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第 2 章 重水素化ポリスチレン/ポリスチレンブラシ界面の分子鎖混合挙動に及ぼす

2.2. 実験

2.2.3. 中性子反射率測定に基づく重水素化ポリスチレン/ポリスチレンブラシ界面で

2.2.3.2. 中性子反射率測定の原理

NR 測定では、Figure 2-4 のように試料空気界面に数度またはそれ以下の極めて浅い 角度で中性子ビームを入射する。波長λの中性子が真空中から薄膜へ入射する場合、そ の波数ベクトルk0は、式(2-1)のように表される。

0

k 2

(2-1)

光学的特性の異なる薄膜の鏡面に中性子波が入射すると、二つの波に分けられる。一 つは透過波と呼び、薄膜から基板に進む波であり、もう一つは反射波と呼ばれ、再び薄 膜に戻る波である。ここでは一応これらの波が平面波であると仮定して、薄膜で光学屈 折率がどのように表されるか評価する。

物質の中性子に対する屈折率nは吸収を無視すると、式(2-2)のようになる。

2

1 2 n b

V

 

     (2-2)

ここでbは散乱長、Vは体積である。(b/V)は散乱長密度と呼ばれ、物質の散乱能を決定 する因子である。bは原子番号に対してランダムであるため、原子番号が近い物質につ いてコントラストがつく、さらには、同位体間でもその値は異なり、同じ物質間でもコ ントラストをつけられる。例えば、H(bH = -3.74 × 10-15 m)をD(bD = 6.67 × 10-15 m)で置換 して同種の高分子間の界面構造を測定できる。高分子の(b/V)は繰り返し単位の構成元素 のbの和と密度から式(2-3)を用いて計算できる。

NA b b

V M

  

  

(2-3)

ここで、Mは繰り返し単位の分子量、ρは密度、NAはアボガドロ数、∑bは繰り返し単 位あたりの散乱長の総和である。

前述の通り、入射する中性子が等角の位置に反射するものを鏡面反射と呼び、反射波 の散乱ベクトルqは、式(2-4)と表されるから、Z方向に投影した散乱ベクトルqZは、

式(2-5)となる。

r i

q k k (2-4) 4 sin

qz

 

(2-5)

次に全反射の臨界角について考える。Snell法則により、2つの界面には次の関係が成 り立つ。

0cos 0 1cos 1

n  n  (2-6)

媒体0が真空であると仮定すると、n0 = 1となる。さらに媒体0と媒体1の界面で全反 射が起こる場合、θ1 = 0とすると、臨界角度θcは、式(2-7)のように書ける。

coscn1 (2-7)

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ここで、臨界角度が小さいため、式(2-2)を用い、式(5-8)となる。

( / )

c

  b V

  (2-8)

通常、高分子のbは正であるため、式(2-2)より中性子に対する高分子の屈折率は1より 小さい。そのため、入射角が臨界角(θc)よりも小さい場合は全反射が起き、入射光強度 と反射光強度の比、すなわち反射率は1となる。θcを越えると、入射中性子線の一部は 試料内部に屈折を伴い入り込み、他の部分は反射される。入射角度と反射角度を等しく 保った条件での測定では、この領域で反射率(R)は q の増大とともに急激に減少するこ とになる。このとき、空気界面が完全に均一に平滑であれば、Rは次式(5-9)で表される ように、qの-4乗に比例して減少する。

2 2 4

16 b

R q V

 

    (2-9)

一方、空気界面に「粗さ」が存在する場合、反射しにくくなり、Rは膜の不完全性を表 す特性長σを用いて式(2-10)となるため、-4乗より早い減衰を示す。

2 2

2 2 4

16 b q

R e

q V

 

   

      (2-10)

Figure 2-Xは、異なる表面粗さを持つ重水素化ポリスチレン(膜厚100 nm)を想定し、

Motofitを用いて計算したNR曲線である。平均二乗粗さが0 nmの場合、ほぼqの-4乗

に比例して減少するのに対し、平均二乗粗さが5 nmの場合-4乗より早い減衰を示す。

また、基板上に薄膜が存在する場合、薄膜空気界面と基板界面と反射を起こす界面が2 つ存在する。よって、それぞれの界面で反射した中性子線同士が干渉し、反射率曲線に は極大・極小が繰り返し現れる(Figure 2-X)。このフリンジはKissing fringeと呼ばれ、

その位置より膜厚を、フリンジの明瞭さから空気および基板界面の粗さを見積もること が出来る。

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Figure 2-X. A profile of reflectivity against q for dPS films of different surface roughness on Si wafer.

Figure 2-4. Diagram describing the relationship of incident, reflected and transmitted neutron beams. The θ0 is incidence or reflection angle and θ1 is refraction angle. The n1 and n2 are refractive indexes.

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