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「開放講座」とは

ドキュメント内 美術教育の理念と生涯学習 (ページ 44-73)

第2章  美術教育と生涯学習の接点

第1節   「開放講座」とは

1.なぜ「開放講座」なのか

 まず最初に、なぜ開放講座をこの研究の申心としたのかということについて述 べておきたい。

 本研究を進めていくにあたっては、理論のみに偏ることなく、具体的な実践を 基に生涯学習と美術教育の関係を捉える必要性を感じていた。そこで、現在の私 固有の立場から、つまり、高等学校の教師という立場から、学校と社会を結ぶも のについて考えてみようとした。

 両者を結びつけるものには様々なものが考えられる。PTA活動、社会人講師、

ボランティア活動、勤労体験学習などが、その例としてあげられる。そしてそれ らの中の一一一つに、開放講座も含まれているのである。

 開放講座は、 学校と社会を美術というものを媒介として結ぶことが可能である。

また、学校関係者だけにとどまらず、広く一一般の社会人と接することが可能であ る。これらは、生涯学習にとって、美術教育がどのような存在であるのかを示し てくれることであろう。これらの理由により、開放講座を本研究の申心に据える こととしたのである。

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2.「高等学校開放講座」とは

 ここでは、高等学校開放講座そのものについて、ilIk涯学習事典』(r体生涯教 育学三編  東京書籍1994年p.147)の引用により、その概容を以下に示す。

[趣旨・目的]

 教育基本法第7条、社会教育法第5条・44条・47条・48条、学校教育法策85

条、地方自治法第238条に基づき、学校教育と社会教育の連携のもとに、生涯学 習の観点に立つ成人対象の広域的な学習機会提供事業の一L−S環として行われるもの で、高等学校のもつ優れた人材と施設、設備および専門的な教育機能を広く地域 社会に開放して、生活上、職業上必要な知識、技術および一般的な教養の向上に 資することを目的としている。高等学校を地域に開かれた学習の場にすることに より、学校の活性化を図り、さらに地域に共同の学習を通じた連帯の意識を醸成 していくという面からも、その効果が期待されている。国や都道府県の委嘱によ り補助金を得て行われるものと、学校が独自に開講している自主開設とがある。

[名称]

 難に「高等学校開放講座(または開放講座)」としているものが最も多いが、

なかには、大学開放講庵等を含めた成人教育事業の一環であることを示すものと して「県民大学」「コミュニティ・スクール(カレッジ)」「県民生涯学習カレッ ジ」 「成人大学講座」等の名称を冠しているものもある。

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 戦後間もなく1950年置昭和25年)に栃木県で開始されている。新潟県(1952 年〉、千葉県(1954年)と続く。1960年代以降、毎年数県ずつ開設しているが、

文部省が生涯学習推進事業の中の広域事業として(高等学校〉開放講座に補助金 を交付するようになった1982年度前後に急激に増加している。

[実施状況ユ

 講座の主催は一一一一般的には県教育委員会であるが、市町村教育委員会との共催の もの、県の生涯学習(教育〉センター、教育サービスセンター(県出資の財団法 人)が主催するものもある。開設校には、校長、教職員、市町村教育委員会職員、

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社会教育団体関係者、受講=者の代表等から構成される運営委員会が設置される。

講師は開設校の教員が務めるが、外部から専門家を招くこともある。

 学習方法は、講義と実験実習を併用するものが最も多く、全講座の9割近くを 占めている。学習内容は、職業・技術・生産等に関するものが最も多く、全講座 の7割以上を占めている。この分野には、パソコン・ワープロ、園芸、簿記会計 等が含まれ、これらは情報化、余暇活用、実務資格という時代背景のもと、最も 学習希望の強い内容であり、最近急激に増加している。文化・一般教養に関する

ものも多く、ここには外国語(特に英会話)、古典文学等が含まれる。

[国の対策]

 文部省は、1988(昭和63)年度より、地方生涯学皆振興事業における生涯学 轡基盤推進体制整備の一一一 waとして高等学校開放講座に補助金を交付している。

(1講座30入以上30時間以上のものが対象)

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3.:京都府における開放講座

 京都府においても上記のことを踏襲したかたちで、毎年府立学校(高等学校、

盲学校、養護学校)において、開放講座が実施されている。実施要項に記されて いる趣旨は以下の通りである。

 「〈趣旨〉社会の変化が急激に進行している今日、心の豊かさや生きがいを求 めて、生涯にわたり学習しようとする府民の意欲は高まってきています。このよ

うな府民の学習需要にこたえるため、府立学校における教職員の専門知識と教育 施設を活用し、地域の特色を活かした講座を開設します。」

 名称については、単に「〜開放講座」 (例:平成8年度京都府立町道高等学校 開放講座)としているが、京都府が生涯学習振興の一環として取り組んでいる

「京の府民大学」の対象講座としても扱われている。

 講座の主催は京都府教育委員会であるが、講座のカリキュラム編成及び講座運 営等については、講座を開設する府立学校教職員及びその校区の社会教育関係団 体役員等で講座推進会議を構成し、これにあたっている。計画立案は新しい年度 に入ってからとなり、開設期間は、6月から12月までの間である。学校という特 性(人事等の関係による〉から、こうならざるを得ない事情がある。

 参加対象については、成人一般を対象にし、参加者は一般公募としている。つ まり、開放講座を行う学校の関係者でなくとも参加できるということである。

 参加入数については、国庫補助事業については、受講者30人以上(講座時間数 30時間以上〉、府費事業については、20人以上(講座時間数20時間以上〉とい

う制隈が設けられている。平成8年度については国庫:事業23校、府費事業22校 となっている。

 開催場所については、その趣旨に鑑み、開催する学校の施設を使用するものと

している。

 講座内容については、各学校の特性を活かし、絵画(油絵、墨彩〉、書道、伝 統芸能、文化・歴史、手作り(陶芸、木工、寄せ植え)、園芸、コンピューータ

(パソコン、ワープロ〉、ボランティア、スポーツ、食品加工、など多岐にわたっ ている。

 美術工芸関係のものを見てみると、これをメインにした講座は、平成8年度の 場合、9講座を数え、他の分野と複合的に扱われているものを含めると、16講座

にのぼる。これは、パソコン・ワープロ関係(他の分野と複合的に扱われている

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ものを含む)の11講座を上回るものである。また、書道関係(同)の7講座も目 を引く。京都という地域の特性が現れたものともいえるが、社会人の美術・工芸 あるいは芸術に対する、関心の高さの現れともいえよう。

[参考ユ

(1)京都府生涯学習振興基本構想一京都OWN学習プランー(資料⑥参照)

生涯学習とは、私たちが人間とした真に豊かさと尭きがいのある人生をめざし、

自分なりの方法で生涯にわたって学ぶことであり、生きいきとした家庭や活力あ る職場、地域づくりの源となるものです。

 京都府生涯学習振興基本構想は、府民が生涯学習に親しみ、自由に取り組める よう、老い(0)も、若き(W)も、のびのび(N)と自ら学習を進めるという 意味を込めて、「京都OWN学習プラン」と呼ばれています。

(京都府発行パンフレット「京都OWN学習プラン」、京都府教育委員会発行パンフレット「生

涯雪を習力s輝く2」 より)

(2>「京の府民大学」

 『京都府では、府民の皆様に積極的に生涯学習に取り組んでいただくため、

「京の府民大学」を開設しています。これは、府や市町村、大学等の関係機関が、

府内の各地で開催している講座などの情報を整理・体系化し、府民の皆様に提供 することにより、参加の機会を少しでも増やしていただこうとするものです。』

(「京の府民大学」の案内リーフレットより)

 府民大学では各講座の内容や時間数によって「単位」を取得できるシステムを 設けている。ただし、ここでいう単位とは大学等で付・与されるものと異なり、一 定の単位を取得して何かの資格が与えられるというものではなく、これを励みと

して、生涯学習に新たな意欲を持って取り組むことを期待して設定されたもので あり、ある意味での自己評価といえるものである。生涯学習の評価という観点で

の、一・一一iつの取り組みの現れともいえる。

(3)京都府における「開放講座」

 府立学校開放講座の他に、府立図書館、山城郷土資料館、丹後郷土資料館、及 び、総合教育センターにおいても、各種の開放講座を開催している。

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第2節  「菟道高校開放講座」の実践

1.左道高校開放講座 実施計画       とどう

 本節では、勤務校において取り組んだ「平成8年度京都府立蒐道高等学校開放 講座」 (以下、町道高校開放講座と略す〉について述べていく。

 本校においての開放講座の歴史は浅く、今回の講座が第三回となる。過去二年 間は、コンピューター機器を利用した、「初心者のためのワープロ講座」を実施

した。本年度も基本的には、これを継続する予定であった。実施計画の検討に際 し、美術に関する開放講座の開催を申し出たところ、関係者一同にも研究趣旨の 理解を得られ、実施の運びとなった。

 本来、開放講座は地域の学習ニーズを検討し、学校の特色や施設設備の検討が なされた後に、教職員や学校関係者の協力の下で実施されるものである。しかし、

当講座の場合は本研究のためにこれを利用したというのが偽らざるところである。

その意味では、順序が逆転しているわけであるから、開放講座の持つ意義を充分 に認識するとともに、惑講座がそれに適うものでなければならない。そのために は、事前に当講座の意義づけや性格づけを充分に行っておく必要がある。

(1)講座の性格

 具体的な計画の立案に入る前に、まず講座の性格づけを行わなければならない6 これに際してその観点を、参加者の側と、指導者の側、つまり本研究の立場とに 分けて考えてみた。

①参加者の側から

 当講座への参加者の側から、まず念頭に遣かなければならないことは、いうま

でもなく生涯和習の立場である。開放講座は、元来、生涯学習の一一・一・ esとして位置

づけられているものであるから、至極当然のことといえる。それについて「京都 府生涯学:習振興基本構想(京都OWN学習プラン)」 (以下、 OW:Nプランと略

す〉に観点を求めて、当講座の性格について検討を行った。OWNプランの必要

な個所だけを以下に示す。 (全体については、資料⑥参照)

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ドキュメント内 美術教育の理念と生涯学習 (ページ 44-73)

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