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4.3 提案方式の評価

4.3.3 電力性能(接触抵抗)

接触抵抗の測定

接触抵抗の測定に関しては,電源と電流計との間に電流制限用の抵抗を接続し た.接触抵抗を測定する環境を図

(4.26)

に示す.そして,電源の電圧を変化させ,

各接合方式において

5

回ずつ測定を行い,その平均を接触抵抗値とする.その結 果を図

(4.27)

に示す.

(4.27)

によると,ピンの接触抵抗が最も接触抵抗値が低いことが分かる.こ

れは,ピンの場合の接触面積が他のものと比べ大きかったことが理由であると考 えられる.電気抵抗は電気の流路の断面積が大きいほど小さくなるという性質が あることから,このような結果となったのであろう.

続いて,ボタンと車輪(外側)接触抵抗が低い理由であるが,ボタンの場合は 強力に接合なされることから,接触部がしっかりと圧着されるためであると考え れる.一方,車輪(外側)の場合は配線に銅製の針金を用いたこと,電気の流路 の断面積が大きいことによるものと考えられる.

そして,車輪(内側)と鉤爪であるが,車輪(内側)の場合は電気の流路の断 面積が大きいが鉄の素材に亜鉛によるクロメートメッキがなされていることから,

車輪(外側)に比べ抵抗値が増加したと考えられる.また,鉤爪の場合は接合部 に重りによる荷重を与えることで圧着を図ったのだが,ボタンの場合と比較して,

接合点が線接触であることから接触面積が小さいことから抵抗値が増加したと考 えられる.また,蝶番に関しては,蝶番内部の回転箇所による接触抵抗の影響を 受けたのではないかと考えられる.

最後にスライドレールに関して,図

(4.27)

中の値はレールを半分引き出した状 態での測定値である.レールを引き出す長さを変更させて接触抵抗を測定したと ころ,レールを引き延ばすほど抵抗値が上昇する傾向が見られた.これはレール を引き延ばすことにより,電気の流路も延長されたことが理由であると考えられ る.電気の流路が長くなると,電気抵抗が増加するためである.

接触抵抗の評価

今回提案した接合方式の接触抵抗を評価するため,標準的な値として一般的に 用いられるコネクタ規格である

USB

シリーズ,ドロワーコネクタの接触抵抗を参 考とした.接触抵抗は小さいほど効率がいいということである.

USB

シリーズの 中で

USB-C

の接触抵抗は

40mΩ

以下で

USB-B

のそれは

35mΩ

であった.USB-C

USB-B

より接触抵抗が大きいので,許容と考えて

USB-C

の値を記載した.

(4.27)

に示す通り,ピンとボタンの接触抵抗は

USB-C

によるコネクタ接続と ほぼ同じかそれ以下であった.そのほかの提案した接合方式の接触抵抗は最大で

USB-C

によるコネクタ接続の接触抵抗の約

100

倍であった.この値は標準の値

と比べ非常に大きく,通信や給電の際の損失も大きいことが分かった.しかし,損 失が大きくとも電流流路が近距離であったり電源は大電力であったりすると無視

できる程度の接触抵抗であると考えられる.また接触点を増やせば接触面積が増 加することで,抵抗を低下させることが可能である.そのことから,いずれの接 合方式においても十分使用に耐えうると考えられる.

4.3.4 電力性能(最大許容電流)

最大許容電流の測定

ここでは,接合部に流すことのできる最大電流を測定し,提案した接合方式の 最大電力を求める.その測定法は,被測定物に流す電流値を徐々に増加させ,温 度上昇が

60

度となった際の電流値を最大許容電流とするものである.本研究では

5

分ごとに

1A

ずつ電流値を上昇させ,サーモグラフィカメラを用いて温度上昇を 観測した.サーモグラフィカメラは

Seek

社の

Compact XR

という,スマートフォ ンやタブレットと接続するタイプのものを使用した.今回はそれを

iPad

と接続し,

温度測定を行った.

最大許容電流値の決定方法としては,まずユースケースに基づく各接合方式の モノとモノの間の最大許容電流を測定し,その後,今回

SPE(IEEE802.3cg)

ケー ブルの代わりに用いた電話線の最大許容電流を測定する.そして,そのどちらか の小さいほうの最大許容電流値を,提案した接合方式の最大許容電流値とする.

その測定環境を図

(4.29),(4.30)

に,測定結果を図

(4.28)

に示す.また,測定時 の室温は約

23

度であった.今回の測定では半分引き出した状態のスライドレール を用いた.

いずれの場合でも,モノよりも配線が先に温度が上昇してしまい,モノ単体で の正確な最大許容電流値を求めることは出来なかった.その理由としては,被覆 された配線よりも大気に開放されているモノとでは放熱の速度が異なり,配線の 放熱の速度が温度上昇の速度に追い付かないことで温度上昇を招いてしまったと 考えられる.ただし,ほとんどの提案した接合方式において

3A

以上の最大許容電 流を確保することができた.給電に

48V

の電源を用いる場合,単純計算で

144W

以上の給電能力を備えた接合方式であるといえる.今回は検証として大きさの小 さなモノを用いたが,実用化する際にはモノが大型化することで最大許容電流も 増加し,更なる高電力の供給も可能となるのではないかと考えられる.

最大許容電流の評価

また,今回測定した最大許容電流の評価を行うため,標準的な値として

SPE(IEEE802.3cg)

ケーブルに用いられる

AWG26

規格の電話線の最大許容電流値を参考とした.回

路中に他の負荷がなく,ケーブルのみを使う場合は最大電流であると考える.

(4.28)

に示す通り,

AWG26

の電話線の最大許容電流の規格値は

4A

である.

提案した接合方式の最大許容電流は,前述の通り配線が先に発熱してしまい最大 許容電流の測定が中断してしまったことから正確な値は分からないが,発熱の状 態から提案した接合方式の実際の最大許容電流は

4A

以上であることが推察され

る.したがって提案した接合方式の最大許容電流は

AWG26

の電話線以上である ことから,いずれの接合方式においても十分使用が可能な値であると考えられる.

Ͳϰ͘ϱ Ͳϰ Ͳϯ͘ϱ Ͳϯ ͲϮ͘ϱ ͲϮ Ͳϭ͘ϱ Ͳϭ ͲϬ͘ϱ Ϭ

Ϭ Ϭ͘Ϯ Ϭ͘ϰ Ϭ͘ϲ Ϭ͘ϴ ϭ ϭ͘Ϯ

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