第 3 章 中国株式市場における非流動性と収益率の自己相関に関する実証分析 ∙∙∙∙∙∙∙∙ 73
3.3 ポートフォリオ分析
3.3.1 非流動性、回転率とポートフォリオ収益率
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表3.2 変数間の相関関係
Return turnover illiq_zero illiquidity mv
Return 1.000
turnover 0.361*** 1.000
illiq_zero –0.171*** –0.346*** 1.000
illiquidity –0.124** –0.252*** 0.660*** 1.000
mv –0.005 –0.070** –0.240*** –0.075** 1.000
この表は変数間の相関係数を表す。Return と mv はそれぞれ上海 A 株式市場に上場しているすべての株式 の日次収益率と時価価値を表す。回転率(turnover)は、株式の取引の株数を発行される株数で割ったも のである。非流動性指標(illiq_zero)は以下のように計算される。Illiq_ , ln
, ∑ , , /
, %,,ここでN, は月 t における株式 i の取引日数を表し、R, は日 d における株式 i の 収益率の絶対値を表し、VOLD, は日dにおける株式 i の取引ボリュームを表し、1010で割った値を用い る。NT%, は月におけるゼロリターン日の割合である。iliquidity は Amihud (2002) の非流動性指標で あり、取引ボリュームによって生じた株価の変化で評価される。***、**、*はそれぞれ統計水準 1%、5%、
10%を表している。
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トロールしながら、収益率と非流動性とのクロスセクション関係を考察する。
図3.3 構築期間におけるポートフォリオのパフォーマンス (全サンプル期間)
この図は構築期間におけるウイナーポートフォリオとルーザーポートフォリオの月次収益率を示す。ポー トフォリオは 2001 年 1 月−2012 年 12 月の間に、毎月収益率(Return)、回転率(Turnover)と非流動性 指標(Illiq_zero)によって構築される。回転率は、株式の取引の株数を発行される株数で割ったもので ある。非流動性指標は以下のように計算される。Illiq_ , ln
,∑ , , / , %, ,こ
こでN,は月 t における株式 i の取引日数を表し、R, は日 d における株式 i の収益率の絶対値を表し、
VOLD, は日dにおける株式 i の取引ボリュームを表し、1010で割った値を用いる。NT%, は月における ゼロリターン日の割合である。収益率によって構築された 4 つのポートフォリオのうち、極端負の収益率 を持つポートフォリオをルーザーポートフォリオ、極端正の収益率を持つポートフォリオをウイナーポー トフォリオと呼ぶ。回転率ポートフォリオ 1(4)と非流動性ポートフォリオ 1(4)は、それぞれ回転率 の最も低い(高い)ポートフォリオと非流動性の最も低い(高い)ポートフォリオを表す。
図 3.3 は構築期間におけるポートフォリオのパフォーマンスを示している。ウイナーポ ートフォリオの場合、任意の非流動性(回転率)ポートフォリオの月次収益率は、回転率
(非流動性)の増加に伴い上昇している。特に、任意の回転率ポートフォリオにおいて、
非流動性ポートフォリオ 4 と 1 の月次収益率の差は正であり、しかもこの値は回転率の増 加につれて上昇する傾向がある。同様に、任意の非流動性ポートフォリオにおいて、回転
1 2 3 4
-0.115 -0.105 -0.095 -0.085
-0.075 1 2 3 4
Turnover
Return
Illiq_zero Loser portfolio
1 2
3 4 0.050
0.100 0.150 0.200
1 2 3 4
Turnover
Return
Illiq_zero Winner portfolio
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率ポートフォリオ 4 と 1 との収益率の差も正である。一方、ルーザーポートフォリオは類 似の結果を示している。すなわち、非流動性(回転率)の増加に伴い、回転率(非流動性)
ポートフォリオの収益率が減少している。任意の回転率ポートフォリオにおいて、非流動 性ポートフォリオ 4 をロングし、非流動性ポートフォリオ 1 をショットすると、負の収益 率を実現する。しかもこの値は回転率の増加につれてさらに負になっている。
構築期間に、価格圧力のインパクトは非流動性と回転率の増加に伴い上昇していく。最 大の価格の変化は最も非流動性(回転率)の高いポートフォリオに発生している。ウイナ ーポートフォリオの効果は少しルーザーポートフォリオより強く観察される。
表 3.3 は観察期間におけるポートフォリオの収益率を示している。ウイナーポートフォ リオ(ルーザーポートフォリオ)は月 t—1 に最も高い(低い)収益率を実現した株式から 構築されている。回転率あるいは非流動性ポートフォリオ 1(4)は最も低い(高い)回転 率あるいは非流動性を持つ株式から構築される。回転率ポートフォリオ(4-1)というのは、
最も回転率の高いポートフォリオをロングし、その同時に最も回転率の低いポートフォリ オをショートすることによって構築される裁定ポートフォリオである。同様に、非流動性 ポートフォリオ(4-1)というのは、最も非流動性の高いポートフォリオをロングし、その 同時に最も非流動性の低いポートフォリオをショートすることによって構築される裁定ポ ートフォリオである。
ルーザーポートフォリオをみると、16 個の回転率−非流動性−ルーザーポートフォリオの 収益率はすべて正であり、リターンリバーサルを経験することは明らかである。任意の回 転率ポートフォリオにおいて、非流動性ポートフォリオ 4 と 1 の収益率の差は有意に正で ある。また、任意の非流動性ポートフォリオにおいて、回転率ポートフォリオ 1 は回転率 ポートフォリオ 4 より大きな収益率を実現している(非流動性ポートフォリオ 3 を除外)。
さらに、最大のリターンリバーサルは非流動性ポートフォリオ 4 かつ回転率ポートフォリ オ 1 で観察される(0.0246)。これらの結果は高い非流動性がルーザーポートフォリオのリ ターンリバーサルを引き起こすことを意味し、Avramov et al. (2006) と異なっている。
彼らによると、最大のリターンリバーサルは最も高い非流動性かつ最も高い回転率ポート フォリオに生じている。
16 個の回転率−非流動性−ウイナーポートフォリオのうち、14 個の収益率が正であり、ほ ぼモメンタムを経験している。しかも大きなモメンタムは非流動性ポートフォリオ 4 に集 中している。任意の回転率ポートフォリオにおいて、非流動性ポートフォリオ 4 と 1 の収 益率の差は有意に正である(回転率ポートフォリオ 2 を除外)。例えば、回転率ポートフォ リオ 4 では、非流動性ポートフォリオ(4−1)は 0.0140 という収益率を実現し、1%のもと で有意である。また、任意の非流動性ポートフォリオにおいて、回転率ポートフォリオ 1 の収益率は回転率ポートフォリオ 4 の収益率を上回っている。例えば、非流動性ポートフ ォリオ 1 の場合、回転率ポートフォリオ(4−1)は−0.0070 という収益率を示している。
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表3.3 観察期間におけるポートフォリオの収益率(全サンプル期間)
Loser portfolio
illiq_zero
Turnover 1 2 3 4 (4–1)
1 0.0147 0.0100 0.0075 0.0231 0.0076
(4.814) (3.031) (2.225) (6.321) (3.195)
2 0.0118 0.0167 0.0151 0.0231 0.0103
(3.351) (4.395) (3.952) (6.259) (4.464)
3 0.0025 0.0099 0.0159 0.0246 0.0209
(0.684) (2.778) (3.601) (6.047) (9.625)
4 0.0106 0.0095 0.0089 0.0150 0.0039
(2.474) (2.544) (2.191) (3.652) (1.398)
(4–1) –0.0039 –0.0004 0.0013 –0.0076
(–1.392) (–0.188) (0.531) (–3.599)
Winner portfolio
illiq_zero
Turnover 1 2 3 4 (4–1)
1 0.0044 0.0069 0.0083 0.0130 0.0085
(1.412) (2.085) (2.698) (4.070) (3.576)
2 0.0135 0.0117 0.0094 0.0115 –0.0022
(3.794) (3.157) (2.576) (2.988) (–0.771)
3 0.0039 0.0101 0.0054 0.0146 0.0104
(1.086) (2.401) (1.449) (3.847) (4.000)
4 –0.0027 –0.0023 0.0007 0.0115 0.0140
(–0.699) (–0.579) (0.169) (2.741) (4.932)
(4–1) –0.0070 –0.0092 –0.0076 –0.0015
(–2.948) (–3.371) (–3.161) (–0.613)
この表は観察期間におけるウイナーポートフォリオとルーザーポートフォリオの月次収益率と t 統計量 を示している。ポートフォリオは 2001 年 1 月−2012 年 12 月の間に、毎月、収益率(Return)、回転率(Turnover)
と非流動性指標(Illiq_zero)によって構築された。回転率は株式の取引の株数を発行される株数で割っ たものである。回転率ポートフォリオ 1(4)と非流動性ポートフォリオ 1(4)は、それぞれ回転率の最 も低い(高い)ポートフォリオと非流動性の最も低い(高い)ポートフォリオを表す。非流動性(回転率)
ポートフォリオ(4−1)は最も非流動性(回転率)の高いポートフォリオ 4 と最も非流動性(回転率)の 低いポートフォリオ 1 の収益率の差を表す。
図 3.4 は観察期間におけるルーザーポートフォリオとウイナーポートフォリオのパフォ ーマンスを図示したものである。ルーザーポートフォリオの場合、リターンリバーサルは 非流動性の高いポートフォリオ 4 に集中している。一方ウイナーポートフォリオの場合、
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モメンタムは高い非流動性のポートフォリオかつ低い回転率のポートフォリオに顕著に観 察される。特にいずれの収益率の自己相関も高い非流動性と大きく関連することは明らか である。
図3.4 観察期間におけるポートフォリオのパフォーマンス(全サンプル期間)
この図は観察期間におけるウイナーポートフォリオとルーザーポートフォリオの月次収益率を示す。ポー トフォリオは 2001 年 1 月−2012 年 12 月の間に、毎月収益率(Return)、回転率(Turnover)と非流動性 指標(Illiq_zero)によって構築される。回転率ポートフォリオ 1(4)と非流動性ポートフォリオ 1(4)
は、それぞれ回転率の最も低い(高い)ポートフォリオ 4 と非流動性の最も低い(高い)ポートフォリオ を表す。