産業医科大学 産業生態科学研究所 健康開発科学
垣内 紀亮2、大和 浩1
1産業医科大学 産業生態科学研究所 健康開発科学、
2産業医科大学 産業生態科学研究所 作業関連疾患予防学
加熱式タバコが全国販売(IQOS:2016年4月、glo:2017年10月、Ploom TECH:2018年7月)され、そ の使用の実態を明らかにするために、九州の某製造業の職員約3,300名(33.6±7.9歳)に2017〜2019年の1 月に3回のアンケートを行った(回収率98.2〜100%)。加熱式タバコの認知度は、IQOSが75.6%→82.6%
→79.8%、gloが6.6→56.0→61.4%、Ploom TECHが20.6→39.6→53.6%に増加した。「加熱式タバコを禁煙の場 所で使用してはならない」と回答した割合は64.5→74.4→75.4%に、「加熱式タバコを使用することは“喫煙で ある”」と回答した割合は62.7→69.1→71.9%に増加したが、タバコ製品として正しい認識を持っている者の割 合はまだ全体の7割にとどまった。男性職員約3,100名において、紙巻タバコのみの使用者は51.9→42.4→38.7%
に13.2%減少した。一方、加熱式タバコの使用者の割合が9.0→22.3→25.1%に16.1%増加したが、その増加は 頭打ちになったことがわかった(紙巻または加熱式の使用者の割合は56.3→54.2→50.7%に5.6%減少)。加熱 式を使用する理由は「ニオイが少ない(48.6%)」「興味があった(42.4%)」「紙巻より害が少ない(29.8%)」
「周囲の人に害を与えない(15.0%)」「空気を汚さない(13.9%)」「他人に勧められた(10.8%)」「紙巻の本 数を減らすため(10.4%)」「禁煙するため(10.4%)」であった。加熱式タバコの使用者の約4.5%は禁煙の 場所で使用したことがあり、使用した場所は主に「路上喫煙禁止区域(1.5%)」「禁煙の飲食店(1.1%)」「禁 煙のバス停・駅のホーム(1.0%)」であった。紙巻と加熱式タバコの両方を使用する併用者は4.7→10.6→13.1%
に増加した。自宅での使用状況について、併用者の約30%は「紙巻は屋外、加熱式は屋内」で使用していた。
子どもや家族がアルデヒド類などの発がん性物質やニコチンに低濃度で長期間曝露され、気管支喘息やシッ クハウス症候群が増加することが懸念される。 今後、「禁煙場所では使用できない」「発がん生物質が含ま れている」「ニコチン依存から脱却できない」「禁煙外来の方が安価」などの情報を提供し、加熱式タバコの 使用者を含むすべての喫煙者を禁煙外来へ誘導することが必要であると考えられた。
O07-5 一般演題7 新型タバコ
喫煙歴から見た死亡年齢、基礎疾患に関する検討特にCOPDと悪性腫瘍の関与について The analysis of mortality rate between smoker and non smoker patients From
the point of the prevalence of COPD and malignant tumor 日比野 智香子
坂の上野 田村太志クリニック
小野寺さくら、高橋まゆみ、高橋 理恵、齋藤 春奈、菅原 和枝、高橋 大子、
千葉 燈、高吉 絢子、阿部加代子、高橋 留美、小原 美里、田村 太志 坂の上野 田村太志クリニック
【背景と目的】2016年の厚生労働省の国民生活基礎調査による都道府県別喫煙率データよると、喫煙習慣を 有する男性割合は、全国31.1%に比べて、岩手県は36.5%と高い。また、喫煙により平均寿命、やCOPD、
悪性疾患の有病率に差があることは既知の事実ではあるが、当院登録患者について喫煙者と非喫煙者につい て死亡時の年齢、基礎疾患の際について検討した。
【方法】当院開設時2004年11月から2019年3月の期間で新聞等により死亡が確認された633名(男性412名、
女性221名)のうち男性412名について、喫煙歴の有無が判明した299名(76.6±12.0歳)。死亡患者非喫煙群(non s群)、及び喫煙群(s群)、過去喫歴がある群(ex s群)の3群に分け、死亡時年齢と慢性閉塞性肺疾患、
悪性腫瘍の有無について分析した。
【結果】男性喫煙率は、26%。S群77名の死亡年齢は72.2±13.6歳であり、ex S群136名の死亡年齢は77.2±
11.4歳、non S群77名の死亡年齢は78.7±11.4歳より、有意に低かった(p<0.01)。COPD罹患率は29%、
ex S群は、S群、non S群より有意に多かった(p<0.01)。各群の死亡年齢とそれぞれのCOPDの有無に 差はなかった。COPDを有さない群については、S群(53名,71.4±̲13.5歳)の死亡年齢は、ex S群(82名,76.9
±12.6歳)(p<0.05)、non S群(77名,78.3±11.9歳)より、有意に低かった(p<0.01)。COPD有りの群 では、S群(24名,74.0±13.8歳)の死亡年齢は、non S群(9名,81.3±5.3歳)より、有意に低かった(p±0.05)。
悪性腫瘍の罹患率は19%、各群の患者数の差はなく、悪性腫瘍がないS群(58名,71.7±14.6歳)の死亡年齢は、
ex S群(112名,77.6±11.5歳)(p<0.01)、non S群(72名,78.4±11.6歳)より、有意に低かった(p<0.01)。
【考察】男性喫煙率は、26%、過去喫煙ある群を合わせると7割超え、喫煙者の死亡年齢は低かった。喫煙 者の死亡年齢は、過去喫煙者や非喫煙者より低かった。COPDの有無では、過去喫煙者の割合が多く、また、
COPD有無にかかわらず、喫煙者は、非喫煙者より死亡年齢が低かった。悪性腫瘍がない場合、喫煙者の死 亡年齢が低かった。過去喫煙者は、非喫煙者近くの死亡年齢の延伸が予測された。COPD患者は、過去喫煙 者が多いことから、発症前後で禁煙した可能性が示唆された。喫煙者はCOPDや悪性腫瘍の罹患がない場合 もで死亡年齢は低く、様々な要因の関与が考えられる。
O08-1 一般演題8 禁煙調査・疫学1
旭川市全域の介護福祉施設における喫煙規制の現状調査
黒 河 亜理紗
道北勤医協一条クリニック 内科外来
松崎 道幸1、坂牧 勉2
1道北勤医協北医院、2道北勤医協宗谷医院
【はじめに】今回我々は旭川市内全ての介護福祉施設を対象に喫煙規制の現状調査を行った。介護福祉施設 での喫煙規制の現状と、2020年4月から施工される受動喫煙防止法案施工を見据え、今後の施設内禁煙化に ついて調査したので報告する。
【調査期間】2019年2月〜2019年5月調査対象)旭川市内の介護福祉施設495施設調査方法)無記名記述式質 問票調査倫理的配慮)研究の趣旨を文章で説明し同意を得た。
【結果】回収率は34.3%だった。喫煙できる施設が100施設、禁煙である施設が70施設だった。利用者と職員 が喫煙できる施設が47施設、職員のみ喫煙できる施設が38施設、利用者のみが喫煙できる施設が15施設だっ た。主な喫煙場所は施設の外、喫煙室、その他、居室の順であり、その他は機械室、台所等だった。喫煙で きる施設の職員喫煙率は36.5%でありこれに対し利用者の喫煙率は0.42%だった。禁煙化への困難は職員確 保困難、職員が困る等だった。喫煙できるよい事はストレス解消、気分転換が一番多かった。2020年以降の 施設内禁煙化へは禁煙化するが8%、まだ考えていないが74%、禁煙化しないが17%だった。施設内禁煙で ある施設の職員喫煙率は33.2%だった。禁煙にした理由は火災の心配が無い、健康面への配慮等だった。
【考察】前回の調査結果と比較し旭川市に存在する介護福祉施設の半数以上では喫煙が可能であり、そこで 生活している非喫煙者達がタバコ煙の被害に晒されている事が分かった。主な喫煙場所は施設の外喫煙室が 多く、台所と回答していた施設では換気扇を回しながら喫煙しているので煙草煙への配慮はできていると回 答しており、サードハンドスモークに対する知識不足がある事が分かった。喫煙率の比較では大きな差はな く、喫煙可能でも禁煙でも30〜40%の喫煙者が存在し、その割合は北海道内の喫煙率と比較しても多い事が 分かった。施設の方針は、少数の喫煙者である職員の都合が優先されており、本来中心に考えるべき利用者 の健康が蔑ろにされている現実が判明した。
【まとめ】能動喫煙、受動喫煙の健康への影響に加えてサードハンドスモークに対する知識普及が早急に求 められる。施設外であっても勤務時間内の喫煙は禁止するべきである。禁煙化していく施設がスムーズに禁 煙化できる様に専門家による支援が求められる。法案施工後の介護福祉施設における喫煙規制の現状調査の 必要性は非常に高い
O08-2 一般演題8 禁煙調査・疫学1
山形市周辺の宿泊施設の禁煙状況
Non smoking status of accommodations around Yamagata City 山 田 修 久
山田菊地医院
佐藤 朋紀 JTB仙台支店
宿泊施設は改正健康増進法や地方自治体の受動喫煙防止条例では第2種施設にあたり、原則屋内禁煙と なっている。施行は来年4月であるが、これらが部分的に施行された本年7月以降、山形市周辺の各種宿泊 施設の禁煙化の現況はどうなっているかは関心が持たれるところである。山形にて開催される日本禁煙学会 学術集会に際し、参加される方々の宿泊を確保して下さった株式会社JTBが7月以前と以降の禁煙化状況を 調査して下さいましたので、報告します。山形市街地の、いわゆるシティホテルとして、地元老舗ホテル5 件、全国チェーンホテル9件、地元ビジネスホテル14件を対象とし、小規模ビジネス旅館は割愛した。近郊 宿泊施設としては主として温泉旅館、数軒の全国チェーン旅館を加え、蔵王温泉25件、赤湯温泉9件、黒沢 温泉3件、天童温泉20件、かみのやま温泉11件を対象とした。山形市街地では地元老舗ホテルと全国チェー ンホテルにおいて、昨年から全面禁煙化したところがそれぞれ1件ずつあった。ほとんどがフロア禁煙で対 応していたが、相変わらず全面喫煙可とか禁煙喫煙混在というところが残存した。部屋でみると、禁煙室 1669、喫煙室1220であった。法制化以前より、それなりの対応が取られてはいて、今回の部分的法規制によっ てでは更なる改善を求める姿勢はみられなかった。近郊の観光温泉宿泊施設では全68施設のうち全面禁煙15 施設、客室禁煙8,フロア対応14であった。部屋でみると喫煙室1237、喫煙室1532であった。7月の法改正で、
直ちに変化したところは無いが、シティホテルでは地元老舗が昨年あたりから対応しており、多くはフロア 対応であった。近郊観光温泉施設でも、ここ数年で禁煙方向を目指すところは出てきている。調査時点では 対応はないが10月頃から全面禁煙を目指しているところが3件あった。3年くらいかけて館内禁煙にしたい という所もあった。全面禁煙とはいえ、喫煙室の設置の仕方に問題があったり、灰皿の扱いに問題あったり するところも見受けられる。7月の法改正施行は意識されている所と、されていいない所の分極化がみられ、
法改正によって直ちに変化が出ているとは言えないが、今後数年のうちに、適切な啓発、指導が行われるな ら、好ましい結果が期待できるものと思われる。来年4月の宿泊業など第2種施設も含めた全面施行によっ ての変化も期待できると思われる。