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A の質問紙調査結果によると,Aはアタッチメントの安定下位尺度得点が高く,他の調 査協力者と比較しても1SDの範囲を超える高得点であった。そして,不安定型の下位尺度 であるアンビバレントと回避の得点は,平均値よりも低かった。これらのことから,質問 紙調査におけるAのアタッチメントスタイルは安定型であると推察される。リジリエンス

表4-3 調査協力者全体(n=60)と面接調査協力者(n=11)各個人の

各尺度における下位尺度得点や総合得点の平均値

平均値

(n=60) SD A B C D E F G H I J K

3.54 .57 4.41 3.81 3.27 2.66 3.99 3.12 3.16 3.22 3.74 3.81 3.66 肯定的な未来志向 3.65 .58 5.00 4.20 3.60 2.60 4.20 3.60 3.60 3.80 4.40 4.00 4.20 新奇性追求 3.72 .55 4.57 4.00 3.43 3.14 4.57 3.14 3.43 3.29 3.86 4.43 4.00 感情調整 3.17 .52 3.67 3.22 2.78 2.22 3.33 2.89 2.44 2.44 3.11 3.00 2.78

安定 3.09 .65 4.17 3.83 3.33 3.67 3.50 2.17 2.00 2.50 3.67 3.17 2.33 アンビバレント 2.98 .70 2.50 2.67 2.83 3.67 2.67 3.50 3.33 4.00 2.33 3.33 2.17 回避 2.78 .67 2.33 2.67 2.50 1.00 2.67 2.00 3.00 2.50 3.83 4.00 3.33 3.68 .62 5.00 3.71 4.38 3.62 3.00 2.91 3.15 4.06 3.53 3.65 3.18 被献身感 3.75 .73 5.00 3.83 4.17 4.17 2.83 3.83 4.17 4.50 2.83 3.50 3.33 獲得的安心基地 3.50 .83 5.00 4.00 5.00 3.20 3.00 2.00 3.00 4.60 4.20 4.20 4.00 感謝・恩 3.73 .79 5.00 4.00 5.00 4.50 4.00 2.50 3.00 4.00 3.50 3.50 3.75 負い目 3.04 .74 5.00 3.50 4.50 2.25 2.25 2.75 2.00 3.50 2.75 4.25 2.00 代理親 2.87 .75 5.00 2.75 2.50 2.75 2.25 2.75 3.50 2.25 1.25 3.25 2.75 師匠 教員 恋人 同級生 同級生 祖母 教員 恋人 恋人 教員 教員 リジリエンス

重要な人物

イタリック体は1SD以上のポジティヴな得点を指し,網掛けは1SD以上のネガティヴな得点を指す    アタッチメント

獲得された安心感

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表4-4 面接調査協力者の情報の要約(アタッチメント対象や重要な他者との関係)

アタッチメント対象との 関係(留意点)

母や父から

連想した語句 重要な他者 MIPから

連想した語句 特記事項

A

・実母はAが2歳時に自殺により他界

・実父は深刻な問題行動を持っていた(家庭内暴力,

Aに対する身体的・性的虐待)

・継母1は実父の命令でネグレクト

・継母2も存在した

・継母2とAは共謀して父を殺害しようとしたが失敗

【母】大嫌い。悲しい。つらい。苦 しい。逃げたい

【父】怖い。嫌い。逃げたい。(あ とは思いつかない)

【習い事の先生】

・一貫して愛情を注ぎ,一貫してAに必要な  ことを指導した

・父親的役割り(結納など)を果たした

父親。愛情。厳しさ。生き 方。純粋。

・アタッチメント 対象の早期に おける喪失

・深刻な虐待

B

・どちらかと言えば母より父に親しみを感じていた。

・父は「熱血」で真面目な人間

【母】優しい。温かい。穏やか な。さみしい。静かな

【父】

熱い。まじめな。厳しい。素直 な。うるさい

【中学校のときの教員】

・不登校傾向になったとき家まで迎えに来た

・中学を卒業した後も,高校を中退した後に  心配して来てくれて親身に話を聞いてくれた

熱い。まじめな。厳しい。強 い。うれしい。

C ・母が決めたことに基本は従っていく家庭

・母は価値観を押し付ける傾向がある

【母】強い。怖い。速い。楽しい。

忙しい

【父】優しい。楽しい。甘い。いい 加減。子どもみたい

【恋人】

・自分自身をぶつけられた

・話したらわかってもらえる

・感情にブレがない

話したらわかってくれる体 験。態度が一貫。約束を ちゃんと守る。安心して甘え られる。はっきり言葉にして くれる。

D ・離婚のため父の顔を知らない

・母が何度かDと心中を図った

【母】アンビバレンス。不安。怒 り。依存。甘い

【父】

省略

【大学の同級生】

・何をやっても怒らない

・ピンチになったらいつもそばにいてくれる

・絶対的な信頼(裏切られることも嫌われること  もないという確信)

歩んだこと。楽しんだこと。

学んだ。成長した。人。 ・虐待

E ・事細かく,口うるさくいわないで子どもの成長を  見守っている,心配しながら見守っている

【母】慈愛。家族を育てるために 必死。愛情深い。申し訳ない。親 孝行できた

【父】

子どもを守る。積極的ではない。

助けてくれる。見ていてくれる。

関わりがわかりにくい

【大学の同級生】

・自分の中に対人関係とかのしんどさがあった  時に,同じようにそういうものを抱えてるか  なぁって感じた。

障害児教育。研究。尊敬。

自分の生き方の在り方。一 生涯勉強だという感覚。

・発達障害

(?)による生 きにくさ

・いじめ被害

F

・悪いことをした時にしつけをするのは母の役割り

・父は見守ってくれていて,危なくなると助けに来て  くれるため,安心してどこかに行ったりできる

・父と母の立場が逆転してる感じ

【母】寂しい。怖い。切ない。楽し い。優しい。

【父】楽しい。面白い。温かい。

優しい。さみしい。

【祖母】

・母が仕事をしている間は祖母が面倒を見てく  れていた。母よりも一緒にいる時間が長かっ  た。

【小学校のときの担任】

・小学校の先生になったらいいのではと言って  くれた

・友達関係で悩んだ時に先生はそれに気づき  介入してくれた

【大学のゼミの指導教員】

・親身に進路相談に乗り,手助けしてくれた

【祖母】優しい。温かい。厳し い。怖い。おいしい。

【担任】明るい。優しさ。人を 評価すること。友達の大切 さ。将来の夢。

【指導教員】X職になること。

おおらかさ。人を認めるとい うこと。人を支えるというこ と。適当さ。

G

・母は自分が悪さしても理解してくれていた,親身に  なってくれた

・父は,上から目線みたいな感じ。圧力をかけてくる

【母】優しい。温かい。熱心な。

抱え込みやすい。自由奔放。

【父】厳しい。熱心な。怒りっぽ い。悪ふざけをする。真面目な。

【中学校の部活の顧問】

・1人1人の部員に手をかけてくれた

・問題を起こしてしまった時に「学校の方のトラ  ブルは部活では考えなくていいから」と言っ

 くれた。フォローというか,他の先生とはちょっ  と違うような感じで接してくれた

努力すること。自分が正しい と思うことをしなさいというこ と。集中して物事を取り組む こと。何事も続けることが大 事ということ,継続が大事と いうこと。何でも楽しみなさ い。

・何度かトラブ ルを起こしたこ とがある

H

・父と母の仲が良く,子どものことを優先してくれて  いた。そのため,自分もそういう風にしないといけ  ないと思っている

・ちょっと過保護すぎた

・あんな感じに家庭を築けたらと思う

【母】仲が良い。怖い。優しい。

料理が上手。社交的。

【父】足が速かった。背が高く見 えていた。スポーツするのが好 き。穏やかな。社交的ではな い。

【恋人】

・自分のことを1番,何でもしゃべれる人

・全てを受け入れてくれていると感じる人

包容力。穏やかな。守りた い。かわいらしい。一緒にい たい。

・いじめ被害

・何となく学校 にいきづらかっ たことがある

I

・家族のために労力を惜しまず働いてくれたのは母親  だなって思うと母親の方が親しみが持てる

・母は「こうしたい」などと言ったときに,「そうしたいん  だ」と言わない。肯定しない

【母】親しみ。厳しさ。過保護な。

かわいい。優しい。

【父】放任。一本木。扱いづら い。頼れる。男らしさ。

【恋人】

・自分と共通点を感じるところが多かった(目指  すところ,親の教育,行動)

・その人といると安らぐ(ストレスを感じない)

適応的になった。要領が良 くなった。安定・安心を得 た。活力・パワーを得た。自 分を知り得た。

J

・ずっと母親っ子で,小さいときからべったりだった

・今,身近に母くらい愛情を注いでくれる人がいない  ため,胸にぽっかり穴が空いたみたいな感じ

【母】べったり。嫌われたくない。

好き。怖い。面白い。

【父】穏やか。賢い。力持ち。甘 やかしてくれる。優しい。

【中学校の担任】

・父と物知りなところが似ており,父みたいな  安心感があった

信用されること。それに応え たい。信用すること。安心 感。社会の先生だったため 社会が楽しくなった。

K

・母がしっかり者。叱られる時も父ではなく母。色々な  ことを教えてくれた。

・父は温和な性格に思うが,あまり色んなことに関与  してこない

・そのまま丸ごとの自分をOKと言われたことが少な  かった気がする

【母】厳しい。美しい。きちんとし ている。しっかりしている。そつ なくこなす。

【父】優しい。一緒に遊んでくれ る。面白い。力強い。温かい。

【ゼミの先生】

・自分のことは自分が1番わかっていると思っ  ていたが,そうではなかった。

・受け入れられた経験を通して,今後つらいこ  とに直面した際に,誰かに聞いてもらえば  すっきりするかもしれないという思考回路が  できた気がする。

神様。広い世界。自分。関 係性。相互性。

・母の母は早く に亡くなった

(アタッチメント の連鎖?)

・失愛恐怖

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尺度に関しては感情調整下位尺度を除けば,リジリエンスの総合得点,肯定的な未来志向 や新奇性追求下位尺度において高得点を示し,他の調査協力者と比較しても,それらの得 点は1SDの範囲を超える高得点であった。獲得された安心感尺度においては満点であった。

2. 1回目の面接調査

Aの語りから得られた情報を以下にまとめた。その際に,Aが面接で用いた表現を可能 な限り用い,Aの真意を損ねないように努めたため,口語表現になっている箇所がある。

一方,文章を読みやすくするために語りの順番に変更を加えたり,文章の統一性を図るた めに違う語彙を用いたりした箇所もある。

Aの家族構成は,実母,実父,兄,Aであった。そして,後に実母は他界し,継母1や 2人の義妹,継母2が順次,加わった。

Aの父と実母はかけおちの末に結婚した。父は酒乱で酒を飲むと包丁を振り回したり,

棒で叩いたり,暴れたりして手が付けられなくなることが何度もあった。Aが学校から帰 ると家の前にサイレンが回ったパトカーが停まっているなど,警察沙汰になることもあっ た。父はAに対しても,足の下に棒を置かせ,重いものをもたせて長時間正座させたり,

焼酎の一升瓶を机に叩きつけ,その割れた一升瓶をAに投げつけたりした。そのような虐 待により,A自身,骨折したり大量出血したりして病院に行く事態になることが何回かあ った。しかし,その一方で,Aの幼少期に,父は喘息の発作を起こしたAをバイクで病院 に連れて行ったり,仕事帰りに,当時,高価であったキャラメルをAのために買って帰っ たりなど愛情を示すこともあった。このように,父は,毎日,酒を飲んでは暴れるという 問題行動をもっていたが,酒を飲んでいない時は優しく,仕事も優秀であった。また,A の幼少期,Aの家庭は祖父が資産家で,山,畑,家,土地,牛などをもっており,裕福で あった。当時,まだ普及していなかったテレビも,Aの家庭にはあった。しかし,父親が 起こす飲酒運転事故や離婚の賠償などで徐々に資産を失っていった。

Aの実母は,Aが2歳の時に首つり自殺をした。実母が山で首をくくって自殺した際,

その足元にはA が泣いていたという(A にはその頃の記憶がない)。実母はかけおちして おり帰る場所がなかったこと,夫のDVのため近所との付き合いが制限されていたこと,

DV の辛辣さからくる苦しみなどにより自殺を図ったと,A は考えている。おばなどによ ると,実母は着物や花が好きで,優しく,気立てが良く,笑顔がきれいで,かわいい女性 であった。また,Aの従妹(母の姪)に着物を着せ,その女の子にAの成長を重ねて見て

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