第 5 章 双ロール鋳造材の鍛造部品への適用および鍛 造成形性の検討
5.3. 実験結果
5.3.2. 鍛造予備試験の結果
Fig 5.11は双ロール鋳造材(AZ91, AZ101, AZ111, AZ121)をそれぞれ鍛造成形し
た場合の成形荷重とスライドの関係を示している.Fig 5.11ではいずれの材料において もスライドの位置が 2.5mm の付近で荷重のピークが認められ,その後,荷重はわずか に低下し,下死点付近で最大荷重が確認できる.Fig 5.12はFig 5.11で得られた最大 成形荷重とAl含有量の関係を示している.最大成形荷重はAl含有量が9%から10%
までは変化しないが10%から 12%になると約 50kN 低下している.Al 含有量が増加す ることで荷重が低下する原因は,双ロール材の結晶粒径が微細化しているためと考え られる.
Fig 5.11Relationship between slide position,load and time
Fig 5.12Relationship between Al content and maximum forging load
Fig 5.13 は鍛造成形品の外観を示している.いずれの鍛造成形品も表面に割れ等 は観察されていないが,ピンの高さが不均一となっており,内側に比べて外側のピンが 低い傾向となっている.本実験に用いたピン形状の鍛造成形においては,始めに内側 のピンに材料が流れ,その後,内側のピンが充満された後に外側のピンに材料流れが 起こると考えられる.本実験条件では押出量が不十分なため,内側のピンに比べて外 側のピンへの材料流れが不足して Fig 5.13に示す結果になったものと考えられる.Fig 5.11 の結果においては,スライドの位置が 2.5mm の付近と下死点の 2 か所で荷重の ピークが確認された.始めに表れるスライドの位置 2.5mm 付近の荷重のピークは内側 ピンへの材料流れが完了し,外側のピンへ材料流れが開始される箇所に相当している と考えられる.Fig 5.11の結果によると,内側のピンに流れた材料は金型内で内圧を高 めながらピン先端に近づき,内圧が約 700kN 程度に達したときに内側のピンへの材料 流れが完了する.その後,材料は外側のピンへ流入を移行し,下死点において内側と 外側のすべてのピン成形に相当する最大成形荷重を示して成形を完了する.本実験 では,材料の変形抵抗が低くなるほど内側のピンの成形性が良好になるため,成形途 中における外側と内側のピン高さの差は大きくなっていると予想できる.Fig 5.12 に示 す圧縮試験の結果によると Al 含有量の増加につれて同じ温度における変形抵抗が 低くなるため,成形途中のピン高さの差は AZ121 の方が AZ91 に比べ大きくなってい ると考えられる.
Fig 5.14は鍛造成形品の外側ピンと内側ピンの体積比と Al含有量の関係を示して
いる.ピン体積はピン先端から底板上面までの高さとピン直径により求めた.Fig 5.14 の結果より Al 含有量が増加するほど体積比は大きくなっている.すなわち Al 含有量 が増加すると内側のピン高さは外側に比べて相対的に高くなる.従って,Al 含有量の 多いマグネシウム合金 では内側のピン高さが優先的に高く成形され,均一なピン成形 は困難になるため,押し込み量を大きくとる必要がある.さらに Al 含有量の多いマグネ シウム合金材料を使用して押し込み量を増加させることで,高強度な成形品を低荷重 で成形することが可能であると考えられる.
AZ91
AZ101
AZ111
AZ121
Fig 5.13Photos of forged products of test temperature 350℃,forging speed 0.1mm/s
Fig 5.14Volume ratio of inside pin and outside pin