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2019特2‑5

ドキュメント内 研究成果報告書 (ページ 52-55)

沿岸海洋循環場の予測にむけた高解像度数値モデルとデータ統合手法の開発

海洋研究開発機構・付加価値情報創生部門 情報エンジニアリングプログラム プログラム⾧

石川洋一 研究の目的

沿岸海洋における海洋循環は複雑な地形に支配された小さなスケールのローカルな変動 から、海盆スケールの大きなスケールの影響をリモートに受けた変動までさまざまなスペ クトルを持つことがよく知られている。このような重層的なスケールにまたがる変動を高 精度で予測することは科学的に挑戦的な課題であるだけでなく、海運・水産など沿岸にお ける活動へ有益な情報を提供することができるので社会的にも重要な課題の一つである。

このような課題に対して本研究では、沿岸域を対象とした高解像度海洋大循環モデルの開 発および観測データと組み合わせたデータ同化手法の開発を行う。特に本研究では、沿岸 域において重要となる海流場を面的に観測することが可能な HF レーダーデータを有効活 用することを目的として、高解像度数値モデルと組み合わせたデータ同化手法や予測手法 に関する研究開発を行う。

研究の方法

本年度は、HF レーダーデータのデータ同化にむけた数値モデルとの比較および HF レー ダーデータのみから統計的な手法で短時間予測を行う手法、沿岸海洋循環場の統合的な予 測にむけた要素技術の開発を行った。

数値モデルとの比較としては、海洋研究開発機構が「東北マリンサイエンス拠点形成事 業」の中で開発している東北沖高解像度モデル(THK50)と海洋研究開発機構が津軽海峡東部 で観測を行っている HF レーダーデータの比較を中心のその他の観測データも併せてデー タ同化にむけた数値モデルの検証を行う。東北沖高解像度モデルの解像度はおよそ 1.7km であり津軽海峡の流れはある程度再現可能であることが期待できるとともに、海面境界条 件としては大気再解析データセット JRA55、側面境界条件としては海洋再解析データセッ ト FORA-WNP30 を用いることにより、現実的な条件での計算を行ったものであるので、観 測データと直接比較することが可能である。

また、津軽海峡東部 HF レーダーデータの解析をもとに、統計的な関係から数時間程度の

短期間予測を行う。これはいわゆるナウキャストと呼ばれている手法に類似するものであ

り、時系列データセットに対する自己相関や移動平均を組み合わせることで時間的な外挿

を行うことで流速データの予測を行うものである。

研究の結果

沿岸域の流速場を解析するためにまず HF レーダーデータの調和解析を行い、潮汐成分 の分離を行うことを試みた。調和解析を行う際に分潮数やデータ期間などを変えながら最 小二乗法によって行ったところ、期間としては 3 ヶ月程度である程度安定した結果が得ら れ、8分潮の時の結果が4分潮にくらべ良いフィッティングが得られ、またこれ以上分潮 数を増やすと安定な解が得られないケースが増えた。そこで HF レーダーの各点での観測 値の時系列に対し 3 ヶ月毎に8分潮の調和解析を行い、潮汐成分とそれ以外の流動場を分 離し、潮汐成分以外の流速時系列に対し統計モデルを適用することにより、数時間程度の 予測を行うことができる手法を開発した。統計モデルとしては古典的な ARMA モデル(自己 相関移動平均モデル; Auto-Regression Moving-Average model)を用いて、その予測可能性を 調べたところ、潮汐周期よりも少し短い5~6 時間程度までは気候値・パーシステントモ デルと比べて高い予測性能を示したものの、それ以降では気候値と比べても同程度の予測 精度となってしまった。これは、海上風によって駆動される流れなど単純な時系列解析で は考慮されていない成分が重要になってくることによるものだと考えられ、モデルの拡張 が必要であることが示唆された。

一方で数値モデルを用いた予測にむけて HF レーダーによる流速観測との比較の結果で は、季節変動など比較的ゆっくりとした大規模な変動については数値モデルがよく再現で きているので、データ同化による初期値化により 1 ヶ月程度の予測が可能ではないかとの 結果が示されたが、より短く細かな津軽海峡内の暖流変動などはその流動構造・変動特性 などが観測とモデルで異なっており、数値モデルの解像度向上などの改良の必要があるこ とが示唆された。

まとめと今後の課題

今回の解析結果を踏まえ、6 時間以内の変動予測および季節スケールでの津軽暖流の概 観については既存の技術の応用である程度再現・予測ができそうな見込みが見られてきた。

一方でその間の変動についてはさらなる研究開発が必要であることが明らかになってきた。

今後は、まず統計モデルを拡張する形で半日から 1,2 日程度の海峡内の詳細な変動予測に 挑戦するとともに、その先の予測についてもデータ同化手法の改良と併せて取り組んでい きたい。

研究組織

石川洋一(代表) 情報エンジニアリングプログラム・プログラム⾧ レーダーデータ の解析および研究のとりまとめ

佐々木英治 アプリケーションラボ・気候変動予測情報創生グループ・主任研究員

モデル計算および解析

小守信正 アプリケーションラボ・気候変動予測情報創生グループ・主任技術研究員 モデル計算および解析

小室芳樹 北極環境変動総合研究センター・北極域気候変動予測研究グループ・グルー

プリーダー モデル計算および解析

平成 31 年度(令和元年度) 応用力学研究所 特定研究( 2 )申請 報告書

研究課題名

直線ヘリコン波プラズマ内で誘起される 電子密度・温度の空間・位相分解計測

Phase and space resolved measurements of electron density and temperature in a linear helicon plasma

令和2年2月29日

富田健太郎(九大総理工) 、内野喜一郎(九大総理工) 、稲垣滋(九大応力研

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