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残差アプローチ

ドキュメント内 博士論文 (ページ 119-122)

第 4 章     中国株式市場における流動性と収益率とのクロスセクション関係、及びイデ

4.4 残差アプローチ

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表4.6 非流動性指標とイディオシンクラティック・ボラティリティ

Dependent variable : Illiq_zero

Coef. Std.Err. t No. of Obs Adj.R2

Before NTSR

Iv -4.886 *** 1.68 -2.91

_cons 3.549 *** 0.05 78.18 10475 1.13%

After NTSR

Iv 5.760 *** 0.23 24.98

_cons 2.312 *** 0.01 337.56 26089 2.21%

サンプルに含まれる株式は上海 A 株式市場に上場しているすべての普通株である。ただし、取引が 10 日 以下の株式は除外される。Before NTSR は非流通株改革前(2001 年1月−2005 年4月)、After NTSR は非 流通株改革後(2008 年 10 月—2011 年 12 月)の結果を表す。この表は Fama-MacBeth の回帰結果を示して いる。非説明変数が非流動性指標であり、説明変数はイディオシンクラティック・ボラティリティ (Iv) で あり、Fama-French (1993) 3 ファクターモデルの残差の標準偏差により評価される。1%、5%、10%の有 意水準はそれぞれ***、**、*で表される。

非流通株改革前は、イディオシンクラティック・ボラティリティと非流動性指標が負の 関係を持ち、理論的な先行研究の結果と異なっている(係数の推定値=−4.886)。一方、非 流通株改革後にイディオシンクラティック・ボラティリティは非流動性指標に対して有意 な正の説明力を持つ(係数の推定値=5.760)。このような違いが生じた理由は以下のように 説明することができる。非流通株改革を通して、流通市場における投資家構成が大きく変 わり、大株主の機関投資家や政府法人が流通市場に参入してきた。これらの変化は中国株 式市場の流動性やイディオシンクラティック・ボラティリティに直接的な影響を与え、結 果的に中国株式市場が先進国市場に近づきつつあると考えられる。従って、非流通株改革 後は、非流動性指標とイディオシンクラティック・ボラティリティの間に正の関係が存在 し、この結果は Stoll (1978)、Ho and Stoll (1981)、Easley et al. (1996)、O’Hara (2003) などの理論的な先行研究の結果と整合的である。

4.4.2 残差非流動性指標によるポートフォリオ分析

毎月、サンプルに含まれるすべての株式は前節で計算した残差非流動性指標(residual illiq_zero)に沿って5つの等平均ポートフォリオを構築し、また最も残差非流動性指標 の低いポートフォリオをロングし、最も残差非流動性指標の高いポートフォリオをショー トすることにより裁定ポートフォリオ(P1-P5)も構築する。結果は表 4.7 に示されている。

非流通株改革前(パネル A)は、残差非流動性指標によるポートフォリオの収益率は非 流動性指標の増加に伴い減少している傾向を示し、裁定ポートフォリオ(P1-P5)は 0.377%

という正の収益率を実現している。これらの結果は 3.1 節での非流動性指標によるポート

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フォリオ分析の結果と一致している。しかし、3 ファクターモデルのアルファーをみると、

残差非流動性指標によるポートフォリオ 1 のみ有意な値を示し、残りは全部有意なもので はない。例えば、裁定ポートフォリオ(P1-P5)のアルファーは 1.888%という正の値を示 しているが、t 統計量は 0.85 であり、有意ではない。

表4.7 残差非流動性指標によるポートフォリオの収益率(%)

Panel A: Before NTSR

1(Low) 2 3 4 5(High) P1-P5

Return -0.694 -1.788 -1.818 -1.478 -1.071 0.377

-3.94 -13.78 -15.76 -13.98 -12.02 1.91

CAPM Alpha 1.148 -0.240 -0.433 -0.221 -0.152 1.300

7.99 -2.55 -5.26 -2.94 -2.20 1.36

FF-3 Alpha 1.780 0.168 -0.013 0.035 -0.108 1.888

10.97 1.55 -0.14 0.41 -1.34 0.85

Panel B : After NTSR

1(Low) 2 3 4 5(High) P1-P5

Return -0.770 -0.223 0.294 2.065 7.708 -8.478

-5.93 -1.39 1.63 10.30 29.60 -29.07

CAPM Alpha -1.445 -1.038 -0.586 1.116 6.639 -8.084

-15.47 -9.41 -4.69 7.91 33.35 -42.67

FF-3 Alpha -1.410 -1.452 -1.194 0.275 5.553 -6.963

-14.12 -12.97 -9.44 1.90 26.47 -33.78

サンプルに含まれる株式は上海 A 株式市場に上場しているすべての普通株である。ただし、取引が 10 日 以下の株式は除外される。パネル A は非流通株改革前、パネル B は非流通株改革後の結果を表す。1(Low)

〜5(High)は残差非流動性指標(Residual illiq_zero)によって構築された5つのポートフォリオを表 す。残差非流動性指標は非流動性指標をイディオシンクラティック・ボラティリティによって回帰された 残差とする。(P1-P5) は最も低い残差非流動性指標のポートフォリオをロングし、最も残差非流動性指標 の高いポートフォリオをショートする裁定ポートフォリオを表す。Return、CAPM Alpha と FF-3 Alpha は それぞれポートフォリオの収益率、CAPM モデルによるアルファーと 3 ファクターモデルによるアルファ ーを示す。各収益率の下の値は t 値を表している。

逆に非流通株改革後(パネル B)は、残差非流動性指標によるポートフォリオの収益率 は非流動性の増加に伴い上昇している。すなわち、残差非流動性指標と収益率の間に正の クロスセクション関係が観察されている。残差非流動性指標によるポートフォリオ 1 は−

0.770%という月次収益率を実現し、次に同ポートフォリオ 2 の収益率は−0.223%、同ポー トフォリオ 3 の収益率は 0.294%、同ポートフォリオ 4 の収益率は 2.065%、最後に同ポー トフォリオ 5 の収益率は 7.708%である。そして CAPM モデルのアルファーも 3 ファクター モデルのアルファーも非流動性の増加につれて単調な増加傾向を示している。さらに裁定

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ポートフォリオの場合では、最も残差非流動性指標の高いポートフォリオをロングし、最 も残差非流動性指標の低いポートフォリオをショートすると、8.478%という月次収益率を 実現している。この値は CAPM モデルで推定したら 8.084%、3 ファクターモデルで推定し たら 6.963%に下落しているが、1%のもとでまだ有意である。

従って、非流通株改革後の結果は先行研究の結果と整合している。すなわち、イディオ シンクラティック・ボラティリティの影響を除去すると、非流動性と収益率の間に正のク ロスセクション関係が存在することは明らかになった。

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