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高血圧を伴う思春期・青年期のCKD患者では,降圧療法は腎機能予後を改善させるか?

青年期のCKD患者に対し,感染予防のために生ワクチン(再)接種は推奨されるか?

CQ   7 高血圧を伴う思春期・青年期のCKD患者では,降圧療法は腎機能予後を改善させるか?

 解 説 

◆ 思春期・青年期の CKD と降圧療法 ◆

 高血圧は

CKD

の原因となり,

CKD

の病態を悪化 させる。逆に

CKD

が高血圧の原因ともなり,高血圧 の重症化の要因にもなる。小児から思春期における 糸球体疾患を有する

CKD

患者

98

例と糸球体疾患を 有さない

CKD

患者

398

例の腎機能障害進展に関する

予測因子を検討した多施設前向きコホート研究であ る

CKiD

試験によると,高血圧は透析導入あるいは

50

%以下の腎機能低下を起こすまでの期間を

67

% 短縮することが示され,腎機能障害進展のリスク ファクターになりうることが報告された1。さらに,

成人

CKD

における

MRFIT

研究などの前向きコホー ト研究によると,高血圧は

ESKD

の発症リスクであ ることが示されているa,b,24。また,

3

18

歳の

CKD385

症例の多施設前向きコホート研究では,従 来の血圧管理を行ったコントロール群と比較して積 極的治療介入をした群において投与後

6

カ月後の腎 機能保持率が高く,腎機能障害の進行が抑制される ことが示された5。これらのことから思春期・青年 期の

CKD

に限定した降圧療法の有効性に関する研 究は認められないものの,高血圧を伴う思春期・青 年期

CKD

患者において,降圧療法は腎機能予後を改 善させると考えられる。

◆ 思春期・青年期の CKD に対する降圧薬 ◆

 蛋白尿を伴う小児および成人

CKD

において

RAS

阻害薬である

ACE

Ⅰと

ARB

は,蛋白尿減少効果と 腎機能障害の進行抑制効果を有するため第一選択薬 として推奨されているac,511。これらのことから 思春期・青年期

CKD

に限定した

RAS

阻害薬の有効 性に関する研究はないものの,蛋白尿を伴う思春 期・青年期の

CKD

において

RAS

阻害薬を第一選択 薬として推奨する。また,

RAS

阻害薬を併用する場

CQ   7 高血圧を伴う思春期・青年期のCKD患者では,降圧療法は腎機能

合には

eGFR

の減少,血清カリウムの上昇,過剰降 圧や脱水に注意する必要がある。さらに,投与対象 年齢が思春期・青年期であるため,妊娠出産に関す る配慮が必要である。

RAS

阻害薬は胎児毒性がある ことが知られており,尿細管の形成異常や羊水過少 による肺低形成,四肢拘縮,頭蓋や顔面の変形など が起こる場合があるd。したがって,妊娠を計画し ている思春期・青年期の女性患者には原則的に妊娠 前に中止し,妊娠中にも投与可能な他剤,すなわち 中枢性交感神経抑制薬であるメチルドパ,αβ遮断 薬であるラベタロールや血管拡張薬であるヒドララ ジンなどに変更するe

 蛋白尿を伴わない思春期・青年期の

CKD

に対する 降圧薬としては,

RAS

阻害薬の優位性は証明されて いない。成人のハイリスク高血圧患者を対象とした 介入試験

ALLHAT

研究の長期解析でも,心血管死亡,

脳卒中,

ESKD

などの抑制効果は

ACE

Ⅰ,カルシウ ム拮抗薬,サイアザイド系利尿薬で同等であった12。 この結果を参考として,蛋白尿を伴わない思春期・

青年期の

CKD

に対する降圧薬としても,第一選択薬 として

RAS

阻害薬,カルシウム拮抗薬,利尿薬を推 奨することは妥当であろう。

◆ 思春期・青年期の CKD の管理目標値 ◆

 成人の

CKD

合併高血圧患者の適切な降圧目標と しては

KDIGO BP

ガイドラインcでは,蛋白尿を伴 わない

CKD

では

140

/

90 mmHg

以下,蛋白尿を伴う

CKD

では

130

/

80 mmHg

以下の降圧目標が示され ている。また,エビデンスに基づく

CKD

診療ガイド ライン

2013

bでも,蛋白尿を有しない

CKD

では

140

/

90 mmHg

未満,蛋白尿を有する

CKD

では

130

/

80 mmHg

未満の降圧目標が示されている(た だし厳密には,

16

17

歳の思春期・青年期の管理血 圧目標値は,成人とわずかに異なる)。以上に加えて 思春期から成人早期

CKD

に限定した降圧療法の有 効性に関するエビデンスは認められないことから,

高血圧を伴う思春期・青年期の

CKD

の血圧管理目標 値は,蛋白尿を伴わない

CKD

では

140

/

90 mmHg

未 満,蛋白尿を伴う

CKD

では

130

/

80 mmHg

未満を目 標とすることが推奨される。

データベース:PubMed 医中誌 期間:1990年〜20164月まで

キーワード: aldolescent and young adult, chronic kidney dis-ease, hypertension,

a Chobanian AV, et alThe seventh report of the Joint National Committee on prevention, detection, evaluation, and treatment of high blood pressurethe JNC 7 report.

JAMA 2892560 2572, 2003

b 日本腎臓学会(編).:エビデンスに基づくCKD診療ガイドラ イン2013.東京医学社

c KDIGO Blood Pressure Work Group.KDIGO clinical prac-tice guideline for the management of blood pressure in chronic kidney disease. Kidney Int 2Suppl337 414, 2012 d Lennestal R, et al.Maternal use of antihypertensive drugs

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e 三戸麻子,他.:腎疾患:慢性疾患と妊娠・周産期・トラン ジション 小児科診療761887 18942013

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2 Yamagata K, et al.Risk factors for chronic kidney disease in a community based populationa 10 year follow up study. Kidney Int 71159 166, 2007

3 Reynolds K, et al.A population based, prospective study of blood pressure and risk for end stage renal disease in China. J Am Soc Nephrol 181928 1935, 2007

4 Crews DC, et al.Prevalence of chronic kidney disease in persons with undiagnosed or prehypertension in the United States. Hypertension 551102 1109, 2010

5 ESCAPE Trial GroupStrict blood pressure control and progression of renal failure in children. N Engl J Med 361 1639 1650, 2009

6 Hou FF, et al.Efficacy and safety of benazepril for advanced chronic renal insufficiency. N Engl J Med 354 131 140, 2006

7 Appel LJ, et al.Intensive blood pressure control in hyper-tensive chronic kidney disease. N Engl J Med 363918 929, 2010

8 Saruta T, et al.Effects of candesartan and amlodipine on cardiovascular events in hypertensive patients with chronic

■ ■

文献検索

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■ ■

参考にした二次資料

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引用文献

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kidney disease:subanalysis of the CASE J Study. Hyper-tens Res 32:505 512, 2009

9) Wühl E, et al.:Antihypertensive and antiproteinuric effi-cacy of ramipril in children with chronic renal failure. Kid-ney Int 66:768 776, 2004

10) Soergel M, et al.:Effect of ramipril on ambulatory blood pressure and albuminuria in renal hypertension. Pediatr Nephrol 15:113 118, 2000

11) Webb NJ, et al.:Randomized, double blind, controlled study of losartan in children with proteinuria. Clin J Am Soc Nephrol 5:417 424, 2010

12) Rahman M, et al.:Long term renal and cardiovascular out-comes in Antihypertensive and Lipid Lowering Treatment to Prevent Heart Attack Trial(ALLHAT)participants by baseline estimated GFR. Clin J Am Soc Nephrol 7:989 1002, 2012

文献番号 1

著者発表年

Warady 2015

研究デザイン 多施設観察コホート研究

P

小児から思春期における糸球体疾患を有する

CKD

患者

98

例と糸球体疾患を有さない

CKD

患者

398

I

なし

C

なし

O

高血圧因子は透析導入あるいは

50%

以下の腎機能低下を起こすまでの期間を

67%

短縮することが 示され,腎機能進展へのリスクファクターになりうる.

コメント なし

文献番号 2

著者発表年

Yamagata 2007

研究デザイン コホート研究

P

日本において地域健康健診を受け

10

年以上経過を観察し得た

40

歳以上の男性

4,012

名と女性

82,752

名の計

123,764

I

なし

C

なし

O 10

年以上の経過観察において新たに

CKD

への進展を

19.2%

に認め,そのリスクとしては高血圧,糖 尿病,重度の代謝異常があげられた.

コメント なし

文献番号 3

著者発表年

Reynolds 2007

研究デザイン 前向きコホート研究

P 40

歳以上の中国人男性と女性計

158,365

I

なし

C

なし

O

高血圧予備群,

CKD

ステージ

G1

2

群患者は正常血圧患者群と比較して

ESKD

への進展度が高い.

ESKD

への進展リスクファクターとして収縮期血圧値高値があげられた.

コメント なし

文献番号 4

著者発表年

Crews 2010

研究デザイン コホート研究

P 1999

2006

年までの米国全国健康・栄養調査サーベイに参加した成人

17,794

I

なし

C

なし

O

患者を正常血圧群,高血圧予備群,診断されていない高血圧群,高血圧群に分類すると,高血圧群 患者において

CKD

の発症率が有意に高かった.

コメント なし

文献番号 5

著者発表年

ESCAPE Trial Group 2009

研究デザイン コホート研究

P ACE

Iラミプリルを投与された

3

18

歳までの

CKD385

症例を従来の血圧管理を行ったコント ロール群とより積極的に降圧した群と比較.

I

なし

C

なし

O

積極的血圧管理を施行した群において投与後

6

カ月後の腎機能保持率が高く,すなわち小児

CKD

の腎機能障害の進行が抑制された.

コメント なし

文献番号 6

著者発表年

Hou 2006

研究デザイン

RCT

P

非糖尿病進行性腎機能障害患者を血清

C

値が

1.5

3.0mg/dL

を呈した

1

群(

104

例)と血清

C

値が

3.1

5.0 mg/dL

を呈した

2

群(

224

例)

I

ベナゼプリル投与(

2

群のみ)

C

プラセボ投与(

2

群のみ)

O 36

カ月間の経過観察期間において

1

群の

22

%,ベナゼプリル投与

2

群の

41

%,プラセボ投与

2

群の

60

%の対象患者がエンドポイントに到達した.ベナゼプリル投与群患者の方がプラセボ投与群と 比較して有意にエンドポイントに到達した患者率が低値であった.

コメント なし

文献番号 7

著者発表年

Appel 2010

研究デザイン

RCT

P

高血圧を有する

CKD

患者

1,094

I

積極的な血圧管理

C

標準的な血圧管理

O

標準血圧治療をした患者群とより積極的に血圧管理をした患者群においてエンドポイントに差は なかったが,蛋白

/

クレアチニン比

0.22

以上の患者においては予後が良好であった.

コメント なし

文献番号 8

著者発表年

Saruta 2009

研究デザイン コホート研究

P

高血圧を有する日本人

CKD

患者のカンデサルタン投与群(

1,376

例)とアムロジピン投与群(

1,344

例)

I

なし

C

なし

O

心血管イベント発症率で

CKD

ステージ

G1

3

群患者の比較で両群に差はなかったが,

CKD

ステー

G4

群患者の比較ではカレデサルタン投与群の方がアムロジピン投与群より心血管イベント発症 率を有意に減少させた.

コメント なし

文献番号 9

著者発表年

Wühl 2004

研究デザイン コホート研究

P 3

18

歳までの慢性腎機能低下の患者を高血圧群,正常血圧群に分け,ラミプリルを投与.

I

なし

C

なし

O

治療

6

カ月後,高血圧群では平均血圧が

11.5mmHg

,正常血圧群では平均血圧が

4.4mmHg

低下した.

コメント なし

文献番号 10

著者発表年

Soergel 2000

研究デザイン コホート研究

P 5

18

歳までの各種腎炎・腎症を有し高血圧と腎機能低下(

GFR

60mL/

/1.73m

2以下)を有する

14

例に

6

カ月間ラミプリルを投与.

I

なし

C

なし

O 6

カ月後の最終観察時点において

9

例で収縮期血圧が

95

パーセンタイル以下に,

13

例で拡張期血圧

95

パーセンタイル以下に低下し改善がみられた.アルブミン尿中排泄量の増加を有した

11

例中

6

例において平均

78%

のアルブミン尿中排泄量の減少がみられた.

コメント なし

文献番号 11

著者発表年

Webb 2010

研究デザイン

RCT

P

蛋白尿を有する正常血圧患者

234

例(

1

17

歳)と蛋白尿を有する高血圧患者

54

I

ロサルタン投与(正常血圧群と高血圧群)

C

プラセボ投与(正常血圧群),アムロジピン投与(高血圧群)

O

治療

12

週間後に両群においてロサルタン投与群ではプラセボ投与群あるいはアムロジン投与群と 比較して有意な蛋白尿の減少効果を有した.

コメント なし

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