電子税関多年度戦略計画は電子税関イニシアティブの導入に際しビジョン、目標、戦略 枠組みと方向を示すものである。以下に
MASP 2008
年改訂版Electronic Customs Multi-Annual Strategic Plan 2008 Yearly Revision (MASP Rev 9)
から主要項目を抜粋す る。電子税関のビジョンと目標
欧州委員会と加盟国が構造と手段を提供し、
EU
における委員会、税関行政とその他の国 境機関が電子情報を交換し、それにより、◍ 効率的な輸入と輸出手続を通じ域内市場から出入りする貨物の輸送を統制し円滑化す る、
◍ コンプライアンスと行政コストの削減と通関時間の改善を通じ
EU
貿易の競争力を増強 する、◍ 貨物の管理に関する共同アプローチにより貿易の円滑化をはかる、
◍ 危険かつ不正貨物に対し市民の安全と保全の度を高める、
◍ 欧州共同体(
EC
)とその加盟国の財務利益の保護の度合を高める、◍ 国際サプライチェーンに関する迅速かつ適切な情報を提供することにより国際犯罪と テロに対する戦いに貢献する、
◍
EC
規則648/2005
(関税法のセキュリティ改正)やその他の法律の導入により輸出と輸入国の税関間でシームレスなデータの流れを実現する。
このような目的を達成するため、委員会と加盟国は下記を実行に移す。
◍ 貨物の共同体の国境を通じる移動に際して税関手続やその他の目的のため必要となる 共同体を通じた税関間の電子データの交換、
◍ 経済事業者は、貨物がどこの加盟国を通じ共同体に到着又は出発するかに関わらず、彼 らの施設から申告書を電子フォーマートで提出することができる、
◍ 関税の回収及び再支払いや軽減は、原則的に、輸入者/輸出者が所在し税関記録を保持 している場所を管轄する税関により取扱われる、
◍ 国境又は内陸税関での税関管理のための貨物の選択は国際的、共同体及び各国の自動リ スク分析の基準に基づき行なわれる。共同体の基準は加盟国間で電子交換される、
◍ 企業は、他の加盟国で税関取引を行っているとしても、税関手続のため
1
加盟国でのみ 登録しなければならない、◍ 企業は、どこの加盟国で取引を開始し終了するかにかかわらず、輸入と輸出の取引のた め情報ポータルとシングル電子アクセスポイントにアクセスすることができる、
◍ すべての現在(
TARIC, NCTS
など)及び将来のコンピュータ化された税関システムは 総合的な建築設計にもとづく、◍ 必要な場合、このようなコンピュータ化された税関システムは既存の及び税関以外の将
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来のシステム(例えば、課税貨物の域内の輸送をモニターする
Excise Movement and Control System (EMCS)
)とインタ-フェースされる、◍ 輸入および輸出の取引に関与する当局と代理機関は、国際協定により可能であれば第三 国を含め、電子情報を交換することができる。税関は、シングルウインドウの設定に際し これらの当局や代理機関に対し主導的な立場をとる、
◍ すべての貨物の物理的コントロールは同時に同じ場所で(ワン・ストップ・ショップ)
行なわれる。
導入への段階別アプローチ
◍ 第
1
段階は現状に積み上げる。すなわち新自動中継システム(New Computerized Transit System (NCTS)
とリスクマネジメントの分野である。そして、Import Control System (ICS)
、Export Control System (ECS)
(2
段階に分けて)、NCTS-TIR, EORI (Economic Operators’ Registration and Identification System)
、Authorised Economic Operator System
(AEO
)そしてRegulation (EC) No. 648/2005
のセキュリティ要件に対 応するためNCTS
のさらなる開発 ―NCTS
フェーズ4。◍ 第
2
段階は企業に向けて電子通関ビジョンの状況を説明する段階とみられる。すなわち、EU
税関情報ポータル及び総合タリフ環境(継続事業として)など。いくつかの作業がこの 分野で進められているが、第1
段階に基づき計画されるべきで、完全導入は2011
年とある。単一認可データベース(
Single Authorisations Database
)がこの段階で完成される。この 段階で、単一電子アクセスポイント(Single Electronic Access Point
)の機能明細、集中通 関とシングルウィンドウは2011
年2
月15
日までに準備される。◍ 第
3
段階には、新関税法に基づいたさらに野心的な分野に集中する。プロジェクトは集 中通関(Centralised Clearance
)を含む完全な自動輸出、輸入システム(Automated Export System (AES)
とAutomated Import System (AIS)
)の完成に向かう。一部の準備作業が 事前に行われるが、新関税法の進捗計画、実行が実務的に可能かによるが、狙いは、主た る開発、テストと導入を2009
年以降に開始することにある。さらに、第2
段階のシステム の機能スペックが肯定的評価を受けるとすれば、シングル電子アクセスポイントは3
年以 内に設定されることとなる。◍ 第
4
段階はシングルウィンドウ計画の設定にある。委員会通達(Commission Communication (452 (2003))
と電子税関決定(Electronic Customs Decision (No.
70/2008/EC)
)に記載された電子税関イニシアティブの最終項目の実現にある。加盟国は、各システムの適合テストと運営に当てられた時間枠のなかでシステムを導入
61
する。しかしながら、
MASP
又は法律が決定した最終日までに全ての加盟国ですべてのシ ステムが稼働しなければならない。法律改正と簡素化(
2003-2009
)税関当局と経済事業者のベネフィットのための情報技術の強制使用が関税法の改正を必 要とした。加えて、共同体の税関規則と手続は、紙に代わり
IT
を使用することにさらに順 応させるため、さらなる簡素化と近代化が必要とされる。EU
関税法(Regulation (EEC) No. 2913/92
)は外部国境でのセキュリティ強化のため改 正され(Regulation (EC) 648/2005
)、それに伴う施行規則(Commisssion Regulation (EC)
1875/2006
)が施行された。この関税法の改正の推進が、すでに電子税関に関する多くの改正が含まれているが、さらに新関税法に反映されている。
欧州議会及び理事会規則
(EC) No. 648/2005
当規則と施行規則はすでに実施されている。
Export Control System Phase 1
や2008
年1
月1
日から適用のAEO
資格の授与に関する規定など、一部の規定は直ちに適用されるべ きであったが、加盟国に必要な行政組織を設置する必要があった。電子申告とリスクマネ ジメントの導入のための自動システムや輸入と入国税関、輸出と出国税関間の電子データ の交換は2009
年7
月1
日までに実施することが求められた。これは企業と税関当局に、特 に申告書に必要とされるセーフティとセキュリティの追加データを取扱うため、彼らのシ ステムをアップデートする時間を与えるためであった。現実的にはEntry Summary Declaration
とExit Summary Declaration
の運営開始は2011
年1
月1
日となった。新関税法(
Modernized Customs Code
)新関税法(
Regulation (EC) No. 450/2008
)は税関とトレードのためにペーパーレス環境 へのシフトをさらに推進し以下を目標とする。◍ 集中通関を可能とし税関と業界のために簡素化されたペーパーレス環境をつくりあげ るため、税関の規則、手続、プロセスを効率化し適合させる、
◍ セーフティとセキュリテイ、コンプライアンスを確保し、不法行為のリスクを削減する ため税関法制の効率化を向上させる、
◍ 正当なトレードを円滑化し
EU
における企業の競争力を強化する。電子税関決定
(Decision No. 70/2008/EC)
電子税関決定の主たる目標は、◍ すべての関与者は、汎ヨーロッパで相互運営とアクセス可能な電子税関システムを合意 した時間帯のなかで導入することを約束する、
◍ 電子税関システムに対し、目標、戦略と協調のメカニズムを設定する、
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◍ システムの共同体と加盟国の構成部分、関連する責任と課題を明確にする、
◍
e-
税関イニシアティブの監視と報告体制を設立する。なお、電子税関の決定は
2008
年2
月15
日に発効している。オペレーションの集中
多くの分野で共通の法規則は、それ自体、経済事業者に対して公平な市場、税関同盟に 対しては効率的なマネジメントを提供するものではない。法の改正とともに共通のガイド ラインと運営手順が必要となる。電子税関イニシアティブに関しては次の活動が運営の集 中化をはかるため優先される。
◍ リスクマネジメント
共通の基準と標準に基づきリスク情報を交換することは効率的なリスク分析を行うに際 して必須である。委員会と加盟国はそのような基準と標準を税関リスクマネジメントシス テムのなかで開発している。
◍
AEO
資格、EORI
システム、その他汎ヨーロッパ域内認定IT
の見地からIT
システムまたはデータベースを開発することが必要となった。すなわち、加盟国の当局間のコミュニケーションとコンサルテーション手続を認定手続のもとで円滑 化するのみならず経済事業者の登録、識別と認定(
EORI
)のためのマスターデータベース とし、必要な場合、第三国との相互承認に使用する。2008
年の1
月までにシステムを設立 するという厳しい時間帯のなかで段階別アプローチが提案された。AEO
のフェーズ1シス テムはAEO
認定証の情報を共有する基本機能を提供、そしてシステム運営の最初の2
年間 に認定証発行の締切日の延長を考慮する。AEO
のフルシステムのもとでコミュニケーショ ンとコンサルテーション機能がIT
システムに追加される。AEO
フェーズ1
は暫定システ ムでAEO
フルシステムの開発は並行して進行している。同様なIT
インターフェースをEORI
システム、AEO
の認定およびその他の経済事業者に与える今後の認定証に設定する ことを意図している。◍ 集中通関(
Centralized clearance
)IT
の見地からみると、最も興味ぶかいプロジェクトは、貨物が他の税関(特に入国税関)の管轄下で引渡しされるにもかかわらず、経済事業者が所在する場所で貨物を申告し申告 書が受理される点にある。このためには、すべての必要書類が加盟国間で送信されるとと もに管理のレベルが十分であるが過重にならないよう、共通の管理基準を規定する
IT
シス テムを必要とする。情報と通信技術税関システムの開発
全共同体を通じ税関業務プロセスの集中化と調和を支援するよう特に設計された情報と 通信技術を使用することは税関行政ならびにトレーダーにとって有益である。それはリス ク分析を効果的に行いそれにより貿易の流れを効率的に監視し検査貨物を適切に選択する