瀧蝋’
NCO310
の普及率 82.299.11 47.595.8 40.292.7 51.0
100.0 44.0 96.5
(注)琉球政府経済局資料による。
った場合それに応ぜられる体制にあるとのことである。
(2)栽培技術戦前在来種や読谷山種の時代においては春植のみで蕨苗も梢頭部苗を用い1-2 本穴植するのが普通であった。そのため基肥として容積の大きい自給肥料を植穴に施すことは困難で あったため追肥主義が採用され廿蕨が伸びるにつれて堆,厩肥や緑肥を施す慣行であったが一般的に 施肥量は少なかった。その後POJ系大型種の普及は植付方法にも画期的変化をもたらし従来の穴植 から溝植にかわり春,夏2回の植付が可能になってきた。
多収品種は多肥を伴うので大型種の普及は施肥量の増加を招来した。NCO310の栽培法はPOJ系 大型種と大差はないがPOJ系に比して多収であることおよび春植,夏植とも2-3回の株出が実施さ れるため耕種標準の改善により施肥量の増加をはかることや管理面の集約化により生産量の増加をは かるべきである。管理面で重要なのは株出における残茎の長さ如何ということであろう。
栽培法の改善が省力や生産量と密接な関係にありまたそれによる生産量の増加が生産費の軽減に役 立つことは周知の事実である。廿蕨の場合労働費が4割以上の高率を占めているので,それの軽減と いう見地から労働の多くかかる耕起,溝堀り,培土,収穫,運搬労働の畜力化もしくは機械化はコス トの低減上大きな役割を果すものである。廿蕨の作業中過重労働でしかも集中労働を必要とする収 穫,運搬(この運搬労働は蕨園からトラックや牛馬車によ●農道までの作業である)労働中前者にお いては省力化の研究はまだなされていないが,後者については高台地や山地において空中ケーブル利 用による方法が一部取入れられているようである。山地開発や高台地における廿薦の栽培は各種の運 搬作業に多量の労働を要す●のでケーブルによる運搬は廿騰の費用軽減上においてもまた生産量増加 の面においても多大の効果をもたらすものと思う。
従来良苗の選択が生産量に大きく影響するとして,廿蕨苗における梢頭部苗,一段苗あるいは2,3 段苗と収量との関係,もしくは蕨苗の大小,芽の強弱と収量との関係等が研究されその結果2,3段 苗や大苗が収量が高いということが実証されてきた。しかし最近台湾での研究によれば,廿薦は苗の 大小や部位あるいは芽の強弱は生産量となんら関係はなく要は発芽の問題であって,発芽しさえすれ ば生産量の多少はその後の肥培管理の巧拙に依存するということである。生産量の多少は単位面積当 りの本数と一本当り重量に大きく依存するので密植により’0a当り収量の増加をはかる方向に研究が 進められているようである。
120 琉球大学農家政エ学部学術報告第12号(1965)
ハワイにおいては密植栽培によって生産量の増加をもたらしているということである。
台湾においてはパインに密植栽培が行なわれその結果として収量の増加,生果の斉一を招来しパイ ン缶詰の声価が上ったといわれている。台湾における廿蕨密植栽培の試験の結果は糖職における自営 農場の中間苗圃で実証されている。従来大苗で2,3段の健苗育成という見地からして栽植密度や一 株当り本数にも制限がなされ中間苗圃に相当の面積を要したそうである。ところが収量への影響がも っぱら苗の発芽のみにかかっているということになれば単位面積当り本数の増加ということが重要で あり密植栽培が取入れられるようになった。その結果中間苗圃の面積も従来より3~4割の軽減をみ たということである。密植栽培は薦茎の細茎化を招来するがそれによって中間苗圃において採苗本数 の増加をまた一般蕨園においては10a当収量の増加をもたらすものであるといわれている。
(3)経営組織の問題すでに述べたように,生産費の低減はその作物の生産費用について一定 費や変動費の軽減あるいは10a当収量の増加によっても可能であるが,広く経営全体の問題として解 決しなければその目的を達成することができない面も少なくないのである。
廿蕨の有利性にかんがみ,最近廿蕨作一辺倒の経営が目立ってきたが,自然的災害の多い沖縄にお いては災害に対する対策が整備されない限りこの一作偏重の経営は危険である。
去る1963年の72年ぶりの大旱ばつにおいて宮古地区では蕨茎の生産量が前年度の3分の1以下 に減少し,八重山地区では前年に比し39%の減収をきたしている。工場側の操業日数も未だかつて ない最短操業(55日)を記録し,工場では原料代も賄いえない赤字経営だといわれている。それに加 えて原料廿蕨の生育が悪いため節間が短く,ブリックスは相当高いが糖度が例年よりもおちるため精 製糖の製造不可能になりしたがって原料糖製造しかできないのでそれによる損失も大きいということ である。宮古地区の廿蕨一辺倒の経営に対し八重山地区ではパインや水稲の栽培も手広く行なわれて いるので旱害による収入減が農家経済におよぼす影響は宮古地区程甚だしくはない。
耕地の高度利用や資源の合理的利用あるいは労働力軽減のための労働手段の高度化等経営全体の立 場から検討しなければ生産費の低減は困難である。輪作上廿蕨と組合さるべき作物が収益の高いもの であり,それによって年間の収入を増加させる輪作方式を採用することによって生産費の軽減をはか ることは前述の通りであるが,一方間作によって廿蕨のコストを軽減する方法も講ぜらるべきである。
廿薦は夏植,春植ともに畦間が広いので廿蕨が相当の高さに伸びるまでは間作を行ないその収入によ
って廿庶の費用軽減をはかるわけである。台湾における糖廠の直営農場では間作に甘藷や大豆その他 野菜類を栽培しコストの低減に役立てている。沖縄でも都市近郊地帯においては野菜類をまた遠郊地帯においては間作に甘藷を栽培し養豚や肉牛 を取入れてコストの軽減に役立てたいものである。廿蕨と畜産との直接の結びつきについては,廿簾 の梢頭部や除けつ茎葉は大家畜の粗飼料給源として重要でありまた廿蕨の枯葉は敷草材料として特に
山林,原野に乏しい中部,南部,宮古等の地区においてはこれまた重要な給源である。3.生産基盤の整備
自然的災害たる台風や旱害の常襲地帯である沖縄においては,それに対する万全の策を講ぜない限 り生産力の安定は望めないであろう。生産費の軽減上重要な要因は品種改良と栽培技術の改善により
生産量の増加をはかることであるが,それと同様に重要なことは生産基盤の整備充実である。ことに灌概施設,土地改良,農道の整備は貿易自由化の線に沿って沖縄農業を近代化する上において重要な ことである。さんご礁地帯における生産力の伸び悩みは灌澱施設の不備が大きな原因である。
1963年度の72年振りの旱害は全琉の蕨茎産量においては2%内外の減収率であるが,ジャーガ
ル地帯においてはかえって増収をきたしたところもある。しかし宮古,八重山地区のさんご礁地帯に
おいて箸るしく生産量の減を招来したことは前述の通りである。池原:廿蕨の経営経済的研究(ID 121 交換分合による耕地の集団化は,耕地分散による種々の不利,不便を除き,各種農作業における転
換労働の軽減,畦畔の消失や減少による耕地面種の増加をきたし,農道の整備と相俟って機械力の使
用が有利に展開し生産量の増加をもたらし生産費の低減上大きな役割を果すことになる。かつて琉球農林協会においては,廿蕨作のコスト低減上協業化が必要であるという観点からモデル地区を設定し 協業化の計画までできていたようであるが,農家の協力が得られず初期の目的を達成することはでき
なかった。この計画は自由化対策上重要な役割りを果すので再度推進してもらいたいものである。V・生産費に関する諸問題
ここでは廿蕨生産費の各費目について云々するのでなく,廿蕨の生産費調査において新植廿蕨と株 出廿薦をどのように取扱った方がもっとも合理的であるかということについてその基本的な考え方を
問題にしたいのである。
それは廿蒔がいね,むぎ,大豆,甘藷のごとく一年生作物でもなくまた果樹等のごとく永年`性作物 でもなくその中間的存在であるというところに生産費に対する考え方も一年生作物や永年生果樹の場 合とは異なった一種独特の方法があるべきだというのが筆者の考え方である。それで以下述べる事柄
はすべて筆者の私見であることをおことわりしておきたい。明治,大正を通じての栽培品種たる在来種や読谷山種の頃はその栽植は春植のみで,その株出が何 回か行なわれ生産費の計算方法も宿根回数(株出回数)の如何によって算定されていた。明治37年 の資料によれば,整地費のごときは株出回数によって除した価を1カ年間の整地費として計上されて いる。しかしそれが果して合理的かどうかは別としてその考え方は参考にすべきであろう。
在来種にかわるにPOJ系品種の出現は春植の外夏植が可能となりその上春植においては株出が大 部分であったのに対し,夏植ではほとんど株出が行なわれなかった。それは植生上から不適でありか つ生産量も少なかったためである。その頃の生産費は夏植,春植,株出各々について調査され3者の
平均によって費用を算出するのが普通であった。POJ系品種に代るにNOO310の出現は夏植,春植の新植はもちろん両者とも株出が可能となった。
NCO310の夏植の株出がPOJ系大茎種の株出にまさるのはおそらく植生上の相異によるものと思わ れるが,その検討は問題外なのでここでは触れない。NCO310の場合春植の株出は新植に比し単位当 収量は高いのに対し,夏植の株出は新植よりも低いのが普通である。NCO310の普及は夏植,春植の 株出が目立って増加してきたがそれは,生産量が夏植に次いで高く,栽培に当って耕起,溝堀り,植 付等の労力が省けるため最近の労力不足に対処するに好都合であることおよびこの省力栽培がコスト
第37表地区別,植期別収穫面積の割合
1960年 1961年
春植|株出
1962年
夏植|春樹株出|夏植
5755746 9047330 %夏植|春植|株出
! $U1 1il 5655556 2266872 % 1111 8592371 % 3233332 0352967 % 4555555 9300753 % 12979377 % 3344434 9831080 %
北部地区 中部地区 南部地区 沖縄計 宮古地区 八重山地区 全琉球
(注)琉球政府経済局の資料による。