電子データ処理技術の開発とともに従来の貨物を税関の管轄下におく管理方式から申告 者の電子記録と税関のシステムを直結させることによる税関申告が認められることとなる。
図2-6に自社記録による申告の全体図と表2-5に関連条項を記載した。
税関申告の種類(MCC第
107
条)1.税関申告書は、電子データ処理技術を使って行うものとする。税関当局は申告者の記 録へ申告する形での税関申告を認めることができる。ただし、税関当局が申告者の電子シ ステムのデータにアクセスできる場合で、税関官署相互間で必要なこのようなデータの交 換についての要件が満たされる場合に限る。
申告書の受理(MCC 第
112
条)1.申告書が、税関当局による申告者の記録への申告及びデータへのアクセスの形をとる 場合には、当該申告書は貨物情報が記録に入力された時点で受理されたものとする。税関 当局は、申告者の法的な義務又はセキュリティ及びセーフティのための管理の適用を害す ることなく、貨物を税関の管理のために到着の通知又は税関の管轄下に置く義務を免除す ることができる。
申告者の記録への申告の範囲と条件(MCCIP 521-3-01)
1.申告者への記録への申告は以下に認められる。
(a)
輸入(自由流通への引渡し)(b)
一時保管と税関倉庫(c)
一時的許可と最終用途(d)
域内向け・域外向け加工(e) MCCIP 521-3-02
(申告者の記録への申告の輸出手続)に定められた条件のもとでの輸出
税関申告が申告者の記録への申告の形式をとる場合、
MCC 90
条(Entry Summary
Declaration
に代わる税関申告書)は適用されない。2.認定者は、
(a)
少なくとも簡素化税関申告の明細と補足資料を記録に入力する、(b)
税関管理のために貨物が用意されていることを通知しその場所と日を記録に入力する、(c)
要求に従い、記録に入力した簡素化又は詳細申告又は補足資料の明細を監督税関に通知 する、MCCIP 522-2-01
から522-2-04
(補足資料)が適用される、(d)
国際貿易に関する特別規定に従い貨物を引渡す前に制限や禁止について税関や他の当 局が管理しなければならない貨物の情報を監督税関に通知する、38
(e) MCCIP 710-01
に基づく特別手続の申請を含む税関申告には記録への申告の認可は使用しない、
(f)
アネックス52-01
に従い認定書に定められた期限内に詳細税関申告の明細を定期的に 送らなければならない、(g)
誰が記録にアクセスしたか、何時、どのような作業が行われたかを示す保安システムを 導入しなければならない。3.一時保管と集中通関を除き認定者は貨物を税関管理のために以下の場合貨物の到着を 通知しないことが認められる。
- AEOC
又はAEOF
の認定者である、-
該当する貨物の性質と流れが税関当局に保証され知られている、-
必要な場合監督税関はその権利を行使するため必要と思われるすべての情報にアクセス できる、-
貨物が禁止又は制限品目ではない、しかしながら監督税関は特別な場合に貨物が税関の管理下にあることを通知することを要 求する。
4.記録への申告が貨物の引渡しに相当することが認められている場合を除き、監督税関 は認定者に貨物の引渡しを通知する。それ以外、認可はどのような税関管理の要求に対し ても期限を設定することができる。そして監督税関が管理の実行を期限以内に遂行しなか った場合は、その期限の終了とともに貨物は引渡されたものとみなされる。
5.先着順の割当貨物が記録に申告された場合、そのような手段の適用は監督税関へ、特 別の通知又は定期的な税関申告により合意されたものとして通知された場合に限り手続が 行われる。
輸出手続のための申告者の記録への申告 (MCCIP 521.3.02)
1.出発前期限と
Exit Summary Declaration
に必要な明細を提出する義務が免除される場 合、申告者の記録への申告の認可により経済事業者は各船積みごとにExit Summary
Declaration
の明細はなしで直ちに自らの記録へ標準税関申告の明細を入力し、貨物がEU
の税関領域を出発した翌月の
16
日までに監督税関に報告する。その認可は下記の条件のも とで授与される。(a)
認可は禁止や制限されていない貨物にのみ使用される、(b)
認定者は監督税関に当該税関が貨物の管理を行うのに必要とされるすべての情報を提供する、
(c)
輸出税関が出国税関と異なる場合、当該税関当局はその認可の使用に合意し(b)
に述べた情報は出国税関でも入手できる。
しかしながら監督税関又は出国税関は特別な場合貨物が税関の管理下にあることを通知す ることを要求することができる。
39
2.第
1
項に述べられた認可が使用された場合、申告者の記録への貨物の申告は輸出と出 国の許可とみなされる。申告者の記録への申告の認可(MCCIP 521-1-02)
申告者の記録への申告の認可は
MCCIP
により以下のとおり規定されている。(b) MCCIP 521-3-01
及びMCCIP 521-3-02
に規定された条件に基づく申告者の記録への 申告は、MCCIP 123-05
(税関と租税コンプライアンス)
、MCCIP 123-06
(商業ならびに 輸送記録を管理する十分なシステム)及びMCCIP 123-08
(能力の実務標準又は職業資格)に規定の条件を満たせば認可される。この認可は、申告者の記録への申告が簡素化と補足 申告(簡素化申告手続)の形式で行なわれる場合にも適用される。
注:上記要件は
AEOC
の要件からMCCIP 123-07
(財務の健全性)を外したものである。したがって、
AEOC
は集中通関の認可を受けるが、AEOS
はMCCIP 123-08
(能力の実務 標準又は職業資格)の要件を満たしていないため認可を受けることができない。AEOF
は 認可を受ける。詳細は表
2
-2 AEO MCCIP 521-1-02
税関手続に関する認可参照。この自社記録による申告から期待される効果は次にある。
◍ 自社記録を税関のシステムと電子的に直結することにより手続の迅速化がはかれる。
◍ 貨物の到着を通知する又は貨物を税関の管理下に置く義務は不要となる。
◍ 税関手続簡素化の
AEO
、すなわちAEOC
又はAEOF
の認定を受けるか、MCCIP
123-05,123-06
及び123-08
の条件を満たせば自社記録による申告が可能となる。税関手続処理システムと企業のシステムを連結し、管轄税関による地域管理を超えた集 中通関が実現すれば手続の大幅な迅速化とコスト削減効果が期待できる。
40
図 2 - 6 .申告者の記録による申告( Entry in the Declarant’s Records )
出所:MCCならびにMCCIPの該当条項より作成。
申告者 税関当局
電子システムによるデータのアクセス
貨物の到着の通知又は税関の管理下に置く義務を免除
運営の条件
◦ 少なくとも簡素化税関申告と補足資料の明細 を記録する。
◦ 貨物が税関の管理下にあることを通知し、そ の通知の場所と時間を記録する。
◦ 貨物を引渡す前に審査が必要な制限・禁止貨 物の情報を監督税関に通知する。
◦ 完全な税関申告書の明細を期限内に定期的に 監督税関に提出する。
◍ 記録の保守システムが整備されている。など。
期待される効果
◦ 自社記録を税関のシステムと電子的に直結する ことにより手続の迅速化をはかる。
◦ すなわち、税関手続処理システムと企業のシス テムを連結し、監督税関による地域管理を超えた集 中通関が実現すれば、手続の大幅な迅速化と大きな コスト効果が期待できる。
認可の条件
◦ 定められた基準と条件を満たす。
◦ AEOC又はAEOFに認定されて いる。
認められる取扱い
・輸入
・税関倉庫
・一時保管
・加工
・輸出 など
41
表
2
-5
自社記録による申告(Entry into the Records
)(TAXUD/MCCIP/2010/100-2
より修正)MCC 第107条 税関申告の種類(Types of customs declaration)
1.税関申告書は、電子データ処理技術を使って行うものとする。税関当局は申告者の記録へエントリーする形での税関申告を認めることができる。ただし、税関 当局が申告者の電子システムのデータにアクセスできる場合で、税関官署相互間で必要なこのようなデータの交換についての要件が満たされる場合に限る。
T
he customs declaration shall be lodged using an electronic data-processing technique. The customs authorities may allow the customs declaration to take the form of an entry in the declarant’s records, provided that the customs authorities have access to those data in the declarant’s electronic system and that the requirements for any necessary exchange of such data between customs offices are met.以下省略。
MCC 第112条 申告書の受理(Acceptance of a declaration)
1.税関当局は、本章に定める条件に合致した申告書については、直ちにこれを受理しなければならない。ただし、申告書に記載された貨物の到着が税関にすでに 通知されている場合又は税関当局が当該貨物を十分に管理できる状況にある場合に限る。
申告書が、税関当局による申告者の記録へのエントリー及びデータへのアクセスの形をとる場合には、当該申告書は貨物情報が記録に入力された時点で受理され たものとする。税関当局は、申告者の法的な義務又はセキュリティ及びセーフティのための管理の適用を害することなく、貨物を税関の管理のために到着の通知又 は税関の管轄下に置く義務を免除することができる。
Where the declaration takes the form of an entry in the declarant’s records and access to those data by the customs authorities, the declaration shall be deemed to have been accepted at the moment at which the goods are entered in the records. The customs authorities may, without prejudice to the legal obligations of the declarant or to the application of security and safety controls, waive the obligation for the goods to be presented or to be made available for customs control.
MCCIP 521-3-01 申請者の記録への申告の範囲と条件 (Scope and conditions of entry in the declarant’s records, MCC 107 (1), (3), CCIP 253c, 266, Annexes 52-01)
1.申告者への記録への申告は以下に認められる。
(a) 輸入(自由流通への引渡し)
(b) 一時保管と税関倉庫 (c) 一時的許可と最終用途 (d) 域内向け・域外向け加工
(e) MCCIP 521-3-02(申告者の記録への申告の輸出手続)に定められた条件のもとでの輸出
税関申告が申告者の記録への申告の形式をとる場合、MCC 90条(Entry Summary Declarationに代わる税関申告書)は適用されない。