未利用材による紙の利用研究
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(2) 目次. はじめに. 3. ・一. 第一章 非木材紙について 第一節 非木材紙の利点. …茎》5. 第二節 非木材紙の種類と活用例. …茎》5. (D蔓植物による製紙ついて(先行研究より.〉. …P5.. (2〉葦紙の活用例について. …P5. (3)雑草紙の研究について. …P7. (4)ケナフの利点と欠点. …P8. 第三節 仮説. …P9. 第二章 紙漉き実験 第一節 実験の概要. 第二節 それぞれの実験工程 (1)黒豆の茎による紙漉き実験. …P12 …914. (3)ヒシの茎による紙漉き実験. …P14 …P25 …P32. 第三節 実験結果と考察. …P35. (2)ヘチマの茎による紙漉き実験. 第三章 活用の提案 第一節 黒豆紙による商業的利用の提案 …p38 第二節 ヘチマを使った紙漉きによる、教育的利用の提案. …P44. おわりに. …P62. 謝辞. ・一. 参考文献一覧. 66. …P67. 資料. 2.
(3) はじめに 現在、あらゆる素材(メディア)がアナログからデジタルヘの移行を遂げて. いる中で、デジタルに譲れないものがアナログにはある。アナログの良さと は、全ての人に平等に配信できるメディアであるということだ。その他にr生」. であるということも大事な要素で、実際に触れて、その感触を味わうことがで きる。. 私は、このアナログな素材の中でも、特に「紙」という素材について注目し. ていきたい。紙は私たちの生活に、なくてはならない存在である。雑誌媒体、. 新聞等の読み物について、アナログ媒体に代わりデジタル化が進んではい る。しかし、これらが追いやられる、もしくはなくなっているという現実にまで. はいたっていない。これは、私たちの生活が紙という素材に慣れ親しんで いるからで、そうやすやすとデジタルに取って代われるものではない。しか し、あまりに身近であるからこそ、目々の生活の中でないがしろにしてはい ないだろうか。そこで、もう一度紙というものの良さや特性を考え、紙に新た なスポットを当てていきたい。. 特に素材についてだが現在、和紙のほとんどが主にミツマタ鈎θ㎜励姦 0力那∂η‘h∂・コウゾ伽θ550ηθ肋κ£協刀0痘・ガンヒ。陽汝5ケ0伍勉3藪0左勉刀8という. 3種類の木材の、外皮と芯との間にある「靭皮繊維」と呼ばれる部分を取り出. して加工し、紙状に漉きあげられている。大量生産には向かず、高級素材 として使用されることが多い。しかし、紙としては繊維がお互いに絡み合うの. で、非常に丈夫な紙ができ、ふすまや障子などにも使われている。. なぜこの3種が選ばれたのだろうか。それは、生育が早い(栽培がしやす い)ということと、靭皮繊維が大量に取れるということ。それに靭皮繊維が細く. 長いという点も、より紙漉きに適しているといわれる点である。また、昔は麻. や藁等も使っていたようであるが、いずれも品質や効率の点で上記の3種 には及ばず、廃れていってしまった。. また、現在では非木材紙利用として、この他に「ケナフ」という新しい素材. も出始めている。これは、アフリカ西部原産のアオイ科フヨウ属の一年草で、. 非常に成長が早くその分大量に二酸化炭素を吸着してくれて、面積当たり. の収穫高が木材より多い。そのため、パルプの代替原料として利用価値が あるとして、現在教育機関や様々な環境団体などが栽培している。しかし、. これには環境問題や外来種である点について、非常に大きな問題が付き まとっている。. そこで私は、日本に生息する在来の、もしくはすでに帰化してしまった植 物を使っての非木材紙を提案したい。確かに、ミツマタ・コウゾ・ガンピほど. 3.
(4) 繊維は取れないかもしれないし、それほど上質でないかもしれない。しかし. 今現在、特に利用法も確立せず、野放しにされたり、ただ焼却処分を待っ ているだけの素材があることは事実である。それらをひっくるめて、本論文 では「未利用材」として扱い、これらに利用価値を見出していきたい。. また、これらに教育的意義を含めると、身近な植物が紙として利用できる という点や、紙が作られるまでの工程を学ぶということも、十分に価値のある. ことでは無いかと考える。教育機関での紙漉きでは、牛乳パックによるリサイ. クルペーパーが良く利用されるが、リサイクルと同時に環境問題も直に触れ ることができるという点において、教育的価値は高いと言えるであろう。. 私はこれらの植物をうまく組み合わせることによって、紙素材として生まれ. 変わらせ、アナログの利点を活かした新しい需要の提案をしていきたい。. 4.
(5) 第一章 非木材紙について 第一節 非木材紙の利点 植物は、光合成というガス交換を行う役割を担っている。二酸化炭 素を吸収し栄養として蓄えることで、酸素を放出し大気のバランスを. 保っている。樹木とてもちろん光合成を行っている間、このガス交換 が行われている。そして、樹木がこの点において優れているのは、二. 酸化炭素を体内に蓄積させることができるということである。草や一 年草などは、せっかく蓄えた二酸化炭素が枯れて土に返ることにより、 大気中に放出されてしまい、その機能を失ってしまう1。. 製紙にもし、樹木を使うということであれば、当然この二酸化炭素. を蓄えるという能力を発揮できなくなってしまうということになる だろう。製紙という作業は、それ自体に大量の二酸化炭素を放出して しまう作業である。であるならぱ、木材を使った製紙でせっかく溜め. こんだ二酸化炭素量以上の二酸化炭素を放出させてしまうのではな く、一年草などの非木材での製紙を行う方が、環境という視点から見 てより優位だといえるだろう。. 現在、自然環境の問題で樹木を切らない生活ということが求められ ているのは、こういった二酸化炭素の貯蔵性能を買われている部分が. 大きい。もちろん、まったく木を切らなければよいのかという話では ない。排出する二酸化炭素量を減らす生活ということも必要である。. また、林業で行われる問伐という作業は、里山を育てる上で必要不可. 欠なものである。これらの事情から、わざわざ木材を加工して紙を作 るのではなく、非木材紙を使おうという運動が行われてきている。. また、生産の面においても、早く育ち1年で刈り取れる草を使う方 が、製紙のための樹木を育てるよりも効率がいいだろう。. このことから、非木材紙の利用に利点があるといえるのではないか と考えられる。. 第二節 非木材紙の種類と活用例 (1)蔓植物による製紙について(先行研究より). 蔓植物についての中川雅恵氏の論文『蔓による造形の可能性』では、. 6種類の蔓植物について製紙の実験を行っている2。実験方法は通常の. 製紙方法とほぼ変わらない。まず、叩いて表皮を剥き、外皮の黒皮を 剥ぐ。残った繊維(靭皮繊維)をやわらかくするため1度炊き、柔らか. 5.
(6) くなったらはさみで細かく切り、ミキサーにかける。細かくなるまで ミキサーにかけ、これにネリを加えて漉きあげるというものだ。. この実験で紙として機能できるという結果が出た植物が、フジとク. ズとミツバアケビの3種類であった。それ以外のヤマブドウ、ツタ、 イタビカズラは繊維の絡み付きなどが不十分であったりして、紙とし ての強さやしなやかさを保ってはいなかった。しかし、イタビカズラ. に関しては、強度がないというだけで、紙としてはしっかり漉き上が ったようだ。. この3種類のうち、フジは古くから製紙の歴史があり、藤紙は京都 府宮津市畑に藤皮紙をつくる伝統があったことが知られている。また、. クズは布としてその繊維を利用していた背景がある。. 蔓植物は、柔らかい蔓を他の草木に巻きつけ、もしくは地面を這う ようにして成長していく。その過程で根元の部分や上部の支えになる. 部分は木化し木の幹のようになる。このような部分の表皮の下には良 質の靭皮繊維があるようで、先行研究ではフジを使用した写真が添え られていたが、それにもはっきりと見て取れた。 (2)葦紙の活用例について. 琵琶湖の護岸に生える葦を使った紙を元に、地元に根ざした商品開 発ができないかと考えた滋賀県の町工場がある。『山本紙工株式会社』. という町工場が、それである。ここではもともと菓子箱などの紙容器. を作っていたのだが、琵琶湖に生える葦をもとに、地元にしかない商 品はできないものかと考え、現在この葦紙による商品開発や、それを. ラッピングとして利用した商品の開発なども手がけているようであ る3。. 滋賀県はその中心に大きな湖、琵琶湖をたたえた県である。この事 業はそんな琵琶湖に自生する植物を利用した新商品開発の例であり、 当然その護岸には大量の葦が自生し、琵琶湖の環境の維持に一役買っ ている。また、この葦を使ったすだれなどで地元にも親しまれている。. しかし、まだまだ葦に対する価値そのものは低く見られ、そのため護. 岸は削られコンクリートで固められている。そんな琵琶湖というかけ がえのない財産を守るため、現状の打破と、地元に新しい名産を作り、. 地域の活性化を狙った紙の利用法だといえる。. このことから考えられるのは、地元の名産やそれに付随する新たな. 価値を、視点を変えることによって発掘し、よりよい方向に持ってい こうということだろう。つまり、新しい商品展開をすることによって. 6.
(7) 市場を開拓し、新ブランドを立ち上げようということである。その一 端を担うものとして地元で取れる物産から、新展開を打ち出すという. 方法をとっている。不況を打ち破り、地域の活性化を図る手立てとし て、非常に前向きな方法なのではないだろうか。 (3)雑草紙の研究について. 雑草紙の利点は、なんといっても資源の豊富さにある。紙の材料を 木材に頼るのではなく、草から得ることに重要な意味がある。. しかし、我々が考える「紙」というイメージと雑草からでき上がっ た紙とを見比べたとき、どうしてもそこに差を感じざるを得ないだろ う。なぜならば、木材と同じ加工方法で雑草を扱った場合、なかなか. 上質紙のようにはなりにくい。そのため、上質紙レベルを作ろうとす ると、まだまだ手間と時間と費用がかさみ、商品とはなりにくい。. しかし、包装紙など、白紙である必要のない紙や、肌触りの良さを 売りにしたような壁紙材等としてならば十分利用価値があるだろう。. 現に、雑草ではないが、それまであまり利用価値を見出せていなかっ たバガス(さとうきびの絞りかす〉等はデパート等の衣料品売り場で包. 装用4として、商品化もされている。. また、雑草が身近な存在であるということから、紙漉きという活動 をより身近にすることが期待できるだろう。工業製品としての紙利用. には、まだまだ時問がかかるだろうが、民間や個人で紙漉きを楽しむ 場合には、充分その役目を果たせる。またこの場合、牛乳パックのリ. サイクルとは違った風合いを楽しむことができる。牛乳パックリサイ. クルでは、パルプが漂白されているため、でき上がった作品に個性は 出にくいが、雑草を使った紙漉きでは使う雑草の種類や量によって、. まったく違った風合いを楽しむことができるのである。これは、紙漉 きの楽しみを広げるいい機会になるのではと考える。. それと同時に、非木材紙について考えるきっかけになるのではない だろうか。素材が身近である分、取り組みやすいということもあるだ ろう。. 雑草紙の研究は、木村光雄著の『雑草からの紙作り』という本に詳 しく述べられているのだが、この本は主に環境問題から、非木材紙に ついて述べられている。この本の中で、著者は「今直ぐに出来ること. は僅かかも知れません。この雑草類から紙を作ろうという試みも、大 自然の中では微々たる力にしかならないかも知れません。しかし、そ. れらを積み重ねて行けば、やがて大きなカとなって、地球環境保全に. 7.
(8) 役立って行くでしょう。例えば『私たちが使う葉書を自分で作る』だ けでも、その大事な第一歩となりえるのです。」5と言っている。まさ. にその通りで、続けるということが結果として、大きなカになるので はと私は考える。例えそれが、直接環境問題につながらなかったとし. ても、意識の上で環境について考えること、それが大事ではないだろ うか。その一端を担う、身近な存在として、雑草紙やそれに取り組む ということに意義があると感じる。 (4)ケナフの利点と欠点. ここ最近、ケナフ研翫80囎oaηη2伽肥という植物の名をよく耳に する。ケナフとは、アフリカ原産のアオイ科の一年草で、非木材資源 として近年脚光を浴びている植物である。木材と非常に良く似た性質. を持ちながらも、一年草ということで人工栽培により、多くの靭皮繊 維を取り出すことができ、森林伐採の救世主という触れ込みで、広ま っている。また、二酸化炭素の吸収率も非常に高いことから、温暖化. にも一役買うのではないかということで、「ケナフが地球を救動6と までもてはやされている。. 実際、ケナフという植物は成長スピードも速く、その上大気中の二 酸化炭素の吸収率も良い上に、水耕栽培の原理を利用すれば、水質の. 浄化も助けるということで紹介されている。これらの特性から、ケナ フというブランド価値が上がり、現在ではケナフから作られた紙商品 が、巷をにぎわせている。まさに、木材から作られる製紙において、. 救世主となるぺく紹介されてやってきたのだった。実際非木材紙を推. 進している協会から出されたケナフ紹介の記事にはこのケナフの効 果が、まるで夢のような植物として描かれていた7。. しかし、このr環境にやさしいj r木を切らない新しいエコ」とい う触れ込みで世界に広まっていったケナフだが、とんでもない欠点を. 指摘されることとなった。皮肉なことに、無秩序に一般の市民にケナ フの種を配り、ケナフを路上や河川敷の土手などに植えたものが増や しすぎたために、在来の植物達に影響が現れるのではないかというの. である。環境問題の救世主だったはずが、逆に環境問題を引き起こし てしまっているのである。. 現在では、その自生についての報告はまだ少なく、静岡県清水市で のレポート8が例として挙げられている。しかし、環境省のまとめた、. 環境省移入種検討会(野生生物保護対策検討会移入種問題分科会)9に. おいて作成された移入種リストにケナフが収録され、生態系撹乱の可. 8.
(9) 能性があると認められたことから、安心できるものではないというこ とが推測されるだろう。. ケナフそのものを否定するつもりはないが、それだけ有用な植物で あるのなら、有用な運用方法を確立すべきではないだろうか。加工や 製紙が確立されていない現在では、無計画に種を配ったり蒔いたりと. いったことは、絶対に避けるぺきである。せっかく栽培し収穫したの に、ただ枯らしてしまったのでは、環境にいいどころか、ごみを増や してしまうという結果になりかねない。また、それが外国から入って きた外来種であるという点も見逃せない。. このように、様々な問題をはらむケナフを、より安全に利用できる ように研究することも大事だが、在来の植物の中から似たような性質 の植物を使い製紙を研究していくということが、ケナフにも環境にも 良い選択肢であると考える。. 第三節 仮説 第一節第二節から考えるに、キーワードになってくるのはやはり、 環境問題ということであろう。紙漉きを語る上で、どうしても切って も切れない問題である。. 実際、紙を漉く場合、その工程においてたくさんの煮沸処理を行う。. それも、1∼2時間煮続けることなどはざらにあるのだから、その二酸 化炭素の排出量たるや相当なものであると推測できる。また、繊維を 取り出す際の煮熟では高アルカリ水で煮る為に、その汚水も環境に影 響を及ぼさないとは言い切れないだろう。. では、紙を漉く、とりわけ個人で漉くということにどのような意味 づけができるのだろうか。少なくとも、製紙の工程だけを見ると、環 境に良い影響を及ぼすとはいえない。. だが私は、紙を作る工程を知ることで、つまり紙がどんな材料でど のような作業によってできるのかを知ることにより、紙を無駄に利用 するということを軽減できるのではという点にあると考える。っまり、. 自分で作ることによって紙のありがたみや、紙を1枚漉きあげること の大変さを理解し、無駄に消費するということのセーブにつながるの ではということである。実際に紙漉きを個人で行ったことのある方な らわかるが、この作業はなかなか時間と労力を必要とするものである。. そして、環境問題を考えたとき、1番それに貢献するのは我々の意 識改革である。こと、紙に限定して言えば、紙という素材を尊び、そ の大切さを知ることが、一時その紙漉きという行為で、環境に悪影響. 9.
(10) を与えるとしても、環境にとって遠い目で見て有用であると考える。. そこで、紙漉きという行為をより意義のあるものにするためと、新 しい素材や利用法の発見の為に、本論文ではいくつかの実験を行う。. 素材として、本論文では黒豆の茎と、ヘチマの茎、それから水草で あるヒシの茎を選んだ。以下にそれぞれの特徴と、選定理由を述べて いきたい。. 黒豆は特に、兵庫県丹波篠山地方の特産品として、江戸時代には幕. 府に献納されるほど特別品種として栽培され珍重されてきた作物で ある。また、栄養面でも優れ、黒豆の煮汁には、便通を促し糖の吸収 を抑えるガラクトオリゴ糖が多く含まれ、同時にリノール酸やイソフ. ラボンなどの中性脂肪やコレステロールに効く善玉コレステロール を増やす働きにも優れているなど、数多くの栄養を摂取できることが 知られている。. しかし、豆についての利用は、それこそたくさんの研究がなされて いるものの、その二次的産物として出る茎などの廃棄物については、. 利用価値を未だ見出せているとはいえない。現在、収穫した豆の茎の. 部分はその多くが、焼却するしか処分の方法を見出せていない。それ. 程この茎は頑丈で、土に埋めたところで完全分解まで2年を要すると いうのだ。. そこで、これらの利用価値の見出せていない黒豆の茎から紙を漉く. ことで、地域に新たな価値観を見出し、黒豆という特産を活かした新 しい商晶の開発ができるのではと考える。これが黒豆の茎を紙漉きの. 材料に選んだ理由であり、産業利用という視点から、新しい価値を見 出せるのではと考えた。. ヘチマの茎からは、これとは違い教育的な視点から新たな価値を見 出せると考えた。ヘチマは小学校の理科の授業で扱われるウリ科の植 物であり、その実の部分はタワシ等の利用がなされている。. このヘチマから紙を作るということで新たな価値を見出せないか という提案だが、これにはいくつか理由がある。1つは紙漉きという 作業が、環境問題などを扱う総合学習の時間などに広く行われ始めて. いる現状があるということ。その際に利用される植物が第二節でも取 り上げたケナフであることが多いということ。つまり、様々な問題を. 抱えるケナフをわざわざ使うのではなく、授業で使った教材の再利用. ができるのであれば、これも立派な環境とリサイクルの授業として組 み込めるのではないかということである。また、第二節の先行研究に あるとおり、蔓で伸びる植物には少なからず靭皮繊維があると考えら. 10.
(11) れる。このことからヘチマからも十分紙を漉くことが可能なのではと. 推測ができる。そのため、ヘチマの紙漉きからは、紙漉きを理科の授 業でヘチマを育てる、小学校の授業に組み込む提案をしたい。 そしてヒシの利用については、ここ播磨の野池の多さに着目した。. ヒシとは、ひし科ひし属の水生植物で目本全国の野池などに自生し ている。. 加東郡社町を中心としたこの地域には、大小さまざまな野池が点在 し、夏になるとほとんどの池がこのヒシによって覆われてしまう。こ. の大量に発生する植物を使って紙を漉くことができたら、地域活性の. 新しい役目を担えるのではと考えた。ほぼ毎年池はこの植物に埋め尽 くされることから、量はたくさん取れるし、未だその植物を着眼点と した利用法が見出せていないということが選定の理由である。っまり、. 新しい紙漉きの行える植物の開拓という視点による考えである。. これらの考えを基に、本論文では紙漉きの実験と、素材利用の提案 を行う。. 11.
(12) 第二章 紙漉き実験 第一節 実験の概要 ■実験の目的 3種類の茎から繊維を取り出して、紙(もしくは紙状)を漉きあげるこ とが出来るのかを検証する。. ■使用道具 ・家庭用ミキサー ・ステンレス鍋 ・ガスコンロ ・ソーダ灰(炭酸 ナトリウム) ・電子計り ・軽量カップ ・漉き枠 ・衣装ケース ・ ざる ・さらし布 ・ベニヤ板 ・万力 ・不織布 ・人工大理石 ・. ネリ(ポリエチレンオキサイト) ・木槌. ■実験手順. 紙漉きの方法にはいくつかあるようで、例えば最初に木を蒸らすの か煮込むのか等、実験者によって差がある。今回の実験では、扱う植 物によって実験方法を微妙に変える。だが、大きな変化はないので、. 以下の方法を軸に、植物に応じて対応する。ちなみに、ここで行う方 法は、木村光雄氏の著書『雑草からの紙作り』10を参考にしたもので ある。. (1)煮沸処理. まず、ステンレスの鍋で素材を2時間煮る。鍋は後の作業でソーダ 灰による、高アルカリ水で煮るためにステンレスを使用した。1時間 煮た後、ざるに取り出して少し冷ます。その後、茎の状態を見て、表 皮をはがす。. (2)煮熟. 煮熟とは、アルカリ水で表皮を煮ることである。ソーダ灰の量は乾. 燥した表皮の10%∼20%と言われている。この煮熟を行うことで、. 繊維以外の余計な部分がアルカリ水に溶け出す。この作業を2時問以 上行う(本実験では黒豆とヒシを2時問、ヘチマを3時間行った)。そ の後取り出して、表皮の状態を確認する。 (3)外皮を剥ぐ∼塵より. 12.
(13) 表皮に残る外皮(黒皮)を剥がしていく。. その後、剥がし終えた表皮をまとめ、繊維に混じる小さな塵(黒い汚 れや表皮のカス)を取り除く。これは、よりきれいで均一な紙を漉くた. めで、紙に外皮のかけらなどを漉きこみたい場合は必要ない。 (4)叩解. 塵よりしたものを、1度ミキサーにかける。こうすることで繊維が ほぐれやすくなり、またミキサーの刃で繊維が細かくなる。5分ほど かけたら、ざるの上にさらし布をひき、そこに中身を空ける。さらし 布の四隅を縛り、よく水気をとった後、繊維をしなやかにするためと、. さらに細かくするために木槌でたたく。下に人工大理石などの硬い板 を引くと、より砕けやすい。この工程を5回(回数は繊維の堅さによっ. て変わる。本実験では黒豆で3回,ヘチマで5回行った)繰り返す。こ れで紙を漉くパルプが完成する。 (5)紙漉き. パルプを使って紙を漉く。この実験では、溜め漉きという方法を行 う。衣装ケースに8珍の水を入れ、これに対してネリ(ポリエチレンオ. キサイト)を200m¢加える。この割合は正確なデータがあまりなく、. 気温や湿度、水温等によって左右される。紙漉きの職人はそれを長年. の勘で微妙なさじ加減を行うが、素人には当然無理なので、今回は8 ¢に対して、200m9の割合で行った。これは、ネリを加えていってと ろみが出始めた段階で加えるのをやめて調整したものである。また、. 黒崎彰氏の『紙の造形 紙つくりから作品制作まで』では、粉状のポ リエチレンオキサイトでの分量で、10ρに対し玉Ogを加えていた11。. この溶液から、400m嬉取り出しミキサーに入れ、そこにパルプも同 時に加える。10分撹搾させると、パルプと溶液が程よく混ざる。ミキ サーをかけている間に、衣装ケースの中に漉き枠を漬け込んでおく。. こうすることで、急激な木材の伸縮を抑えることが出来る。撹搾が終. 了したら、複数回に分けて漉くのでなければ、漉き枠の中に一気に流 し込む。その後、手の指を広げた状態で枠の中をかき混ぜる。こうす. ることで均等にパルプが散るようにする。ある程度均等に散った段階. で、漉き枠を平行を保ったままに持ち上げ、水分を切る。この間にベ ニヤ板を用意しておく。その後、ベニヤ板の上に不織布を引いて、漉. い きあげた紙を不織布の上に移す。その上にもう1枚不織布を重ねる。 さらにもう1枚作るときは、この上に漉きあげた紙を重ねればよい。. 13.
(14) (6)圧搾. 最後の不織布の上からベニヤ板をかぶせ、万力などで締め上げる。 すると水分が流れ出すので、そのまま一晩おいておく。 (7)乾燥. 万力をはずし、紙を1枚1枚はがして、平らな板やガラスなどに張 っていく。これを陰千しすると紙が完成する。急ぐ場合は、アイロン. 等で水分を飛ばしても良いが、紙がよれやすいので注意が必要。その 際には必ず当て布をすること。. 以上が、作業手順の主な流れである。. 第二節 それぞれの実験工程 (1)黒豆の茎による紙漉き実験. ■黒豆の特徴. 黒豆 くろまめ ダイズ砺伽θ瞼xの1種で一年草。種子(豆)が 黒色の品種を主に黒豆と呼ぶ。いくつか種類があるが、中でも丹波黒 大豆(丹波黒)が代表的。. この品種がいつごろ作られ、いつごろこの地に定着したのか、記録 は残っていない。ただ、丹波の川北と呼ばれる集落が原産地であると. 言われ、江戸時代中期には川北黒大豆として江戸で評判を呼んでいた といわれている。江戸時代末期には、篠山の東部でも優良な品種、波. 部黒が作られ、川北黒大豆と2大勢力をなしていた。しかし、双方の 名声が高まるにつれ、黒豆に2つの名称があることに支障が出てきた ため、昭和9年に組合も統一し、名称も丹波黒大豆となった。. 黒豆の旬は冬で、6月中旬に植えて、12月に収穫するという極めて 長い成熟期間を要する。その間にも葉とりと呼ばれる作業をして、豆 を乾燥状態にしたりと、非常にてまひまをかけて作られている。. 現在では正月の煮豆の他、健康食品としても注目されており、中で も糖尿病改善に効果を発揮している。その他には、煮汁に含まれるリ. ノール酸やイソフラボン等の成分は、中性脂肪やコレステロールを減 らし、善玉コレステロールを増やす働きを促す。美容には植物エスト. ロゲンが、肌に潤いを与え、しみやしわなどのトラブルを防ぐ働きを する12。. 14.
(15) ■実験期問11月17目∼12月5日 学内木工室にて (図1). 黒豆の茎13は、しっかり乾燥させるか生 のまま使う。中途半端に保存すると、 写真のようにすぐにカビが生えてきてし まう。こうなってしまうと、綺麗な紙に仕 上がらない。. (図2). カビの生えていない、綺麗な茎。. (図3). 鍋で煮沸する。10センチ前後に切る と、作業がしやすい。また、短くすること で煮沸の時問を短く出来る。. だいたいこのぐらいの長さが、後の作 業がしやすい。. 15.
(16) (図5). 写真は煮あがる前の茎。茎を煮ると、 煮汁が黒くなってくる。これは、茎内部 の成分が溶け出たものではないかと考. えられる。沸騰した状態で1時間置い たら、火から上げて冷水で冷ます。この 時にしっかり鍋の水を捨て、新しい水を. 入れること。煮汁による繊維の染色を 防ぐことが出来る。. £ (図6). 煮あがった状態。全体的に黒味が増 す。. (図7). 茎から表皮(外皮を含む靭皮繊維部分) をはがす。切り出し等で、表面をこそぐ ようにはがしていく。カビの生えていな. い、質のいいものは表皮のはがれもよ く、綺麗に長くはぐことが出来る。. (図8). 状態のいいもの。綺麗に表皮と芯とが はがれていく。. 16.
(17) (図10). カピが進行してしまい、木化した芯の部 分にまでカビが侵入してしまうと、表皮. は綺麗にはがれず、製紙にはむかな い。. (図11). 切り出しではがすと、ぼろぽろ落ちてし まう。だが、表皮がなくなってしまった わけではない。. 茎の断面を見ると、使えるか否かが解 る。写真のように断面が黒くなっていれ ば、カビが進行している証拠。こういう 茎は、今回は使用しない。. 17.
(18) (図13). 黒くなった茎の表皮をはいだところ。内 部の芯も黒くなっていることがわかる。. (図14). これは状態のいい茎の芯。カビが入っ ておらず綺麗な黄色をしている。. (図15). 表皮を乾燥機で乾燥させたもの。乾燥 させるとカチカチに固まる。この実験で. は重さを量るために乾燥させたが、通 常の紙漉きの場合では、乾燥をはさま. ずにそのまま煮熟に移ってかまわな い。. (図16). 煮熟後の表皮。見た目は煮熟前とほと んど変わらない。これを叩解していくこ とで、繊維を解き、よりしなやかなもの にする。. 18.
(19) (図17). 表皮から外皮を剥がす。茎にカビが生 えていなかったものは、この作業も簡 単に行える。また、この作業は漉きあ がった紙になるべく外皮のテクスチャー を含まないようにするためのものであっ て、必ずしも行わなければならないとい うものでもない。この方法の他に、ミキ. サーにかけて外皮を粉々にし、ざるで 濾すことで外皮を取り除く方法がある。. もちろん、手で剥ぐ方が確実だが、非 ,霞. 常に時間がかかる作業になるため効. ゴ. 率が悪い。今回の実験では、4g(ハガ キ2枚分)を剥ぐのに3時間かかった。. (図18). 外皮を剥いだものを、木槌で叩く。下に. 引いてあるのは人工大理石。5分叩い た後、ミキサーに同じく5分かける。こ. の作業を本実験では3回繰り返した。. (図19). q. 出来上がった,{ルプ(繊維1この実験で. は、いくつかの工程ごとに分けて、合計 3種類の製紙を行った。左から、外皮を. 剥いだパルプ、外皮をミキサーで砕い てざるで濾したパルプ、外皮を含めた パルプの順番に並んでいる。この量で それぞれ4gであった. (図20) ︸﹄. 醍. 外皮を剥いだパルプをミキサーで溶い たもの。外皮のかけらは最も少ない。. 19.
(20) (図21). 漉き枠に流し込んだところ。漉き枠は 市販のハガキ作りキットで使う枠を利 用した。また、この時使用したネリの入. った水は、そのまま撰水するのではな く、何かの容器に溜めて、日を置いて. 粘度が薄まってから排水する方がい い。ネリは高温化では1日と持たない ので、夏場であれば時間もそれ程かか らないだろう。また、冬場であっても日 を置くことで、粘度は薄まっていく。. (図22). 板の上に不織布を乗せ、その上に流し 込んだ紙を置く。その上に不織布を重 ね、次に置く紙と、くっつかないようにす. る。その上にタオルなどを引いて、ロー ラーで平らにする。こうすることで紙に. 含まれる水分が抜け、圧搾の際に形が 崩れてしまうのを防ぐことが出来る。以 下、作業の繰り返し。. (図23) .誓﹂k. 外皮をざるで濾したパルプをミキサー. にかけたところ。粉々に砕けた外皮 が、手で剥いだものよりかは目立つ。. ヒ『二.. 匡勲. (図24). 漉き枠に流し込んだところ。. 20.
(21) (図25). 外皮も含めて作ったパルプ。色も黒く、 外皮も非常に目立つ。. 疑蓋r1∫≧. 麟議言 (図26). 漉き枠からはがしたところ。全体的に 黒っぽい。. (図27). 漉き上がった紙は不織布にはさんで、 圧搾という作業に入る。板などの硬質 なもので不織布ごとはさみ、万力で圧 力を加える。この状態で斜めに置き、. 水分が下部から流れ落ちるようにす る。一晩置くと、しっかり水分が抜け る。. (図28). 圧搾を終えた紙は、乾燥用の平らな板 に写して乾燥させる。板は濡れた布な どで水分を与えておく。この時、しっか りローラーをかけて板に密着させると、. ピンと張った状態のまま乾燥すること が出来る。. 21.
(22) (図29). ヨ 3∫ 支,で、』ゴ・. 漉きあがった3種類の紙。それぞれの. 麟ど. 特徴は、結果と考察にて。. . 穿で }』し≦三一’. 1 『聾. (図30). こちらは、A4サイズの紙を漉いている ところ。パルプはざるで振るいにかける 方法を使用。このように、漉いた後はし ばらく容器の端におき、水分を切る。. (図31). 表面の様子。. (図32). 板の上に不織布をおき、その上に箕ご と紙をかぶせる。そして、上から雑巾な. どで水分を取りながら紙を不織布に押 し付ける。こうすることで、箕と紙との間. に空気が入り、スムーズに養をはがす ことが出来る。. 22.
(23) ﹁“,、M﹄. (図33). 乾燥し、出来上がった紙。. ■結果と考察. 紙を漉くことには成功したが、いくつか問題点が生じた。その主た る要因は表面の外皮にある。. 外皮は非常に硬く、色が黒いため、パルプの中に含まれると小さな 破片として残ってしまう。したがってこれを煮熟後にはがさねぱなら ないのだが、この作業が非常に厄介である。. 通常、和紙に使われるガンピ等の植物はまっすぐ生えるので、表皮 から外皮を剥ぐ作業も節等にあまり引っかからずに行えるのだが、黒 豆は非常に節くれだっているため、表皮を長く綺麗に剥ぐことは難し. い。結果、小さな表皮になってしまうのだが、それを1つ1つ剥ぐ作 業というのは時間がとてもかかるため非効率であると言える。. そのため、今回のようにざるで洗い流すという方法をためした。こ. れは、水中に半分ほど沈めたざるの中に、パルプと水をミキサーにか けたものをあけ、水中でざるを振ることによって小さくかけた外皮を. 水中に落とすものである。外皮よりパルプの方が繊維が長いため、ざ るを揺するうちにパルプはおたがいにくっつきはじめ、結果くっつき そこねた外皮が落ちるというものである。. しかし、この方法にも欠点があり、絡み始めたパルプに外皮が絡ま り、思ったほど外皮を取り除くことは出来なかった。それに、絡み付. けなかった繊維が、ざるを通過して流れ落ちてしまうのである。その ため、紙にあまり張りのない、画用紙のような紙が出来上がる。. このように、通常の和紙と比べると、その均一性や色などでやや劣 ると言える。だが、そもそもコウゾ・ミツマタ・ガンピ等の製紙の利. 用のために栽培されているものと比べること自体が無用であって、黒 豆という食品から出る廃棄物(この場合はその茎)から、製紙が行えた. ということに意味があり、またその特徴から利用法を考えるのが妥当. 23.
(24) だと判断した。. 今回は、外皮の除去の仕方によって、3種類の紙を漉いた。以下に その特徴をまとめてみる。. 皮法 外方. 3種類の紙の違い. 除去 の. ①手で外皮をはがす. ②ざるで振るいにかける ③何もせずそのまま. パ態. 裂き辛い。裂くと繊維の 裂き辛い。裂くと小さな 毛足が見える。長さ、太 裂き易い。裂くと繊維の ル プ の 状 繊維の毛足が見える。長 さ共に変化に富んでい 毛足が見える。また、外 さはまぱら。外皮の破片 る。外皮の破片もたくさ 皮の破片が残っている。 は少ない。 んあり、全体的に黒ずん. パ感. でいる。. ル プ の 触 堅い。押してもあまりへ やわらかい。押すとふっ 堅い。押してもあまりへ. レ、. に間 化時 プる. ,力偶. ﹂カ く、. パルプの色. 紙の質感. こまない。. くらと弾力がある。. こまない。. 黄色. 白色. 黒色. 3時間. 40分. 30分. 張りがある。揺らすとぺ 張りがなくやわらかい。 張りがある。揺らすとぺ らぺらと、上質紙のよう 紙質は画用紙などに近 らぺらと、上質紙のよう な音がする。. い。. な音がする。. 紙の触感. つるつるしている。. がさがさしている。. つるつるしている。. 紙の色. 明るい黄土色。. 明るい黄土色。. 濃い茶色. 紙の強度15. 強い. 弱い. 強い. 紙の画像. 用途の案. ハガキや便箋などの筆記 照明などのランプシェー 照明などのランプシェー 用として。 ドや壁紙として。 ドの他、商品パッケージ やラッピングなど。. このことから考えられるのは、②は細かな繊維が外皮と一緒に抜け てしまったのではないかということである。表面を肉眼で確認してみ. ても、その差は明らかで、ざるの加工を行わなかった①、③は密に繊 維が詰まった印象を受けるが、ざるにかけたものは表面ががさがさし て、長い繊維のかけらも見て取れた。. それから、③の繊維は極めて①と似ていて、繊維のつまり具合、表 面の質感共に似通っていた。しかし、色が明らかに違い、濃い茶色を. 24.
(25) している。そのため、②ほど外皮は目立たない。また、①よりは若干 がさがさしている印象を受けた。. (2) ヘチマの茎による紙漉き実験. ■ヘチマの特徴. ヘチマ 糸瓜 加飴融嘘血厩Eoθ塑.ウリ科の一年生つる草。 全長十数メートルにもなる茎を持つ。初夏から秋口まで開花する。雌 雄異花で、雄花は数個穂状につき、雌花は単生する。雌雄花ともに、. 黄色の花が早朝に咲く一目花である。この雌雄異花の性質を活かし、. 小学校4年理科の授業で取り上げられている。 成熟した果実は水に漬けておくと、繊維部分だけを残して腐る。こ れが入浴用に使われるヘチマのたわしで、俗にヘチマの皮と呼ばれる。. また、秋口に茎を地上から30cmほどで切断し、切断面を瓶などにい れ、染み出てくる溶液を集めたものをヘチマ水とよび、化粧水などに 利用される。. ヘチマは、熱帯アジアが原産地で、目本には近世になってから紹介 された。原産地や、鹿児島以南では食用としても栽培され、沖縄では ゴーヤーチャンプルー等と並ぶ人気料理である16。. ■実験期間11月17目∼12,月4目 学内木工室にて (図1). 乾燥した状態のヘチマの茎17。これを 刻んで煮熟する。. 25.
(26) (図2). 茎を縦に裂いたところ。黒豆の茎とは、. だいぶ違う。ススキやヨシに雰囲気は 近い。. (図3). 煮熟には、黒豆と同じくソーダ灰を使用. した。今回は茎そのものを煮熟するた. め黒豆やヒシの2倍の量(乾燥茎の重 量の20%)を入れた。. (図4). 『. 煮込んで2時間経過した状態。ほぼ繊 維だけの状態になっている。. (図5・1). (図5・2). 3時間後の茎の状態。指で押して、簡 単に繊維がほぐれれば、完成と見てよ い。. 26.
(27) (図6). さらし布等で濾過する。この際、そのま. ま鍋の水を流すのではなく、水などを 加えて水質をなるべく中性に近づけて から流すようにする。. (図7). 1度、さらし布を巻いた状態で、たたい ておく。こうすることで、このあとのミキ. サーでの作業が少し楽になる。. (図8). ミキサーをかけたところ。だいたいバラ けたら1回目のミキサーは終了。1回目 はくっついた繊維をほぐすつもりで軽く かけた状態でよい。長くやると、まだ長. く固い繊維がミキサーの刃にからん で、故障の原因となる。. (図9). ミキサーにかけたものを濾過し、人工 大理石の上でたたく。ある程度叩くとし んなりしてくるので、切り出し等で刻む。 こうすることで繊維が短くなり、ミキサー の刃にからみにくくなる。ただし、あまり. 切り過ぎないこと。逆に繊維が絡まなく て紙が漉けなくなる。叩いた後は、また ミキサーにかける。この、叩く→ミキサ ーの工程を5回ほど行うと、かなり繊雑 がほぐれてくる。. 27.
(28) (図10). 漉き枠は20分程度水につけ、木材に 水を浸透させておく。. (図11). 乾燥したパルプをミキサーにかける。こ. の時、一緒にネリを加えた溶液を加え る。この実験ではパルプ20gに対し、溶. 液600m皇を加えた。それを拡販し、図 のようにどろどろの溶液になったら、漉 き枠に流し込む。. (図12). 漉き枠に流し込んだ後、指の間をあけ た状態ですばやく枠内をかき混ぜる。 こうすることによって、パルプがよりばら けて、均一に広がる。. (図13). パルプが広がったところ。この状態で 取っ手を持って真上に引き上げる。こ の時に枠を傾けてしまうと、水分の抜 け方に差が出来てしまうため、均等に ならなくなってしまう。. 28.
(29) (図14). 漉き筈からはがすところ。養の目が粗 いと、この時に賓にパルプがからみ、 上手くはがすことが出来ない。この実. 験で使った簑は目が非常に粗く、1本. のひごが2mmもあった。実際は1mm 以下が望ましい。. 」 (図15). μ. 漉き上がった紙。20gでは、少し厚手の 紙が出来る。. (図16). 表面には、砕ききれなかった茎の残骸 がたくさん残り、でこぼこしている。叩解. の作業をもっと細かく行うか、ナギナタ. 式叩解機等の専門機械を利用すれ ば、もっと細かくなったのかもしれない。. (図17) i﹃. 「. 』. 一ノ. 10gのパルプを使用し、600m2の溶液 を加えたものでハガキサイズの紙も作. ってみた。この実験では4枚漉き上が った。. 29.
(30) (図18). (図19). “^ヤ .さ ゴ一. 冒一㌔ ・ イ﹃ヤ ,.・・. ドビ. 、準. 圧搾が終了したら、乾燥用の板に貼り 付ける。. 謄弟汐. 鑑> (図20). 冒著■、. ..、ー.・. .﹄賀︷−・. 黛亜、譲遮. [r. (図21). 表面はざらざらしている。砕きれていな. い繊維が表面のテクスチャーを作って いる。目は粗く感じるが、隙閥をしっか. り細かい繊維がふさいでいるため、密 度は濃い。. 30.
(31) (図22). 一見すると繊維が硬く、しなやかさにか. 曲げても、ひびが入ることもなく綺麗に 折り曲げることが出来た。. ■結果と考察. ヘチマはその性質から、同じ蔓植物のフジ等とは違い、茎が木化し ていない。そのため、黒豆のように表皮をはがす手間がない分、作業 は比較的単純だと言える。しかし、簡単かというとそうでもない。繊. 維の結束が固いため、なかなかばらけず、結果として表面が非常に荒 い紙になってしまった。そのためこのままでは、筆記用には適さない。. 製紙用のナギナタ式叩解機18等を使用すれば、もっと表面が細かくて 強い紙が出来たと考えられる。. また、今回は叩解中に切り出し等で繊維を強制的に切ることで繊維 を短くし、ミキサーの負担を軽くしたということもある。このことか. ら推測するに、煮熟の際あらかじめ1c m程度に刻んでおいて煮熟を. 行えば、よ0手順を簡単にすることができると考えられる。ただし、 この方法では、逆に長い繊維(1cm以上)を取り出すことはできないの. で、今回と同じようなテクスチャーは望めない。. どちらにせよ、繊維の結束が固いということには変わりないのだか ら、用途によって繊維の長さを調節するのがいいだろう。この叩解の. 作業をしっかり行うことが、ヘチマによる紙漉きの1番のポイントで あると言えるだろう。. 茎が木化しない一年草の蔓草ということで、教材としてなじみの深 いヘチマを利用したが、それ以外の一年草の蔓草、例えば同じウリ科 のキュウリ0びoロ盟商詔直職3やスイカαかα∬αθ動臨励等でもでき そうである。. 31.
(32) (3)ヒシの茎による紙漉き実験 ■ヒシの特徴. ヒシ 菱 伽1ρ8頂ρ鯉㎏醜塑▽ ヒシ科の一年生水草。茎は長く、. 節から細かい根が伸びる、葉は茎の先端に放射状に広がり、水面に浮 かんでいる。葉は菱形で、表面は光沢がありつるつるしているが、裏 面は柄とともに細かい毛がある。柄は一部が膨れて空気を含み、浮き 袋の役目をする。果実は菱形で、その両端が刺になっていて、物にく. っつきやすくなっている。実は食用や薬用として利用される。池沼等 に生え、北海道から九州、および朝鮮半島、中国に分布する。 このヒシという名称は、緊(ヒシ〉の意味で、実になる鋭い2対の刺 によるものといわれ、菱型という名称は、この葉から出た語である19。. 匿実験日9月24目(水〉学内木工室にて (図1〉. 採集してきたヒシの茎20。表面が乾燥 し、白くなっているものもあるが、その内. 部には大量に水分を含んでいる。. (図2). 茎を裁断し、煮熟の際分解しやすくして いる。. 32.
(33) (図3). 煮熟後の茎。ほとんど原形をとどめて いない。. (図4). ミキサーにかけて・さらに細かくしたも. の。この時点ですでに繊維らしいもの は見つからず、どろどろとした茎の破片 のようなものが手ですくって見えた。. 薫u. 甲一. (図5). 漉き枠に流したところ。均一に広がらな いどころか、海苔のようにへばりついて しまった。繊維というより解けた細胞と いう感じ。. (図6〉. 蕊 漉き枠の網を抜けて、出て行ってしまっ た液体。. 33.
(34) (図7〉. 金網から不織布に移そうとしたところ。. まった。繊維が繊維として絡み合ってい ないということがわかるα. 金網を取ったところ。繊維が残ったとい. う形跡はなく、解けた茎の破片がへば りついたという感じ。. ■結果と考察. このようにヒシからは、繊維を取り出すことは出来なかった。 この原因についていくつか考察してみた。. 1っは水生植物の茎の構造にある。ヒシの茎を採取してみたとき、 その茎の含む水分の多さに驚いた。茎を裁断すると、中から水分がに じみ出てくる。また、その茎の断面には導管や支管のような植物の構. 造が、はっきりと確認はできなかった。これは、藻類の特徴に似て、. 茎や葉などの全体から水分を補給していると考えられる。このことが. その植物が含む水分量を結果的に多くし、繊維を採取することが出来 なかったのではないだろうか。しかし、単純に藻類と比べることもで きない。藻類は、総じて根茎葉の区別がしづらいのに対し、ヒシはし. っかりとした根茎葉の区別ができている。また、藻類がからだ全体で 光合成を行うのに対し、ヒシは明らかに水上の葉で主に光合成を行っ. ている。これは、その葉緑素の分布を見れば判断できるだろう。した. がって、ヒシはこの藻類の特徴と、通常の植物の特徴の2つを併せ持 っのではないかと推測する。このことが、繊維が取り出せなかったこ とにつながるのではないだろうか。. 34.
(35) また、これらの水生植物は、陸上で受ける重力の影響をほとんど受 けずに育っため、強靭な繊維や長い繊維を作る必要がなく、その体内 に含む繊維の量が結果的に少なかったのではないだろうか。. そして、上記に付随して、今回利用しなかった葉の部分について考 えてみる。ヒシの葉はその名の通り菱型をしているのだが、その葉の. 根元は膨らみ、ちょうどカエルの足のようになっている。中が多胞質 になっており、これがいわば浮き袋のような役目をして水面に浮いて. いる。この構造はちょうど日本にも自生しているホテイアオイ 盈励加㎜1a㎜鰯ρθ5と似ていて、ホテイアオイの場合はさらにその 部分が大きく、水面を漂って成長していく。原産はアメリカの熱帯地 方であるが、アジアの各地でも繁殖をし、しばしばその旺盛な生育力 から、害草化することもある。また、バングラディッシュなどでは、. 実際にホテイアオイから取り出した繊維で、紙漉きも行われているよ うで、貴重な収入源となっている21。. 他の2種の植物では茎を利用したということもあり、今回はヒシの 茎を利用した紙漉き実験ということであったが、葉の部分に含まれる 繊維による紙漉きというのも試す必要があるだろう。. 以上のことについて、今後は他の水生植物ではどのような結果にな るのか等も含め、調べる必要がある。. 第三節 実験結果と考察 今回、黒豆、ヘチマ、ヒシと製紙実験を行ったが、その中でヒシだ けが結局紙状のものに漉きあげることができなかった。. 原因はどうやら、繊維の質にあるのではという考察は二節に書いた 通りだが、木村光雄著『雑草からの紙作り』によると「身近にある雑 草類について実験してみたのですが、それぞれの植物によって、その. 茎や葉の形も構成も異なっていますので、同じように処理しても、簡 単にパルプ化されてしまうものもあれば、短い繊維になるものや長い 靭皮繊維が得られるものなど、それらの様子はさまざまです。中には どうしてもパルプ化されず、処理を重ねますとバラバラになってしま. うものもありますし、透明度の高いパルプになるものも逆に不透明な パルプになるものもあります。」22とあった。ここでは繊維云々という. 表記はなかったが、少なくともそういう種類があるということはこの 記述から読み取れる。. 35.
(36) また、このような表記もある。「これらはパルプ化の仕方によって も、製紙の際の条件によってもかなり変化します。また、木材パルプ から製紙する揚合にはいろいろな薬品が使用されていますので、仮に. そういう薬品による処理をするとしたら、紙の様子は大きく変わって しまいます。それに、紙というものは用途が極めて多種多様で、それ. ぞれに必要な性質も異なっていますので、漉き上がった紙がどんな性 質を持っていたとしても、それに見合った用途が必ずある筈です。」. っまり、紙は植物の種類によっても、その製法によってもその姿を変 えてしまうものであるということである。このことから、今回行った. 実験というのも、あくまでその中の可能性の1つであるということが いえるだろう。その結果、黒豆、ヘチマではあのような紙が漉きあが り、ヒシでは紙としてはできあがらなかったということだろう。. これらのことから、今回の実験だけでは、黒豆、ヘチマは製紙を行 えて、ヒシでは行えないという結論を出せそうにない。今回の実験方. 法で、茎という材料を使った場合、ヒシはどうやら適さないようであ. るというのが妥当な結論だろう・鋼まど、縦豪という作業は、 自然を相手にしているものだけあって、容易なことではないというこ とである。. では次に、今回の実験で漉くことができた黒豆、ヘチマのそれぞれ の紙をくらぺてみたい。. それぞれの違いは、素材の点において、茎全体を使用したか否かと. いうことがあげられる。黒豆は表皮の下にある靭皮繊維から、ヘチマ は茎全体から製紙を行った。このことから、黒豆からは比較的均一な 紙が作れ、ヘチマからは、繊維の形や大きさにかなりの差が出た。 これは、それぞれの紙を同じ条件でスキャンした画像である。. 36.
(37) これらの違いを生かした紙の利用について、いくつか提案したい。 また、その具体案については、次の章で紹介する。. まず、黒豆に関してはその平滑な性質から、印刷物全般に活用が可 能であろう。色に関していえば、確かに黒色が強いため、そのままで は通常の印刷に適応できないかもしれない。しかし、シルクスクリー ン印刷など、下地の色を覆うことができる不透明印刷であれば、この. 問題は解消できるだろう。また、パルプの漂白ということも考えられ る。薬品によって強制的に脱色処理してしまえば、ある程度の白色を 保てるだろう。. それ以外の利用には、その外皮の混じる、独特な風合いを活かした 壁紙や、障子紙、ランプシェード、包装紙などの装飾品として活用が 期待できる。. また、黒豆という商品価値を活かした、パッケージや、商品の中敷 としての利用ができる。. こうしてみると、かなり幅の広い活用が期待できそうである。つま り、現在ある紙製品のほとんどを黒豆の紙でカバーできるといっても. 過言ではないだろう。とりわけ、その利用、生産を産地に絞って行え ば、より付加価値をつけることができ、地域活性の一端を担えるだろ う。. 一方ヘチマには、黒豆にはない良さがある。独特の風合いはむしろ、. 黒豆よりも強いため、壁材やカーテン、包装紙、ランプシェード等の 装飾品として高い価値が見出せるだろう。. また、拡大図を見てもらえばわかるとおり、非常に多孔質な紙とな っている。このため、紙にたくさんの空気の層ができることになる。. このことから、商晶などのクッション材や中敷としての活用が見出せ るのではないだろうか。. それに、引っ張り強度が強く割りとしなやかなので、紙製のバッグ や小物入れ等の利用も、加工の仕方によっては考えられるだろう。. このようにヘチマでは、その独特な風合いや強度を活かした利用が 考えられる。. これらのことを踏まえて、次章ではそれぞれの紙について、商業的. 視点と教育的視点にっいて述べていきたい。なお、次章からは便宜上 黒豆からできた紙を黒豆紙とよび、同様にヘチマからできた紙をヘチ マ紙と呼ぶことにする。. 37.
(38) 第三章 活用の提案 第一節 黒豆紙による商業的利用の提案 黒豆はこれまでにも、実に多岐にわたって商品展開されてきた。兵 庫県篠山市にある、『篠山市地域活性化センター 黒豆の館』23では、. 約100種類もの商品が販売されている24。これらの商品に新規参入と. いう形での商品展開と、もう1っは紙という素材を活かした、パッケ ージングの展開を示したい。. ■紙としての商品展開. 紙製晶は、その主な用途を筆記具や印刷媒体として使用されている。. これは、紙の特性が、薄く、軽く、丈夫で、水分を良く吸い込み、染 まりやすいというものであると同時に、非常に安価であるということ から、上記の用途に非常に特化して我々の生活と密接に絡んでいると いえるだろう。. これに、篠山という黒豆を特産とした観光を立ち上げている地であ るという点を考慮すると、真っ先に浮かぶのは、やはりはがきや便箋. などのお土産としての利用であろう。現に、黒豆の館の館長である並. 河氏と、この黒豆の紙の話をした際に、真っ先に利用ができそうなの はこのような便箋での利用ではないかとのことだった。. また、黒豆の館という地域振興の施設があるのだから、施設で使わ れる紙製品(パンフレットやポスター、壁紙やランプシェード等〉の代 替としての可能性も考えられるだろう。. 黒豆紙は表皮を完全に取り去るのが難しいので、その風合いを活か す方向で考えた方がいいだろう。反面、均一な色や面を作るのは難し いので、その性質を活かした展開が考えられるだろう。. 38.
(39) ランプシェードの例. はがき、便箋利用の例25. 39.
(40) ■パッケージング利用. 黒豆製品として販売している商品のパッケージとして、黒豆紙を使 えないかという提案である。. まず、黒豆自体を販売している袋としての利用である。. 黒豆のパッケージ例. これは、薬包紙の包装方法をモチーフとした. 試作。図のように重ねて陳列することが可 能。. 添え書きに、「100%黒豆製」ということを明 記してある。. 薬包紙の包装方法を選んだ理由として、黒 豆の薬効成分が挙げられる。黒豆は薬では ないが、薬のように体調を整える効果をもた らすところから、このデザインにした。. 40.
(41) 中に黒豆が入っている。正規のもとくらべ て、内容量は1沼に減っている。それでも、. ◎●. 、o. 黒豆の一枚紙をそのまま使用しているとこ ろに、この商品の付加価値をつけていきた い。. 現在、黒豆の館で販売されているもの. ,’ これは、現在黒豆の館にて販売されている黒豆の 袋σビニールで覆われて、中身が見えるようになっ ている。. この案は、現在販売されているビニールの袋に代わるものとしてで はなく、黒豆の紙を使ったということでの付加価値を重視したもので ある。そのため、黒豆の量自体は現在市販されているものの方が多い が、その分お土産等としての利用が期待できる。. 次に、黒豆紙による包装紙としての展開である。. 包装紙として. 包装紙としての利用。商品を包む際の、ラ ッピングとして使用する26。. 匹. 41.
(42) 包装紙を止めるテープでのP R. /. 包装紙を止める、テープにrこれは黒豆か ら作られた紙だ』ということをアピールして ある。. テープをこのように作成しておけば、いざ 貼ろうというときに便利。. これは、包装紙としての紙の利用である。包装用なので特に文字情 報は使わず、包装紙を止めるテープ等に『この包装紙は、黒豆の茎か. らできています』等のPR文を印刷してはどうだろうか。 下図は、黒豆食品の取扱説明書などに含める例である。. 説明書などの付属品としての利用. 今回は『黒大豆うどん』という既製品を基. に、付属の説明書という設定で作成した. 42.
(43) 裏側の見開き部分。ここに、うどんの作成 方法を、図解で紹介してある。. 裏表紙の下部の拡大図。右側のマーク は、黒豆からササイクルしたというマークを 作成してみた。左は成分表。. 中に説明書きとして印刷されている紙を、黒豆紙として利用した。 こうして、説明書などにも付加価値をつけることで、食品を食べた後. も、黒豆の印象を強くすることができる上に、安易にこの説明書きを 捨てさせないという効果を期待できる。. このように、様々なデザインで工夫し加工することで、黒豆の商品 としての価値をあげることも出来るだろう。また、黒豆の未利用素材. であった茎を使って漉いた紙で、黒豆のパッケージを作ることで、. 100%黒豆から出来た商品であるという宣伝文句もでき、より商品に 付加価値を加えることが出来る。. この付加価値という効果が大事で、黒豆の主役はあくまで『豆』な. 43.
(44) のである。それをより引き立てるものとして、廃品利用である『紙』 の価値が同時に高まるものと考えられる。. また先目、黒豆の館にて『黒豆フェア』というものが行われた。こ. れは、黒豆を使った新商品の展示や、黒豆の紹介を行うもので、今回 私が試作した黒豆紙も展示させていただくことができた。. 当日のフェア会場での模様(2003年12月21目〉. 取材当目は、前目までの記録的な雪のためか、客足は少なかった。. だが、ときおり紙のブースを立ち止まって見てくださる方もいて、感 触としては悪くなさそうであった。. また、この日たまたまこのフェアの取材に来ていた、神戸新聞丹波 総局の久保田輝氏から、今回の黒豆紙のことについて取材を受けた。 この論文には間に合わなかったが、後目新聞記事にて紹介させていた だくとのことだった。. 今回の展示について、黒豆の館館長の並河氏からは、フェア後もし ばらくは展示していただけるとの承諾を得ているので、論文には間に 合わないのだが、改めてお客の反応などを調査してみたい。. 第二節 ヘチマを使った紙漉きによる、教育的利用の提案. ヘチマは小学校4年生の理科で、雄花と雌花にわかれて咲くという 雌雄異花の授業で栽培される。一年草なので、授業での役目を終ると. 無残な形をさらしたヘチマの茎が花壇に横たわり放置されるのが現 状ではないだろうか。実際、私が授業を受けた10数年前もそうであ ったし、ヘチマの茎を提供してくださった小学校でも、特に利用はさ. れていないようであった。実の部分に関しては、それぞれ児童が持っ. て帰って、たわしなどとして使うのかもしれないが、茎の利用に関し. 44.
(45) て、何か取り組みがなされているという話は聞いたことがない。 そこで、今回の紙漉き実験での経験を元に、紙漉きという観点から、. 利用方法を見出されずに捨てられてしまうヘチマの茎に、教育的な意 義と、その利用の提案をしたい。. ■なぜ、紙を漉くのか. 背景としては、未利用の素材を利用価値のあるものにしたいという. 私の意見もあるが、平成14年度から完全実施の始まった、総合学習 の授業が深くかかわってくる。総合学習の現場で、紙漉きという活動 は非常に多く行われている。ある時は牛乳パックによるリサイクルの 体験として、ある時はケナフを育て環境教育の一環として、紙漉きと. いう活動はその目的は様々あれど、教育現場ではよくある活動だとい える。. では教育活動において、ヘチマによる紙漉きがどのような意義を見 出せるのだろうか。それは、紙漉きと密接に絡んでいるリサイクルの 問題と環境問題を同時に扱ってしまおうというものである。. リサイクルという点で言えば、もともと花壇で捨てられてしまうは ずであったヘチマの茎を使うので、まさにゴミを資源とした立派なリ. サイクルといえるだろう。そして、実際に紙漉きを体験することによ. り、紙を漉くということの大変さや、1枚の紙に対する思いの変化等 を体験することができるだろう。そうすることにより、紙をより大事 に扱い、無駄遣いをなくすきっかけとすることが出来る。これこそ、. まさにリサイクルという教育の芯になる部分ではないだろうか。リサ イクルできればいいという考えではなく、ゴミを減らす意識の変化こ そ、リサイクルの担う教育的意義であろう。. また、環境教育という視点で言えば、紙漉きという行為自体が環境 を考える非常に良いきっかけを与えてくれる。なぜなら、紙漉きは非. 常に環境に悪影響を与える作業だからである。例えば煮熟という作業 は、高アルカリ水による煮出しであるし、繊維の漂白を行う場合、酸 素系の薬品にパルプ漬け込むのである。また、長時間煮出しを行うた め、その際に出される二酸化炭素の量たるや計り知れない。その上、. 二酸化炭素を貯蔵する役割を持つ植物を切り取るのだから、環境に良 いはずがない。木材パルプを利用した場合、この点はなおさらだろう。. このような環境に悪い影響を与えながらも、我々にとっては非常に便. 利な紙の利用を止めることはできないだろう。だからこそ、環境教育. 45.
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内科検診(入所利用者)尿検査 寝具衣類の日光消毒 ハチ、アリの発生に注意 感冒予防(全利用者、職員)
9 スタディサプリ
授業設計に基づく LUNA の利用 2 利用環境について(学外等から利用される場合) 3 履修情報が LUNA に連携するタイミング 3!.
大学図書館では、教育・研究・学習をサポートする図書・資料の提供に加えて、この数年にわ