おわりに
本研究は,中学校数学の学習指導においてアナロジーが有効に機能する可能性を探 るものであった。幾つかの先行研究と,それに基づいた中学生を対象とした実験授業 から,そういった指導の一定の有効性が期待できるという見解が得られた。しかし,
この研究は,先にも述べたように,そういった学習にふさわしい教材の開発や指導法 の改善によって,更なる深化を遂げる可能性があるようにも思われる。また,何より もそういった学習が,生徒白らが類推や類比を利用しようとする「アナロジー思考」
の促進へとつながることを念じてやまない。
今後は,本研究で得た知見を,学校現場において役立てながら「実践と研究」に適 進していきたい。また,そうすることで,筆者自身の教育者としての資質を高めるだ けでなく,このような研修機会を与えていただいた事や,研究を支えて下さった方々 への感謝の意となると考えている。
最後になりましたが,本研究を進めていくにあたり,適切な教示並びに懇切丁寧な ご指導をいただきました國岡高宏尭生に心よりお礼申し上げます。また,学会発表前 など様ふな機会を通して適切な助言を与えていただきました崎谷眞也先生,加藤久恵 先生,清中裕明先生をはじめ数学教室の先生方に深く感謝申し上げます。加えて,お 世話になった國岡ゼミの方々や院生の先輩方及び同期生の方々に感謝申し上げます。
また,本大学院への派遣機会を与えていただきました兵庫県教育委員会,猪名川町 教育委員会に深く感謝申し上げます。さらには,猪名川町立猪名川中学校の前西義弘 校長先生,同前校長の本井勝校長先生をはじめ教職員の方々,ならびに授業や調査に
ご協力をいただいた先生方や生徒のみなさんに心からお礼申し上げます。
2011年12月20日
引用文献
1和文】一
岩崎秀樹,岡崎正和(1997).「算数から代数への移行とその指導に関する研究(1)一学 枚数学における代数和の位置づけとその指導一」,日本数学教育学会『第30回数学 教育論文発表会論文集』,pp.241・246.
岡田樟雄(2000).『算数・数学科重要用語300の基礎知識,中原忠男編』,明治図書.
川下孝幸(2005).「算数教育における類似探究授業の研究」,兵庫教育大学院修士学位 論文、
國岡高宏(1995).「数学学習における「表象」の研究(V)一アナロジーの構造,概念の 具象化,ソースとターケットー」,日本数学教育学会『第28回数学教育論文発表会
論文集』,pp.31・36.
國岡高宏(1996).「数学学習における「表象」の研究(W)一数学の学習指導におけるア ナロジの不可避性一」,日本数学教育学会『第29回数学教育論文発表会論文集』,
pp.247−252.
國岡高宏(2007).「数学教育におけるアナロジーの研究(1)一数学の理解に果たすアナ ロジ]の機能一」,全国数学教育学会誌『数学教育学研究』第13巻,pp.67・73.
國岡高宏(2009)、「数学教育におけるアナロジーの研究(2)一概念メタファーによる数 学学習の分析一」,全国数学教育学会誌『数学教育学研究』第15巻 第2号,pp,17・27 崎谷眞也(1995).「問題解決スキーマとその構成に関する考察」,全国数学教育学会誌 『数学教育学研究』第1号,pp.9・17.
崎谷眞也(1996)、「問題解決スキ]マとその構成に関する研究」,広島大学学位論文.
崎谷眞也他(2005).「類似探究授業に関する考察(I)一概念構成を目的とした類似探究 授業における類似性の認知メカニズムー」,全国数学教育学会誌『数学教育学研究』
第11巻,PP.89−g71
佐々木徹郎(2010).「第4章,数学教育の今日的課題」,数学教育研究会『数学教育の 理論と実際〈中学校・高等学校(必修)〉』,聖文新杜.
G、ポリア著,柿内賢信訳(1954).『いかにして問題をとぐか』,丸善株式会社.
G.ポリア著,柴垣和三訳(1959).『帰納と類比,数学における発見はいかになされる か1』,丸善株式会社.
添田佳伸(1989).「数学教育におけるレトリカルコミニュケ]ションについて一教師が 意図的に隠喩を用いることの有効性について一」,日本数学教育学会『第22回数学 教育論文発表会論文集』,pp.239,244.
添田佳伸(1998).「数学教育におけるメタファーの役割一メタファーと創造性について 一」,日本数学教育学会『第31回数学教育論文発表会論文集』,pp.241・246.
田村司(2011).「類比による数学的な思考」,群馬大学教育学部付属学校教育臨床総合 センター『群馬大学教育実践研究』別冊 第28号,pp.21・30.
申智伸(1999).「数学教育における例題学習に関する研究」,兵庫教育大学院修士学位 論文.
日本数学教育学会(1984)、『算数教育指導用語辞典』,教育出版.
橋本正継(1992).「数学の教授・学習過程における比喩について(I)一教授活動におけ るメタファーの役割一」,.日本数学教育学会『第25回数学教育論文発表会論文集』,
pp.155−160.
福井武彦(2011a).「中学数学における教育的アナロジーを用いた指導の研究一ソース とターゲットの対応を明示的に示す指導法の有効性とその教材開発一」,全国数学 教育学会誌『数学教育学研究』第17巻 第2号,PP.167・1+7.
福井武彦(2011b).「中学数学における教育的アナロジニを用いた指導の研究一アナロ ジーを利用する指導法の有効性に関する実験授業一」,全国数学教育学会第34回研 究発表会発表資料.
福井武彦(2011c).r数学指導における教育的アナロジーの研究一中学校r比例・反比例」
での実験授業より一」,日本数学教育学会『第44回数学教育論文発表会論文集』,
pp.261−266.
文部科学省,国立教育政策研究所(2007〜2010).「平成19〜22年度 全国学力・学習 状況調査 解説資料 中学校数学」.
文部科学省,国立教育政策研究所(2007〜2010).「平成19〜22年度 全国学力・学習 状況調査【中学校1報告書」.
文部科学省(2008).『中学校学習指導要領解説数学編』,教育出版.
1教科書】
川口廷他(198白)、『中学校数学2』,学校図書.
福森信夫他(2001).『数学1年』,啓林館.
岡本和夫他(2011).『未来へひろがる数学1』,啓林館.
橋本吉彦他(2011).『たのしい算数6土』,大日本図書.
【欧文】
Davis,R.B.(1984).Zθ〃〃ノ石gル秘θ皿∂む08,Croom He1m Ltd,pp.313.
Jaworrski B、(1988)、 Is versus seeing as :Constructivism andthe Mathematics C1assroom in Pi血m D.(Ed.)〃ヨ肋θ皿批ゴ。8,%ao加州舳∂0〃〃γθ刀,
pp.287・296、
Rich1ana,L.and MlcDonough,I.(2010),Learning by ana1ogy:Discriminating between potentia1ana1ogs, 0o〃θ血ρo〃rア刀♂〃2方。刀2/P8ア。ム。/o8y35,pp.28_
43.
Vergnaud,G.(1982). AC1assificationofCognitiveTasksand Subtraction
Prob1ems ,Carpen七er,T.P.et.(eas、),λ〃〃。刀2石ゴ8σ肘〃。虹。刀,LEA,pp.39・59.
参考文献
【和文】
キース・J・ホリオーク,ポール・ザカード(1998).『アナロジ』の力「認知科学の新 しい探究」』,(鈴木宏昭,河原哲雄,監訳),新曜杜.
鈴木宏昭(1996).『認知科学モノグラフ① 類似と思考』,共立出版.
細谷功(2011).『アナロジー思考』,東洋経済新報杜.
山田浩貴(2006).「文章題の解決における問題スキーマの役割とその構成に関する研 究」,兵庫教育大学院修士学位論文.
<参考資料>
1.統制群の授業における演習問題プリント・・・・・・・… ①〜④ 2.事前・事後テストの結果分析・・・・・・・・・・・・… ⑤〜⑫ 【1】事前テストの問題別の解答人数と正答率及び誤答例
【2】事後テストの問題別の解答人数と正答率及び誤答例 ①実験群
②統制群
3.実験群における授業終了時の生徒の感想・・・・・・・… ⑬〜⑯
11統制群の授業における演習プリント
比例・反比例の問題演習 2牛( )組( )番(
(1)比例 γ=5π 上にある点の座標を次のア〜オの中から1っ選べ。
ア (一5 ,O)
イ (5,1)
ウ(一1,一5)
工 (0 ,5)
オ (1,一5)
(2)反比例 18 γ=■一 x
ア イ ウ エ オ
上にある点の座標を次のア〜オの中から1っ選べ。
(0 ,O)
(9 ,一2)
(一1 , 一18)
(9,2)
(18,1)
(3)yは κに比例し、κ=5 のとき γ=一10 である。yをκの式で表せ。
(4)・yは xに反比例し、x=4 のとき γ=9 である。yをxの式で表せ。
次の(5)比例、(6)反比例のグラフから、それぞれyをκの式で表せ。
(5) y (6)
(一1,一3)
O
y
(4,8)
O
(7)下の表は,yがπに比例する関係を表したものである。yをκの式で表せ。
γ
一3 −2 −1 0 1 2 3 24 16 8 0 .8 .16 24
(8)下の表は,yがxに反比例する関係を表したものである。yをxの式で表せ。
一3 −2 ・1
8 12 24
1 2 3
24 12 .8 ・・
<文章から>
次の文のうち、yが κに比例するものに○、yが πに反比例するものに△、どちらでも ないものには×を記入せよ。
(9)分速κmで 800mを歩いた時にかかった時間をy分とする。
(10)100皿入る容器ヒ、毎分5皿の割合でκ分水を入れていくとき、たまった水の量をy皿 とする。
(11) 100皿入る容器に、毎分刎の割合で水を入れていくとき、いっぱいになるまでの時間 をy分とする。
(12)時速80㎞でκ時間走った時の、走った距離をy㎞とする。
(13)30mのひもからκm切り取ったときの残りの長さをymとする。
<表から>
次の xとyの関係を示す表をみて、yが κに比例するものに○、yが πに反比例する ものに△、どちらでもないものには×を記入せよ。
(14)
γ
4 3−2−10 1234
.3 4 −6 −12 × 12 6 4 3
(15)
一4 −3 2 I1 0 1 2 3 4 一5 −2 1 4 7 10 13 16 19 ・・
(16)
γ
一4−3−2・101234
10 2 −7 8 0 3 9 −5 I1 ・・
(17)
γ