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11回目の面接調査(アタッチメントに関する面接調査)

1 回目の面接調査は,アタッチメントを質的に検討することを目的として,調査協力者 のアタッチメントにまつわる出来事やそれに伴って生じた感情などを問う,半構造化面接 を実施した。面接の内容はMain and Goldwin(1984)が作成したAAIの公開されている 項目を参考に行った(表4-1)。

AAI とは,語りの中に反映されるアタッチメントに関する内的表象を手がかりとして,

アタッチメント表象の安定性,柔軟性,一貫性を評定する面接法である。面接では,子ど も時代の親との関係を象徴する形容詞などを挙げさせ,それを説明する具体的なエピソー ド,情緒的混乱,親からの拒否や分離などのネガティヴな出来事,大事な人の喪失体験,

現在の親子関係の評価,過去の親子関係が現在の自分に与えている影響などについての質

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問をする。そして,これらのことについての記憶の想起の観点から分析する。AAIにおい てアタッチメントは,安定自律型,アタッチメント軽視型,とらわれ型,未解決型に分類 され,それらは,SSPにおける安定型,回避型,アンビバレント型,D型にそれぞれ相当 する。

正式なAAIを実施するためには,AAIを実施するための訓練を受ける必要がある。しか し,その訓練プログラムは日本国内で実施されていないため,経済的,時間的問題から国 外で訓練を受けることは困難であった。また, AAI の訓練を受け,AAI を実施できるよ うになったとしても,AAIを日本語で実施した際の妥当性や信頼性はまだ検討されていな

表4-1 AAIの質問項目

1.初めに,私にあなたの家族のことを少し説明していただけますか。例えば家族構成や住んでいた場所 など。

2.さて,思い出せる限り昔にさかのぼって,子どもの頃のご両親との関係を話してください。

3.子ども時代のお母様との関係を表すような形容詞や語句を5つあげてください。

私がそれらを書き留めて,5つ揃ったら,それらの言葉を選ぶに至った思い出や経験をお尋ねします。

4.(父親について同様の質問)

5.どちらの親御さんをより親密に感じましたか。理由は。

6.子ども時代に動揺したとき,あなたはどのようにしましたか。どうなりましたか。情緒的に動揺した ときの具体的な出来事を話していただけますか。けがをしたときは。病気のときは。

7.ご両親との最初の分離についてお話ください。

8.子ども時代,拒絶されたと感じたことはありますか。あなたはどのように反応しましたか。

ご両親は拒絶していたことを気づいていたでしょうか。

9.ご両親があなたを脅かしたことはありましたか。しつけや冗談で。

10.あなたの幼い頃の経験全体は,どのように大人としてのあなたに影響しているでしょうか。

  成長の妨げになったと思われるようなことはありますか。

11.ご両親があなたの幼い頃,そのようにふるまったのはなぜだったのでしょうか。

12.子ども時代,親のように親密であった大人は他にいましたか。

13.ご両親,あるいは他の親密な人を,子ども時代に亡くされた経験はありますか。

大人になってからは。

14.子ども時代と大人になってからでは,ご両親との関係に多くの変化がありましたか。

15.現在,あなたにとって,ご両親との関係はどのようなものですか(もしすでにお子さんをお持ちで あれば,あなたの育てられ方が,あなた自身の子育てにどう影響していると思いますか)。

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いことから,AAI をそのまま本研究で用いられるわけでもなかった。これらの理由から,

本研究においてAAIは,公開されている項目を用い,アタッチメントにまつわる出来事や それに伴って生じた感情などを把握するに留め,アタッチメントに関する解釈や考察は,

質問紙調査で得られた回答や面接調査で語られた内容を中心に行った。

(2) 2回目の面接調査(重要な他者に関する面接調査)

2回目の面接調査では,どのような関わりがその個人にとっての重要な他者(SO)を重 要と感じさせたのか,SOがもっている要素は何か,SOの関わりはリジリエンスと関係す るかというリサーチ・クエスチョンを設定した。そして,最も重要な他者(SO)は誰であ るのか,SO と調査協力者の関係,どのような過程を経て重要な人になっていったのか,

なぜ,SOが重要な人であるのか,SOから得たものは何であるのか,SOの存在がつらさ を乗り越えるのに役立ったと思うかなどを把握するため,筆者がAAI(Main & Goldwin,

1984)を参考に質問項目を作成した(表4-2)。そして,それに沿った半構造化面接が終了

した後は,筆者の研究の目的,趣旨,仮説などを伝え,それらの視点から考えたこと,感 じたことなどを話してもらった。

4節 結果と考察 第1項 質問紙調査 1. 調査協力者の基本属性

平均年齢は29.67歳(SD=12.09)であった。

表4-2 獲得された安心感を質的に検討するための質問項目

1.あなたが今まで生きてきた中で一番重要な人は誰ですか。

2.その人はどんな関係の人ですか。

3.その人との関係であなたはどのように影響されたのか,何を得たのか,

   連想される形容詞や語句を5つあげてください。

  それらの言葉を選ぶに至った思い出や経験を教えてください。

4.つらいことが起こったとき,その人との関係やその人の存在が,

   つらさを乗り越えるのに役立っていた(役立っている)と思いますか。

 役立ったとすれば,どのように役立ったと思いますか。

 (思わないとすれば,あなたはどのようにつらさを乗り越えていますか)

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2. 尺度(獲得された安心感尺度の教示文)の検討

第4章では,質問紙調査の協力者数が60 名と少数であり,因子分析をすることは適さ ないと考えられた。また,第3章にて,質問紙調査の分析を行ったため,第4章では改め て行うことはしなかった。ただし,第3章で用いた因子構造を用いて,第4章で実施した 質問紙調査における回答から因子ごとの平均値や標準偏差(SD)は算出し用いた。また,

獲得された安心感尺度の教示文においては数量的な分析に対象者の人数が影響しないため,

第4章においても分析した。

「今まで生きてきた中で,あなたにとって重要な人を教えてください。その際,両親以 外で1人だけ教えてください」という教示に対する自由記述について,集計した(図4-2)。 まず,調査協力者の回答を,①~⑥の数字で分類した。すなわち「家族(夫,妻,きょう だい,息子,娘)」に関するものを①,「親戚,祖父母」に関するものを②,「友人,仲間,

先輩」に関するものを③,「先生,教師(担任,部活の顧問,習い事)」に関するものを④,

「(元)恋人」に関するものを⑤,「その他」に関するものを⑥に分類した。その結果,③ 友人,仲間,先輩に分類されたのが 18 名(30%)と最も多かった。そして,④先生,教 師が14名(24%),②親戚,祖父母が9名(15%),①家族と⑤(元)恋人が7名(12%),

⑥その他が4名(7%)であった。

このように,調査協力者が「家族」「親戚,祖父母」以外で最も多く挙げたのは,「友人,

仲間,先輩」(30%),次いで「先生,教師」(24%),「恋人」(12%)であった。調査協力 者の多くは,社会人経験を有さない大学院生であった。そのことを踏まえると,これらの

図4-2 重要な人物の内訳(n=52)

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図4-3 重要な人物と出会った時期の内訳(n=60)

「友人,仲間,先輩」,「先生,教師」,「恋人」との関係は,多くの場合,大学を含む学校 教育現場で育まれた人間関係であると推察される。日本においては,大人になるまでの過 程(学校教育を受ける年代)において,家族と過ごす時間と同様に学校で過ごす時間は長 いため,教師の関わりはアタッチメント対象の関わりと同様に,児童生徒に対して大きな 影響力をもつと思われる。そのため,児童生徒がアタッチメント対象との関係で不安定な アタッチメントを形成してしまったとしても,教師はその不安定なアタッチメントを修正 できる可能性を有していると考えられる。しかし,その一方で,いじめ被害や教師の不適 切な関わりなどによって,児童生徒の安定したアタッチメントを不安定なものに変えてし まう危険性も存在していると思われる。

次に,「その人(重要な人物)と出会ったのはいつですか?以下の選択肢の中から選び,

数字に○をつけてください」という教示文に対して,調査協力者が回答したものを集計し

た(図4-2)。その結果,「1.小学校入学前」と回答した者は14名で全体の23%,「2.小

学校1~3年生のとき」と回答した者は1名で2%,「3.小学校4~6年生のとき」と回答 した者は2名で3%,「4.中学生のとき」と回答した者は10名で17%,「5.高校生のと き」と回答した者は10名で17%,「6.それ以降」と回答した者は23名で38%であった。

3. 面接調査協力者(11名)における質問紙調査の得点

面接調査に協力した 11 名における質問紙調査の結果を表 4-3 にまとめた。太字で示し

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