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2019年11月3日(日)

ドキュメント内 第13回日本禁煙学会学術総会抄録集PDF版 (ページ 37-79)

喫煙者に目覚めを。

ニコチン奴隷をタバコ産業から解放しよう。

Awakening for the smokers.

 Liberate nicotine slave from the tobacco industry.

作 田   学

日本禁煙学会

 喫煙者は多くの場合、タバコ産業に50年間ほどタバコ代を支払い、一日一箱500円とすればその総額は 1000万円ほどになる。 その見返りは? もちろん、肺がんをはじめとする各種のがん、COPD、心筋梗塞、

脳梗塞、糖尿病など多くのタバコ関連疾患である。 このタバコビジネスが成立するためには、1.タバコ 産業による大規模な広告宣伝 2.子どもたちを喫煙習慣に引きずり込む 3.タバコの強い依存性のいず れもが必要だ。喫煙者は好き好んで喫煙をしているのではない。彼らはニコチンに依存している、ニコチン 奴隷なのである。我々の使命は、彼らに目覚めさせ、禁煙させることにある。1.̲タバコ産業の広告宣伝 戦略 毎年数百億円の広告宣伝費を投じ、テレビ、新聞、雑誌を牛耳っている。2.̲子どもたちを喫煙習 慣に引きずり込む (我々は、若年層をターゲットにタバコを宣伝販売していかなければならない。そのた めには若者の心を引きつけるようなブランドが必要になる。喫煙をしたことがない人たちがタバコを吸いた くなり、タバコの吸い方を学び、堂々たる“喫煙者”になるにはどんなファクターを満たさねばならないかが 課題となる。1973年RJレイノルズ社)3.̲タバコ・ニコチンの依存性 ニコチンの依存性は強烈である。

ヘロイン、コカインに次ぎ、アルコール、覚醒剤、大麻、LSDなどよりも強い。ニコチンは、2時間おきに 火を付け吸引する必要がある。さらに現代のタバコは、50年間は依存性が続くように設計、製造されている。

4.̲加熱式タバコの欺瞞 タバコ産業は加熱式タバコは、タバコの有害物質の90%が取り除かれており、

安全なものと宣伝をしている。しかしながら、ニコチンは同程度入っており、また毒性物質、発がん物質も 少ないながら入っている。これらは量が少ないので安全というわけではなく、入っていること自体が問題な のだ。また、彼らの宣伝にもかかわらず、多くの疾病が起きていることも事実である。5.̲喫煙者の目覚め・

Awakening 喫煙者はタバコが好きだから吸っているのではない。ニコチンを求めて吸わざるを得ないの だ。彼らの思うようにすべてのストレスが取れるわけではなく、ニコチンが減少するというストレスしか取 れない。喫煙者の敵は禁煙者ではなくタバコ産業であり、喫煙者を救うことが我々に与えられた使命である。

理事長講演

略歴 

1973    3  東京大学医学部医学科 卒業 

1980    7  ミネソタ大学神経内科visiting assistant professor  1982  10  日本赤十字社医療センター神経内科部長 

2000    4  杏林大学医学部神経内科、第一内科主任教授 2006  10  日本赤十字社医療センター神経内科 非常勤嘱託 2006    2  日本禁煙学会設立、理事長

2011    4  日本保健医療大学 客員教授 専攻領域 禁煙学、臨床神経学、東京大学医学博士 Master of science in Neurology/Univ. Minnesota

精神科における禁煙推進 過去・現在・未来

川 合 厚 子

社会医療法人公徳会トータルヘルスクリニック

 これまで精神科においてタバコは「無視されてきた問題」といわれてきました。タバコに関する情報は届 かず、どこででも吸える環境で、精神疾患患者・精神科医療従事者ともに喫煙率が高い状態でした。禁煙し たら、精神症状が悪くなるのではないか、精神疾患患者からタバコを取り上げたらかわいそう、敷地内禁煙 にしたら騒動や火災が起きるのではないか、というようなことが懸念されてきました。一方精神疾患患者の 死亡は身体疾患によるものが多く、タバコが大きな要因を占めています。米国では2006年に出された「重度 精神障害者の疾病率と死亡率」において、「死亡率及び疾病率の増加は主に予防可能な条件に起因する」とし て喫煙がトップに挙げられています。日本においては2002年に健康増進法が制定され、初めて受動喫煙防止 という言葉が法律の中に出て、敷地内禁煙の精神科病院が出てきました。その結果、敷地内禁煙にしても暴 動は起きず、禁煙できる精神疾患患者が増え、精神症状の悪化はほとんどなくむしろ精神症状は良くなり、

火事のリスクは減るということがわかってきました。そして病院機能評価においては特別扱いであった精神 科病院の受動喫煙対策がようやく一般病院と同様「健康増進を図る立場の医療機関に相応しく、禁煙が徹底 していることを評価する」となり、2019年7月からは第一種施設である病院は精神科を含め、敷地内禁煙が 原則義務付けられました。これらにより精神疾患患者も一般患者と同様に受動喫煙から守られることが必要 という当たり前のことが示されました。このチャンスをいかすべく、2019年7月6日には公益社団法人日本 精神科病院協会(以下日精協)が主催する札幌での第8回日本精神科医療学会学術大会において「精神科病 院における禁煙推進」というシンポジウムを行いました。このシンポジウムには多くの参加者があり、質疑 応答も活発に行われ、敷地内禁煙の関心の高さが伺われました。そこで6人の演者のスライドを見ていただ けるようにしました1)。また、日本禁煙学会「禁煙治療と支援委員会」では、グローバルブリッジ・ジャパ ンのファンドを得て「タバコ依存症治療の専門家とサポーターの育成プロジェクト」を立ち上げました。精 神科医療福祉従事者を主な対象として全国8カ所で「タバコ依存症治療の専門家とサポーター育成セミナー」

を行い、その前後で国内の全精神科病院にアンケートを実施し、精神科における敷地内禁煙や禁煙外来の現 状を把握します。

 禁煙が困難といわれる精神疾患患者においても禁煙治療は進んできています。個々の治療も大事な一方、

敷地内禁煙にすればそれだけで多くの精神疾患患者が禁煙できることも明らかになってきています。さらに、

予防はもっと大事です。日本の精神疾患患者がタバコにおいても「この国に生まれたるものの不幸」になら ないように関係の皆様とともに、未来を見据えて取り組んでまいります。

1) 「タバコ依存症治療の専門家とサポーターの育成プロジェクト」

  https://gbsmokefree2019.jimdofree.com/

会長講演

略歴 

社会医療法人公徳会トータルへルスクリニック院長       

S56年自治医科大学卒、山形県立中央病院、米沢市立病院を経てH3年公徳会佐藤病院、H15年より現職

医学博士、総合内科専門医、精神科専門医、精神保健指定医、動機づけ面接トレーナー、日本禁煙学会理事・同専門指導医、

日本禁煙推進医師歯科医師連盟運営委員、山形県医師会禁煙推進委員会副委員長、NPO法人山形県喫煙問題研究会副会長、

UMASS Tobacco Treatment Specialist (Master)

日本医師会の禁煙推進

横 倉 義 武

公益社団法人 日本医師会 会長

 「令和」の時代を迎えたが、少子社会、高齢社会が進展し、人口が減少していく中で、人生100年時代に向 けて全世代型社会保障への改革が進められている。生命・健康や地域社会を守るためには、かかりつけ医が 中心となって、地域包括ケアシステムの推進により医療・介護連携を中心とした「まちづくり」を行うとと もに、今後は医師が医療のみならず、地域住民の予防や健康づくりにも力を入れていくことが重要である。

日本医師会では、地域住民から信頼される「かかりつけ医機能」のあるべき姿を評価し、その能力を維持・

向上するための研修を実施しており、その中で禁煙指導を取り入れている。たばこが健康に重大な影響を及 ぼすことは、疑いようのない事実であり、国民の健康寿命の延伸のためにも、関係団体が連携し禁煙に向け た啓発活動を継続して行うことが重要であると捉え、そのためには、医師会や医師一人ひとりが自らを律し て国民の率先垂範となるべきである。日本医師会では、2003年に「禁煙推進に関する日本医師会宣言(禁煙 日医宣言)」を公表し禁煙推進に取り組んできたが、最近では、渋谷スクランブル交差点での受動喫煙防止 に関する動画の放映や、2017年に作成した小冊子『禁煙は愛』の健康増進法や加熱式たばこについての改訂 を行った。また、たばこ対策に対して医師自らが範を示すことの重要性に鑑み、2000年より日本医師会員の 喫煙状況調査を実施しているが、男性医師、女性医師ともに喫煙率は調査開始以降、回を重ねるごとに着実 に減少している。一方、我が国のたばこ対策については、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け て「望まない受動喫煙の防止」を目的として、2018年7月に健康増進法の一部を改正する法律が成立した。

喫煙及び受動喫煙は、がんをはじめとする様々な疾患の発症要因であることが科学的に明らかであり、全て の年齢の健康に影響を及ぼすことから、オリンピック開催を一つの契機として国民の健康増進を一層図るた め、受動喫煙防止対策を更に強化していく必要がある。今後も国に対して、医療機関における禁煙治療・禁 煙支援体制整備や、学校現場における成長過程にある児童、生徒等へのたばこの有害性の教育や受動喫煙防 止対策を今後とも強く要望していく。さらに、未成年者の喫煙防止に有効な対策の一つとして、たばこ価格 やたばこ税の引き上げも引き続き求めていきたい。

特別講演

略歴 

昭和44年  3月  久留米大学医学部卒業

昭和44年  4月  久留米大学医学部第2外科助手 昭和52年  8月  久留米大学 医学博士号取得

昭和52年10月  西ドイツ ミュンスター大学教育病院

  デトモルト病院外科

昭和55年  1月  久留米大学医学部講師

平成  2年  4月  医療法人弘恵会ヨコクラ病院院長 平成  2年  4月  福岡県医師会理事

平成18年  5月  福岡県医師会会長 平成22年  4月1日  日本医師会副会長

平成24年  4月1日  日本医師会会長(至現在)

平成25年  4月  久留米大学医学部 客員教授(至現在)

平成29年10月  世界医師会 会長 

ドキュメント内 第13回日本禁煙学会学術総会抄録集PDF版 (ページ 37-79)

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