• 検索結果がありません。

130 20.株式会社矢島防水布加工所

ドキュメント内 untitled (ページ 138-141)

130

131

(4)現経営者のキャリア 

社長の淳一さん(68 歳)は後継者として、大学卒業と同時に昭和 44 年 4 月入社する。将来は 後継者として、じっくり帝王学を学ぶ生活であったという。高度成長時代の昭和のご時世であり、

経営は順調であった。しかし入社 3 年目、父の突然の急死に伴い 2 代目経営者に就任する。心の 準備もないまま 27 歳で 2 代目社長に就いた。まだ独身であった。爾来 40 年間荒波にもまれ現在 に至っていろ。地元本庄市経済界では最古参の経営者の一人として若手経営者の育成や相談に応 じ、商工会など公職に就き地域発展に尽力している。 

 

(5)事業継承の成功のポイント 

次期後継者は長男・豊さんと決定していて、継承日は 2015 年 1 月 1 日を予定している。温厚で 職人気質の父が創業したこの会社は代々守りたい。技術の継承を含め家族で継承したいと社長は 願っていた。 

2014 年冬季の最中、北関東を襲った大雪で渋川工場は大きな被害を蒙った。本格的な改修はこ れからである。次への時代を考える際、時代は大きな転換期を迎えたのかも知れない。渋川工場 の大幅修理と本社工場のライン整備と並行して視野に入っている。新たな発想で次世代を迎える 必要な時期となった。 

そして数年前に病に倒れ、リハビリ中で、車いすでの生活を余儀なくされている妻の介護の問 題である。長男が大学卒業と同時に入庁した、慣れ親しんだ福島県庁の仕事を辞めてまで、父の 事業を継ぐ決意をしたのは母の看病のこともある。本庄と渋川の往復、日常的な公職活動、地元 経済界人との付き合いであまり家庭を温める暇もない父を見ていたからである。母の看病に専念 してほしいと願っての決断だった。   

 

(6)苦心談 

37 歳になった長男豊さんが勤務していた福島県庁を辞め、矢島防水布加工所に入社して 1 年半 が経過した。ようやく次期経営者に就任することを承諾したのである。 

工場再構築の目途がついてきた。そして当初借入金を完済してから事業継承との腹積りが、退 職金代わりに積み立てていた保険金解約で充当可能であると、後顧の憂いが一つ消えた。 

  40 年以上経営してきたこの会社を、僅か1年半の経験者に託すことができるか。家族的経営を 継続してきた、経営者はだれより優れた職人たれと理念に掲げた経緯があるのである。 

  継承後は、代表権は譲り、代表権のない会長に就任する予定だ。経営には一切口をださないこ とを明言している。相談があった際のみ、相談に乗ると決意している。その後は一介の職人とし て仕事に従事する。その一方で妻の看病に尽く積りである。 

 

(7)後継者 

  次期経営者の豊さんが事業継承の条件として最初に挙げたのは、代表権を持つことであった。

一切を任せてもらい経営に口を出さないことであった。公職や付き合いごとには関与せず、一途 に経営のリストラクチャリングに取り組みたいという。 

職人としての技術不足については、理工系の出身であるため、そんなに真剣に心配はしていな い。精神的には負担感は少ない。時間が解決してくれると意にも解さない。 

132

100%藤倉ゴムの下請けであり、生産拠点が国内から海外へシフトしている現状を冷静に判断し ている。受注高は漸次減少しているのである。次期経営者は社員と職人気質を学び、職人になる ため懸命に技術の修得に向けて、社員と会話を続けている。 

 

(8)要望・意見 

  社長の矢島さんは、ようやく事業を継承することを決意した長男の豊さんに感謝しているだろ う。なかなか顧みようとしても、十分な世話ができなかった妻の看病にこれから相当時を割ける ことができるからに他ならない。代表権の譲渡と借入金の返済で次期社長も存分に力を発揮でき る環境が整ったことになる。県庁職員で農業専攻・出先機関の職員であった。現仕事は全くの素 人である。 

技術の修得は最低 10 年は要するだろうし、継承準備期間は僅か1年半余り、常識的には最低 5年は必要であろう。経営者としての資質を如何に上昇させるか、学び、気づきは本人の心掛け 次第である。平均年齢 40 歳を超す社員との良好な関係は仲を取り持つ技術、匠の技の獲得が必要 であろう。 

  当社の置かれている位置は微妙な位置にあると考えられる。大いなる発想の転換が必要なので はないだろうか。将来の展望は 80 年以上積み上げてきた技術と匠の技を後継者がいかに受け継ぎ、

新たな画期的な製品を提供し、新たな取引と市場を開拓するかにあると思われる。 

以上 

(野口  具秋) 

133

ドキュメント内 untitled (ページ 138-141)