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調査の背景及び目的

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1.1 調査の背景

ザンビア共和国(以下「ザ」国)では、貧困ライン以下人口が約 7 割を占め、その大部分が農地面 積 5ha 以下の小規模農家といわれている。降雨量は、12 月から 3 月までの雨期に年間降雨量

1,000mmのうち90%が集中し、降雨パターンも不安定なため、農業生産が安定せず、深刻な食料

不足に陥る農家が多い。農地は42万haの灌漑可能面積を有し灌漑開発ポテンシャルは高いが、

そのうち15万haが開発されているに過ぎず、灌漑農業導入による小規模農家の生産性の向上が、

貧困削減、食糧安全保障、および経済開発の観点から喫緊の課題である。

近年、「ザ」国では都市化が進んでおり、大都市近郊においては、大規模農家や企業が園芸作物、

サトウキビ等の工芸作物を栽培し、都市圏へ販売している一方、小規模農家は、灌漑施設が利用 できる地域においても、適切に灌漑施設が維持・管理されていないことにより安定的な水利用が できず、農業生産性は低い。都市近郊という市場へのアクセスに恵まれた環境にありながらも、

小規模農家の大部分は、個人で販売を行っているため取扱量が少なく、販売価格が低く抑えられ ている場合が多い。このことから、市場情報を把握し、それに適した営農形態を導入するととも に、農家間でグループを形成して取扱量を増やし、取引における交渉力を高めることが重要であ る。そのためには、市場情報を受発信する体制作りや、農業普及指導体制の強化が必要である。

都市周辺地域を対象とし、市場情報に基づいた灌漑農業導入、生産者組織化などに多角的に取り 組み、小規模農家の生産性向上を目指す総合的なマスタープランの策定が求められている。

1.2 調査の目的

本調査の最終目標は、都市周辺地域の小規模農家が、市場志向型灌漑農業を振興させることによ り、貧困削減に寄与することである。本調査の目的は以下に示すとおりである。

(1) 都市近郊の小規模農家の商業的灌漑農業振興のための、アクションプランを含むマスタープ ランを策定すること。

(2) 調査業務の実施過程で、その業務体験を通じて、「ザ」国政府カウンターパート職員の能力 向上を図ること。

1.3 調査対象地域

マスタープラン策定の対象地域は、鉄道周辺に位置する郡とする。対象とする郡の一覧表を以下 に示す。

1 - 2

表1.3.1 調査対象地域

(郡の数) 面積及び人口 特徴

コッパーベルト州 (8)

マサイチ ルアンシャ ンドラ キトウェ ムフリラ カルルシ チンゴラ チリラボンブウェ

13,000 km2 1,958,623

銅鉱業により、早くから開発が進んだ地域である。

・人口密度が高く(約39.6人/km2)、農家世帯の占 める割合が低い(20%)。

中部州 (3)

チボンボ カブウェ カピリムポシ

32,000 km2 1,267,803

カブエは人口約18万人を抱える大都市である。

ルサカ州、コッパーベルト州の間に位置し、両都 市圏を結ぶ道路は交通量も多い。

カピリムポシ市は北部州へ続く道路の分岐点で、

かつタンザニアへ続く鉄道の起点でもある交通の 要衝である。

ルサカ州 (3)

カフエ チョングウェ ルサカ

18,000 km2 2,198,996

ルサカ近郊では都市部向けに野菜が生産されてい る。

ルサカ市のソウェトマーッケットは国内最大規模 である。

企業との契約栽培を行う農家もある。

南部州 (9)

リビングストン カズングラ カロモ シナゾングウェ チョマ グウェンベ モンゼ シアボンガ マザブカ

64,000km2 1,606,793

80%を占める高原地帯と、約20%のカリバ湖沿 岸の渓谷地帯に大別できる。

高原地帯の土地は肥沃で年間1,000mm程度の降雨 がみられる。

カリバ湖沿岸の渓谷地帯の降雨量は 800mm 以下 の半乾燥地からなる。

4 23 127,000 km2

7,032,215

シナゾングウェ、グウェンベ及びシアボンガ郡は都市近郊に位置しないが、これらの郡が持つ水資源及び市場に 関するポテンシャルに基づいて対象区域に含めている。4州人口データは201010月実施の国勢調査に基づく。

(20112月のCSO速報値)

1.4 調査のアウトプット

都市近郊の小規模農家の商業的灌漑農業振興のためのマスタープランが策定されるとともに、マ ーケティングの特徴の異なる 3~4 郡を対象として、小規模農家のビジネスモデルを示したアク ションプランが策定される。

1.5 調査のスケジュール

業務実施段階 時期 主な業務内容

フェーズ1 1年次

国内事前準備 200911 現地調査準備及びインセプションレポートの作成

1次現地調査 200911月~12

インセプションレポートの説明・協議、カウンターパ ートへの技術移転計画の作成、パンフレットの作成及 び現地調査実施、プログレスレポート1を作成

1 - 3

業務実施段階 時期 主な業務内容

2年次

2次現地調査 20103月~ 5

プログレスレポート1の説明・協議、現地調査実施、

対象地域の分類と灌漑ポテンシャルエリア(新規含 む)に関する調査、アクションプラン策定対象郡の選 定基準の検討、アクションプラン策定のための予備調 査の実施、既存及び新規小規模灌漑ポテンシャルエリ アにおける営農調査並びにマーケティング戦略の検 討、プログレスレポート2の作成

2次現地調査 20106月~ 9

現地調査実施、リソースマップ作成、マスタープラン ()作成、アクションプラン策定対象郡の選定・決定、

マスタープラン・インテリムレポートの作成・協議、

アクションプラン策定のための予備調査の継続 フェーズ2

2年次(続き) 2次現地調査の

継続 201010月~12

アクションプランにかかる調査の実施、アクションプ ランの策定を行い、ドラフトファイナルレポート() の作成

1次国内作業 20111 ドラフトファイナルレポートの検討・修正 3次現地調査 20112 ドラフトファイナルレポートの説明・協議 2次国内作業 20113 ファイナルレポートの作成・提出

1.6 調査の方針

調査の目的達成のため、以下に示す4つの基本戦略を設定する。この基本戦略は、調査の中で検 討を加え、さらに「ザ」国農業・協同組合省(MACO)職員との議論を通して決定していく。

基本戦略 1:市場のニーズに基づいた営農及び営農支援システムを構築する。

基本戦略 2:新しい流通経路を検討し、農産物の流通改善を含めて販売方法を改善する。

基本戦略 3:出荷量を増加させるとともに、農民組織による集荷販売を行うことによる、

収益性の高い営農についての理解を深める。

基本戦略 4:新規灌漑施設の開発と維持管理能力強化及び既存灌漑施設の改修整備による 収穫時期の調整と農産物の収量増及び安定化を図る。

調査は以下の技術的基本方針に基づき実施した。

1 - 4 (1) バリューチェーン分析結果の活用

マーケティング戦略及び新しい営農形態の策定に当たっては、農産物の流れの把握だけでなく主 要な市場と主要作物を対象にバリューチェーン分析を実施し、その結果を活用する。また、バリ ューチェーンのそれぞれの段階の関係者の役割と価格設定における彼らの影響力について検討 する。さらに、バリューチェーンの成功例と小規模農家を比較検討し、それぞれの段階における 小規模農家の有利な点と弱点について明らかにする。この比較検討を基に、マーケティング戦略 と目指すべき営農形態を策定する。

(2) 市場ニーズに即した営農形態・支援体制の構築

基本方針は、上述の基本戦略1に対応し、以下の4つの事項から成る:すなわち、1) 生産技術の 改良、2) 収穫後処理の改善、3) 農産物の付加価値向上、4) 営農普及体制強化の4つであり、以 下に詳述する。

1) 生産技術の改良

生産技術の改良は、市場性のある作物の導入と従来の作付け体系にそれらをどう組み込ん でいくか、市場が求める品質に応えることが可能かどうかなどを踏まえ体系化する。さら に、市場性のある作物の導入検討に当たっては、小規模農家の自給状況への影響も考慮す る。一方、時間的な余裕を生み出すための省力化や労働集約的農業、高収益作物等の導入 についても検討する。

2) 収穫後処理の改善

収穫後にロスが出るような作物の導入に当たっては、農家や農民組織で対応可能な方策に ついて検討が必要である。

3) 農産物付加価値向上

都市近郊においては、生鮮で販売することが有利であると想定されるものの、農民組織等 により加工して付加価値販売が取り組めるかどうかを検討する。

技術的基本方針

(1) バリューチェーン分析結果の活用

(2) 市場ニーズに即した営農形態・支援体制の構築 (3) 農産物流通改善

(4) 農民組織化の促進 (5) 灌漑開発の促進

(6) 戦略的環境アセスメント(SEA)の実施

(7) 社会配慮

1 - 5 4) 営農普及体制強化

営農普及体制の強化では、普及サービスの多様化が求められる。灌漑農業を組み合わせる 地域や提案される対策のうち「マーケット情報の受発信」、「農民組織化・組合活動」、「灌 漑施設の維持管理」などの農民が必要とする情報を組み合わせて入手できるよう各担当部 局が横断的に協力できる計画を策定する。

(3) 農産物流通改善

基本方針は、上述の基本戦略2に対応し、4つの事項から成る:すなわち、1) 流通情報システム 整備、2) 輸送基盤整備、3) 取引形態改善、4) 規格標準化と需要適応の4事項であり、以下に詳 述する。

1) 流通情報システム整備

小規模農家が都市近郊に立地する優位性を活用できない背景に、市場の価格情報の入手や 商品作物に係わる情報へのアクセスが困難なことが挙げられる。したがって、これらの情 報が農民や農民組織へ届くシステム整備の検討が必要である。

2) 輸送基盤整備

小規模農家が販売価格決定に関与できない背景に、輸送手段を持たないことから仲買業者 に畑で買い叩かれることが見られる。輸送基盤の整備では、農民組織の能力や資金力を踏 まえて、輸送手段の整備が可能かどうか検討する。

3) 取引形態改善

農民組織化を通じた共同販売による販売力強化に加え、企業やスーパー等との契約栽培、

直販方式などの取引形態の改善により、収益の向上を図る。ただし、取引先の求める品質、

量、安定供給等の農民や農民組織側の技術力や管理能力の向上を検討する。

4) 規格標準化と需要適応

消費者のニーズを組み入れた生産と販売、流通を考えていく「需要適応型」の生産と流通 への切り替えが戦略の一つとなる。こうした、消費者ニーズに応える流通体制として、市 場流通のみならず市場外流通(産地直結方式、契約取引方式)も考慮する。この際、販売 先の要求により、商品の規格化が必要になる場合が想定されるため、生産物の規格標準化 のためのシステム構築を検討する。

(4) 農民組織化の促進

基本方針は、上述の基本戦略3に対応している。

本件における農民組織化の第一義的な目的は、共同出荷形態を導入することと計画的生産物供給 体制の確立を目指し、商業的農業の発展を図ることを想定している。小規模農家の個別出荷形態 に対する共同出荷のメリットは、取引規模を大きくすることによりコスト面及び取引条件面が大 きく有利になることである。それを実現させるためには、組織の有効的で自立的な管理運営方式 を提案すること、効果的な集出荷形態を提案すること、また人材育成や金融支援制度など政府の

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