• 検索結果がありません。

重層的な開発アクター設定による住環境整備計画及び事業

ドキュメント内 学位の分野 国際地域学 (ページ 123-138)

    一ソンクラー県ガオセン地区におけるオンサイト再区画整備の事例より一

5.1 はじめに

5.1.1本章の目的

 本章では、小規模住民組織を含む屯層的な開発アクターを設定し、オンサイトによ る改ill三型の再区llhi整備(re-biocking)を実践したタイ南部のソンクラー県ガオセン地区 を対象とし、①住環境整備計lllll及び事業の開発プロセスと、②街区(プロソク)ごと に形成された小規模住民組織の組織化過程、役割、特性、について明らかにするc加 えて、ボンガイ地区開発との比較により、小規模住民組織を単.位とした住環境整備計 画及び事業について計画論的視点から考察する.

 ガオセン地区の住環境整備事業に注目する理由は、次の通りである。

 第1に、コミュニティを街区単位のプロソクに区分(当地区では建築専門家がファ シリテーターとなって、地図を用いてブロックごとに色分けを行っているニカラー区 域)し、その中に小規模住民組織を形成するといった、重層的な開発アクター(住民、

小規模住民組織、ブロックグルーブ)による開発を行っている。

 第2に、住民の経済能力から柔軟な住戸計画が策定され、各世帯でそれぞれの修復 及び建設計画に沿って住宅建設やリフォームが実施された。

 第3に、鱈杓スペースであるコミュニティ内の路地(ソ・イ)整備において、BMPの 住宅建設または改善(リフォーム)へ参加しない・できない住民(以下、不参加住民 とする)も開発区域に包含して街区の計画、及び事業の実施がされており、地域全体 の底ヒげに繋っているe

 小規模住民組織を単位とした住環境整備の方式についてはボンガイ地区の事例をも とに分析したが、これに対し、ガオセン地区開発における計画は従来の開発方式には 見られなかったものであり、今後の都市貧困地域における持続的なコミュニティ開発 をU指すヒでも注目すべきものであると考えている。

5.1.2 本章の方法

具体的な研究の内容、方法は次の通りである。

D住民の経済・社会属性及び居住特性。

2)住環境整備事:業の特徴及び住民の事業後の評価。

3)‘1業におけるコミュニティ運営体制、

4) ノ1・大見t莫イilL〈;糸IL糸哉(ノ)糸且糸哉イヒ(フ)ノノシ去及(♪日1’1勺rt

5)計画段階における」ヒ的空間のデザイン、住戸計画、インフラ整備等。

6)ボンガイ地区開発との比較により小規模住民組織を単位とした住環境整備計画及  び’1喋についての考察。

 現地調査では、ガオセン地区でBMPへ参加した127 iHr帯と不参加世帯を対象に、住 民や協同組合・貯㍑;組合リーダー、ブロックグループリーダー、小規模住民組織リー ダ…、ソンクラ’一一一 [if役所、 CODI職員(本部ガオセン地区担当者)への聞き取り調査と 参li観察による定性調査及び、現地住民6名の協力のもと面接方式による質問紙調査

(114項目)cbを2007年6月、10月、2008年9月に実施した。また抽出サンプルは、

世帯ではなく事業へ参加した住/亡を対象とした.調査対象地区と質問紙調査の概要は 表5-1に示す.加えて、CODI、 ACHR(Asian Coalition for Housing Rights)、ソンクラ ー市役所、ガオセン地区協同組合から資料収集を行った.

 質問紙調査で得られたデータについては、SPSSを使用して単純集計による度数分布 表の作成、クロス集計、相関係数の測定などの統計分析を行った。

表5-1調査対象地区と質問紙調査の概要

地区名 ガオセン地区

土地所有者 財務省

面積 25.625ライ(4」ha)

総世帯数 480世帯

人ロ 2,365人

開発方式 オンサイト再区画整備(re-blocking)

BMP参加世帯数 127世帯

調査方法 面接式/留置

調査期間 2007年10月、2008年9月 サンプル数 参加住民 124人

不参加住民 95人

設問数 114問

注:1ライあたり1,600㎡である。

2007年10月に実施した調査において、参加住民103票、不参加住民 95票を回収できた。参加住民に対する残りの質問票(21票)については、

2007年10月に調査協力者であるブロックリーダーのKlinusasuwan氏 に留置していたものを2008年9月8日に回収した。調査協力者に関し

ては、本章補注(2)を参照にされたい。

5.2 ガオセン地区の概要

 ソンクラー県は、シャム湾に面した南部タイの中心地の1っであり、県内にはハジ ャイ市とソンクラー市の2つの中心都市が所在している1)。国家統計局(NSO)の2007 年度統計年報2)によれば、2006年現在で県の人口は1,317,501人(男644,473人、女 673,028人)である。また、ソンクラー市の2003年度計画書によれば、市の人口は2002 年現在で82,342人、世帯数は23,211世帯である3)。都市貧困層コミュニティの数は、

21地区(6,032世帯)である。50年以上居住しているいわば伝統的な地区コミュニテ ィは沿岸に形成されており、その内57%はスクオッターである4)。これまでのソンク ラー市における都市貧困層コミュニティに対する取り組みとして、Human Settlement Foundation (HSF)が1987年から活動を開始しており、その後1994年以降はHSFか らSouthern Urban Poor Community Development Project(SUPCDP)(3)が分離し、ソンク ラー市の都市貧困層コミュニティを拠点にナコンシータマラート、トラン、プーケッ トなどの都市貧困層コミュニティ住民によるネットワーク組織、南部スラムネットワ ーク(クアカーイ・スラム・パークタイ)の居住問題への協力が実施されている5)。

2003年にはガオセン地区のBMPIOパイロットプロジェクトへの参加が決定し、2005 年にはタイ鉄道公社(SRT)の土地を居住地としているTung Sao Hua Pom地区で4地 域スラムネットワーク(4RSN)の支援のもと住環境改善が実施されている6)。

5.2.1 対象地区の概要と歴史的背景

 ガオセン地区(写真5-1、5-2、5-3、5-4参 照)は、タイ南部ソンクラー市に位置してお

り、ガオセン通り(Kaosen Rd)、サムmン運 河(Samlong Canal)、ソラタットビーチ(Solatat Beach)に囲まれた沿岸にある漁村コミュニテ ィである。2008年9月現在、480世帯(385 家屋)、2,365人の住民が25.625ライ(41,000

㎡)の財務省の土地に住んでいる。当地区は 民族(マレー系、華人など)や宗教、職業と 所得水準(貧しい漁業従事者から成功してい

る会社経営者や貿易商人まで)が様々であり 強制撤去や移住の長い歴史を持つコミュニテ

ィである7)。また、地区の中央にはモスクが

建設されており、毎日礼拝の時間には設置さ 写真5-1ソンクラー市の衛星写真

出典:Google Earth 2008

れているスピーカーから地域一帯にアザーン(ムスリムにおける礼拝への呼びかけ)

が聞こえてくる,、

写真5-2ガオセン地区の衛星写真、①ガオセン通り(Kaosen Rd)、②サムロン運河(Samlong CanaD、③ソラタットビーチ(Solatat Beach)

出典:Google Earth 2008

写真5-3コミュニティ前のソラタットビーチ   写真 5-4サムロン運河沿いの住居 出典:CODIパワーポイント資料(2006)8)より引用

 ’iG地区は、1960年代初頭にソンクラー一市北部の岬1こある広範囲な定住地から強制撤 去にあった住民に公的に川意された移住地であった,,しかし、この用意された}二地は lll式なリース契約がないため、1980年代に「1治体からリゾート施設を建設する計画が 発表され、住民は他の場所に移転することを要求されたftしかし、移転先は多くの一[

場に囲まれている場’所であり、環境条件が悪かったf」 一方、この当地区では度々起こ る強制、」flち退き問題をきっかけに、コミュニティは次第に住民組織の活動を活発化さ せ、地方行政との間で交渉していく力を身につけてきたtt 1990年はコミュニティ内に 貯蓄組合が設置され、その翌年には住環境改善、福利厚生、教育、など各種ローンの 貸付及び冠婚葬祭費川の支援といったコミュニティの社会サービスが開始されている。

1992年は’【]地区の住民が経済活動をするilで必要不可欠な市場がコミュニティ内に建 設されている,.1994年には世帯や住民の数が増えてきたことからコミュニティを5っ のブロックに分けて各ブロックに住民で2名ずつ調整員を配置した。このブロックに ついてはBMPの中でも・つの開発アクターとして設定されているc表5-2に当地区の

}1なコミュニティ形成・整備の経緯を示すf,

表5-2ガオセン地区におけるコミュニティ形成・整備の経緯

主なコミュニティ形成の経緯

1959 ラム・ソン・ロン(Lam S。n Rom)地区からガオセン地区への移住(50-60世帯)、住民自らが住宅 嚼ンする。この時、コミュニティの居住環境は森林に覆われていた。B

1983 行政による幹線道路の整備(現1ガオセン通り)

1984

1.行政から強制撤去の危機が生じ、コミュニティは、①コミュニティのハードの環境整備、

ANHAや政府機関(社会開発関連)との交渉、などの活動が行われ危機を乗り越えた→外部からの開発(圧力)に対しコミュニティ運営のシステムを構築する

P.コミュニティ委員会の設置(住民投票による初めての選挙)

1986 コミュニティ内に住民自らがチャイルド・ケア・センターを設立し今まで働けなかった主婦の職業機

? 与える

1987-89

1.行政から強制撤去が再び当地区で計画されるが、住民約2,000人が結集し支援団体と交渉 オ、UNDPから75,000バーツの予算を確保し、コミュニティのインフラ整備を実施した

M.1988年には12万バーツかけてチャイルドケアセンターの建物が完成し、幼稚園が開設され 驕B初めは40-50名の園児がおり、8人の先生は無償で労力を提供していた

1990 居住・土地問題や様々な問題を解消するためコミュニティ内に貯蓄組合の設立

1991 1.土地買収・借地権取得について行政との間で話し合いがされるが交渉は失敗に終わる 香D貯蓄組合から住民に対し、融資事業(無担保信用貸付)が開始される。

1992 市場をコミュニティ内に建設 1994

コミュニティ運営を円滑にするためコミュニティを5つのゾーン(区画)に分けた。当時、貯蓄組合 フメンバーは、最小で7バーツ/日を貯蓄しなければならず、これを調整するためにコミュニティ ヘ、各ゾーンに2-3人の調整員を配置した。

1996 道路・下水道の改善をするために当時のコミュニティリーダーが地元のNGOと交渉する 1997

新しいチャイルド・ケア・センター建設のためUCDOから融資を受ける。新しいセンターはコミュニ eィセンターとしても使用され、住民会議が出来るスペースを確保している。建設費用は P、392,396バーツであった。

2002 行政が道路舗装を実施(ガオセン通り)

2003

CODIからBMPの10パイロットプロジェクトに選定される。480世帯のうち127世帯がプロジェクトへ フ参加意思を決定する。事業計画は建築専門家やCODI職員の協力のもと住民自らが計画立案 キる。

出典:2007年10月、2008年9月に実施した協同組合リーダーへの聞き取り調査とJeffrey    (2005)9)、CODI資料10)、ガオセン地区の協同組合資料11)を参考に筆者作成。

ドキュメント内 学位の分野 国際地域学 (ページ 123-138)