第 4 章 スクロール部品の鍛造成形性および機械的特 性の評価
4.3. 実験結果
4.3.7. 鍛造成形品の高温(150℃)における機械的特性
Table 4.4 Relationship between mechanical properties at 150℃
Test No.
Forging temperature
Forging speed
Back pressure
0.2%
Proof stress
Tensile
strength Elongation Fractured position
(℃) (mm/s) (kN) (MPa) (MPa) (%)
1
300
10 100 200 266 7.0 B
2 40 0 192 259 7.7 A
3 40 20 192 260 7.5 A
4 40 70 195 259 6.6 A
5 40 100 192 256 6.4 B
6
350
1 0 184 243 6.2 A
7 1 100 185 245 7.2 B
8 1 150 190 250 7.4 B
9 10 100 177 236 11.8 A
10 40 20 181 242 6.6 A
11 40 100 182 242 5.9 B
12 40 130 175 232 11.1 B
13 400 40 100 167 221 11.7 A
Fig 4.45 Effect of forging temperature on tensile properties at 150℃
Fig 4.46 Effect of forging speed on tensile properties at 150℃
Fig 4.47 Effect of back pressure on tensile properties at 150℃
Fig 4.48 Effect of back pressure on tensile properties at 150℃
Fig 4.49 は,室温および 150℃の場合の 0.2%耐力と試験条件の関係および鍛造成 形性の関係を示している.Fig 4.50は,室温および150℃の場合の引張強さと試験条件 の関係および鍛造成形性の関係を示している.また,Fig 4.51 は,室温および 150℃の 場合の伸びと試験条件の関係を示している.図中には最適な試験条件を見極めるため 目標強度と鍛造成形性を示している.本実験範囲 で目標とした 0.2%耐力および引張 強さは,室温で 350MPa 以上であり,鍛造成形性に関してはスクロール壁高さ差 Δh が 2mm 以下ものを許容範囲とした.
Fig 4.49 およびFig 4.50 より,室温の 0.2%耐力については 350MPa 以上に達したも のが二条件あり,成 形 性を満たしているものは八条件あるが,このうち両者を満たす条 件は試験温度が 300℃,鍛造速度が 10mm/s のみであった.室温の引張強さについて
は 350MPa 以上に達しているものが八条件あり,成形性を満たしているものは同じく八
条件ある.このうち両者を満たしているのは六条件である.本章で挙げた目標値はあくま で Al 製のスクロールの材料置換を想定した非常に困難なものであるが,0.2%耐力およ び引張強さが 350MPa 以上で成形性も満足できる条件を見出すことができた.ただし,
この条 件で鍛 造した成 形 品の伸びは 1%以 下であり,さらなる改 善 が必 要である.Fig 4.51 に示す伸びは 300℃の鍛造成形品を除いて背圧荷重の増加と伴に向上する.
300℃程度の低温鍛造で強度が上昇するのは第 3 章で述べたように,加工硬化の影 響が主要因と考えらる.他の理由としては底面配向した未再結晶粒の集合組織が引張 特性の評価方向と平行に形成され強度向上に貢献していることが考えられる. 試 験温 度が増加すると再結 晶が進み底面配 向がランダムになり,また,再 結晶粒の粗大 化が 起きやすいことによって強度が低下しているものと考えられる.
室温と150℃の場合の引張特性を比較すると150℃の場合の高温強度はいずれの鍛 造条件においても大幅に低下している.伸びについては室温のときと比べて大幅に向 上している.室温から 150℃まで温度が上昇した場合の強度の低下率は,0.2%耐力が
40%以上,引張強さが約 30%となっている.高温での強度低下は合金特性に起因する
部分もあるが,鍛造により生じた加工硬化や集合組織が高温で弱まったことも要因とし て考えられる.高温強度の向上は今後の課題と言える.
Fig 4.49 Relationship between the 0.2% proof stress and forging conditions and sign of formability of judgment (○:Wall height difference Δh <2 mm,◎:Δh <2 mm and 0.2% Proof stress >350 MPa)
Fig 4.50 Relationship between the tensile strength and forging conditions and sign of
formability of judgment (○:Wall height difference Δh <2 mm,◎:Δh <2 mm and Tensile strength > 350 MPa)
Fig 4.51 Relationship between elongation and forging conditions