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(会33Ⅹ)】

ドキュメント内 会社法の検証 (1) (ページ 59-98)

変態設立に際して、原則として、裁判所選任の検査役の調査を   受けなければならず、その場合、対象財産の多寡に関係無く一定  

の調査費用(2011年現在予納額100万円程度)が必要である(会33  

Ⅰ)。   

しかし、会社設立には迅速性が要求され、調査期間の短縮と調査   の迅速性及び多額な費用の回避等の経済的合理性の観点から、少額   財産と有価証券の一定の範囲、及び当該財産の相当性につき弁護士  

等(弁護士、弁護士法人、公認会計士〔外国公認会計士を含む〕、  

監査法人、税理士、税理士法人)の証明がある場合には、裁判所選  

任の検査役の調査を免除できる(会33Ⅹ)。  

(3)裁判所選任の検査役の調査を免除できる場合  

(む現物出資及び財産引受の定款記載又は記録財産の稔額が500万円   を超えない場合   

財産の総額とは現物出資と財産引受の各対象財産の総合計額であ  

ー185−   

る。また、資本とは、定款の絶対的記載事項ではないが、会社設立   時に登記された資本の額であり(会911Ⅲ(彰)、原則として発行済   株式の発行価額の総額である(会445Ⅰ)。株式会社の設立時の資  

本は、1円以上ならいくらでもよい。会社法制定と共にこれまでの  

最低資本金(旧商168ノ4)及び調達される最少額(旧商166Ⅰ(む、同  

Ⅳ)の制限は無くなった。  

【具体例1】   

現物出資300万円と財産引受300万円とを行おうとすると、総合計   額が600万円となり、500万円を超過するので、合計財産全部つまり   現物出資も財産引受も共に検査役の調査が必要になる。   

さらに、資本金1000万円の株式会社を設立しようとして、動産  

100万円と不動産400万円とを現物で出資しようとした場合、500万  

円の絶対額基準を超過していないので、動産・不動産ともに検査役   の調査は不要である。ただし、不動産については不動産鑑定士の鑑   定評価が必要である(価額の適正性について不動産鑑定士の証明が   必要である)。  

②市場価格のある有価証券の場合には、定款に記載した価額がその   相場を超えない時   

市場価格のある有価証券とは、金融商品取引法2条1項に規定され   ている有価証券と当該証券とみなされる権利を含む。従って、当該   有価証券はもとより、出資証券、新株予約権等その範囲はかなり広   く、市場性を有する有価証券等(気配値を有する物も含む)は当該   有価証券となる。例えば、上場されている(含.店頭取引・登録銘   柄)株券、新株引受権証券(商登57)、社債券、転換社債券、公社   債券等も該当する。基準となる相場は、定款認証日の当該有価証券   の最終価格、売買取引がない場合には直近取引日の最終価格である  

(会社法施行規則6条(D)。公開買付対象有価証券の場合には契約   有価証券価額である。なお、買占め等で価格が騰貴している場合に   は定款認証の日の属する月の前の月の毎日の最終価格の平均額の方   が低ければその金額を基準にできる。  

(勤現物出資及び財産引受に関する財産とその評価が相当なること   につき、弁護士、弁護士法人、公認会計士(外国公認会計士を含   む)、監査法人、税理士、税理士法人等が証明する時(ただし、不   動産の場合、不動産鑑定士の鑑定評価が必要である)。   

不動産に限らず総ての財産が本号の対象になるが、その対象財産   が不動産の場合には、前記の弁護士等の証明は不動産鑑定士の鑑定   評価に基づいて行われなければならない。そして、この報告・証明   書は発起設立の場合には設立時取締役等へ(会38・46)、募集設立   の場合には創立総会へ提出されなければならない(会87)。なお、  

不動産の鑑定評価啓については、弁護士の証明書の付属書類として   設立登記申請書に添付できる(商登80④)。また、実務上規定はな   いが、取締役や創立総会にも提出されるべきである。   

裁判所選任の検査役の調査に代え弁護士等の証明の範囲を拡大し   たことにより、取締役と監査役は、本号に関する証明を記載又は記   録した資料及び調査免除対象財産総ての定款記載額の相当性、設立   時に発行する株式総数の引受の有無、引受株式に対する払込と現物   出資の給付の有無を調査しなければならない(会46)。   

当該財産の事項と評価を証明する弁護士等には、司法書士、行政   書士や弁理士は含まれないので注意する必要がある。   

なお、証明人・鑑定評価人になれない人は以下の通りである(会   33条11項)。  

○発起人  

○現物出資者又は(財産引受での会社への)財産の譲渡人  

◎設立時の取締役又は設立時監査役  

○業務停止処分を受けその停止期間を満了していない者  

○弁護士法人、監査法人、税理士法人で、その社員の半数以上が前  

記000のいずれかに該当する場合。  

※弁護士の証明と裁判所選任の検査役の調査について、これらは選   択できる。しかし、弁護士の証明を受けるほうが発起人又は会社に  

とり、手続の簡易さ、調査のための期間の短縮、費用の軽減等で有  

一187−   

利である。他方、裁判所選任の検査役の調査を受けた場合には、現  

物出資者等以外の者(他の発起人や設立当時の取締役等)は、財産   価額填補責任を負わない利点がある(会52Ⅰ①)。  

※弁護士の証明を要する不動産には不動産鑑定士の鑑定評価の取得   が要件となっている(会33Ⅹ③)ので、当該不動産は鑑定評価の対   象になる物でなければならない。不動産の鑑定評価に関する法律  

(昭39・4・1施行)第2条(定義)1項は、「不動産の鑑定評価」と   は、土地若しくは建物又はこれらに関する所有権以外の権利の経済   価値を判定し、その結果を価額に表示することをいうと規定してい  

る。つまり、土地と建物のみがその対象であることを意味し、不動  

産であっても、土地の定着物である(参考.民86Ⅰ…土地及びその   定着物は、不動産とする。)樹木、土地に据え付けられた機械、立   木等は民法86条1項の趣旨及び定着物の評価について特別の専門的   知識を必要とするので当該対象不動産から除外すると解される。さ  

らに、特別法により土地や建物とは別に1つの不動産とされる物、  

例えば工場財団(工場抵当法14条1項)、鉱業財団(鉱業抵当法3   条)、港湾運送事業財団(港湾運送事業法26条)、立木法上の立木  

(立木二関スル法律2粂1項)等も除外される。   

したがって、これらを現物出資や財産引受の対象にする場合には   金額の多寡に拘わらず検査役の調査が必要である。反対に、土地や  

建物に関する所有権以外の権利である地上権、地役権、試掘権、採  

掘権、賃借権等は不動産ではないが、不動産鑑定士の鑑定評価の対   象になりうるので、少額財産の特例として不動産に準じて扱うこと   ができる【民事局長通達第1の1(4)イ(ア)d】。   

税金に関しては、金銭出資の場合には出資金に課税される根拠が  

ない。これに対し、現物出資の目的が不動産の場合には、出資者に  

対し、当該不動産の取得原価と出資評価額との差額に対して、譲渡   所得税(所得税33、58)が課される。しかし、起業の促進と個人企   業から法人企業への事業拡大の便宜の為には、不動産の出資の場合   にも、所得税法58条の譲渡所得の非課税特例に含めるべきと考え  

る。  

(4)定款に記載のない財産引受の効果について   

通説・判例ともに、定款に記載のない財産引受の効果は無効で、  

会社成立後に株主総会でそれを承認しても有効にはならないと解   している(大隅=今井『会社法論上』203頁、最判昭和42・9・26民   集21巻7号1870頁等。反対、鈴木『新版会社法補正版』53貫)。な   ぜなら、現物出資や財産引受が、その財産評価によっては成立後の   会社にとり過大な負担を強いられたり不正を生じ易い制度であるこ  

とから、法は厳格な規制をしているのである。したがって、成立後  

の会社が株主総会で定款に記載のないこれらの事項を承認したの  

では、法の趣旨が潜脱されるので、いかなる場合でも絶対的無効と  

解されている。特に、平成2年の商法改正で、事後設立については  

現物出資や財産引受と同様に原則として裁判所選任の検査役の調査   を必要とした(旧商246Ⅱ・Ⅲ)。さらに、会社法の新設に際して   は営業譲渡のパターンとしての事後設立(会467Ⅰ⑤)に会社設立   時の財産引受を重ね、裁判所選任の検査役の調査を必要としている  

(会28②)と解される。つまり、財産引受等に関する法の厳格性は   従来以上に徹底されたと解される(同旨大隅=今井『会社法論上』  

254頁)。   

これに対して、私見によれば、平成14年の商法改正が裁判所選任   の検査役の調査免除に関して、その代替調査者の範囲を拡大したこ   とを考慮すると、「その代替者の資格」と「総株主の同意がある場   合」の利益考量が検討されるべきと思量する。つまり、裁判所選任   の検査役の代替を弾力化した以上、規定を形式的に厳格に解すべき   根拠はなくなったと思量できるので、著しく資本充実が阻害されな   い限り「定款記載の無い財産引受」を絶対的無効とすべきではない   と思量する。  

(5)発起人が受けるべき報酬、特別利益、その発起人の氏名又は名  

称(会28③)   

株式会社の成立により発起人が受ける報酬とは、会社の設立行為  

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ドキュメント内 会社法の検証 (1) (ページ 59-98)

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