O07 新型タバコ (5)
O08 禁煙調査・疫学1 (4)
O09 禁煙調査・疫学2 (5)
O10 受動喫煙 (4)
O11 精神疾患・精神科 (4)
O12 禁煙治療1 (4)
O13 禁煙治療2 (4)
(演題数)56
即効性のある禁煙化要望戦術の検証
〜山形県の観光名所における事例〜
松 浪 容 子
NPO法人山形県喫煙問題研究会
鈴木 隆宏
ちょうふタバコ対策ネットワーク
【目的】禁煙化を要望する際には、要望先や要望方法、要望内容を吟味する必要があると考える。2019年 GWに山形県を訪問した観光客より、NPO法人山形県喫煙問題研究会宛に「山形県の観光地の受動喫煙対策 強化のお願い」が寄せられ、『施設内に喫煙所が存在し、タバコの煙が充満している状態』と書かれていた。我々 はその情報をもとに観光地を訪問し、その実態を視察確認するとともに、効果的な要望先を検討し要望を実 行した。その結果、要望先から禁煙化に前向きな返答を得られた。そこで本研究では、一連の要望過程を再 評価し、即効性のある禁煙化要望戦術を検証することを目的とする。
【方法】1:山形県喫煙問題研究会に寄せられた「お願い」に書かれていた観光地を2019年5月下旬に訪問し、
受動喫煙の実態を確認した。2:受動喫煙の被害が確認された施設の管理権原者を特定し、要望先を検討し た。3:要望先の連絡先をインターネットにて特定した。4:要望内容と、要望先に響く文章を検討し、2 人で別の日時にそれぞれメールにより観光名所の賞賛と併せて丁重な文言で要望を実行した。
【結果】現地訪問の結果、受動喫煙の被害が明らかな場所を以下のA、Bの通り2カ所確認した。
A:観光名所のリフト乗り場に灰皿が設置されていた。チケット売り場にリフトの管理会社aの名称が明記 されていた。要望後約2週間後に管理会社aより返答があり、灰皿撤去、敷地内禁煙化、および数か所に禁 煙の表示をすることを決定したと返答があった。
B:施設内にパーテーションで仕切られた屋内喫煙所がありタバコ煙が残留していた。施設付近に設置され た案内板から、管理権原者が山形県ではなく隣県のb県観光課であることを特定した。b県観光課からは約 1か月返答がなく電話にて問い合わせをした。その結果、翌日メールにて「喫煙所は改正健康増進法の基準 を満たさないため、一定の周知期間後2019年夏を目処に喫煙所を撤去し屋内禁煙とする」旨の返答があった。
【考察】本件は、要望先や要望方法、要望内容を検討してから2人で協力し、多方面から要望したことが禁 煙化につながったと考えられる。また、管理権原者を事前に特定したことで即効性のある成果を得たと考え る。我々の禁煙化要望戦術は、他の観光地や施設においても有効であると考えられ、今後、再現性があるか 更なる検証を積み重ねたい。
O01-1 一般演題1 草の根運動
文化遺産・自然遺産の出火を防止し来訪者を受動喫煙から守るために
〜観光客の立場から禁煙化を促すには〜
荻 野 寿美子
喫煙を考える
【背景】趣味の登山と仏像探訪で各地を訪れる機会があるが、残念ながら山小屋の庭先や寺院の境内に灰皿 が置かれていることも多い。なかには、屋内での喫煙や、咥えタバコで接客や清掃をすることに対して無頓 着な地域もあり、受動喫煙に遭うこともしばしばである。
【目的】過去に火災によって破壊された著名な歴史的建造物や文化財は多く、本年起きたノートルダム大聖 堂の火災は、世界の人々の心にも計り知れない衝撃を与えた。日本においても、法隆寺金堂壁画・鹿苑寺金 閣などが焼失。教王護国寺(東寺)境内で開催された弘法市において、タバコの火の不始末から発生した火 災により食堂が延焼し、木造四天王立像が著しく損傷したことは、まさに人災である。日本国内における林 野火災の原因も、「たき火」が29.1%で最も多く、次いで「火入れ」、「放火(疑い含む)」、「タバコ」と、人為 的な原因が上位を占める。
観光客の立場でも、文化遺産・自然遺産の出火を防ぎ、来訪者を受動喫煙から守るために、観光地の禁煙 化を促すことは可能である。
【方法】「何があったか(事実)」のほかに、「どれほど来たかったか(渇望)」「どれほどうれしかったか(本望)」
「どれほど残念だったか(失望)」「どうしてほしいか(要望)」「また来たいか(希望)」「期待しているか(待 望)」を伝えることが重要である。(1)記録を写真・メモ等で残す。(2)その場の働きかけで印象を残す。(3)
要望を出す。(4)自治体の協力を仰ぐ。(6)現地の状況を写真で提示。(7)類似点のある成功例の紹介。(8)地 元の知り合いに協力を仰ぐ。(1)〜(8)の方法を、状況を見ながら気長に行う。
その結果、これまでに浄土寺(兵庫県小野市)・慈恩寺(山形県寒河江市)・東大寺(奈良県奈良市)・吾 妻小舎(福島県福島市)の禁煙化、長野県上田市菅平地区の禁煙推進などに取り組んだ。
【考察】観光客の立場は、一時的な関わりであるがゆえに現地との関係性は悪化しにくい。また、その観光 地の支援者・協力者として見てもらえることも多く、禁煙化成功率も高い。
出火防止・受動喫煙防止が観光地の環境保全と人身の安全に直結する問題であり、受動喫煙の影響を強く うける子供や患者を含め、すべての人が訪れることができる場所にするには、灰皿の設置では解決しないこ とを粘り強く、かつ、ほどよい距離感を保ちつつ訴えていく必要があると考える。
O01-2 一般演題1 草の根運動
ちょうふタバコ対策ネットワークの取組みと成果 鈴 木 隆 宏
ちょうふタバコ対策ネットワーク
荒井 敏1,2、麻生 泰二1,3、乙黒 明彦1,4、横山源一郎1,5、星野 吉計1,6
1ちょうふタバコ対策ネットワーク、2辻医院、3麻生こどもクリニック、
4乙黒歯科クリニック、5横山歯科医院、6星野歯科
2015年4月8日、東京都調布市において医療職、市民、行政等が連携してタバコ対策の推進を行い、もっ て公衆衛生の向上に寄与するための団体「ちょうふタバコ対策ネットワーク」を設立した。
本ネットワークでは、喫煙者を「悪」ととらえず、喫煙者・非喫煙者双方のタバコによる健康被害をなく すことを目指し、「笑顔」で、「ゆる〜く」、「協働」することを活動の方針とし、営利や特定の政治・宗教活動 を目的とはしていない。
ちょうふタバコ対策ネットワークには医師、歯科医師、薬剤師、養護教諭、会社員等、約20名の様々な職 種の個人会員が所属しており、また調布市医師会、調布市歯科医師会、調布市薬剤師会が法人会員となって いる。
具体的な活動として、調布市を中心とした教育機関でのタバコ防止授業や、市民に向けた啓発活動、医師・
歯科医師等に向けた禁煙指導の技術向上に向けた勉強会、受動喫煙防止のための取り組みを行っている。特 に行政等の関係機関との協働を重視し、調布市役所とも庁内会議への有識者としての出席、調布市タバコ対 策推進協議会の設置・運営、その他適時なコミュニケーションなどの連携した活動を行っている。
こうした活動により、2019年7月までに以下の成果を得ることができた。
(1 )市立施設の敷地内喫煙禁止、駅前や学校・児童施設周辺の路上や公園の喫煙禁止、タバコ問題に関す る啓発・教育等を定めた「調布市受動喫煙防止条例」の全会一致での可決・成立、施行
※詳細は http://www.city.chofu.tokyo.jp/www/contents/1553581945946/ 参照
(2 )店内に喫煙所設置不可、加熱式タバコ不可、店先の喫煙所不可という厳しい条件の禁煙飲食店の利用 勧奨をはかる「調布市受動喫煙ゼロの店制度」の開始、冊子の配布
※詳細は http://www.city.chofu.tokyo.jp/www/genre/0000000000000/1560831374586/ 参照)
(3)調布市民の喫煙率が2018年末時点で10.7%まで低下
本発表では、ちょうふタバコ対策ネットワークの取組みと成果について触れ、今後の展望について述べる。
O01-3 一般演題1 草の根運動
Child to home〜家庭内行動変容を引き起こす力〜
市内全小学生対象喫煙防止教室(行田市に無煙世代を育てよう)
10年間6795人の子どもたちの願いから 川 島 治
医療法人社団清幸会行田中央総合病院 内科 行田市医師会担当理事
吉田久美子、石原久美子、萩原 貴之、浅見 純一、大澤真由子、
石川布美子、小河原清夏、荒井 茂
医療法人社団清幸会行田中央総合病院 内科 行田市医師会担当理事
【目的】市内全小学生を対象とした喫煙防止教室を10年間継続し、防煙意識を植え付けるとともに子どもの 家庭内行動変容を引き起こす力を支援する。
【方法】 1 2009年より市内全小学生対象喫煙防止教室「行田市無煙世代を育てよう!」を開始。 2 教室 前に、本人、保護者、教員対象のアンケート調査施行。 3 教室ではスライド・動画視聴や擬似タール・
外国のタバコ現物に触れ、当市の取り組みである「禁煙チャレンジ応援プラン」・「空気もおいしいお店」・「忍 城ライトアップ」等の紹介や、たばこ税等社会の仕組みを解説する。 4 教室終了後、その内容を家族に 教え、保護者のコメントを含めた感想文提出を宿題とする。 5 感想文に対して、タバコ利権等社会的背 景や、薬物依存の原理、禁煙治療の社会資源(禁煙外来・禁煙支援薬局)を紹介し、子どもたちによる喫煙 保護者に対する「Awakening」、禁煙勧奨を支援するコメントを加え返却する。 6 各学校のデーターを解 析し次回(2年後)の教室時にフィードバックし、要請によって学校保護者会で講演する。保護者の禁煙外 来受診者に対する治療を行う。
【結果】 市内全16小学校10年間、6795組の子ども・保護者と1256人の教員に対し講演と意識調査を行った。
1 家庭での受動喫煙率と子どものタバコへの興味 2 喫煙場所の変化 3 防煙教育についての保護者の意 識変化 4 教員の喫煙率・家庭内受動喫煙率 5 適切だと思われる防煙教育の実施時期 6 感想文から見 る子どもたちの理解と保護者への働きかけ
【考察】好奇心の塊でありまた正義感を持った小学5・6年生に見る・聞く・触る・書く・読む、の直観教 授法を試み、税金やタバコ利権など社会のしくみを伝える事で、煙害についての理解を深め、家庭内喫煙者 の動変容を支援するとともに、社会教育の一面も期待する所である。早期教育を受けた子どもたちが家庭内 禁煙勧奨により実際に禁煙外来受診に結び付いている例も見られその有効性が証明された。子どもたちの家 庭内行動変容を理論的に支援し、自らの喫煙防止・家人の禁煙勧奨・それによる受動喫煙の予防のマルチタ スクを達成し、同一地域で長期間継続することにより、タバコを吸わない親による家庭内での健康教育や良 好な生活習慣から、行田市に無煙世代を形成して行きたい。