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開発阻害要因とポテンシャル

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第4章の内容・位置づけ

第4章では、まず、前章で分野別に分析した現状と問題点を踏まえて、小規模農家が現在の農業 から商業的灌漑農業へ発展させる際の阻害要因を問題分析系図の作成を通して整理する。問題分 析系図の作成の過程では、農民や農民組織が認識している問題の因果関係に加えて、調査団が専 門分野の視点から農民の認識から欠如している問題点を補足する。

次に、農民や農民組織により取り組みが可能な阻害要因を抽出・整理し、抽出した阻害要因を軽 減する考え方、すなわち、阻害要因に対応した軽減方策の方向性やポテンシャルをまとめる。M/P やA/Pを実施する主なアクターは農民・農民組織であることから、“農民組織の優良事例調査”

や“マッチングミーティングの試行”から農民・農民組織のポテンシャルを予備的に検討する。

また、対象地域は都市周辺とはいえ、広域にわたっており、小規模農家により営まれている農業 は多様である。対象地域の開発方向を具体化するため、マーケットゾーンや灌漑に係るポテンシ ャルの類似性からゾーンニングを行う。このゾーンに基づいて小規模灌漑農業の開発の方向性を 検討する。

加えて、M/PやA/Pを展開していくことになる対象候補地区の灌漑ポテンシャルを予備的に検討・

整理する。

4 - 2

4.1 既存灌漑スキーム地区における小規模灌漑農業の問題の整理

前章で4箇所の既存灌漑スキーム地区において検討した問題分析をまとめ、それに専門分野毎の 分析を加えて課題の抽出へ資することとした。この結果を下図に問題分析系図として整理した。

図4.1.1 都市周辺地域の小規模灌漑農業における問題分析系図

商業的農業へ発展しない

組合 にまと まりが ない 灌漑水が

不足

(逼迫)

価格交渉 力が弱い

質・量 が揃 わな

輸送手段 の確保が 困難

マーケ ット情 報が不

販売向け生産が

十分にできない

販売活動が十分 にできない

灌漑水 路の整 備域が 限られ ている 取水施

設が設 置され ていな

小規模ダム 地表水利用 ダンボ利用 灌漑施

設性能 の低下

適 切 な 作 付 計 画 が 行 わ れ て いない

施肥/防除 管理 生産材へ のアクセ スが困難

営農 技術

知識が 不十分 生産費

が高い

組合/農民 の施設維 持管理能 力不足

灌漑 施設 の管理 が不十

ビジネ ス感覚 不足

普及員に よる指導 少な

輸送 費が 高い

輸送 手段 不足 生産性が

低い

貯蔵 施設 がな

共同販売 の方法、メ

リットを 理解して いない

共同販売 ができな

農民が 価格を 決めら れない

マーケテ ィングに 関する知 識の不足

適切な灌 漑・水管 理計画が 行われて いない

グル ープ 活動 停滞

運転資金 不足

活動資金 をドナー に依存

灌漑スキーム地区の農民が掲げる問題点 調査団による現場調査を基にした分析で追加(セクター別色分)

(影響)

(影響)

4 - 3

図 4.2.1 カブウェ市周辺にお

けるトマト生産費の割合 4.2 開発阻害要因

前節の問題分析から本M/Pで小規模農家が対応していくべき開発阻害要因を下記に整理した。

4.2.1 マーケティング能力の不足

小規模農家がマーケティングを行う上で、農家の経験、知識、ビジネスマインド、意欲等の不足 が大きな課題となっている。また、販売は共同ではなく個人で行っている。従って、常に大量の 野菜の仕入れ先を求めている業者の要求に応じることが困難となっている。一方、市場システム が小規模農家にとって障害となることも報告されている。

4.2.2 高い生産材

トマト生産の例を取ると、生産費に占める肥料・農薬・種子

代で70%程度になり、非常に高い割合であることが調査から

判明している。特に肥料代はここ数ヵ年で価格が倍増してお り、農家経営の安定には生産材の投入費の抑制が不可欠にな ってきている。

4.2.3 不十分な普及体制

普及サービスに対する政府の資金不足は、主要な開発阻害要

因である。これにより、キャンプ及びブロックは極端な人員不足に悩まされ、普及員は意味のあ る活動を実施することが出来ない。また、適正な移動手段やその燃料は、十分に供給されない傾 向にある。職員の意欲低下も、普及サービスが直面している問題の一つである。

4.2.4 灌漑スキーム地区の運営・維持能力の不足

過去に政府が運営していた灌漑スキームの多くは、現在、その利用者によって運営・維持される ことが求められているが、利用者の多くはそれに習熟しておらず、十分な運営が行われていない。

また、スキーム地区を運営する水利組合を見出すことは難しい。その結果、水の効率的な利用が 行われていない。

4.3 開発ポテンシャル

4.3.1 高いマーケットポテンシャル

都市周辺地域における小規模農家は、その他の地域の農家に比べて都市マーケット、地域マーケ ット、国境貿易、季節的小規模マーケット等へのアクセスが良い点でマーケットポテンシャルは 高い。また、数は少ないながらも共同販売を行っている農民組織があることから、それをモデル として可能性を広げることが可能である。さらに、農家や流通業者はお互いに強くパートナーシ ップを望んでいることが判明しており、両者の連携の可能性が非常に高い。

4.3.2 発達したコミュニケーションネットワーク

都市周辺地域には、携帯電話網を始めラジオやテレビのカバー率が高い。従って、これらのコミ ュニケーション手段(ICT:Information & Communication Technology)を用いて農家が情報を取得

4 - 4 することが容易である。

4.3.3 農民間普及のポテンシャル

限られた普及員の配置の中で、政府が行っている「デモンストレーションファーム」、「フィール ドデイ」などの参加型普及はフィールドレベルでの技術の習得、情報の共有面で有益である。こ れらのシステムを灌漑農業において活用する意義は大きい。

4.3.4 豊富な水資源

「ザ」国は水資源の豊かな国として知られているが、潜在的開発可能性に対して現在の利用状況 は非常に低い状態となっていることから水資源開発の可能性があると言える。ダンボ(dambo:

“inland valley swamp”あるいは“seasonally saturated wetland”)の水資源は統計として挙げられて いないが、賦存面積は 3,500,000 ha といわれ、この内現在既耕地となっている面積は 3%未満で

100,000 ha程度と見積もられている。乾期における灌漑用水の確保について高い開発、利用可能

性を有している。本調査対象地域についても、調査対象4州に多くの低湿地・ダンボが存在する。

加えて、「ザ」国には、2,000個所以上の小中規模のダムが存在する。本調査地域においても、数 多く存在し、調査を通じて開発の可能性のあるダムが約40箇所程度確認されている。

4.4 農民・農民組織ポテンシャルの予備的検討

4.4.1 目的

本調査のM/Pの対象地域は「ザ」国の国民の46%(454万人)、土地の30%、農民の30%が集中 している4州23郡にまたがっている。ここには500以上のキャンプと3,000以上の村落がある。

このような広域にわたる地域において、多岐にわたる情報を得ることは難しい。そのため、特に 農民・農民組織のポテンシャルの把握には事例調査に基づく分析が有効である。この節では、優 良事例調査を通じて農民・農民組織のポテンシャルの予備的検討を行い、M/P並びにA/Pの策定 および実効性向上に資する。

(1) 方法と成果 1) 調査プロセス

現状調査を通じて、DACO 職員、CEO、農民・農民組織や流通業者等から聞き取り調査を行い、

「意見を聞く」ことで関係者からの情報を現状分析に反映することが出来るが、現状分析結果を 基に計画を作成していく際には、広域に分散する小規模農家や流通関係者を取り組んでいくにし ても、時間的な制約があり困難である。そのため、優良事例調査を実施する。

2) 調査方法

本調査のように短期間にM/Pおよび複数地区のA/Pを策定し、それらの計画に実効性を付加して いくには、優良事例から教訓を導くこと、現場の普及員や郡事務所職員、流通業者等のノウレッ ジを最大限に活かすため、具体的な組織を対象とした事例分析調査を実施することが効率的であ ると考えられる。予備的調査では、「作ってから売る」から「売るために作る」という市場志向 型アプローチの一部を優良な小規模農民・農民組織がどう対応していくか事例調査を通じて検討 し、普及員、郡事務所職員、流通関係者との関わり方などを含む課題と対策を明らかにしていく。

4 - 5 3) 対象地域

予備的調査の対象については、A/P 策定郡の選択にも関わることから、特徴的な活動や既存の諸 開発ポテンシャルを有するグループが存在する地域を選定した。

4) マッチングミーティング

ケニア国小規模園芸農民組織強化プロジェクト(SHEP)では、生産者と生産物買付業者や卸売業 者とのマッチングミーティングの開催、生産者による先進地域の視察などを組み合わせた農民サ ポート活動により、生産者の収益が増加した例が報告されている。その結果、農民組織では平均

で68%、農家個人では107%の利益の増加があったと報告されている。マッチングミーティング

が効果的か否かを検討するために、同様のミーティングを予備的調査として実施した。

4.4.2 優良農民組織事例分析 (1) 郡における現地調査

上述の通り、調査団が既存優良事例の経験をM/PやA/Pに盛り込むことが出来るよう、そこから 学ぶことは重要である。従って、調査対象郡(カルルシ、ムフリラ、カブウェ、ルサカ、カフエ、

シナゾンゲ、カズングラ)において優良事例を見出すために現地調査が行われた。ただし、現地 調査を行う前に調査団は、関係する郡職員と PACO(コッパーベルト、中央、ルサカ、南部)に おいてキックオフミーティングを行った。このミーティング後、調査団は訪問するグループを選 択した。事例対象としたグループのリストは以下の通り。

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