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12.逮捕及び拘留 – 法律上の権利

ドキュメント内 Microsoft Word _8_9 パキスタン COI 日.docx (ページ 90-100)

初期供述調書(FIR)

12.01 米国務省(US Department of State)が2013年4月19日に公表した国別人権報告書2012 (USSD Report 2012)によれば、

『初期供述調書(First Information Report: FIR)は、一切の逮捕について、その法的な根拠 となるものである。警察がFIRを作成できる状況は限られているが、特定の状況では警 察はFIRを作成できる。当事者は、犯罪の合理的な証拠の有無に関係なく、犯罪の種類 に応じて異なるFIRを提出しなければならない。 FIRを作成することで、警察は、これ に記載した被疑者を 24 時間勾留することができる。 その後は、警察がかかる拘留が取 調べを行うに際して必要不可欠であることを示す場合には、唯一治安判事(magistrate) のみが、当該拘留期間をさらに 14 日間延長する旨の命令を下すことができる。一部の 当局は、上記の拘留期限を遵守しなかった。報告によれば、当局は被拘留者に嫌がら

せや脅迫行為を行うために、裏付け証拠がなくてもFIRを発行したり、十分な証拠が提 示された場合でも、告発者が賄賂を支払わない限りFIR を発行しなかったりした。』

『複数の報告によれば、一部の警察は何の容疑もなく、或いは虚偽の容疑をかけるこ とで恣意的に個人を拘留し、こうした者の釈放の便宜を図ってやることでお金を巻き 上げた。複数の報告によれば、一部の警察はさらに、指名手配中の容疑者が自首を行 うことを余儀なくされる状況を作り出すためにその血縁者を拘留した。』

『警察は、日常的に、被疑者の取調べを行う際の拘留についてその許可を治安判事 (magistrate)に請求することはせず、さらには、裁判所が異議を唱えるまで、何ら容疑 もなく拘留を続けることも度々あった。請求があれば、治安判事(magistrate)は、通常 の場合、取調べのための拘留につき、その正当な根拠を問うことなくこれを許可し た。必要な証拠が揃わない場合には、警察及び治安判事(magistrate)が時に結託して FIR を新たに発行し、法律上規定のある14日間の拘留期限をこえて拘留を続けた。』[3n]

(1d節)

12.02 パキスタンの市民警察協議会(Citizens Police Liaison Committee)(CPLC)がウェブサイト (2011年3月14日閲覧) 上で述べたところによれば、初期供述調書(FIR)は、

『...警察が裁判管轄権内にある犯罪行為について情報を受理する際に作成する文書であ る。これは、警察に初期の時点で通報される情報の報告書である。初期供述調書と呼 ばれるのはこのためである。一般的には、裁判管轄権内にある犯罪の被害者又はその 代理が警察に提出する苦情である。裁判管轄権内にある犯罪行為は、口頭又は書面で 誰でも警察に報告することができる。電話の伝言もFIRとして扱われることがある。

FIRを遅滞又は理由なく登録することは警察の職務であり、FIRを受理しないことは犯 罪に値し、当該警察官を懲戒免職にする理由になり得る。』 [121a]

12.03 CPLCは裁判管轄権内にある犯罪とない犯罪について以下のように説明している。

『裁判管轄権内にある犯罪は:裁判管轄権内にある犯罪は、警察が令状なしに個人を逮 捕できる犯罪である。警察は、裁判管轄権内にある犯罪については、取調べに独自に当 たる権限を付与され、裁判所の命令を得る必要はない。

『裁判管轄権内にない犯罪:裁判管轄権内にない犯罪は、警察官が令状なしに逮捕する 権限を与えられない犯罪である。警察はかかる犯罪については、裁判所の許可がない限 り、取調べを行うことができない。』[121a]

12.04 民主的な説明責任の醸成を目指す42の市民団体で構成されるネットワーク、自由公正

な 選 挙 ネ ッ ト ワ ー ク(Free and Fair Election Network Free and Fair Election Network)

(FAFEN)が2012年2月20日付けの記者発表で述べたところによれば、FAFENの監視団は

2011年10月から12月にかけてパンジャブ州(Punjab)、シンド州(Sindh)及び、イスラマバ ード首都圏(Islamabad Captial Territory)(ICT)71地区の警察署131箇所を訪問した。報告に よれば、監視した警察署の22%で、初期供述調書を登録するために賄賂を払わされた という話を聞いたということである。[130b]

12.05 カナダ移民・難民局(Immigration and Refugee Board of Canada)(IRB)が、初期供述調書に 関する2010年11月4日付けの情報の照会に対する回答書(Response to Information Request) の中で、報告したところによれば、2010年10月8日のパキスタン人権委員会(Human Rights Commission of Pakistan)(HRCP)の代表とのやり取りの中で、代表は『... パキスタ

ンのある地域の警察が別の地域の個人に対するFIRを確認した場合は、所轄警察が、特 に重大な政治に関わる事件、又は、国民の注目を集める又は警察のより積極的な容疑 者捜査を必要とする事件等の、特別なFIRに注意を促さない限り行動しないことになっ ていると述べた。』[12q]

12.06 同じ問題についてIRBが接触したラホール(Lahore)を拠点とする弁護士とのやり取り

を、以下のように記録している。

『FIRを追跡する国家制度はなく、州レベル又は組織レベルで各警察組織間の系統的連 携を図るシステムもない。ある地区の警察官は、犯罪及び容疑者を暗示する回覧書が発 行されない限りは、他の地区で登録されたFIRについて知ることはできない。従って、

警察が容疑者を実際に追跡し、他の地区又は州での捜査及び逮捕命令を受けない限り 加害者は捕まらない。』[12q]

12.07 IRBは同弁護士がテロ関連事件について以下のように述べたと記述している。

『テロ事件(自爆爆弾攻撃等)の場合はその多くにおいて、事件の知らせは密林火災のよ うに瞬く間に伝わる。関係する警察は容疑者の似顔絵を公開することが多い。またテロ 事件の多くでは、所轄以外にも情報を提供するべき認識可能な/名前が公表された容疑 者に対するFIRが登録されても、警察は非効率で、人材も足りないため、重大な事件で も時間がかかることが多い.…

『テロ事件は他の事件よりも重大に扱われる。テロ容疑者に関する情報は、他の情報よ りも頻繁且つ迅速に同じ州の他の地区や他州にも回覧されていると思う。ただし、どの 事件でも慎重かつ効率的に行われているという意味ではない。』 [12q]

司法 : 反テロリズム法及び法廷も参照のこと。

12.08 IRBはさらに、FIRが発行された場合のパスポートの差押えについて以下のように述べ

た。

『HRCPの代表の説明によれば、警察のFIRの受理は州の責任であり、パスポートは中 央政府が発行するため、複数のFIRで告訴された個人でも、中央政府がパスポート発行 を禁じる命令を特に下さない限りにおいて、パスポートの発行を禁じられないという ことである... また弁護士によれば、容疑者が「捕まっていない」場合も、「保釈が認め られる犯罪の容疑者は、逮捕前に保釈許可を受けることが可能で、事件が重大な場合 でも高等裁判所に保釈を求めることができるため、FIRはパスポートを取得する障害に はならない...」[12q]

12.09 IRBが2007年11月19日付けの情報の照会に対する回答書(Response to Information Request) の中で、2007年10月31日のカラチ(Karachi)を拠点とする弁護士とのやり取りの後にIRB がパキスタンの出国管理について述べたところによれば、『.…FIRを発行されたパキ

スタン人[sic]も出国することができる。また同弁護士によれば、「FIRの発行により自

動的に出国が禁じられることはない。FIRは根拠のないでっち上げや...敵対者に対する 嫌がらせで出されたものであることが多く、最終的に誤報であることが確認され却下 されることがよくある。」』[12l]

出国と入国: 旅券 及び出国管理リスト(ECL)も参照のこと

12.10 国際危機グループ(International Crisis Group)(ICG)の報告によれば、ザルダリ大統領は

2011年8月12日に、政党令(Party Political Order)(2002)を(2002年)を連邦直轄部族地域 (Federally Administered Tribal Areas)(FATA)に拡張する決定に署名した。ICG によれば大 統領は辺境地域刑事法規(Frontier Crimes Regulation)(FCR)も改正し、

『...逮捕後24時間以内の収監者の当局出頭を義務付け、これまで部族に禁じられていた 保釈権利を付与したということである。大統領の広報官の話では、これによって、部 族民による犯罪又は領土内での犯罪に対する部族全体の集団的処罰を認めるFCRの規 定は「緩和される」、つまり、2009年に提言されたように、女性、子ども及び高齢者 が集団的処罰条項から除外されるだろうとのことである。』[20a]

司法: 辺境地域刑事法規(FCR)も参照のこと。

拘留、保釈及び判決手続き

12.11 USSD Report 2012によれば、

『個人は収監者と面会するために頻繁に賄賂を払わなければならなかった。外国の使節 は裁判所に出頭すれば収監者と面会することを許され、通常は刑務所内で面会するこ とができたが、政府高官は立入りを遅らせることもあった...

『県の調整職員は州内務省に90日間の予防的拘留を勧告することができる。内務省の 承認が得られる場合は、さらに90日間延長することができる。法の規定では、被拘留 者は逮捕後30日間以内に出廷させなければならない。

『裁判官は、警察や地域住民の求めに応じて、或いは賄賂を受け取ることで、こうし た保釈請求を却下することがあった。場合によっては、FIRの発行から6 ヵ月もの間、

裁判が開始されず、なかには公判前の拘留期間が当該犯罪行為に対して適用されうる 刑期の最長を上回る事例もあったという。SHARP[人権擁護及び囚人支援に関する団体 (Society for Human Rights and Prisoners' Aid)]の概算では、刑務所に収容されている者の およそ75%が、裁判の開始を待っている者であったとした。多数の収監者が裁判を待 たされる状態は国内刑務所の大きな負担となっている。収監者に対する罪状通知が迅 速に行われる場合もあった。

『複数のNGOの報告によれば、冒とく事件では、被告は死刑を求刑されていて、逃亡 の可能性があることを理由に保釈が却下されることもあった。』

12.12 2012年5月24日に公表されたUSSD Report 2011によれば、

『法律では、保釈の対象となる犯罪及び保釈の認められない犯罪が定められている。

2011年4 月18日、ザルダリ(Zardari)大統領は刑事訴訟法(改正)法案(Code of Criminal

Procedure(Amendment)Bill 2011に署名したが、これは審理中の被告人、及び規定の期

限を超えて第一審と上訴が審理中である受刑者に、法廷保釈を与えるものである。死 刑に値しない犯罪で告訴されている場合で、 1 年間拘留されている場合には、審理中 の被告人は同法の下で法定保釈を受ける権利がある。死刑に値する犯罪については、

審理が2 年で終結しない場合、容疑者には法定保釈の資格がある。』[3n] (1d節)

12.13 2012年7月31日に公表されたUSSDのテロリズムに関する国別報告書によれば、

『ザルダリ(Zardari)大統領は2011年6月に、「社会的権力賛同行動規則(Action in Aid of Civil

Power Regulation) 2011 」に調印した。これは、連邦及び州直轄部族地域における反政 府勢力の拘留枠組みを新たに規定するものである。この規則では、治安部隊が紛争時 に捕獲する被拘留者の捕獲、拘留及び処理に関する法的枠組みを定めたものである。

人権擁護組織は、この規則はパキスタン軍に広範囲の権限を付与するものであるとし てこの規則を批判した。組織の主張によれば、この規則は、パキスタンの国際人権条 約に定める義務と矛盾するということである。しかし、この規則はこれまでにない法 的枠組みを規定しており、被拘留者をパキスタン刑法の下に訴追できるように民間の 拘留施設に移動させることが規定されている。メディア報道の指摘によれば、パキス タン当局はこの規則を2011年11月から施行し、年末までに一部の被拘留者を軍から民 間の拘留施設に移動する動きが見られた。』[3o](第2章。国別報告書: 南アジア及び中 央アジアの概観)

12.14 パキスタン人権委員会(Human Rights Commission of Pakistan)が2010年2月に公表した報告 書、2009年の人権状況 (HRCP Report 2009)で述べたところによれば、

『最高裁判所(CJ [裁判長]及び裁判官5人)は、382-B CrPC [刑事訴訟法382B – 有期刑の決 定時に考慮する拘留期間]の恩恵を与えられた有罪判決者の刑期を有罪判決の日ではな く、逮捕日から数えるべきだと裁定した。裁判所によれば、刑務所で費やされた未決 拘留日数を算入するべきということである。裁判所が 382-B CrPCの恩恵を付与した有 罪判決者に、未決拘留日数の算入を許可しないのは、憲法の意図に含まれる自由を剥 奪するのも同然であるとする裁定が下された。』[27c] (p41)

12.15 HRCP Report 2011が公判前の被拘留者について述べたところによれば、

『これまでと同様に、収監者の多くは未決拘留者であった。禁固刑が優先されること で収容者数は増える一方であった。これは、少額の罰金を支払う経済的余裕がないた めだけに釈放の道を失い収監されている者が多数いるためであった... 過密状態の刑務 所では、有罪判決を受けた常習犯と公判を控えた犯罪者又は初犯者を分離するのは不 可能であった。... (p60) 大統領は2011年4月に、死刑に値しない犯罪で求刑を受け、1年 間拘留されていることを条件に、未決囚に制定法に従う釈放を受ける権利を許可する 法案に調印した。』[27g] (p61)

12.16 また同報告書によれば、『パンジャブ州(Punjab)では、収監者の65パーセント(35,215人) が未決拘留されており、審理中も拘留されていた... シンド州(Sindh)には10,865人の未 決囚がいた。』[27g] (p62)

12.17 USSD Report 2012によれば、

『法の下で汚職訴訟に関する法廷を設立する国家説明責任局(National Accountability Bureau:NAB)が法廷に持ち込んだ訴訟には、特別規則が適用される。容疑者は告訴 されることなく 15 日間の拘留が可能であり(裁判官の同意があれば延長可)、起訴前 に法廷弁護士と接触を断たれる可能性がある。この年、NAB がこの権力を行使するこ とはまれであった。NAB 管理下の犯罪は全て保釈の対象とならず、NAB 局長のみが拘 留者を釈放するか否かを決定する権力を持つ。

『被告人が有罪であると確信する正当な理由が法廷にある場合、反テロ法廷は、一部 の容疑に保釈を認めない決定権を有する。

『FATAではFCRの下において、部族の政治機関が人々を予防拘留し、好ましくない行

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