• 検索結果がありません。

2019年11月4日(月)

ドキュメント内 第13回日本禁煙学会学術総会抄録集PDF版 (ページ 79-91)

ジャーナリストの視点:ニコチン依存を読者にどう伝えるか How to tell and explain to readers about nicotine addiction.

石 田 雅 彦

横浜市立大学大学院 医学研究科

 喫煙者が抱える問題は、大きく分ければ習慣的な嗜癖行動とニコチン依存症である。タバコを止められな いのは心理的な依存と薬物依存のせいだ。私はタバコ問題の記事を書いているが、早い段階からニコチン依 存症の喫煙者へのサポートが重要と主張してきた。例えば「タバコ対策は『喫煙者へのフォローアップ』も 重要だ」(Yahoo!ニュース:2017年4月16日、月間PV相対値=7.89※)、「タバコを吸う人は『意志薄弱で愚 かな自己チュー』か」(Yahoo!ニュース:2017年4月24日、月間PV相対値=0.24)、「あなたはなぜ『禁煙』

できないのか」(Yahoo!ニュース:2017年5月10日、月間PV相対値=2.14)などだ。当初の記事では、タイ トルに「ニコチン」という文言を入れていない。だが、前述した記事では、喫煙者の中で禁煙を希望する割 合と禁煙治療の方法などへの情報不足、禁煙外来での禁煙成功率の低さを指摘し、依存症に必要なことは周 囲の環境や患者への理解とサポートなのではないかとした。私が書いた記事で初めてニコチンという言葉を タイトルに入れたのは、奇しくも「加熱式タバコ」に関する記事である。これは「加熱式タバコは手を換え た『ニコチン伝送システム』だ」(Yahoo!ニュース:2017年11月22日、月間PV相対値=2.6)というタイト ルだった。この頃から加熱式タバコという言葉をタイトルに入れるとPVが増える傾向がみえ始めたが、ニ コチンという言葉に対する反応はそれほど強くない。初めて加熱式タバコという言葉をタイトルに入れたの は「『加熱式タバコ』に逆風か、増税案の背景を考える」(Yahoo!ニュース:2017年9月8日、月間PV相対 値=27.21)であり、それまで電子タバコに加熱式タバコも含んで記事を書いていた。例えば「電子タバコ にまつわる『企み』の兆候とは」(Yahoo!ニュース:2017年8月28日、月間PV相対値=2.17)では、米国 FDAによるニコチンの総量規制について紹介した。このようにタバコ問題とニコチンに関する記事を書い てきたが、この特別セミナー「ジャーナリストの視点」ではこうした記事の内容を紹介するとともに、読者 の反応や男女比・年齢構成、PVの傾向などから、タバコ問題の本質であるニコチン依存をどう読者に伝え、

知識をどう広めていけばいいのかを考えていきたい。※相対値:最もPVの多い記事を相対値100とした相対 的な値

SP-SEM 特別セミナー

略歴 

北海道生まれ。横浜市立大学大学院医学研究科医科学専攻修了。医科学修士(MMSc)。同博士課程在学中。株式会社近代映 画社を経て独立、商業誌の編集長などを経験。編集プロダクション、株式会社醍醐味エンタープライズ代表。フリーのサイエ ンスライターとしてYahoo!ニュースなどにタバコ問題についての記事を書いている。サイエンス系の著書に『恐竜大接近』(集 英社、監修:小畠郁生)、『遺伝子・ゲノム最前線』(扶桑社、監修:和田昭允)、『ロボット・テクノロジーよ、日本を救え』(ポ プラ社)などがある。

新型タバコ時代のタバコ対策:大討論会!

Tobacco Control in the New Tobacco Era: A Big Debate ! 田 淵 貴 大

大阪国際がんセンター がん対策センター

 今や成人の約10%が新型タバコを使っている日本。従来からのタバコに加えて、新型タバコに関しても的 確なアドバイスをすることが、すべての医療者に求められています。患者さんや住民からの信頼に答えるた めにも、新型タバコに関する科学的知識を得る機会としてほしいと思います。とはいえ、誰にもまだ分から ない未知のリスクもありそうです。異論・反論・賛否両論、大歓迎です。皆さん全員がシンポジストです。

 手前味噌ですが、最近、出版させていただいた拙著「新型タバコの本当のリスク」、読んでいただけまし たでしょうか。忙しい皆さんに本を読んでいただくことは本当に難しいことだと認識しています。しかし、

これは日本禁煙学会のシンポジウムです。本に書いてあるような基礎的・基本的事項をベースとして、

Beyond  the  book、本の内容よりもさらに先へと議論を進めたいと考えています。まだ解決できていない新 型タバコ問題にどう向き合っていくべきなのか、会場の皆さんと建設的な議論をしたいと思います。

 新型タバコ時代を迎えた日本で何が起きて、何が必要とされるのか?議論も経験も足りません。はじめに 簡単に「新型タバコの科学および新型タバコ問題の概要」について説明させていただき、その後は何が問題 なのか?どうすればよいのか?皆さんと議論をしたいと思います。

 是非、ご参加ください。周囲の方への周知もお願いいたします。

 参考URL: 拙著「新型タバコの本当のリスク」出版記念インタビュー記事       https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000090.000021817.html 

 ※ 拙著は日本禁煙学会の推薦図書にしてしていただきました。また、拙著の収益は社会をよくするための 活動経費としてしか使用しないと約束します。

SYM3 シンポジウムⅢ 新型タバコ時代のタバコ対策:大討論会

略歴 

現職:大阪国際がんセンターがん対策センター疫学統計部 副部長    医師・医学博士。専門は公衆衛生学・疫学。

2001年3月岡山大学医学部医学科卒。血液内科臨床医を経て、2011年医学博士(大阪大学大学院:社会環境医学)取得後、

2011年4月から大阪国際がんセンターに勤務。2018年  後藤喜代子・ポールブルダリ科学賞を受賞。タバコ対策および健康 格差の研究に主に従事。近著に「新型タバコの本当のリスク アイコス、グロー、プルーム・テックの科学」がある。

統合失調症とうつ病における禁煙支援の課題

Challenges of Smoking Cessation Support in Schizophrenia and Depression 中 野 和歌子

特定医療法人社団 宗仁会 博多筑紫口こころクリニック

 精神疾患患者は一般人口と比較し2から3倍喫煙率が高く、70%以上が喫煙者で50%がheavy  smokers  であることおよび禁煙率が低いことが報告されている。特に、統合失調症は他の精神疾患と比べて喫煙率が 高いことが報告されている(Kalman et al. 2005)。日本における精神疾患の喫煙率は、統合失調症に関する 2つの報告(Mori et al. 2003, Shinozaki et al. 2011)、および他の精神疾患を含む喫煙率は、演者が大学病院 の外来における調査研究による報告(Umene-Nakano  et  al.  2013)のみに留まっており、大規模な調査が施 行されていないのが現状である。統合失調症患者は喫煙率が高いにもかかわらず、患者自身の禁煙への動機 付けが低いこと、ニコチン依存度が高いこと、禁煙支援を行っている精神科医が少ないこと等の理由から、

禁煙成功率は低いと言われている(Lasser  et  al.  2000)。我が国においては、単科精神科病院における敷地 内禁煙の報告(Hashimoto  et  al.  2015)など、統合失調症患者における禁煙支援が広がってはきているがま だ十分ではない。日本のうつ病患者は増加しており、自殺や長期休職者の問題と深く関わり大きな社会問題 となっている。うつ病患者のうち59%で喫煙歴があり、喫煙者のうち37%がうつ病を合併(Lasser  et  al.2000)という報告があるように、うつ病と喫煙は関連があることが示唆されている。米国の研究では、う つ病患者のうつ状態が改善した段階での禁煙治療の介入は、その後のうつ病の再発率の予防にも寄与するこ とが報告されている。しかし、禁煙自体が抑うつ症状を誘発することもあり、うつ病の症状悪化を懸念し、

日本ではうつ病患者に対する積極的な禁煙支援が一般化していない。これらのことから、我が国における精 神疾患患者の禁煙治療に携わる医療従事者が少ないこと、調査結果も乏しいことなどの課題が挙げられる。

演者は2008年から大学病院精神科、現在は精神科診療所で禁煙外来を継続し、主に精神疾患患者の禁煙支援 に従事してきた。「精神疾患」と一言でまとめるのではなく、統合失調症、うつ病など個々の疾患に併せた禁 煙支援が重要だと考えている。演者のこれまでの治療経験から、本人の禁煙の意思が強く、病状が安定して いる際に、精神科主治医とうまく連携をとることなど、禁煙成功に寄与する重要な点を抑えれば、精神疾患 患者でも十分禁煙は可能であると思われる(Umene-Nakano et al. 2011)。

SYM4-1 シンポジウムⅣ 精神科における禁煙推進

精神疾患患者の治療 喫煙が疾患におよぼす影響、治療のコツ

〈アルコール依存症〉

菅 沼 直 樹

成精会 刈谷病院

 タバコも酒も合法的に販売される依存性薬物である。どちらも依存症を引き起こし、その健康および社会 への影響は甚大である。一般に精神疾患患者での喫煙率は高いが、アルコール依存症者の喫煙率はさらに高 く、共通の脳内メカニズムを持つクロス・アディクションとして治療を進めていく必要がある。アルコール はうつ病、不安障害、認知症、脳萎縮などを引き起こすが、タバコにおいても同様の知見が存在する。一方 でアルコールは酩酊を伴い、失職、家庭崩壊、顕著な離脱症状や精神病症状など社会的破綻を引き起こすの に対して、タバコは基本的には意識変容を伴わず、その精神症状としては喫煙に関する認知のゆがみに限局 され、純粋に依存症のみ引き起こすという点で特異である。ニコチン依存症が精神疾患であるにもかかわら ず、身体科の医師と比べて精神科医が禁煙治療に不熱心なのは、こうしたことが関係しているのかもしれな い。一方で純粋依存としての喫煙は、その構造が明瞭であり、依存症理解のモデルになり得る。また、アル コール依存症治療に禁煙治療を導入することで断酒率が向上する。禁煙成功の自信は断酒への意欲につなが るし、逆も同じである。そして喫煙対策とは依存症対策であり、それはアルコール依存症に対する方策と共 通している。あくまで自律性を尊重しながら患者の中に強みを見いだしていく依存症治療についてアルコー ルとタバコの両面からお話ししたい。

SYM4-2 シンポジウムⅣ 精神科における禁煙推進

ドキュメント内 第13回日本禁煙学会学術総会抄録集PDF版 (ページ 79-91)

関連したドキュメント