8職務意欲と職場帰属意識による類型
新たな自治体での職務意欲と改編後の職場に対する帰属意識を基に職員の類型化を クラスター分析(Ward法)により行った。その結果,5つのクラスターに分類された
(Table25).
Table 25 クラスター別にみた職務意欲と職場帰属意識下位尺度得点平均値 クラスター 職務意欲 職場帰属意識
人数: %
愛着要素 規範的要素 一体化要素 存続的要素 1無気力型
2情熱型 3平均型 4安閑型 5自立型
2.56(低)
3. 63(高)
3.40(中)
2.81(低)
4.Ol(高)
2.49(低)
4.13(高)
3.47(中)
3.08(中)
4.20(高)
1.94(低)
3.87(高)
2.58(中)
3.72(高)
2.07(低)
2.57(低)
3.79(高)
3.23(中)
3.24(中)
3.73(高)
3.77(高)
3.84(高)
3.32(中)
4.・28(高)
1.86(低)
62 11
111 20212 39
117 2146 9
クラスター1は職場に対して「愛着」や「一体化」が低く,「職務意欲」も低い。「存 続的要素」のみが高く,辞めることが出来ずに過ごしているだけの職員であり,「無気 力型」と名付けた。クラスター2は職場への帰属意識も「職務意欲」も高い職員で「情 熱型」と名付けた。クラスター3は職場への帰属意識も「職務意欲」も中程度であり,
可もなく不可もない職員で「平均型」と名付けた。クラスター4は「職務意欲」が低 いが「存続的要素」が高く辞めるわけにはいかないため,職場への「愛着」と「一体 化」を中程度に示している職員で「安閑型」と名付けた。クラスター5は職場に対す る「愛着」や「一体化」が高く「職務意欲」も高い。しかし,「存続的要素」が低く職 場にしがみつこうとは考えていない職員であり「自立型」と名付けた。
次に性別,年代別,役職別にクラスターの割合をみた(Figure 2)。
[iEiiialMptiE
全体(n=548) 11 39 9
性別
男性(n=341) 10 36 10
女性(n=207) 14
全体では,職場への愛着心と一体感が強く職務意欲の高い「情熱型」と「自立型」
が合わせて3割,「平均型」が4割,そして職務意欲が低い「無気力型」と「安閑型」
が3割と,「3対4対3」の構成になっていることが示され,集団におけるところの所 謂「2:6:2の法則」に近い結果となった。性別では,「情熱型」と「自立型」を合わせ た職員数の割合は男性の方が有意に多かった(x 2(1)=5.88,p<.05)。年代では,「情熱 型」と「自立型」を合わせた職員数の割合は40代が最も少なく(23%),50歳以上と の比較では,40代が有意に少なかった(X2(1)=4.81,pく.05)。役職では,「情熱型」と
「自立型」を合わせた職員数の割合は管理職の方が非管理職より有意に多かった
( x 2(1)=5.01,p〈.05) .
また,クラスター別に他の尺度得点の差を検討するため,分散分析を行った
(Table26) .
Table 26 クラスター別の下位尺度得点と分散分析結果
鉦些 n=62 tEllEWiEUO_ 」「@, =212 麹
平均 SD 平均 SD 平均 SD 平均 SD
立Pt =46
F値
平均 SD
多重比較
(Tukey HSD) )
職場状況
バーン アウト
相互独立 相互協調
楽観主義
KIO
1協調体制 2能力重視 3自治推進の実感 4日置安全感 5給与満足感
6ハ㌧ンアウト全体
7情緒的消耗感 8職務倦怠感 9空虚感 10評価懸念 ll自己認識主張 12他者への順応 13独断性 14楽観主義 15悲観主義 16整うつ・不安
2. 51
5 9 1
PO1 2
O152﹁0 2813032424
3. 81
4, 32
3, 51
3, O1
3. 15
1. 93
,70 3.12 .54
,41 2.45 .40
,47 2,59 .42
,59 2,72 .50
.74 2,62 ,69
.58 2.40 ,45
,90 2,19 .68
,58 3,13 .74 LO8 L53 ,57 L69 4.98 L 34 L25 4,17 L 15
,76 4,56 ,74 L14 3.57 L 17
.96 2.97 ,77
,74 3,04 ,67
,91 L70 .70
,95
.38
.48
.54
,51
,55
,21
,49
,58
,53
,12
,37
,67
,05
,03
,76
.58 2.67
. 40 2, 18
,4e 2,31
,46 2,49
.70 2.37
.42 2,99
,69 2,71
,61 3, 79
,62 2. 12
.20 5.06
.95 3,77
,72 4,73
.91 3.69
.74 2.66
,65 3,23
,76 2, 13
,56 3.20
,45 2,57
.39 2,75
,47 2, 83
.73 2.76
.48 2. 10
,72 L70
,61 3,e7
,7正 五,24
Lll 4. 14
LIO 4, 58
,74 4,21
LOI 3,65
,75 3.40
.69 2.94
,81 L37
.46 19.50**情熱,自立,平均〉無気力,安閑 情熱,自立、平均〉安閑〉無気力
,42 23, 47 **
無気力〉平均
.41 2L76**自立〉情熱,平均〉無気力,安閑
.43 14.96** 自立,情熱〉安閑,平均〉無気力 自立,情熱,平均〉無気力
,66 7, 25 **
自立〉安閑
.38 19.50**無気力〉安閑〉平均〉情熱〉自立
。50 27.32**安閑,無気力〉平均,情熱〉自立
。75 35.56**無気力〉安閑〉平均〉自立,情熱
.42 31. 64**無気力,安閑〉平均,情熱〉自立 L19 10.73**情熱,安閑〉無気力,自立,平均 情熱,平均,自立〉安閑
,90 6, 15 **
自立〉無気力
.64 7,14**安閑〉無気力,平均,自立
LO5 .52
自立〉無気力,情熱〉安閑
.76 8. 59 **
平均〉安住
,72 2. 46
安閑〉情熱,平均〉自立
・39 10・40**無気力〉自立
*p〈,05 ** p〈,Ol
特にメンタルヘルスとの関連について見てみると,「6バーンアウト全体」の高い順番
は「無気力型」,「安閑型」,「平均型」,「情熱型」,「自立型」の結果(F(4,543)=19.50,p<.01)
となり,「16言うつ・不安」については「安閑型」,「情熱型」と「平均型」,「自立型」
の順番となり,また「無気力型」は「自立型」よりも高く(F(4,543)=10.40,p<.01),
「無気力型」や「安閑型」はメンタルヘルスにおいても好ましくない状態であった。
31
9職務意欲とメンタルヘルスに影響する要因
職務意欲やメンタルヘルスに影響を及ぼす要因を明らかにするために性別,年代別 にパス解析を行った(Figure3−1〜3−4)。
(1)男性
自己認識主張 .25
.49
職務意欲 一.47
.70
バーンアウト
.33
.48
.15 抑うつ・不安
一.08
.32 .51 1一.30
.21
規範的要素 .29
.29
一体化要素
.36 .27 協調体制
.20 愛着要素
.17
.19
安心安全感
.16
能力重視
Figure 3−1 職務意欲とメンタルヘルスに関するパス図(男性) N=341
「協調体制」から「バーンアウト」へのパスは5%,その他のパスは1%水準にて有意
GFI=.96, AGFI=.93, CFI=.97, RMSEA=.06
自治推進の実感
「職務意欲」に直接に影響を及ぼしているのは「愛着要素」(標準化係数=.51,以下 同じ),「自己認識主張」(,25),「能力重視」(21)であった。「職務意欲」への最:も大き な影響要因である「愛着要素」は「協調体制」(.27),「一体化要素」(.20),「安心安全 感」(.19),「能力重視」(.17)から影響を受けていた。「愛着要素」の影響要因の一つで ある「一体化要素」は「職務意欲」に影響を及ぼすのではなく,「職務意欲」(,32)から 影響を受けると同時に「規範的要素」(.29),「自治推進の実感」(.16)から影響を受けて いた。「バーンアウト」については,「職務意欲」(一.47),「愛着要素」(一,30),「抑う つ・不安」(.15),「協調体制」(一.08)から影響を受けると同時に「抑うつ・不安」(.48)
の影響要因ともなっていた。
直接効果と間接効果を合わせた総合効果(Table 27)をみると,「職務意欲」の主な 影響要因は大きい順に「愛着要素」(.53),「能力重視」(.31),「自己認識主張」(.26),
「協調体制」(.14)となっており,「バーンアウト」の主な影響要因は,「愛着要素」
32
(一.61),「職務意欲」(一55),「協調体制」(一.25),「能力重視」(一22)となって
いた。
また,「抑うっ・不安」の主な影響要因は,「バーンアウト」(.52),「愛着要素」(一.29),
「職務意欲」(一.26)となっていた。職務意欲やメンタルヘルスに共通する最も大き な影響要因である「愛着要素」に影響を及ぼしているのは,「協調体制」(.28),「一体 化要素」(.21),「安心安全感」(.20),「能力重視」(.19)であった。
(2)女性
一.12
他者への順応
悲観主義
一一D20
.70
.22
.33
職務意欲
一.53 バーンアウト
.38
.16
.37
唱うつ・不安
規範的要素
.33 1
.28
.23
.40
一体化要素 .22
一.36
A3
.35
.39 一.16
愛着要素 協調体制
.18 安心安全感
Figure 3−2 職務意欲とメンタルヘルスに関するパス図(女性) N=207
「一体化要素」から「バーンアウト」へ, 「協調体制」から「抑うつ・不安」へ, 「協調体制」から「職務意欲」へ,
「悲観主義」から「職務意欲」へのパスは5%,その他のパスは1%水準にて有意
GFI=.95, AGFI=.9e, CFI=.96, emSEA=.06
「職務意欲」に直接に影響を及ぼしているのは「愛着要素」(.40),「他者への順応」
(一.20),「協調体制」(,13),「悲観主義」(一.12)であった。「職務意欲」への最も大 きな影響要因である「愛着要素」は「協調体制」(.39),「一体化要素」(.22),「安心 安全感」(.18)から影響を受けていた。「愛着要素」の影響要因の一つである「一体化 要素」は,「職務意欲」に影響を及ぼすのではなく,「職務意欲」(.33)から影響を受 けると同時に「規範的要素」(.28)から影響を受けていた。「バーンアウト」について は,「職務意欲」(一.53),「愛着要素」(一.36),「抑うつ・不安」(.16),「一体化要素」
33
(.10)から影響を受けると同時に「抑うっ・不安」(.38)の影響要因ともなっていた。
直接効果と間接効果を合わせた総合効果(Table 27)をみると,「職務意欲」の主な 影響要因は大きい順に「愛着要素」(.41),「協調体制」(.30),「他者への順応」(一.21),
「悲観主義」(一.13)となっており,「バーンアウト」の主な影響要因は「愛着要素」
(一.61),「職務意欲」(一.57),「協調体制」(一34),「抑うつ・不安」(.17)となっ ていた。
また,「抑うつ・不安」の主な影響要因は,「バーンアウト」(。41),「協調体制」(一.29),
「悲観主義」(,26)「愛着要素」(一.23)となっていた。職務意欲やメンタルヘルスに 共通する大きな影響要因である「愛着要素」に影響を及ぼしているのは「協調体制」
(.42),「一体化要素」(.23),「安心安全感」(.18)であった。
(3)若年層
存続二二素
一.32
.46
職務意欲
一.48
Jl バーンアウト
.34
.48
.16 抑うつ・不安
規範的要素 .30
.40
.29
一体化要素 .19
.56 一.34
.43 .36 愛着要素
協調体制
.18
.21
安心安全感
給与満足感 Figure 3−3 職務意欲とメンタルヘルスに関するパス図(40歳未満) N=260
全てのパスは1%水準にて有意
GFI=.96, AGFI=.92, CFI=.96, RMSEA=.07
「職務意欲」に直接に影響を及ぼしているのは「愛着要素」(.56)と「存続的要素」
(一.32)であった。「職務意欲」への最も大きな影響要因である「愛着要素」は「協 調体制」(.36),「安心安全感」(.21),「一体化要素」(.19),「給与満足感」(。18)から 影響を受けていた。「愛着要素」の影響要因の一つである「一体化要素」は「職務意欲」
に影響を及ぼすのではなく,「職務意欲」(。40)から影響を受けると同時に「規範的要
34
素」(.30)から影響を受けていた。「バーンアウト」については「職務意欲」(一.48),
「愛着要素」(一.34),「抑うっ・不安」(.16)から影響を受けると同時に「抑うっ・
不安」(.48)の影響要因ともなっていた。
直接効果と間接効果を合わせた総合効果(Table 27)をみると「職務意欲」の主な
影響要因は大きい順に「愛着要素」(.58),「存続的要素」(一.33),「協調体制」(.21),
「安心安全感」(.12),「一体化要素」(.11),「給与満足感」(.11)であった。「バーン アウト」の主な影響要因は「愛着要素」(一.69),「職務意欲」(一,58),「協調体制」
(一.25),「存続的要素」(.18)となっており,「抑うつ・不安」の主な影響要因につ いては「バーンアウト」(.52),「愛着要素」(一.33),「職務意欲」(一28),「協調体 制」(一.12)となっていた。職務意欲やメンタルヘルスに共通する大きな影響要因で ある「愛着要素」に影響を及ぼしているのは「協調体制」(.37),「安心安全感」(.22),
「一体化要素」(,20),「給与満足感」(.19)であった。
(4)中高年層
自己認識主張
.28
.44
職務意欲
一.47
.68
バーンアウト
.36
.43
.16 抑うつ・不安
一一D15
.13
規範的要素
.20
.26
.34
.48
.25
.15
一体化要素
一.29
愛着要素
一.08 一.17
.31X .25
.18
協調体制
.25
能力重視
自治推進の実感
Figure 3−4 職務意欲とメンタルヘルスに関するパス図(40歳以上) N=288
「協調体制」から「バーンアウト」へ, 「自己認識主張」から「一体化要素」へのパスは5%,その他のパスは1%水準にて有意
GF 1=. 96, AGFI=. 91, CFI=. 96, RMSEA=. e7
35