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摩耗部の組織観察と考察

ドキュメント内 室蘭工業大学学術資源アーカイブ A396 (ページ 127-150)

121 第六章 摩耗部の組織観察と考察

6. 1 緒言

室温 のエロージョン摩耗表面 断歪を受け 加工硬化し い こと 知 い 1).この加工硬化 耐摩耗性に影響 あ と報告さ い 2) , 鋼の再結晶温度を超え 高温エロージョン摩耗 の摩耗表層部の組織変化を観 察した研究 見当た い.摩耗表面 断歪を受け マト ック と比較 し 著 し く 変 化 し , 高 ク ロ ム 鋳 鉄 共 晶 炭 化 物 の 粒 状 化 と 組 織 の 微 細 化 ,

SUS310S σ相の析出に 硬化し い 様相を前章 明 にした.本章

後方散乱電子回折(EBSD)とTEM 観察し 表層の組織変化を解析す .

6. 2 実験方法

6. 2. 1 供試材

2章,3 章 び 5 章 述べた高温エロージョン摩耗試験した 3C-12Cr 鋳鉄,

3C-27Cr鋳鉄,1.4C-27Cr-3Ni鋳鉄, びSUS310S,SUS430試験片を観察に供 した.

6. 2. 2 摩耗断面組織のSEM観察

前節 調整した試料を高クロム鋳鉄に い ビ ラ試薬,SUS310S に い

王水,SUS430 に い マー 試薬 化学的に腐食し SEM に 断面組

織観察した. た,SUS310S 2 サイク 後 び 2 サイク 後再加熱した摩 耗断面の舌 突起部をFE-SEMに 観察した.

6. 2. 3 後方散乱電子回折(EBSD)

SUS310S び3C-12Cr鋳鉄に い 10サイク 摩耗試験片摩耗部断面の結

晶解析を EBSD 法 行 た.試料調整 ,摩耗中心軸 断した断面を機械研 磨 に 面 出 し し た 後 加 速 電 圧 6kV イ オ ン ン 加 工 を 施 し た .

FE-SEM/EBSD装置 加速電圧15kVに パターンマッ ン 像を撮影した.

6. 2. 4 舌状突起部のTEM観察

試験片断面の観察 摩耗部中心軸 断し,摩耗表面近傍の組織変化を 透過 電子顕微鏡(TEM)観察した.試料調整 被観察部にイオン侵入に 照射損傷を 防 た にタン テンを蒸着し 保護した後, ウムイオンビーム 除去

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加 工 す 収 束 イ オ ンビ ー ム(FIB)加 工 法 に 15ェ10ェ3μm の試 験 片 を 採 取 し TEM用 ッ ュに取 付けた後に,約8ェ6μmの観察領域の厚さを100nm 薄膜化し加速電圧200kV 組織観察と電子線回折に 元素分析を行 た.

6.3実験結果

6. 3. 1 SEM観察結果

オー テナイト テン SUS310Sとフ ライト テン SUS430のSEM

像をFig. 6. 1に示す.SUS310S 結晶粒径 判断 い 微細再結晶

粒と いた.一方,SUS430 SEM像 10μm程度の再結晶粒と い た.

次に,SUS310Sの2サイク 後と2サイク 再加熱後に い FE-SEM に

舌状突起部の結晶変化を観察した.結果をFig. 6. 2に示す.2サイク 止 た 試験片 表面全体 塑性変形に タ フローと析出 物 観察さ ,高倍 率 観察す と微細結晶粒 あ 再結晶し いた.さ に30分再加熱した試験 片 粒成長し 約1μmの微細再結晶粒 明確に観察 た.一般的に鉄鋼材 料の結晶粒径 1μm 以 あ 微細結晶粒(超微細粒)といわ い .3

4)

,3章のXRD解析 示した うに析出物 σ相 あ ,30分加熱に σ 相粒子 成長し いた.

6. 3. 2 後方散乱電子回折(EBSD)分析結果

Fig. 6. 3に3C-12Cr鋳鉄,Fig. 6. 4にSUS310SのEBSD観察結果を示す.3C-12Cr 鋳鉄 同様にフ ライトの微細結晶粒 あ た.EBSD 解析 た相

XRD解析結果 M7C3と ケー と考え .

SUS310S の極表層に 僅 に酸化 生成した Fe2O3 ,最表層

の組織変化 以 の3層 いた.

(I)歪 の い 1μm 程度の微細 オー テナイトと EBSD パターン 解析 不能の微細粒,この析出粒子 XRDとSEM観察結果 ,σ相と判断 ( )表層の微細再結晶と比べ と粗い再結晶粒層

( )粗大 オー テナイト 断応力に 大 ー を描く うに変

形した 断歪層,σ相 観察さ

フ ライト(3C-12Cr鋳鉄) ,オー テナイト(SUS310S)と に結晶粒の異方性

123 見 等軸 あ .

6. 3. 3 舌状突起部の透過電子顕微鏡(TEM)観察結果

Fig. 6. 5に3C-12Cr鋳鉄HT及びFig. 6. 6にSUS310SのTEM観察位置を示す.

3C-27Cr鋳鉄HT,1.4C-27Cr-3Ni鋳鉄のAs Cast,HT 同様に舌状突起部の組 織を観察した.3C-12Cr鋳鉄HT,3C-27Cr鋳鉄HT,1.4C-27Cr-3Ni鋳鉄のAs Cast とHT,SUS310Sの舌状突起部のTEM明視野像をFig. 6. 7示す.SUS310S内部 組織以外の全 の試験片 微細 再結晶粒 た.

定 性 的 に 結 晶 粒 の 大 さ を 比 較 す と 1.4C-27Cr-3Ni 鋳 鉄 As Cast< 1.4C-27Cr-3Ni鋳鉄HT<3C-12Cr鋳鉄HT<3C-12Cr鋳鉄HT<SUS310Sと

,1.4C-27Cr-3Ni鋳鉄As Cast 最 微細と いた.3C-12Cr鋳鉄HT,

3C-27Cr鋳鉄HT,SUS310Sの結晶粒径に い SUS430とと に後述す .

Fig. 6. 8の写真 高倍率 観察した明視野像 あ ,い の試験片と 極

微細 等軸結晶粒と微細析出物 観察さ た.SUS310S 内部組織 再結晶し

,転移 集積し いた.この層 EBSDの( )層に相当す と考え

次に,電子回折に 微細析出物と基地組織を電子回折図形 同定した 結 果をFig. 6. 9~6. 13に示す.3C-12Cr鋳鉄HTの基地組織 Fig. 6. 9に示す うに フ ライト あ ,微細析出物 Fig. 6. 10に示す うにM7C3と同定さ た.

こ の 微 細 M7C3 高 温 の エ ロ ー ジ ョ ン 試 験 中 に 析 出 し た と 考 え .

Fe-C-Cr系鋳鉄 あ 3C-27Cr鋳鉄HT 同様 あ た.一方Fe-C-Cr-Ni系鋳鉄

の1.4C-27Cr-3Ni鋳鉄As Cast びHT材 Fig. 6. 11に示す うに微細析出

物 M23C6 あ た.基地組織 他の高クロム鋳鉄と同 くフ ライト あ

た.オー テナイト テン のSUS310S Fig. 6. 12に示す うに基地組織

オー テナイト あ ,微細析出物 Fig. 6. 13に示す うにσ相と同定さ た

,表層 100μm以 深い位置 σ相 観察さ ,オー テナイト単相 あ た.この結果 Fig. 6. 2のFE-SEM,Fig. 6. 4のEBSD び3章 述べ たXRDの結果と一致した.

6. 4 考察

6. 4. 1 微細結晶粒

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高クロム鋳鉄とオー テナイト テン の高温エロージョン試験後の表層 組織 結晶粒 微細化し,表層 微細と いた.こ ア ナ粒子の 衝突に 受け 断歪 表層 大 く転位密度 高く 核 多数生成 す た に結晶粒 微細化したと考え . ン止 効果に い 後述す

,3C-12Cr鋳鉄,3C-27Cr鋳鉄,1.4C-27Cr-3Ni鋳鉄 冷却時にオー テナ イト フ ライトに変態す エロージョン摩耗の試験温度 あ 1173K

オー テナイト組織 あ .試験中にフ ライト組織 あ SUS430をオー テナイト組織と比較す と 1173K に け フ ライトの自己拡散速度 3.70ェ 10-15m2/sec,オー テナイトの自己拡散速度 9.78ェ10-18m2/sec.5と2 桁以 速いた ,結晶粒 約10μm 成長した のと考え .

6. 4. 2 微細結晶粒に及ぼす析出物の効果

SUS310S 断歪に Crの拡散 促進さ たこと 1サイク 目

σ相の析出 た.した ,再結晶後の結晶粒成長 σ相 止 い こと 考え .同様に高クロム鋳鉄 二次炭化物に ン止

期 .そこ ,3C-12Cr鋳鉄,3C-27Cr鋳鉄,SUS310S及びSUS430に

い Zenerの式6) 微細析出物 炭化物 た σ相)の平均粒径と面積割合

結晶粒径を計算した.その結果をTable6. 1に示す.実測値と計算値 近い値 を示し傾向 一致したた 1173K 試験中にγ粒の成長を ン止 粒子 抑制し たと考え .

1.4C-27Cr-3Ni 鋳鉄 As Cast 再結晶 完了し い い組織 ,観察した

中 最 微細粒 あ .この理由とし 他の 高クロム鋳鉄 ,試験前に熱 処理し い た に二次炭化物 既に析出し い のに対し ,As Cast材 二 次炭化物 試験中に多く微細析出し 回復 再結晶を抑制した のと推察さ

SUS310S の再結晶相 2 層に分 観察さ た ,表層 断

多い に,σ相 多く析出し い た に微細粒に たと考え . ここ 高クロム鋳鉄と テン の舌状突起部の組織観察結果をTable6. 2に と .表層部の微細化に オー テナイト層 あ こと 微細粒 子 析

出す こと ,必要 あ .Fig. 6. 14 に 細粒化の ムを図示す .高

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クロム鋳鉄の表層の微細結晶粒 ア ナ粒子衝突に 断歪に 共晶炭化物 破 す とと に二次炭化物の析出 促進さ 粒子の衝突 終了した後,転移 の結晶粒生成サイトを起点に再結晶 起 結晶粒 成長す 二次炭化物に ン止 さ 結晶粒の成長 抑制さ たと考え

. た,SUS310S 異 け 同 ム あ , σ相

析出し ン止 粒子とし の働 あ と考え .

6. 4 .3 エロージョン摩耗に及ぼす細粒の効果

高クロム鋳鉄 共晶炭化物の破 粒状化と微細結晶粒に 高温延性 大幅に向 し , 高クロム鋳鉄 本来有し い 高温強度の他に極表層 高 延性を兼 備え 耐摩耗性 向 し い と考察 .

テン 鋼の場合,微細結晶粒に 大幅 絞 の向 (超塑性に近い)に 舌状摩耗片 延伸さ , く離し難く 摩耗の抑制に寄与し い こと 十分考え (3章参照). た,歪に 1サイク 目 析出した σ相に 硬化に ,さ に耐摩耗性 改善し い と考え . , エロージョン摩耗対し σ相析出に 高温硬さ改善と ,微細結晶粒に 延 性改善 耐摩耗性に効い い と推測さ .

6. 5 結言

高温エロージョン摩耗 試験片の摩耗表層部の組織を観察した 結果,次の う 知見を得た.

1) 高クロム鋳鉄とオー テナイト テン い サ クロ ンあ い クロンオー ー の微細結晶粒層 形成 さ いた .高クロム 鋳鉄,

SUS310Sと に摩耗表面層 再結晶 進 ,加工硬化層 認 た.

2) 高温 断歪に 二次炭化物(高クロム鋳鉄) びσ相(オー テ ナイト テン ) 促進さ 析出し ,この微細析出粒子 再結晶オー テナイト結晶粒を ン止 す ことに 微細結晶粒 生成した と判断

さ .Zenerの式 結晶粒径を計算した結果,観察結果と比較的一致した.

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3) 高クロム鋳鉄の表層 5章 述べた共晶炭化物の破 分散とと に微細 粒オー テナイト組織 生成す た に延性 著しく向 し ,耐摩耗性の 向 に寄与し い と推察さ .

参考文献

1) I. Altenberger, B. Scholtes, U. Martin, H. Oettel:Materials Science and EngineeringA264(1999)1.

2) 清水一道: 海道大学大学院博士論文(2001). 3) 古原忠,牧正志, あ39(2000)220.

4) 大森章夫,鳥塚史郎,長井 ,小関尚史,向後保雄:鉄と鋼89(2003)781. 5) 金属 ータ ック改訂3 :日本金属学会(1993)21.

6) 西澤泰二: あ40(2001)437.

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Fig.6. 1 Microstructure observed near surface in cross-section by SEM image (SUS430,SUS310S)

(a) low magnification (b) high magnification

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Fi g. 6. 2 FE-SEM image after 2cycle erosion test and 2cycle+re-heating.

(SUS310S)

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Fig. 6. 3 Grain structure map derived from EBSD measurement. (3C-12Cr)

130

Fig. 6. 4 Grain structure map derived from EBSD measurement. (SUS310S)

131

Fig. 6. 5 Thin film milling for TEM observation by SIM.

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Fig. 6. 6 Thin film for TEM observation by SIM. (SUS310S)

133

Fig. 6. 7 TEM bright field image of tongue like projection.

134

Fig. 6. 8TEM bright image, high magnification of tongue like projection.

135

Fig. 6. 9 TEM bright image and electron diffraction pattern of tongue like projection.

(3C-12Cr HT)

136

Fig. 6. 10 TEM bright field image and electron diffraction pattern of tongue like projection. (3C-12Cr HT)

137

Fig. 6. 11 TEM dark field image and electron diffraction pattern of tongue like projection. (1.4C-27Cr-3Ni)

138

Fig. 6. 12 TEM bright field image and electron diffraction pattern of tongue like projection. (SUS310S)

139

Fig. 6. 13 TEM bright field image and electron diffraction pattern of tongue like projection. (SUS310S)

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Table6. 1 Recrystallized grain diameter.

141

Table6. 2 Summary of recrystallization.

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Fig. 6. 14 Schematic mechanism of surface recrystallized fine grain due to erosiontesting at 1173K.

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ドキュメント内 室蘭工業大学学術資源アーカイブ A396 (ページ 127-150)

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