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集中指標算出ツールの開発

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3.3 集中指標算出ツールの開発

本節ではまず、集中指標算出ツールを開発する目的を述べた後、ツールの要求仕様 について説明する。次に、要求仕様を満たすツールの設計について述べ、集中指標算 出ツールのうちソフトウェア作成に必要な環境と開発したツールを用いた集中指標算 出方法について説明する。

3.3.1 集中指標算出ツール開発の目的

知識階層モデルの第

1

階層及び第

2

階層を対象として開発された認知タスクである単 語分類タスクは、実際のオフィス環境で簡易に行うことができることが利点である。し かし、大石

[1]

が用いた計測結果から集中指標を算出するためのプログラムは、

CUI

形式 であり動作コマンドの入力方法を理解するために特殊な専門知識を覚える必要があり、

加えて操作結果が即座に画面に反映さないため、オフィス環境の改善にとりくむ人々 が一般的に利用できなかった。そこで、直感的理解や操作性に優れた

GUI(Graphical

User Interface)

を介して、誰でも簡単に集中指標を算出できるツールを開発すること

を目的とする。また、ツールには前節にて精緻化した集中指標を算出するアルゴリズ ムを組み込む。

3.3.2 集中指標算出ツールの要求仕様

本項では、ツールの要求仕様について説明する。集中指標算出ツールはハードウェ アとソフトウェアからなる。オフィス環境の改善に取り組む人々が一般的に利用でき る、直感的に操作性の優れたツールを目指して仕様を作成した。以下にその要求仕様 について説明する。

まず、ハードウェアの要求仕様は、特別な

PC

を必要とすることなくソフトウェアが 動作し、マウスとキーボードを用いて直感的に操作できることである。また、ネット ワーク環境は必要とせず、スタンドアローンで動作できることが様々な環境でツール を利用できるため有用である。

次に、ソフトウェアの要求仕様を表

3.1

に示す。

まず、解析するまでに必要な動作機能実現のための仕様を示す。

誰でもマウスとキーボードを用いて計測データを参照したり、指標算出のための 操作ができるようにするために

GUI

による操作画面表示できること。

簡単に解析したいファイルを選択可能にするために、解析対象とする計測データ をマウスやキーボード入力を用いて選択できること。

すでに解析をしたことのある計測結果の画像を表示したい場合のために、最後に 解析した結果を呼び出す解析済み結果の表示ができること。

次に、選択した計測データを解析するにあたって必要な値を設定する機能実現のた めの仕様を示す。計測結果には同じ解答入力ボタンを

2

度連続で押すことなど、非常に 短い解答時間は認知処理の状態遷移モデルを経由した解答ではないためパラメータの 算出に影響する。この影響をできるだけ取り除くために、単語分類タスクのステップ分 解することによって得られる最短の解答時間である

0.9

秒以下を省いていた。しかし、

単語分類タスク以外の他のタスクが実施される場合を考慮して以下の仕様を加えた。

タスクや一部の被計測者毎に解析から削除したい解答の解答時間の上限値

(閾値)

を変更できるように解析対象とする下限解答時間の設定ができること。

3.1:

ソフトウェアの要求仕様

ソフトウェアの要求仕様 理由

GUI

による操作画面表示

誰でもマウスとキーボードを用いてファイルの 選択や解析操作ができるようにするため 解析対象

計測データファイルの選択

GUI

上で計測データファイルをマウスあるいは キーボードを用いて選択できるようにするため

解析済み計測データの表示

解析が終了したことを確認し、

その結果を認識するため 解析対象とする

下限解答時間の設定

ノイズとして現れる非常に短い解答時間を 被験者ごとに設定し解析対象から省くため

参考 期待値の設定

設定した期待値に最も近い パラメータを算出するため

データ削減閾値の設定

1

点毎の解析対象削減点における パラメータを調べる場合のため

解析範囲の設定

セット中全ての計測時間のうち、一部の経過時間 範囲のみを対象として解析を行う場合のため

1

つの計測データの解析

1

つの計測データのみを解析する場合のため タイムシフト解析 セット内の集中指標の変化を評価するため

フォルダ内全データの一括解析

フォルダ内の全データを一括で解析して、

手間を減らすため 解答時間ヒストグラム図

横軸範囲の設定

解答時間ヒストグラム図の横軸の 描画最大値を固定するため

相関係数の描画最小値の設定

閾値毎の相関係数のグラフを示す際の 縦軸の最小範囲を固定するため

最頻値の描画範囲設定

閾値毎の最頻値のグラフを示す際の 縦軸の範囲を固定するため

算出したパラメータの表示

解析が完了したときに算出した パラメータの結果を確認するため

コメントの記録

解析対象とした計測データに備考がある際、

指標の評価時に注意すべき事柄を確認するため

相関係数変化の数値表示

近似に使用した解答数より前後

2

点の解答数で近似したときに 相関係数がどう算出されているかを確認するため

候補点とした期待値のうち一貫性のある候補値ではなく、他の期待値ではどのよ うなパラメータを示すか確認できること。

集中指標の算出に使用する解答時間データ点数を変更した場合にどのようなパラ メータを示すか確認できるようにするために、ある一定時間以上の解答時間を省 くための閾値を設定できること。

集中指標をある解析窓の区間のみを限定して解析した結果を調べたい場合のため に、対象とする解析対象経過時間を設定できること。

次に、解析するための機能として以下の仕様が必要である。

1

つの計測データのみを解析したい場合のために、そのデータのみの解析ができ ること。

集中指標の時間遷移を評価するためにタイムシフト解析を実行する機能が要求さ れる。また、その場合には解析窓の時間幅と解析間隔を分単位で入力できるよう にすることができること。

複数の被計測者の計測データや複数のセットの計測データを一括で解析するため に、その計測データがあるフォルダ内の全データを一括で解析することができる こと。

次に出力されるグラフの画像ファイルに関する値を設定する仕様が必要である。

解析結果として出力されるヒストグラム画像の横軸範囲を設定する場合のために、

ヒストグラム画像における横軸の範囲を設定できることができること。

同様に、算出されたパラメータである相関係数ができること。

同様に、最頻値のグラフの縦軸範囲を設定できることができること。

最後に、解析終了後に視覚的に結果を表示するための以下の仕様が必要である。

算出したパラメータの結果を視覚的に確認できる表示ができること。

解析した計測データに注意すべき内容がある場合に、その内容をパラメータが記 録されているファイルに追記できる機能ができること。

パラメータが導出されたときに近似に使用した解答数より前後

2

点の解答数で近 似したときにどのような相関係数が算出されているかを詳細に確認したい場合の ために、それらを数値として示すことができること。

以上の要求仕様の実現によって期待される、ツールの定量的な効果について述べる。

大石が作ったソフトウェアでは、実験の計測データから集中指標を算出するのに必要 な時間は実験参加者

1

人あたり

6

セットで

26

分であった。本ツールによって

1

セット あたり

30

秒で集中指標が算出できるようになれば、定量的な効果は削減時間を実験参 加者

1

6

セットあたり

23

分とする解析者の解析作業負荷の低減が期待できる。次に、

ツール作成による定性的な効果について述べる。これは、プログラムやアルゴリズム などの特殊な専門的な知識を不要とし、執務環境改善や知的生産性に関わる研究をす る者なら一般的に集中指標を算出できることが期待できることである。

3.3.3 集中指標算出ツール開発に用いた環境

ツール開発にはプログラミング言語である

Python ver.2.7

を使用した。その他に、

GUI

の実装や数値計算、グラフの描画などのライブラリとして、

PyLab、 PIL、 NumPy、

SciPy

wxPython

を使用した。ツールは

Python

言語を読み込める環境に、上記ライ

ブラリをインストールした

PC

上で使用できる。

3.3.4 集中指標算出ツールの実装

ハードウェアの要求仕様を満たすために、パーソナルコンピュータを用意した。ま た、コンピュータの

CPU

Core i7-2600K 2.20GHz、 OS

Windows 7 64bit

であった。

ソフトウェアの要求仕様を満たす機能を表

3.2

に示し、実装したツールの操作画面を 図

3.11

に示す。

まず、解析するまでに必要な動作機能として以下の機能を実装した。

GUI

による操作画面表示を満たす機能として、画面上で計測データファイルの選 択や解析操作が可能になる

GUI

を実装した。

解析対象ファイルの選択を満たす機能として「参照」ボタンを実装し、そのボタ ンからファイル選択画面を開き、マウスやキーボード操作で解析したい計測デー タを選択するとそのファイル名が操作画面中に入力される機能を実装した。

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