摩耗試験
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第五章 高クロム鋳鉄の高温エロージョン摩耗試験
5. 1 緒言
3 章 提案した新た 摩耗評価方法に 高クロム鋳鉄の高温エロージョン 摩耗試験を行い,耐摩耗性に影響す 材料因子と表層の組織変化を研究した. 4 章 得 た知見を基に耐酸化性を考慮し Cr含有量を27%とし ,オー テ ナイトを安定化す た に少量(3%)のNiを添加した27Cr-3Ni鋳鉄をベー とし
,C 量を 1.4,2.0,3.0%と変化さ た他,N,Mo,W を添加した 8 材質の高 クロム鋳鉄(As Cast)を用いた.1.4C-27Cr-3Ni 鋳鉄に い 熱処理材 試験し た.比較材とし バイオマ 発電ボイラのエアノ に使用さ い オー
テナイト テン 鋼 SUS310S,高温耐摩耗性 高いといわ ,エアノ の
摩耗対策とし 肉盛 溶接さ い Co基合金 試験に供した.高クロム鋳鉄
1173K に い オー テナイト組織 あ ,さ に比較材とし フ
ライト テン 鋼SUS430 試験に供した.
5. 2 実験方法
5. 2. 1 供試材
高クロム鋳鉄 9種類(8材質のAs Cast と1材質の熱処理),オー テナイト
系 テン 鋼SUS310S,フ ライト系 テン 鋼SUS430,の供試材に加え
炭化物分散Co基合金,を加えた12種類を試験に供した.
,1.4C-27Cr-3Ni鋳鉄HTの熱処理 1223K 72時間保持後放冷した.化
学成分 Tabe2. 1.(b)の1.4C-27Cr-3Ni鋳鉄と同 あ .
5. 2. 2 Co基合金の試験片の試作と特性調査方法
SUS304の板材に 溶接 炭化物分散Co基合金溶接棒(直径4.0mm),酸素
-ア チ ン 溶接2層盛 した.溶接後熱処理 873K 1時間保持後放冷 した.
溶着層の 2 層目 化学成分分析と高温ビッ ー 硬さ試験を行 た.化学 成分 C:2.41,Cr:27.8,W:12.2,Fe:4.4% あ た.
5. 2. 3 顕微鏡組織観察
Co基合金の組織観察に 酸銅5水和物-塩酸-水溶液(マー 液)を用い 腐
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食し光学顕微鏡及びSEMに 観察を行 た.1.4C-27Cr-3Ni鋳鉄 2章の高クロ ム鋳鉄と同様ビ ラ試薬を用いた.
5. 2. 4 高温ビッ ー 硬さ測定
2章と同様にし ,1.4C-27Cr-3Ni鋳鉄HT,SUS310S,SUS430,Co基合金の
1173Kに け ビッ ー 硬さを荷重 9.8N 測定した.
5. 2. 5 抽出残渣分析
2章と同様にし ,Co基合金の炭化物を抽出しXRDに 炭化物組成を同定し た.
5. 2. 6 高温エロージョン摩耗試験方法
高温のエロージョン摩耗試験 ,3章 前述した実験方法 行い ー 顕微鏡 の最大摩耗深さ 評価した. た,3C-12Cr鋳鉄HT,1.4C-27Cr-3Ni鋳鉄As Cast
及びSUS310Sに い 衝突角度を30,60,90deg.に変化さ た試験を行 た.
5. 2. 7 摩耗表面及び断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察
試験後の1.4C-27Cr-3Ni 鋳鉄,3C-27Cr鋳鉄,SUS310S 及び炭化物分散Co 基 合金溶着金属 の摩耗面 及び断面組織 を走査型 電子顕微鏡(SEM)に 観察を行 た.断面の観察 摩耗部中心軸 断し,摩耗表面近傍の組織変化を観察した.
5. 2. 8 塑性変形層測定
高クロム鋳鉄,SUS310S及びCo基合金に い 摩耗断面組織を観察し塑性変 形層を定量化した.塑性変形層の一例をFig. 5. 1に示す.高クロム鋳鉄の代表的
摩耗表層断面の組織 基地内部 ア ナ 粒子衝突の影響 無い基地領域,
共晶炭化物にクラック 入 始 領域,オー テナイト相 大 く塑性変形 し 共晶炭化物 分断さ た領域,炭化物 粒状に分散した領域,ア ナ 粒 子に押し潰さ 舌状突起 薄く延 さ た領域に分け .
1)
塑性変形量の定 量化 高クロム鋳鉄,Co基合金 共晶炭化物 破 し始 い 深さとし,
テン 鋼 結晶粒 変形し始 深さとした. ,30deg. ップ マー ク状に山谷 形成さ ,塑性変形層深さ 隆起した山の位置を基準に測 定した.
5. 2. 9 摩耗部の断面硬さ分布測定
1.4C-27Cr-3Ni鋳鉄 As Cast,HT,SUS310S,SUS430,4 種類の摩耗試験片の 摩耗部中心軸 10ェ10ェ20mm 程度の大 さに 断し,樹脂埋 した後,平行
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出しと鏡面研磨の試料調整した.摩耗最大深さ近傍のマイクロビッ ー 硬さ 分布を荷重9.8N 測定間隔を表層20μm 20μm間隔 N=3回室温 測定 した平均を求 た.
5. 3. 実験結果
5. 3. 1 組織観察結果
供試材の光学顕微鏡写真をFig. 5. 2に示す.1.4C-27Cr-3Ni鋳鉄HT 共晶炭 化物,二次炭化物とマ テンサイト 残留オー テナイト .As Cast
共晶炭化物と残留オー テナイト マ テンサイトの基地組織 あ ,HT マ テンサイトの比率 多い.Fig. 5. 3にCo基合金の断面マクロ組織をFig. 5. 4 にCo基合金のSEM像を示す.Co基合金 2種類の共晶炭化物とオー テナイ
ト .
5. 3. 2 高温ビッ ー 硬さ試験結果
高クロム鋳鉄の硬さ 既に2章 示した ,Co基合金 本供試材中最 高温
硬さ 高く119HV あ た.1.4C-27Cr-3Ni鋳鉄HTの高温硬さ 66.4HVとAs
Castの硬さ50.6HVに比較し 昇し い .1173K 基地組織 オー テナ
イト あ た 熱処理に 二次炭化物の析出に 硬く い と判断さ
.
5. 3. 3 抽出残渣分析結果
抽出残渣分析結果 ,Co基合金の炭化物 XRD ,M7C3,M6Cと同定
さ た.Fig. 5. 4の角張 た炭化物 M7C3,白い共晶の炭化物 M6Cと判断
.
5. 3. 4 摩耗試験後の外観 び ー 顕微鏡観察結果
Fig. 5. 5に摩耗試験後の外観写真, ー 顕微鏡等高線図をFig. 5. 6に断面プ
ロフ イ を示す.(他の供試材の試験結果 3 章,4 章を参照)1.4C-27Cr-3Ni
鋳鉄HT As Castと同 うに ップ マーク た ,As Cast 摩耗
痕 浅く範 狭く え .Co基合金 ップ マーク 観察さ 摩耗 少 いこと わ .Co基合金の外観 摩耗部の色合い コバ ト ーと い の Co酸化物の影響 あ ,生成した ケー の厚 薄いた あ
酸化 少 いこと わ . た,Fig. 5. 7に27Cr系 C量を変えた供試材
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の摩耗断面プロフ イ を示す.C量 増加す と塑性変形 少 く,摩耗深さ 浅く い .
5. 3. 5 摩耗表面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察結果
衝突角度30deg.に け 摩耗試験後の代表的 摩耗表面のSEM像をFig. 5. 8
に示す.高クロム鋳鉄と SUS310S の摩耗表面を SEM 観察す と波状の ッ プ マーク 明瞭 ,舌状突起の 端 ち 寸前 く離 に残 い
様子 た.この舌状突起 成長し, く離す こと 摩耗 進行し い 1
)
.クラックや鋭く抉 た う 削摩耗痕 見 い ,高倍率 観察す とア ナ粒子の衝突に 形成さ た無数の ンプ 模様
た.Co基合金 他の材料と 異 摩耗面 す 鉢状に い
,他の材料 観察さ た明瞭 ップ マーク い.
次に衝突角度を 30,60,90deg.とした 1.4C-27Cr-3Ni 鋳鉄の摩耗表面の SEM 像をFig. 5. 9に示す.
30deg. ップ 認 60,90deg. 明確 くア ナ粒子
の衝突 生 た ンプ 模様 認 ,60deg. 楕 ,90deg. 真 に
近い.
5. 3. 6 摩耗断面のSEM観察結果
摩耗断面のSEM像をFig. 5. 10に示す.高クロム鋳鉄の摩耗断面 すべ 共晶 炭化物分断領域,炭化物粒状化領域,舌 突起領域 いた. い の
試験片に 裂 認 た. た,1.4C-27Cr-3Ni 鋳鉄 HT の摩耗断面
のSEM像をFig. 5. 11に示す. に示した通 ,塑性変形層,炭化物粒状化層,
舌状突起 ,突起部 長く伸び い .
高クロム鋳鉄,SUS310S と 舌状突起部周辺 結晶粒径 観察 い
微細化し い こと わ .詳細 6 章 述べ . ,SUS310S の突起長
さ 3C-27Cr鋳鉄 長く いた.
Co基合金 外観や ー 顕微鏡の断面プロフ イ 観たのと同 うに変 形 少 い,SEM 段の写真 見 限 摩耗面 フラット と 摩耗 し い い うに え .塑性変形層 浅く写真 段を 炭化物の破 粒
状化 い.
次に衝突角度を 30,60,90deg.とした 1.4C-27Cr-3Ni 鋳鉄の摩耗断面の SEM
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像をFig. 5. 12に示す.摩耗中心部の断面を観察す と,舌状突起に繋 山の
隆起 30deg. 高く,60deg. 低く,さ に90deg.に と明確に 認
い.表層の炭化物破 層の厚 30deg. 浅く,60,90deg. 同 あ た.
5. 3. 7 高温エロージョン摩耗試験結果
た衝突角度 30deg.に け 各種金属材料の高温エロージョン摩耗 深さを高 温硬さに対し プロットした結果をFig. 5. 13(a)に示す.摩耗深さ 高温硬さに
依存し SUS430 最 深く,Co基合金 最 浅い.
Fig. 5. 13(b)に 高クロム鋳鉄のプロットを拡大し 示す.Fe-C-Cr系(低Cr/C)
とFe-C-Cr-Ni系(高Cr/C) プロットを区分す と摩耗量に相違 た.
Fe-C-Cr-Ni系のC-27Cr-3Ni-X系のエロージョン摩耗深さをFig. 5. 14に示す.
Cの増加と共に摩耗 減少し,N,Wの添加に 摩耗 減少した.Moの効果 見 た. た,HT材 二次炭化物の析出に 摩耗 減少した.
高温エロージョン摩耗深さに及ぼす衝突角度の影響をFig.5. 15 に示す.低角 度 側 摩 耗 深 さ 大 い 典 型 的 延 性 材 料 2-4)の 摩 耗 特 性 を 示 し た .
1.4C-27Cr-3Ni鋳鉄 SUS310S 摩耗深さ 浅い ,3C-12Cr鋳鉄 摩耗量
多く い .こ 4 章 述べた うに 3C-12Cr 鋳鉄の酸化量 多いた
あ .
5. 3. 8 塑性変形層測定結果
高温硬さと塑性変形層深さの関係をFig. 5. 16に示す.前述した最大摩耗深さ と同様に高温硬さ 昇す にと い塑性変形 層 減少した.高クロム鋳鉄
相関 ,SUS310S この傾向 外 塑性変形層 深く
いた.
次に,衝突角度と塑性変形層の関係をFig. 5. 17に示す.塑性変形層の深さ ,
SUS310S 衝 突 角 度 30deg. 90deg.の 高 角 度 側 深 く . 一 方
3C-12Cr 鋳鉄,1.4C-27Cr-3Ni 鋳鉄 30deg. 60deg. 深く 傾向 同
あ ,60deg.と90deg. 同 深さ あ た.
サイク 数と塑性変形層の関係をFig. 5. 18に示す.3C-12Cr 1サイク 目 塑性変形 100μm程度 その後の変化 少 い.SUS310S の塑性変形深さ 3サイク 目 直線的に増加す その後の変化 少 く,
2~3サイク 3C-12Cr 深く い .
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こ 高クロム鋳鉄とSUS310Sの挙動の違い 共晶炭化物の効果と考え
.
5. 3. 9 摩耗部の断面硬さ分布測定結果
1.4C-27Cr-3Ni鋳鉄As Cast,HTと テン 鋼(SUS310S,SUS430)との断面 硬さ分布測定結果をFig. 5. 19に示す.1.4C-27Cr-3Ni鋳鉄As CastとHTを比較
す と,As Cast 内部硬さ350HV 表層500~600HV 硬さの 昇
た ,HT 内部 マ テンサイト組織 あ た 500HV と硬く,摩耗直
400HV 軟化し いた.γ相 あ SUS310S 内部の硬さ190HVに
対し摩耗面直 の硬さ 300~350HVとσ相に起因し 硬化し いた.α相 あ
SUS430 内部の硬さ190HVに対し摩耗面直 の硬さ 140~185HVと少し
軟化し いた.
,い の試験片と 再結晶し ,室温のエロージョン試験 観察 さ 加工硬化層 認 た.
5. 4 考察
5. 4. 1 高クロム鋳鉄の摩耗形態
高クロム鋳鉄 ,粗大 硬い共晶炭化物量 多いた ,摩耗形態 ,脆性材 料 特 有 の 高 角 度 側 摩 耗 量 最 大 を 示 す 破 壊 摩 耗 に 属 す と 予 測 さ た ,
1173K に け エロージョン摩耗特性 低角度側 摩耗 大 い 断変形摩
耗形態を示した.この摩耗形態 延性の高い テン 鋼に け 清水 の研 究成果5
,6)
と同一 あ た. い の試験片,試験条件 クラック 全く 観察さ た.
5. 4 .2 エロージョン摩耗 の炭化物の影響
エロージョン摩耗 基本的に高温硬さに依存し い ことを示した ,Fig. 5.
13(b)に示す うにFe-C-Cr系(低Cr/C)とFe-C-Cr-Ni系(高Cr/C) プロットを区分 す と摩耗量に Fe-C-Cr 系と Fe-C-Cr-Ni 系 相違 た.この ータを初 晶オー テナイト量と摩耗深さの関係に整理し すとFig. 5. 20に示す うに
Fe-C-Cr系とFe-C-Cr-Ni系の摩耗量の差異 初晶オー テナイトに起因す と考
え . 共晶炭化物量 高温エロージョン摩耗の抑制に寄与し い と判断さ .