例外がある。
【例外1】法律により数種の株式のように内容の異なる株式を発行 することができる(会108Ⅰ)。【例外2】非公開会社は、剰余金 の配当、残余財産の分配、株主総会における議決権の行使(会105
Ⅰ(∋(宣〉③)等に於いて、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款に 規定できる(会109Ⅱ)。
株式の内容が原則として同一である限り、「株主名簿上の株主」
は同一の取り扱いをされなければならない。この場合、名義書換未 了株主(実質上の株主)の取り扱いが問題となる。この点に関し て、通説判例は、株主側からは自己が株主であることを会社に主張 できないが、会社側がその者を株主と認めることは差し支えないと
するので、会社側の安住において、平等に扱うことは許される。し
かし、新株割当の際の募集株式引受人の扱いについて、名義書換未 了の実質的株主に対しては、割当自由の原則から株主平等の原則を 適用する余地はないと解する(参考.会204Ⅰ・206)。また、不利益な待遇を受ける株主が、そのことを各自承認するこ とは権利放棄として認められる。
さらに、数種の株式を発行している場合、種類株主総会は会社法 が規定した事項及び定款が規定した事項を決議できる(会321)。
そして、種類株式発行会社は、種類株主に損害を及ぼす虞がある
時は、当該種類株主で構成する株主総会の決議(会324Ⅰ)をもって、(株式種類の追加、株式内容の変更、発行可能株式総数の増加 等に関する)定款変更、株式の併合または分割、株式無償割当、株
式引受者の募集、新株引受権無償割当、合併、吸収分割、吸収分割による権利義務の全部または一部の承継、新設分剖、株式交換、株
式交換による他の会社の発行済株式全部の取得、株式移転等を行う(会322Ⅰ)。ただし、定款で、種類株主総会の決議を排除できる
(会322Ⅱ)。
旧法下で、少数株主権は、個々の株式の内容自体を規制したもの でないから、株主平等の原則に反しないとする見解があった。これ に対して、持ち株数という一定の条件が充足されない限り権利行使 ができないので株主平等の原則に違反するとの見解もあった。
これに関して、今回の会社法の規定により、「その有する株式の 内容及び数に応じて」平等に取り扱わなければならないとなったこ とにより、この間題は解決した。もともと、私見によれば、少数株 主権は、(出資額による比例が認められる)資本の論理から派生す る商法(会社法)が認めた株式の取扱における結果としての例外的 な権利行使の制限であると解するほかなく、株主平等の原則を論じ る持外にあると解してきた。
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第十一章 株券(会214)
1 総説
株券の梅原は株式であり、株式とは株式会社の細分化された割合 的単位としての社員の地位をいう。この抽象的な社員権を有価証券 に化体した物が株券である。
会社法は、株券の発行を株式会社の絶対的義務とせず、株券発行 会社(株券発行を定款で規定している株式会社〈会214〉)だけが
発行の義務を有することにした。これにより、株券発行会社は、
株式を発行した日以後、遅滞なく、当該株式に係る株券を発行し
なければならない(会215Ⅰ)。これは、株式譲渡の明確化の為で ある。つまり、株主が不特定多数となる公開会社の株券発行におい て、抽象的な社員権である株式を譲渡するには具体的な株券を交 付する方が、その譲渡の一層の明確性を図れるからである(会128Ⅰ)。
しかし、株券発行会社の「株券を発行する旨」の定款の規定(会 214)は、決済合理化法(「株式等の取引に係る決済の合理化を図
るための社債等の振替に関する法律等の一部を改正する法律」平成 16年法律第88号)の「株券を発行しないことを前提とする株券電 子化」の具体化(平成21年1月5日実施)により、この規定を廃止 する定款変更の決議をしたものとみなされる(決済合理化法付則6
Ⅰ)。
なお、上記「みなし定款変更決議」は、「上場有価証券の発行者 の会社情報の適時開示等に関する規則の取り扱い1の(1)a」によ
り、法令改正に伴う記載のみの変更に該当し、かつ上場有価証券の 売買において投資判断に重大な影響がないとして、適時開示の対象 から除外されている。
2 株券
株券は有価証券である。有価証券とは、プルンナーの定義によれ ば、私権を表彰する物で、証券上の権利の発生・行使(移転)・消
減に際して、その証券の一部又は全部の占有を必要とする物をい う。株券の法的性質は、会社の成立又は新株の払込によって成立し た社員権(株式)を有価証券に化体(表彰)するだけであるから非 設権証券である。換言すれば、社員権の成立が当然に株券を発生さ せたり、株券の有効な成立によって社員権が当然に発生するといっ た設権証券ではない。
さらに、株券が有価証券であるといっても、社員権の発生時に株
券は必要とされていない。また、株主権の行使は、名義書換の為に
(間接的に)株券の呈示が必要とされるものの、株主名簿の記載又 は記録によって画一的に為される(会130)。以上のことから、株 券は、権利の発生・行使(移転)・消滅に際して、総ての場合にお いてその株券の一部又は全部の占有を必要とする完全有価証券では なく、株券は不完全有価証券である。
株券は、当然の指図証券といわれている。つまり、株券は、形式 上は記名証券であるが、流通性が原則的に保証されているので(会 127Ⅰ・128Ⅰ)、資格授与的効力がある(手形16参照)と解されて いる。さらに、株券は、指図文句のない証券であるが、裏書禁止文 句がなく裏書譲渡が認められることから貨物引換証(商574)、倉 庫証券(商603Ⅰ)、船荷証券(商776)等と同様に「当然の指図証
券」といわれている。従って、狭義の有価証券に入る。
※※私権の種類※※
(1)権利者として、その受ける利益(受益)を基準にした場合
(∋人格権…‥雀命、身体(自己決定権)、自由(思想)、名誉(氏 名・肖像・宗教)但し精神は除く等人格的利益を対象にしたもの。
米国では環境権もここに含まれるとする。
②身分権……夫婦、親子、親族等身分的地位に伴う利益を目的にし た権利。親権など。
(卦財産権…… 物権、債権、知的財産権(無体財産権)など。
(彰社員権……団体の構成員の地位に伴うもの。持ち分、株式など。
(2)権利者として、なし得る行為(作用)を基準にした場合
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①支配権……権利者の意思だけでその内容が実現できる権利をい う。物権、身分権中の親権(民818以下)等。
③請求権…‥・ 権利の内容を実現する為には他人の行為を必要とする 権利。債権、物権的請求権、扶養請求権等。
【物権的請求権】
これは物権の完全な支配の為に認められた権利で、物権に基づく
請求権として、物上請求権ともいわれ、具体的には占有訴権(民
198〜200)がある。物権の目的が、何かに妨げられたり、妨害のおそれがある時、侵
害者にその除去又は予防措置を請求する権利である。態様としては、
(ア)返還請求権(民200Ⅰの占有回収の訴)
(イ)妨害排除請求権(民198の占有保持の訴)
(ウ)侵害のおそれがある時は、民法199条等の妨害予防請求権 等がある。
③形成権…… 特定人の一方的意思表示で既存の法律関係を変更させ る権利。取消(撤回も含む)権、解除権、相殺権、買戻し権、認知 権等がある。債権者取消権や離婚のように訴訟形態を取らなければ
ならないものを裁判上の形成権という。
3 株券の発行
(1)株券発行会社の発券義務
株券発行会社は、原則として、株式を発行した日、株式の併合を
した時(会180Ⅲ②)、株式の分割をした時(会183Ⅱ②)以後、遅滞なく、当該株式に係る株券を発行しなければならない(会215
Ⅰ)。しかし、株券発行会社であっても非公開会社の場合には、株
主の請求がある時まで、当該株式に係る株券を発行しないことができる(会215Ⅳ)。
これに対して、平成21年1月5日からは決済合理化法(平成16年法 律第88号)の「株券を発行しないことを前提とする株券電子化」の