謄弟汐
(図20)
(図21)
黛亜︑譲遮
[r
.﹄賀︷−・
冒著■︑..︑ー.・
圧搾が終了したら、乾燥用の板に貼り 付ける。
表面はざらざらしている。砕きれていな い繊維が表面のテクスチャーを作って いる。目は粗く感じるが、隙閥をしっか り細かい繊維がふさいでいるため、密 度は濃い。
(図22)
一見すると繊維が硬く、しなやかさにか 曲げても、ひびが入ることもなく綺麗に 折り曲げることが出来た。
■結果と考察
ヘチマはその性質から、同じ蔓植物のフジ等とは違い、茎が木化し ていない。そのため、黒豆のように表皮をはがす手間がない分、作業 は比較的単純だと言える。しかし、簡単かというとそうでもない。繊 維の結束が固いため、なかなかばらけず、結果として表面が非常に荒 い紙になってしまった。そのためこのままでは、筆記用には適さない。
製紙用のナギナタ式叩解機18等を使用すれば、もっと表面が細かくて 強い紙が出来たと考えられる。
また、今回は叩解中に切り出し等で繊維を強制的に切ることで繊維 を短くし、ミキサーの負担を軽くしたということもある。このことか ら推測するに、煮熟の際あらかじめ1c m程度に刻んでおいて煮熟を 行えば、よ0手順を簡単にすることができると考えられる。ただし、
この方法では、逆に長い繊維(1cm以上)を取り出すことはできないの で、今回と同じようなテクスチャーは望めない。
どちらにせよ、繊維の結束が固いということには変わりないのだか ら、用途によって繊維の長さを調節するのがいいだろう。この叩解の 作業をしっかり行うことが、ヘチマによる紙漉きの1番のポイントで あると言えるだろう。
茎が木化しない一年草の蔓草ということで、教材としてなじみの深 いヘチマを利用したが、それ以外の一年草の蔓草、例えば同じウリ科 のキュウリ0びoロ盟商詔直職3やスイカαかα∬αθ動臨励等でもでき そうである。
(3)ヒシの茎による紙漉き実験
■ヒシの特徴
ヒシ 菱 伽1ρ8頂ρ鯉㎏醜塑▽ ヒシ科の一年生水草。茎は長く、
節から細かい根が伸びる、葉は茎の先端に放射状に広がり、水面に浮 かんでいる。葉は菱形で、表面は光沢がありつるつるしているが、裏 面は柄とともに細かい毛がある。柄は一部が膨れて空気を含み、浮き 袋の役目をする。果実は菱形で、その両端が刺になっていて、物にく っつきやすくなっている。実は食用や薬用として利用される。池沼等 に生え、北海道から九州、および朝鮮半島、中国に分布する。
このヒシという名称は、緊(ヒシ〉の意味で、実になる鋭い2対の刺 によるものといわれ、菱型という名称は、この葉から出た語である19。
匿実験日9月24目(水〉学内木工室にて
(図1〉
(図2)
採集してきたヒシの茎20。表面が乾燥 し、白くなっているものもあるが、その内 部には大量に水分を含んでいる。
茎を裁断し、煮熟の際分解しやすくして いる。
(図3)
甲一
(図4)
薫u
(図5)
蕊
(図6〉
煮熟後の茎。ほとんど原形をとどめて いない。
ミキサーにかけて・さらに細かくしたも の。この時点ですでに繊維らしいもの は見つからず、どろどろとした茎の破片 のようなものが手ですくって見えた。
漉き枠に流したところ。均一に広がらな いどころか、海苔のようにへばりついて しまった。繊維というより解けた細胞と いう感じ。
漉き枠の網を抜けて、出て行ってしまっ た液体。
(図7〉
金網から不織布に移そうとしたところ。
まった。繊維が繊維として絡み合ってい ないということがわかるα
金網を取ったところ。繊維が残ったとい う形跡はなく、解けた茎の破片がへば りついたという感じ。
■結果と考察
このようにヒシからは、繊維を取り出すことは出来なかった。
この原因についていくつか考察してみた。
1っは水生植物の茎の構造にある。ヒシの茎を採取してみたとき、
その茎の含む水分の多さに驚いた。茎を裁断すると、中から水分がに じみ出てくる。また、その茎の断面には導管や支管のような植物の構 造が、はっきりと確認はできなかった。これは、藻類の特徴に似て、
茎や葉などの全体から水分を補給していると考えられる。このことが その植物が含む水分量を結果的に多くし、繊維を採取することが出来 なかったのではないだろうか。しかし、単純に藻類と比べることもで きない。藻類は、総じて根茎葉の区別がしづらいのに対し、ヒシはし っかりとした根茎葉の区別ができている。また、藻類がからだ全体で 光合成を行うのに対し、ヒシは明らかに水上の葉で主に光合成を行っ ている。これは、その葉緑素の分布を見れば判断できるだろう。した がって、ヒシはこの藻類の特徴と、通常の植物の特徴の2つを併せ持 っのではないかと推測する。このことが、繊維が取り出せなかったこ
とにつながるのではないだろうか。
また、これらの水生植物は、陸上で受ける重力の影響をほとんど受 けずに育っため、強靭な繊維や長い繊維を作る必要がなく、その体内 に含む繊維の量が結果的に少なかったのではないだろうか。
そして、上記に付随して、今回利用しなかった葉の部分について考 えてみる。ヒシの葉はその名の通り菱型をしているのだが、その葉の 根元は膨らみ、ちょうどカエルの足のようになっている。中が多胞質 になっており、これがいわば浮き袋のような役目をして水面に浮いて いる。この構造はちょうど日本にも自生しているホテイアオイ 盈励加㎜1a㎜鰯ρθ5と似ていて、ホテイアオイの場合はさらにその 部分が大きく、水面を漂って成長していく。原産はアメリカの熱帯地 方であるが、アジアの各地でも繁殖をし、しばしばその旺盛な生育力 から、害草化することもある。また、バングラディッシュなどでは、
実際にホテイアオイから取り出した繊維で、紙漉きも行われているよ うで、貴重な収入源となっている21。
他の2種の植物では茎を利用したということもあり、今回はヒシの 茎を利用した紙漉き実験ということであったが、葉の部分に含まれる 繊維による紙漉きというのも試す必要があるだろう。
以上のことについて、今後は他の水生植物ではどのような結果にな るのか等も含め、調べる必要がある。
第三節 実験結果と考察
今回、黒豆、ヘチマ、ヒシと製紙実験を行ったが、その中でヒシだ けが結局紙状のものに漉きあげることができなかった。
原因はどうやら、繊維の質にあるのではという考察は二節に書いた 通りだが、木村光雄著『雑草からの紙作り』によると「身近にある雑 草類について実験してみたのですが、それぞれの植物によって、その 茎や葉の形も構成も異なっていますので、同じように処理しても、簡 単にパルプ化されてしまうものもあれば、短い繊維になるものや長い 靭皮繊維が得られるものなど、それらの様子はさまざまです。中には どうしてもパルプ化されず、処理を重ねますとバラバラになってしま うものもありますし、透明度の高いパルプになるものも逆に不透明な パルプになるものもあります。」22とあった。ここでは繊維云々という 表記はなかったが、少なくともそういう種類があるということはこの 記述から読み取れる。
また、このような表記もある。「これらはパルプ化の仕方によって も、製紙の際の条件によってもかなり変化します。また、木材パルプ から製紙する揚合にはいろいろな薬品が使用されていますので、仮に そういう薬品による処理をするとしたら、紙の様子は大きく変わって しまいます。それに、紙というものは用途が極めて多種多様で、それ ぞれに必要な性質も異なっていますので、漉き上がった紙がどんな性 質を持っていたとしても、それに見合った用途が必ずある筈です。」
っまり、紙は植物の種類によっても、その製法によってもその姿を変 えてしまうものであるということである。このことから、今回行った 実験というのも、あくまでその中の可能性の1つであるということが いえるだろう。その結果、黒豆、ヘチマではあのような紙が漉きあが
り、ヒシでは紙としてはできあがらなかったということだろう。
これらのことから、今回の実験だけでは、黒豆、ヘチマは製紙を行 えて、ヒシでは行えないという結論を出せそうにない。今回の実験方 法で、茎という材料を使った場合、ヒシはどうやら適さないようであ るというのが妥当な結論だろう・鋼まど、縦豪という作業は、
自然を相手にしているものだけあって、容易なことではないというこ
とである。
では次に、今回の実験で漉くことができた黒豆、ヘチマのそれぞれ の紙をくらぺてみたい。
それぞれの違いは、素材の点において、茎全体を使用したか否かと いうことがあげられる。黒豆は表皮の下にある靭皮繊維から、ヘチマ は茎全体から製紙を行った。このことから、黒豆からは比較的均一な 紙が作れ、ヘチマからは、繊維の形や大きさにかなりの差が出た。
これは、それぞれの紙を同じ条件でスキャンした画像である。