第 2 章 重水素化ポリスチレン/ポリスチレンブラシ界面の分子鎖混合挙動に及ぼす
2.2. 実験
2.2.3. 中性子反射率測定に基づく重水素化ポリスチレン/ポリスチレンブラシ界面で
2.2.3.3. 飛行時間型反射率計
30
31 の二倍と定義した。
重水素化ポリスチレン/ポリスチレンブラシ二層膜は、真空中、PSバルクのTg以上
の398 Kで種々の時間加熱し、室温に戻した後、NR測定を行った。
2.2.4. PS薄膜の熱安定性評価
シリコン基板上PSスピンキャスト薄膜およびPSブラシ基板上PSスピンキャスト薄 膜の熱安定性評価を行った。試料は、PSスピンキャスト薄膜をガラス基板上に調製し、
前述のフロート法を用いてそれぞれシリコン基板、PS ブラシ薄膜基板に積層させ調製 した。PSブラシ薄膜は、Table 2-1の hPS-4を使用した。測定は、光学顕微鏡のステー ジに加熱ステージ(リンカム社製)を取り付け、窒素雰囲気で443 Kで熱処理しながら、
30秒ごとに光学顕微鏡像を撮影し行った。
32 2.3. 結果および考察
2.3.1. 表面開始ATRPによるポリスチレンブラシ薄膜の調製
化学気相吸着法によるシリコン基板表面へのBHEの固定化の確認はXPS測定により
行った。Figure 2-1にBHEを固定化したシリコン基板のXPSスペクトルを示す。68 eV
付近にBHE由来のBr3dのピークが観測された。また、表面の元素組成はC1s: 37.8 %, O1s: 32.6 %, Si2p: 28.5 %, Br3d: 1.0 %であった。BHEの単分子膜のみが測定されている と仮定したときの元素組成はC1s: 58.8 %、O1s: 29.4 %、 Si2p: 5.9 %、 Br3d: 5.9 %にな ると予想される。この理論値との差異は、今回の測定条件では測定深さがシリコン基板 にまで達するとためだと考えられる。また臭素の割合が少なく観測されているのは、X 線照射により弱い結合であるC-Br結合の切断が起こっているためだと思われる。
Figure 2-2は、C1sのナロースキャンにより得られたXPSスペクトルである。BHEの
炭素の結合状態(C=O, C-O, C-C)に起因するケミカルシフトが観測された。この強度比は
およそ1:2:13になっており。BHEに含まれる結合の数から予測される強度比(1:2:9)に比
べ、C-Cの強度がやや大きくなったが表面に吸着した汚れやポンプのオイルミストの影 響ではないかと考えられる。以上の結果よりシリコン基板表面にBHE単分子膜が製膜 出来たことを確認した。
BHE単分子膜を固定化したSi基板から表面開始ATRPを行った。トルエン洗浄後 も、膜厚が低下しなかったことから、シリコン基板表面の開始基から重合が進行し、
PSブラシ薄膜の生成を確認した。
33
0 200
400 600
800 1000
c/s
Binding Energy (eV)
O1s
C1s
Br3d Si2s
Si2p Atomic ratio
C1s 60.8%
O1s 37.5%
Br3d 1.7%
Figure 2-6. XPS spectrum of BHE immobilized Si wafer.
280 285
290 295
c/s
Binding Energy (eV) C-C
C=O C-O
Figure 2-7. C1s.spectrum of BHE immobilized Si wafer.