ザンビア国 都市周辺地域における小規模農家のための灌漑農業振興マスタープラン調査ファイナルレポート
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小規模灌漑 農業モデル1
小規模灌漑 農業モデル2
小規模灌漑 農業モデル3
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5 - 5 5.3 横断的な戦略
5.3.1 横断的な戦略
(1) 段階的な発展プロセス
既存の小規模灌漑スキーム地区の運営が必ずしも効率的に運営されていないことを踏まえ、開発 ポテンシャルを充分に活用していくためには、現在の外部依存型の灌漑地区運営から、ビジネス としての灌漑地区運営に転換することが必要である。灌漑施設の共同維持・管理の経験不足、農 民組織の運営など基礎的なビジネススキルの習得・向上、意識改革が必要であり、加えてこれら を支援する体制の整備が不可欠である。そのため、IPS(2004)に示されているように、M/Pにお いては、1) 初期にモデル地区におけるパイロット事業を通じて農民・農民組織の能力強化、受益 者参加型の計画作り、普及ユニット設置など環境整備、既存灌漑地区やインフォーマル灌漑地区 の改善策の実施、2) パイロット事業活動をモニタリング・評価した後、教訓を踏まえて、類似地 区での普及展開、3) これらの経験を踏まえて新規地区の事業計画の作成・実施、等の段階的な実 施とする。
1) 初期段階(4年):2012-2015
M/P の初期は、A/P 期間としてモデル地区においてパイロット事業を実施する。パイロット事 業では、小規模灌漑地区においてリハビリや整備を行いつつ、下表に示した「テーマと検証事 項」に沿った活動を展開していく。ただし、パイロット期間中の農民・農民組織の向上具合に より、新たなテーマを設定する。
テーマと検証事項 主要な活動
内容 (1) マーケット能力向上を目指した農民・農民組 織の強化
(2) 農業協同組合におけるマーケティング部門 の強化
(3) ビジネスを前提とした営農計画作り
(4) 小規模灌漑農業支援体制の整備(DACO内)
(5) 既存灌漑地区のリハビリ (6) 普及ツールの作成
・ キャパシティ・ビルディング
・ 支援ユニット設置(DACO内)
・ 参加型計画作り
・ 小規模投資・実施
・ パイロット事業のモニタリング評価
・ パイロット事業の結果を技術パッケージとし て編纂
2) 中期段階(3年):類似地区普及・拡大期
M/Pの中期は、パイロット事業で得られた成果、普及ツールを活用し、他地区への普及を図る。
パイロット事業で得られた成果には、農民や農民組織の強化により、新たな課題やビジネスチ ャンスが想定される。このステージは、類似地区への普及期であるが、下表に示すように「マ ーケティング強化の視点から郡内の灌漑地区の連携促進」、「関連ビジネスへの進出」などを模 索する。
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テーマと検証事項 主要な活動
内容 (1) パイロット事業成果の活用
(2) マーケティング強化の視点から郡内の灌漑 地区の連携促進
(3) 関連ビジネスへの進出(ボカシ肥販売、イン プットクレジットの供与、コープショップの 経営等)
(4) 新規事業地区の検討
・ 技術パッケージを活用した他地区への普及展 開・規模拡大(投資・実施)
・ 新規地区計画策定
・ モニタリング評価
3) 後期段階(2年):自立期
M/Pの後期は、既存灌漑地区についてはビジネスとしての灌漑農業を自立発展させる時期とし、
支援側の活動はモニタリング評価に留める。一方、前期・中期の成果、経験を踏まえて新規小 規模灌漑開発を実施する。
新規地区での実施
モニタリング評価
(2) 灌漑農業開発地区の選択と集中
M/P期間は、前述したように前半4ヶ年はA/P期間としパイロット事業を実施する。パイロット 事業は、現在の灌漑スキーム地区、農民組合の運営状況を踏まえ、持続性の視点から対象地区、
開発方法を選択し、優先地区・分野への投資を集中させ、優良モデルの形成を重視する。加えて、
持続的な灌漑農業を可能とするため、灌漑施設等の維持管理が容易で費用を多く必要としない方 法を優先する。
パイロット事業は、小規模投資・デモンストレーション効果等を重視してポテンシャルの高い地 区にて実施する。パイロット事業の効果・教訓を踏まえて、M/Pの後半期間の開発方策を見直す。
(3) 農民のキャパシティ・ビルディング
小規模農家により行われている農業は、自給向けの生産、販売向けの生産の両面を持つ。しかし ながら、商業的灌漑農業を展開していくには、農業をビジネスとして捉えることが不可欠である。
このためには、1) 市場志向を基本とし、2) 農民ニーズも踏まえたプログラムとすることが重要 となる。
農民の「行動」に対する転換プロセスについては、次のようなアプローチを試行する。
1) ステークホルダー会議や参加型市場調査により農民のマーケット意識を向上させ、農業が ビジネスであることの意識改革を行う。
2) ビジネスプランニングの一つとして、作付け計画の作成などの研修を行い、基礎的なビジ ネススキルの向上を目指す。
3) ジェンダーアウェアネス研修などにより、農業生産における家庭内労働力の効率的な利用 化を図る。
5 - 7 4) 市場の要求する品質や
数量に併せて作物を生 産するには多くの問題 があることを農民が認 識し、農民側からこれ らの問題解決の必要性 を喚起させる。このニ ーズに応じた技術研修 を行い、問題解決策を 用意する。
5) 個別の農家で解決でき
ない多くのことに対して、組織的な活動を実施して対応する。
5.3.2 各分野の戦略
(1) 営農
営農/栽培分野の基本アプローチは、“利益志向型の農家経営の実現”を設定する。同アプロー チは、市場ニーズに基づいた灌漑農業を展開するための基本的な方向を示すものである。同アプ ローチを実現するために、次の3つの分野別戦略を導入する。
開発戦略1-1:持続的な生産のための土壌改善
開発戦略1-2:戦略的な作付けの実施
開発戦略1-3:栽培技術の改善
小規模農家や農民組織が商業的灌漑農業を持続的に展開していくには、ビジネスとしての農家経 営が不可欠であると同時に灌漑農地の地力維持が重要となる。安定した農家経営の視点からは、
販売先や販売時期を想定した作付け計画とその収支予想からなる簡易な事業計画の作成とこれ に基づく営農の実施が重要となる。
事業計画の作成には、灌漑が可能な時期(作付時期)、灌漑可能面積、水利費の負担、資機材の 共同購入や生産物の共同販売等コストの低減等を踏まえる必要があるため、灌漑戦略、水管理、
販売戦略など組織的な活動を含む総合的な対策が求められる。
小規模ながら一定の灌漑農地面積を有する地区のメリットを生かすためには、産地化が重要とな る。すなわち、地区内農家の栽培に係る基本技術の徹底が産地としての成功要因の一つになる。
(2) 流通・マーケティング
前述(3 章 3.4.12)の分析結果にもとづき、以下のとおりマーケティングに係る戦略が設定され
た。
マーケティング分野の基本アプローチは、「農民と流通業者の連携促進」とする(ここでいう「連 携」とは、何らかの形での合意にもとづく、農民と流通業者の継続的な取引関係の確立を指す)。 基本アプローチを実現するために、次の4つの開発戦略を設定する。
Sequence of Intervention Sequence of Effects
Market Survey Market Awareness
Cropping Calendar
Gender Awareness
Production Skill
Planning Capacity
Labor Utilization
Business Solution
図5.3.1 市場志向型アプローチ
Demand Created Effect
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開発戦略2.1「農民と流通業者の双方向情報交流の活性化」
開発戦略2.2「競争力強化」
開発戦略2.3「大ロット出荷体制の確立」
開発戦略2.4「販路の多様化」
農民と流通業者の連携促進は、マーケティング分野における諸課題の改善につながる基本的な方 向であり、さらに、バリューチェーン全体の価値向上を通じて小規模農家の生計向上を図るとい う本調査の理念に合致する。また、現地調査においても明らかになったように(3.4.10節)、農民・
流通業者ともに相互の連携に強い関心をもちながら、その交流の機会が少ないことが課題となっ ている。
(3) 灌漑・水管理
灌漑及び水管理分野の基本アプローチは、“安定的な水供給”である。同アプローチを実現する ために、「既存灌漑スキーム地区の改修」、「地表水利用の促進」、「適正な水利用と施設管理」及 び「水源施設の早期改修」の4つの分野別戦略を導入する。
また、既存灌漑スキーム地区の成功例をみると、地表水を水源とする灌漑スキームにおいては政 府による灌漑水の安定供給施設(ダム、取水工)の設置、灌漑農地の配分支援が、農民の灌漑水 と耕作農地の使用権利の保証となり、公平な水利用と灌漑施設の共同管理に対する自助努力の意 識の高揚につながっている。このことから灌漑スキームの整備については、政府による水と土地 に対する支援を主軸とした計画策定が必要である。また井戸、ダンボ等の地下水利用については、
多大な労力を要する灌漑水の汲み上げに対し、足踏みポンプ、または可搬式エンジンポンプの調 達により、作付面積の拡大を図ることが提案される。一方で灌漑施設の改修・新設には大きな初 期投資が必要となるが、施設整備の範囲、整備水準については農業生産による増加便益と工事費 の費用対効果を十分考慮した計画策定を行なうことが必要である。またダム、取水堰等の施設に ついては灌漑のみならず飲用水、家畜用水としても機能を有し、これらの多目的な水源利用を長 期的に保証するため、抜本的な整備計画の策定、また改修工事を早急に行なうことが必要である。
開発戦略3.1 開発戦略3.2 開発戦略3.3 開発戦略3.4
「既存灌漑スキーム地区の改修」
「地表水利用の促進」
「適正な水利用と施設管理」
「水源施設の早期改修」
(4) 農民組織化
農民組織化に係る基本アプローチは、“農民組織の育成”である。同アプローチを実現するため に、「マーケティング能力の強化」、「農民組織支援システムの強化」及び「水管理グループの強 化」の3つの分野別戦略を導入する。
開発戦略4.1 開発戦略4.2 開発戦略4.3
「マーケティング能力の強化」
「農民組織支援システムの強化」
「水管理グループの強化」