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(1)捜査力・執行力の充実強化等

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捜査要領や技能について教育訓練を行うとともに,警察大学校特別捜査幹部研修所において,上級の捜査幹部 として必要な捜査指揮,捜査管理等の専門技術についての研修等を行っている。

特に,国際化の進む組織犯罪に対しては,警察大学校国際捜査研修所において,国際捜査に関する実務研修,

語学研修,海外実務研修等を実施している。都道府県警察においても,国際捜査に従事する捜査員に対する教 育や通訳担当者も参加する実務的な語学研修等を実施するとともに,6年度からは,特に高い語学能力を備え た者を特別に採用し,国際捜査力の確保に努めている。また,部外の通訳人を依頼することなどにより通訳体 制の整備も進めている(エ参照)。さらに,来日外国人犯罪の捜査に従事する警察官には,外国語はもとより,

出入国管理,国際捜査共助,刑事手続等に関する条約その他の内外の法制等,極めて幅広い分野に関する特別 の知識が要求されることから,警察庁では,国際捜査実務に関する研修を行っている。

ウ 捜査手法の充実

組織的な犯罪に効果的に対処するためには,犯罪収益のはく奪による資金面からの対策を推進するとともに,

新たな捜査手法を有効に活用することが必要である。

警察では,薬物犯罪組織に対して,薬物犯罪収益のはく奪による資金面からの打撃を与えるため,4年7月 に施行された麻薬特例法による薬物犯罪収益等の隠匿,収受及び仮装(マネー・ローンダリング)の事件化,

薬物犯罪収益等の没収,追徴及び保全の徹底等の薬物犯罪収益対策を強力に推進している(表1-12,表1-15)。

また,薬物犯罪組織の壊滅を図るため,コントロールド・デリバリー等の効果的な捜査手法を積極的に活用し ている(表1-16)。

また,12年2月に施行された組織的犯罪処罰法により,14年中に加重規定(第3条第1項等)を13件適用す るとともに,犯罪収益等隠匿(第10条第1項)を19件,犯罪収益等収受(第11条)を9件検挙している。また,

警察の請求により起訴前における没収保全命令(第23条第1項)が5件発出されている(表1-17)。

12年8月に施行された通信傍受法に基づき,14年中は,組織的な薬物密売事犯2事件に関して,合計4件の 傍受を実施し,その結果,合計7人の密売人等を逮捕した。

一方,今後の銃器事犯捜査には,銃器そのものの押収という観点に加えて,銃器を不正流通させ,所持する 犯罪組織そのものに打撃を与え,これを壊滅させていくという,組織犯罪対策的な観点が求められる。

そのために,警察としては,これまで実施してきたクリーン・コントロールド・デリバリー等の捜査手法に 加え,高度な捜査技術の取得・実施,日常の訓練,関係機関との密接な連携,通信傍受法等の新たな法律に関 する知識の習得,けん銃発見等のための装備資機材の開発整備等を一層行っていく必要がある。

1

組 織 犯 罪 と の 闘 い

業として行う不法輸入等(5条)(件) 

薬物犯罪収益等隠匿(6条) 

薬物犯罪収益等収受(7条) 

区分  年次 

43  0 14 18 

0 13 34 

0 12 18 

0 11 20 

0 10 24 

1 9 23 

0 8 0 7 1 6 0 5 0 4

表1-15 麻薬特例法の適用件数の推移(平成4年7月施行〜14年)

エ 通訳体制の整備

近年,アジア諸国等出身者を中心とする来日外国人犯罪の増加に伴い,アジア諸国等の言語の通訳人の需要 が急増している。イで述べたとおり,都道府県警察においては,高い語学能力を備えた者を警察職員として採 用し,取調べにおける通訳等に当たらせているが,警察部内でそのすべてに対応することは困難であり,通訳 の一部を部外の通訳人に依頼して対応している。これらの部外通訳人に対しては,刑事手続等への理解を深め られるよう,「通訳ハンドブック」等を配布したり,各種研修会等を開催している。また,通訳人の運用に当 たっては,夜間等に突発的に発生する事件に迅速に対応するなどの必要があるため,都道府県警察に通訳セン ターを設置するなどして,その体制の整備に努めている。

なお,被疑者に対しては,刑事手続の流れ等について各国語の対訳を作成し,適宜被疑者に提示しながら通 訳人を介して説明するなど,被疑者の権利内容等の理解の徹底を図っている。

組 織 犯 罪 と の 闘 い

組織的な犯罪の加重処罰(3条等)(件) 

犯罪収益等隠匿(10条) 

犯罪収益等収受(11条) 

起訴前の没収保全命令(23条) 

区分  年次 

13  19  5 14

11  10  1 13

3 12

表1-17 組織的犯罪処罰法の適用状況の推移(平成12〜14年)

暴力団幹部が,管理売春で得た現金を含む犯罪収益等であることを知りながら,売春クラブからいわゆる 用心棒料として現金150万円を徴収したことに対し,組織的犯罪処罰法11条(犯罪収益等収受)を適用して検挙した

(警視庁)。

事例1

暴力団関係者が,犯罪目的であることを知らない知人に銀行口座を開設させ,野球賭博を開張して得た現 金約5,700万円を前記知人名義の口座に振込入金させて,犯罪収益を取得した事実を仮装したことに対し,組織的犯罪処 罰法第10条(犯罪収益等隠匿)を適用して検挙した(京都)。

事例2

実施件数  年次 

26 14 28

13 29

12 19

11 29

10

オ 国際的な連携の強化

(ア)外国捜査機関との協力

国際犯罪の増加に伴って,外国捜査機関に対する各種照会や証拠資料の収集の依頼等を行うことが一層重要 となり,従来に増してICPOルートや外交ルート等による外国捜査機関との情報交換を始めとした相互協力 の必要性が高まっており,国際的な捜査協力は,国際組織犯罪の摘発に大きく貢献している。

過去10年間に警察庁が行った国際犯罪に関する情報の発信・受信件数は,表1-18のとおりであり,14年は 5年と比べて2.1倍となっている。また,外国からの要請に基づき捜査共助を実施した件数及び外国に対して捜 査共助を要請した件数は,表1-19及び表1-20のとおりであり,その大半はICPOルートによるものである が,外国に対して捜査共助を要請した件数は,10年以降大幅に増加しており,14年は5年と比べて2.7倍とな っている。

1

組 織 犯 罪 と の 闘 い

通訳体制整備のため実施している語学の研修会

総数(件) 

警察庁からの発信数  警察庁の受信数  国際手配書の受理数 

区分  年次 

19,117  2,787  14,132  2,198 14 17,342 

2,585  13,215  1,542 13 15,568 

2,468  11,815  1,285 12 11,844 

2,123  8,846  875 11 10,526 

2,147  7,416  963 10 9,347  1,938  6,538  871 9 8,228  1,902  5,473  853 8 8,877  1,727  6,101  1,049

7 8,703  1,605  5,778  1,320

6 9,073  1,894  6,069  1,110

5

表1-18 国際犯罪に関する情報の発信・受信件数の推移(平成5〜14年)

我が国において台湾人が自動車窃盗を敢行し,被害自動車をそのまま又は解体して台湾に輸出していた組 織的高級自動車窃盗事件について,2002年(14年)6月以降,ICPOルートを通じて台湾警政署と相互に捜査共助を 実施した結果,既に我が国で窃盗罪で検挙していた台湾人4人に関する裏付け捜査を遂げた一方,台湾警政署では,我が 国側が提供した情報に基づいて,被害自動車を台湾で販売していた台湾側首謀者を検挙し,多数の被害自動車を押収,そ の一部が被害者に返還されるに至った(兵庫)。

事例

(イ)国際刑事警察機構(ICPO-Interpol)との協力

ICPOは,国際犯罪捜査に関する情報交換,犯人逮捕と引渡しに関する円滑な協力の確保等の国際的な捜 査協力を迅速かつ的確に行うための各国の警察機関を構成員とする国際機関であり,2002年(14年)末現在,

181か国・地域が加盟している。

ICPOにおいては,各種の国際組織犯罪に関連する会合を開催しており,警察庁からもこれらの会合に積 極的に参加している。

このほか,警察庁では,捜査協力の積極的実施,事務総局への警察職員の派遣,分担金の拠出等により,I CPOの活動に貢献している。

組 織 犯 罪 と の 闘 い

ICPOルート(件)

外交ルート

区分 年次

827  19  14 1,106 

10  13 1,346 

12 1,090 

11  11 944 

10  10 788 

9 886 

16  8 716 

10  7 687 

6 673 

5

ICPOルート(件)

外交ルート

区分 年次

871 15 14 774

24 13 719

13 12 494

9 11 451

12 10 288

10 9 295

6 8 293

3 7 296

5 6 318

7 5

表1-20 外国に対して捜査共助を要請した件数の推移(平成5〜14年)

ICPO本部外観

(ウ)国際会議への出席

国境を越えて引き起こされる国際犯罪に対処するためには,国際的な捜査協力が不可欠であることから,近 年,サミット等の国際協議の場においても国際犯罪対策が重要なテーマとなっている。

警察では,犯罪の国際化に伴い,その防止,捜査及び検挙に向けて関係諸国との協議を行っている。2002 年(14年)中に警察職員が出席した主な国際会議は,表1-21のとおりである。

1

組 織 犯 罪 と の 闘 い

総 会

執行委員会 加盟各国の国家中央事務局(NCB)

(日本:警察庁)

事務総局

事務総長

管理計画政策室

警察総局

捜査支援局

特別犯罪局 地域・国家支援局

官房

情報システム・技術局 総務・財政局 法律顧問室

図1-73 ICPOの組織

1.29〜2.1 2.18〜2.20 2.18〜2.22 2.27〜2.28 4.16〜4.25 4.29〜5.1 5.7〜5.8 5.13〜5.14 5.14〜5.17 5.22〜5.23 6.4〜6.7 6.17〜6.28 6.18〜6.21 9.23〜9.24 10.9〜10.11 10.21〜10.24 10.23〜10.25 11.19〜11.21

FATF(金融活動作業部会)全体会合(香港)

G8国際組織犯罪対策上級専門家会合(カナダ)

ICPOアジア地域会議(スリランカ)

ICPO人の密輸に関する作業部会(フランス)

第11回国連犯罪防止刑事司法委員会(オーストリア)

G8国際組織犯罪対策上級専門家会合(カナダ)

FATF特別全体会合(イタリア)

G8司法・内務閣僚級会合(カナダ)

第18回環太平洋関税会議(米国)

ICPO国際支払いカード詐欺会議(フランス)

APG(アジア・太平洋マネー・ローンダリング対策グループ)年次会合(オーストラリア)

国連腐敗対策条約会合(オーストリア)

FATF全体会合(フランス)

ICPO国際組織車両犯罪シンポジウム(オランダ)

FATF全体会合(フランス)

ICPO総会(カメルーン)

G8国際組織犯罪対策上級専門家会合(カナダ)

FATF犯罪類型分析専門家会合(イタリア)

月日 会議名

表1-21 警察職員が出席した主な国際会議

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